7年連続でオッズパーク杯ガールズグランプリに出場を決めた石井寛子選手(東京104期)。常にトップ選手として戦い、再びガールズケイリンの頂点を目指します。
決勝に勝ち上がれなかった競輪祭でのグランプリトライアルレースの振り返りと、現状、また年末へ向けての意気込みを伺いました。
山口:7年連続のガールズグランプリ出場決定、おめでとうございます。
石井:ありがとうございます!それだけが誇りです(笑)。
山口:連続、というのは本当に素晴らしいことです!
石井:途切れていない、というのは自分にとっても自信になりますね。
山口:今年は8月にガールズドリームレースを優勝され、賞金ランキングでも常に上位にいらっしゃいましたね。
石井:はい。ドリームレースの優勝でほぼ賞金ランキングでグランプリの出場は大丈夫だろうと思っていたんですが、優勝するまでの1月から7月の間はドキドキもしたしソワソワもしたし、緊張感がずっとありました。
なので、ドリームレースの優勝で少しほっとした部分は正直ありました。
山口:今年のガールズグランプリの舞台は立川競輪場です。東京での開催ということで意識はしていましたか?
石井:自分の中では「東京だから特別」ではないと思います。それよりも立川競輪場でのグランプリの成績を意識していますね。立川でグランプリを走るのは今年で3回目。
デビュー年の2013年が3着(優勝:中村由香里選手・東京102期)、2016年が4着(優勝:梶田舞選手・栃木104期)と悔しい思いをしているので、意識をするとしたら単純に成績だけです。
山口:立川競輪場のイメージはいかがですか?
石井:直線が長いですね。バンクを走るのがとても難しいと感じました。今まで2回の立川グランプリを走り、デビューした年は初めてのグランプリということもあり、ただ悔しいだけだったんですが、2016年はかなり仕上げて臨んだグランプリで4着と本当に悔しい思いをしました。ゴールをしてから「このバンクを走るために自分にはもっとやれることがたくさんあったんだ」と感じたんです。
なので、今年は「立川を走るためにやれることを全部やろう、何とか特性を掴もう」と、小倉競輪祭でのトライアルレースが終わった後から立川で練習をしています。
山口:しっかりと乗り込んで臨みたいですね。
石井:はい。元々私は京王閣がホームバンクなので、立川をホームバンクにしている奥井さん(106期・奥井迪選手)とかにはかなわないんですが、立川バンクの特性を掴んだ上にしっかり作戦を練って入りたいです。
山口:東京の選手が3選手、ガールズグランプリを走ります。その辺りはいかがですか?
石井:東京・立川で行われるグランプリで東京の選手が3人も出場できるのはとても素晴らしいと思うので、地元ということで皆さんにはたくさん応援して欲しいですね。
山口:競輪祭でのグランプリトライアルレースの成績(5着5着5着)は振り返っていかがでしょう?
石井:かなり心の傷を負いました。まだ癒えていないです(苦笑)。終わってからも、落ち込み過ぎて練習に向かうのに数日かかってしまいました......。思っていたよりも体が動かなかったんです。
周りからしたら「ガールズグランプリ出場はほぼ決まっているから、気持ちが入っていなかったんじゃないの?」という声も聞こえましたが、そんなことはありません!
山口:そうですよね。前回のインタビュー時にも「優勝をするつもりで参加する」と仰っていましたもんね。
石井:そうです。トライアルレースもそうですし、来年のガールズコレクションの権利などもあったので、自分が勝つつもりで参加していたんですが、想像以上に体が動かなかったのが自分でもびっくりでした。原因もわからないんです。
山口:この後の練習で修正していきたいですね。
石井:修正したいんですが、実はまだ感覚は戻りきっていないのが現状です。体のキレが全然ないのがちょっと心配です。残りの日数で何とかするしかないですね。
山口:前回インタビューの時には「体づくりをしていきたい」と仰っていましたが、進捗はいかがでしょう?
石井:小倉のトライアルレースまでは順調に進んでいたんですが、小倉の時に崩れてしまった気がします。体よりも気持ちに要因はあるんでしょうけど。それをなるべく早く立て直すのが今の課題です。
山口:具体的には?
石井:やっぱりバンクを走るしかないと思うので、立川競輪場に練習に行かせてもらいます。バンクの特性を見極めつつ、基礎的なトレーニングをしたいですね。不調の原因がわからないのであれば一度基本に戻った方が良いと思いました。
山口:気持ちの面ではいかがでしょうか?
石井:ガールズグランプリに出場できたことがとても嬉しいので、走れるという幸せな気持ちをモチベーションにして練習に取り組んでいきたいです。
山口:7年連続してのガールズグランプリ出場ですが、周囲の方の反応はどのような感じですか?
石井:周りの方からは特に何も言われないですね、妹の貴子も特に何も言ってくれないですし、「今年もでしょ」と周囲の方には思ってもらっているみたいです(笑)。
唯一、中村由香里(東京102期)さんには小倉のトライアルレースの反省点を指摘してもらって「寛子には頑張って欲しい」という言葉をいただきました。それで「頑張らないと!」と気持ちが盛り返しましたね。
やっぱり「頑張ってね」という言葉は言ってもらえて初めて力になるんだなと実感します。
山口:なるほど!「今年もでしょ」と思っていても、言葉では言ってほしいですね。
石井:そうなんです!当たり前と思わないで欲しいです(笑)。頑張ってねって言ってほしい!(笑)。
今年13年ぶりにKEIRINグランプリ出場を決めた佐藤慎太郎さん(福島78期)と話した時に「(石井選手は)ずっと強いじゃん」と言われたんです。自分ではそうは思っていなかったけど、皆さんそう思ってくれているんだと認識しました。
でも、それは全く違って、いつもギリギリの状態にいるのが私なんです。だからファンの人も、練習仲間や友人、周りの人にも「頑張って」と言ってもらいたいです。ぜひ声を出して応援してください(笑)。
山口:今年のガールズグランプリ出場メンバーで注目する選手はいますか?
石井:やっぱり小林優香ちゃん(福岡106期)ですね。今一番強いと思うので、これからじっくり対策を考えたいです。
山口:近況の小林選手は日本でのレースは数少ないですが、その辺りはどうですか?
石井:優香ちゃんとは今までも何度も走っていますし、強さもわかっているので気にならないです。ナショナルチームになったから走り方が変わった訳ではないと思いますし。ずっと強いです。捲りのスピードも凄いですね。
ただ、他の選手も自力型の選手が多いので、メンバー構成という部分では、私には走りやすいメンバーなのかなと思います。
山口:自力で仕掛ける選手が多いとチャンスも生まれますか?
石井:そう思います。好位置もどんどん変化していくと思うので、チャンスは生まれやすいと思います。
山口:以前も仰っていましたが、展開想定や位置取りは得意分野でしょうか?
石井:想定は何パターンもしますが、決して得意ではなくいつも緊張します。「どうしたら良いんだろう」と考えながらドキドキしてくるので一番緊張する部分かもしれません。
山口:他のことをしている最中にも、予想した展開以外パッと浮かぶことはありますか?
石井:よくありますし、それが何パターンも浮かんできます。グランプリだから何パターンも考える訳ではなく、全てのレースでそれをしますね。選手以外の方にアドバイスを求めている時に浮かんだりもします。
自分以外の考え方を持っていらっしゃるので、自分じゃ考え付かなかった展開想定や、気づかなかった私の強みなんかも教えてもらいますね。それがかなりヒントになります!
山口:特にためになった、自分では気付かなかった部分は何ですか?
石井:本当にたくさんあるんです。例えば、私がレースで仕掛けを恐れている時があったんですが、その時に「あそこでビビってないで仕掛けたら1着なんだから、思い切って仕掛ければよかったのに」と言われた時には「そうなんだ」と気付かされました。弱気な時には「自分でレースを作っていけ」と怒ってくれたり、もっと細かく指摘をしてくれるのが本当にありがたいです。
山口:競輪祭でのトライアルレースの時もそのような場面はありましたか?
石井:いや、その時は誰にも聞いてないんです。自分からアドバイスを求めにいけなかったんですよ。
山口:普段も開催中には、他の選手にはアドバイスは求めないですか?
石井:そうですね。最近行ったのは、7月ガールズケイリンフェスティバルで7着7着という末着を連続して取ってしまった時に、どうしようもなくなって後閑信一さんにアドバイスをいただきにいきました。それ以外はレース中にはあまりいかないです。
普段の開催ではそこまでボロボロになることはあまりないですね。練習ではよくボロボロになるので、その時はすぐに聞きに行きます。
山口:なるほど、ならトライアルレースはかなり辛かったんですね。
石井:そうですね、孤独な戦いできつかったです。
山口:これからガールズグランプリまではどのように過ごしたいですか?
石井:計画を立てて体を作りたいですね。去年失敗したやり方をしないように、もう一度気持ちも体もふるい立たせていきたいです。
山口:前夜祭についてはいかがですか?
石井:楽しみにしてくださっている方もたくさんいると聞いています。ただ走る選手たちにとっては、車番の発表が行われたり実際に戦うメンバーが久々に集ったりなどかなり緊張する場面でもあるんです。
私たちは純粋には楽しめないかもしれません。ドレスはこれから決めたいと思います!
山口:そちらも拝見するのを楽しみにしています。それでは最後にオッズパーク会員の方へガールズグランプリへの意気込みをお願いします。
石井:東京でガールズグランプリが開催されるのでぜひ生で見ていただきたいですし、たくさん応援をして欲しいです!
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
先日の小倉・競輪祭GIでの『ガールズグランプリ2019トライアルレース』をもって、今年のオッズパーク杯ガールズグランプリに出場するメンバーが決定しました。3度目の出場を決めた石井貴子選手(千葉106期)に今年の振り返りと、ガールズグランプリへ向けての意気込みを伺いました。
山口:ガールズグランプリ出場決定、おめでとうございます。
石井:ありがとうございます。
山口:今年は賞金ランキングでも常に上位にいらっしゃいましたね。
石井:そうですね。7月のガールズケイリンフェスティバルの優勝がかなり大きかったです。ギリギリまで賞金争いをするのは精神的にも厳しいので、そうではなかったのはありがたかったです。
山口:ガールズグランプリへ向けての準備も、余裕を持って進められますか?
石井:どうでしょうね。年間を通してレースを走っているので、ガールズグランプリだけに向けて準備をするというのは毎年できないですね。ただ今年は9月くらいから、年末のことは意識の片隅にありました。
山口:ちょうど9月頃に競輪場で取材をさせていただいた時にもそのように仰っていたのが印象的でした。ここまでは早かったですか?
石井:そうですね、2か月はあっという間でした。脚力を上げるためにはちょっとずつ積み重ねないといけないですし、レースに常時出ているのでまとまってトレーニングができません。
普通に過ごしているだけでも体調を崩したりするので、それもあって思うように伸びない時期もありました。全部が全部計画通りにはいってはいないですが、その都度、精いっぱいやったのが現状です。
山口:小倉でのグランプリトライアルレースも含めて、優勝ももちろんですが、ずっと3連対を外していませんね。
石井:200勝を達成した前橋の前までは、体調も良くなかったんですが、コンディションも良くなかったんです。11月には徐々に戻ってきていてトライアルレースはしっかり走れましたね。
山口:戦法も多彩です!
石井:トライアルレースは普段の決勝戦を3日間やっている雰囲気でした。去年の初めてのトライアルレースも私は賞金ランキング上位で参加だったんですが、それでもとても大変だと感じました。
ランキング上位でほぼグランプリは確定しており、精神的には楽なんですが、レースを走る上でモチベーションは大切な時期になってきます。また、勝負を掛けに来ている選手は必死で優勝を取りに来ています。普段対戦しない強い選手もたくさんいて、そこで自分がどう走るかも重要です。
怪我もしたくはない、けど勝負には行かないといけない...いろんな葛藤があるレースだなと去年感じました。
その経験があったので、今年はしっかりと去年感じたことを踏まえて集中して入れました。勝負に来ている選手たちに気合負けはしたくなかったですし、自分が優勝するつもりで走りました。
山口:その集中が、勝ち上がりの2連勝だったんですね。
石井:そうですね。自分の現状の仕上がりで勝負をしようと気合は入っていたので大敗せず勝てたんだと思います。決勝は少し足りなかったですが、それがこの後の課題なんでしょうし、現状の把握は出来ましたね。
山口:決勝のレースはいかがでしたか?
石井:決勝ラスト半周の展開、実は競輪学校(現・日本競輪選手養成所)時代のトーナメント競走の際にまったく同じような展開があったんです。真備(高木真備選手・東京106期)が先捲りをうち、それを優香(小林優香選手・福岡106期)が捲って、私がその後ろ。その時も優香が1着、私2着、真備が3着と全く同じ。
それを思い出し「また同じことをやってるよ」と(苦笑)。シリーズを通して自分は自分のことを必死に頑張っていたのですが、106期勢はトパーズでもアメジストでも奮闘していたと思います。みんな頑張っているよなとしみじみと感じた部分もありました。
山口:グランプリトライアルレースは普段とはまた違った雰囲気がありますか?
石井:小倉のドームの感覚が普段走っている感じとはまったく違いました。ガールズ選手は、小倉はたくさん走るんですが、たいていミッドナイトの開催です。その時と空調の入り方が全く違ったので今回のトライアルレースでは「バンクがすごく軽い!」と思いました。
また車輪もARAYAのディスク車輪を使用してのレースだったので、去年のトライアルレースとも全く感覚が違いました。踏み込んだ感じがスカスカしていて「もう少しギアをかけたいな」と思うくらいフワフワ軽かったんです。
この感覚は自分だけではなくて他の選手も感じていたようで、「しっかりモガききって頑張っているんだけど、それでも軽い」とみんなで話していたんです。
そんな経験のないコンディションだったので、追い込みに行く時も自分ではいつものタイミングでいつもの感覚で踏んでいるはずが、踏みごたえがフワフワとしていたので、来年に向けて対策が必要だなと感じました。
山口:ガールズグランプリ2019のメンバーが揃いましたがいかがですか?
石井:強い選手たちが揃ったと思います。
山口:ナショナルチームということもあり、色んな選手が小林選手には注目しているのかなと思うのですが、いかがですか?
石井:そうも言っていられないくらい、調子の良い強い選手たちばかりですよね。なので、一人だけを意識するのはできないですね。各選手がどのように走るのかを想定して自分の力の出しどころを見極めながら走らないといけません。チャンスを見つけて力を出し切れるように頑張りたいです。
山口:立川競輪場の印象はいかがですか?
石井:きっと誰もが言うと思いますが、重くて風が強くて直線が長いイメージです。ただそれが私には味方してくれる気がします。
山口:最後の追い込みがきくバンクですよね。
石井:そうですね。去年のガールズグランプリは、あの季節の静岡にしてはかなり軽くて、ARAYAのディスク車輪だったのでかなり軽かったんです。もっと重いイメージもあったしそのような想定をして練習もしていたので、軽くてびっくりしたんですよ。なので「去年は私に運が向かなかったんだな」と(笑)。それを思えば、静岡よりは今年の立川の方が私に運が向きやすいのかもしれません。
山口:どんな走りをしたいですか?
石井:おそらく消耗戦になると思うんです。まずは体力を削られない脚をしっかりと準備をし、レースの中で力を溜めるところではしっかり溜めて、落ち着いて走れればなと思います。
山口:現状はどのような感じですか?
石井:ずっと続けてトレーニングはしていたんですが体調面でなかなか噛み合わなかった10月を乗り切って、11月のトライアルレースをしっかり走りきれたので、今は予定通りには来ていると思います。
山口:ホームバンクの松戸は33バンクですが、400バンクへの練習はどのようにされますか?
石井:私はずっと400バンクは取手競輪場へ行かせてもらっています。周長に関しては問題ないですし、感覚も大丈夫だと思います。
山口:年末への思いはいかがでしょうか?
石井:昨年がグランプリ2着という結果の悔しさがあるんですが、それは今年のグランプリに向けての気持ちとは関係ないですね。悔しさは、今年をどのように取り組むかの過程に反映したので、レースへ向けてはいつも通りフラットな気持ちで臨みます。
その時々のレース展開によると思うので、自分としては、準備はしっかりして後はやるだけ、という気持ちで入れるようにしたいです。
山口:ありがとうございます。最後にオッズパーク会員のファンの方へ向けて、メッセージをお願いします。
石井:しっかりと1か月準備をして良い状態で入れるようにすることと、落ち着いて自分の力を出し切れるように頑張ります。応援してください!
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
デビュー2年目にして、賞金ランキング5位で初めてのオッズパーク杯ガールズグランプリを決めた佐藤水菜選手(神奈川114期)。今年の振り返りと、初めてのガールズグランプリへ向けての思いを伺いました。
山口:初めてのガールズグランプリ出場決定おめでとうございます。
佐藤:ありがとうございます。
山口:決まった時はいかがでしたか?
佐藤:競輪祭でのグランプリトライアルレース後に確定したんですが、参加していたトライアルレースの成績が良くなかったのでグランプリが決まって嬉しい反面、自分が大舞台でしっかり結果が残せるか不安もあります。
山口:周囲の方の反応はいかがでした?
佐藤:賞金ランキングで上位にいたので、周囲の方も「このままいけば大丈夫だよ」と安心して見てくださっていたようです。実際に決まった時には「おめでとう」とたくさん言っていただきました。
ホームバンクが川崎なんですが、川崎からは初めてのグランプリ出場が決まってとても嬉しいですし、男子でも郡司浩平選手(神奈川99期)が出場するので2人で決まって良かったです。むしろ男子の方が出場は本当に狭き門なので郡司さんのことを凄いなと思います。
自分も注目していただいて嬉しいんですが、まずは川崎としては郡司さんの方に注目してください!と思います(笑)。
山口:賞金ランキング上位というのは、意識はしていましたか?
佐藤:大きいレースで結果が残せない分、普通の開催で優勝をしないとグランプリには出られないと思っていたので、毎開催「優勝をできるように」と意識して、特に今年の後半は走っていました。
山口:今年1年を振り返っていかがでした?
佐藤:今年の目標としていた10回の優勝を、6月に達成することができました。想定よりも早く達成できたので、去年よりは自分の成長を感じられました。結果は良かったんですが、レース内容について迷いが出てきた時期もありました。
山口:具体的にはどのあたりですか?
佐藤:勝ちを意識すると、自力、特に先行をすることに躊躇してしまいます。なので、後半戦では、自在から追い込みなど様々な戦法を試していましたが、まだ迷いはありますね。
山口:今の得意戦法はいかがでしょう。
佐藤:自在に動いてうまく立ち回れ、自分の思い通りのレースができた時には一番手応えを感じます。「私もこういう戦法で勝てるんだ」と自信にもなりますしね。
ただ、今回のトライアルレースのようにトップ選手が集まるレースは自在で走れる選手がたくさんいるので、そうなるとまだまだ力を発揮できないなと感じました。普段の開催のように動けるタイプの選手が少ないと自分もうまく立ち回れるんですが、自力選手も複数、自在選手も複数いると迷いが出てきてしまいます。
山口:この1か月はどのように過ごしますか?
佐藤:現在は体のケアを中心に過ごしています。練習としては、少し回転力が弱くなってきていると感じるので、それを中心にパワーをつけてダッシュの力をつけたいです。
山口:ガールズグランプリを走る他の選手の印象はいかがですか?
佐藤:今年は小林優香選手(福岡106期)が走るので注目しています。自分にくるチャンスは、一度あるかないかだと思うんです。自力で戦うと多分他の選手に捲られてしまう、自在ならチャンスは一度あるかないか。
その一回にかけるかどう戦うかは、直前の自分の状態を見て判断したいです。正直に言って自分にとっては、今年のメンバーではかなり厳しい戦いになると想定しています。
山口:やりにくい相手はどういうタイプなんですか?
佐藤:タイプ云々ではなく、上位の選手がたくさんいるとレースに迷いが出てきてしまいます。例えば普段の開催のように、決勝で上位の選手と対戦をした場合その選手に対しての対策をする事ができます。
でも複数いると展開も想定しないといけない部分がたくさんありすぎて迷ってしまうんです。それがガールズグランプリなら、私以外の6人ものトップ選手と一緒に走るのでかなり厳しい戦いになると思います。
もちろんそんな弱気なことは言っていられないので、グランプリまでにどうにか考えて対策をしたいですね。
山口:ガールズケイリンは級班がないので、デビューしていきなりトップ選手と対戦ですもんね。
佐藤:そうですね。ガールズケイリンコレクションも何度か走っていますが、自分のレースができずに終わることが多いです。勝ちにこだわり過ぎてしまって構えてしまいました。それも自分の自力の脚に自信がないのが一番の原因だと思うんですけどね。
山口:自信がないんですか?意外です!
佐藤:ないですね。まだまだだと思います。なので、自力の脚に自信がつけられるように練習をしていきたいです。この1年間練習をして、レースの成績では自信にはなったんですが、練習では感じられていないのが最初に言った「迷い」の部分なんです。
なので、来年はもうひと段階パワーアップしていかないとな、と思います。
山口:まだ2年目でのガールズグランプリ出場ですから、素晴らしい成績ですが、ご自身と先輩選手を比較するとまだまだの部分があるんですね。
佐藤:はい、比較することは多いです。その中で戦っているので、どうしたら勝てるか、自分との違いは意識します。
山口:今の調子はいかがですか?
佐藤:まだ調整中なので何とも言えないですね。ただグランプリを走れることは光栄なので、しっかり調整をして一発チャンスを狙っていきたいです。
山口:前夜祭もありますが、いかがでしょう?
佐藤:楽しみなんですが、今までそういう華やかな舞台に立った事がないので、立ち居振る舞いをどうしたら良いのかわからず、今まで以上に気を付けないといけないと思っています。今は常に姿勢よく生活をしています(笑)
山口:それは大切かもしれませんね(笑)。楽しみにしています。立川バンクの印象はいかがでしょうか?
佐藤:6月に優勝もしています。その時の印象では特にクセが無かったと感じたのでいつも通り走れると思います。
山口:冬場は風が強いみたいですが、その辺りはどうですか?
佐藤:そうなんですね。でも、私はレースになると風の感覚は感じなくなるので気にならないと思います。
山口:最後にガールズグランプリへの意気込みをオッズパーク会員の方へお願いします。
佐藤:デビューから2年目でガールズグランプリに出場することができました。今までたくさんの応援ありがとうございます。出場することではなく、優勝することが目標なので、当日も精いっぱい頑張ります。応援よろしくお願いします!
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
競輪の頂上決戦 競輪グランプリに8年連続出場し、2015年、2017年と二度制覇している浅井康太選手。座右の銘は「為せば成る」。日常の中で気付いたことを、考え、実践し、努力し続ける姿はファンの心を捉えています。その浅井選手に今の考えを語っていただきました。
星野:今年も残り2ヶ月となりましたが、ここまで振り返ってはいかがですか?
浅井:前半戦に落車もあったので、その結果の賞金ランキングですし、まだ優勝も出来ていないというところもありますが、その苦労があったからこそ今まで以上にトレーニングや競輪に向き合えているので、そういう意味では良い10ヶ月だったかなと思っています。
星野:浅井選手と言えば、競輪だけでなく他の業種の方とも積極的に交流を持たれていますよね。
浅井:はい。自分がやっている競輪は、人の100倍以上向き合っているので、もっと上を目指すには、他のプロスポーツ選手やいろんな会社の社長さん、それぞれの業種のトップの方と交流が大切だと思っています。
星野:刺激を受けるってことですか?
浅井:刺激とは違うんですよね。日々、自分が考えていること実践していることへの確認作業って感じです。この人たちの体の動かし方がこうなら考え方はこうかな?みたいな。その中で、自分の確認もできますし、リラックス出来たり安心感も持てる。大切な事だなと思っています。
星野:そう言えるのは、それだけのことをやっている証拠ですよね。
浅井:そうですね。それだけの考えを持っていないと話し合えないですし、相手からの投げ掛けに答えることもできないんですよね。
星野:最近ではレゴを作ったり、スポーツの枠も超えていらっしゃいます。
浅井:自転車があったから自動車ができたので、その自動車を作って自転車の仕組みを再確認してみようとポルシェのレゴを作ってみました。他にも車のエンジンのことが気になったのでどんな動きをするのか再確認しにモーターショーにも行ってきました。プラス何かできることはないかと考えることもトレーニングには大切だと思うんです。
星野:伺っていると、1日24時間では足りないんじゃないですか?
浅井:24時間って誰が考えたんでしょうね(笑)でも目一杯やっててもそれが楽しければ人生も楽しいものになる。今までは飲みに行ったり出かけたりすることが遊びだと思っていました。ですが、自分の向き合うものが何かというのが分かって、さらにそれが楽しいということが分かってからは、競輪が「遊び」に繋がるようになりました。なので、競輪選手でよかったなと思っています。
星野:それが分かったのはいつぐらいからですか?
浅井:2015年のグランプリを獲ってからですね。
星野:トップに立つと見えるものが変わるってことでしょうか?
浅井:そうですね。結果を求めるのではなく、結果が出ていることが当たり前になるので、それだけの事をしていかないといけませんし、勝っても体の状態が悪いときもありますし、逆に負けても良いときがあります。今の結果ばかりに目を向けるのではなく、次の自分につなげる通過点として自分の体と向き合っています。
また、最近は長いスパンを考えて10年後も今の位置(S級S班)にいられるように、S級一班にいられるようにと思ってやっています。
星野:近いところでは競輪祭がありますね。昨年は優勝されています。
浅井:昨年の競輪祭は賞金でグランプリも決まっていたので余裕もありました。今回は2着でも賞金では難しいので優勝しかない。それがどれだけ自分にとってプレッシャーになっていくのかというところも、戦いの中で重要になってきそうです。ただ、可能性がある限り、お客さんは自分のレーススタイルに車券を買ってくれていると思うので、厳しい言葉をかけられることもありますが、そのスタイルでどんな結果になっても納得できる、また、してもらえる開催にしたいですね。
星野:SNSでは、そういう部分も正直に伝えられていますよね。
浅井:自分の過失に対してはちゃんと謝罪もしないといけないと思いますし、応えていこうと思います。先ほども言いましたが、自分のレーススタイルに対して大切なお金をかけていただいていると思っているので、その方に対して、自分はいつもマックスの状態で開催に臨んでいますし、そこに向けても精一杯やっています。なので、レースが終わった後は感謝の気持ちが大きいですね。よく「すみませんでした。次がんばります」なんてのを目にしますが、次頑張るという「次」は自分の中にはないです。これ以上頑張れないくらい常にMAXの状態で全力でレースに出ていますから。
星野:それが、浅井選手の魅力にも繋がっているですね。
浅井:そう思っていただけると嬉しいです。
星野:では、その浅井選手を応援してくださる皆様に、そしてオッズパークの会員の方に最後にメッセージをお願いします。
浅井:競輪祭に向けて一つ一つこなして、最高の状態で開催に入ろうと思っています。グランプリのためにも一走一走を集中してやっていきたい。それを通じて5年後10年後も高い所を目指して行くために、通過点をしっかりと通過していきたいと思っています。そんな姿を見てほしいです。これからも応援をよろしくお願いいたします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
ガールズケイリン1期生として活躍する増茂るるこ選手(東京102期)。近況の振り返りや目標、また9月21日に行われた【オッズパークpresentsガールズケイリンDAY2019in帯広競馬場】のイベントへ参加した感想もお伺いしました。
山口:まずは【オッズパークpresentsガールズケイリンDAY2019in帯広競馬場】のイベントについてお伺いします。参加されていかがでしたか?
増茂:とても楽しかったです!動物が好きなので、競馬というより馬が間近にいたのに興奮していました。
山口:それ以前にばんえい以外にも競馬場は行かれたことはあったんですか?
増茂:普通の競馬に一度くらい行ったことがある程度でした。なので、イベントのお話が来た時はとても嬉しかったです。しかも北海道だったのでそれも楽しみでした(笑)。
山口:なるほど!帯広付近はなかなか行けないですもんね。
増茂:本当は後泊などもしたかったんですが、練習の都合ですぐ帰らねばならなかったのが残念でした。
山口:ガールズ選手がそれぞればんえいのレースをするエキシビションがありましたが、そちらはどうでしたか?
増茂:レースもとても楽しかったです。
山口:スピード感も怖くなかったですか?
増茂:私はまったく怖さは感じませんでした。馬に乗るという感覚ではなく、ソリの所に乗っていたのでずっと馬を見ていましたね(笑)。
山口:動物好きらしいです!他のガールズ選手はどんな感じだったかご覧になりました?
増茂:見ていました。「伊藤のぞみ選手(北海道116期)の馬が強いらしい」というのを騎手さんたちが言っていたので、伊藤選手の馬ばかり注目していました(笑)。
山口:その通り伊藤選手が1着だったんですよね(笑)。他の馬とは違いましたか?
増茂:全然違いましたよ。最初はのんびり走っているなと思ったんですが、最後すごい勢いで追い抜いていきました。
山口:騎手さんにはそれがわかるんですね。
増茂:そうみたいです、皆さんおっしゃっていました。
山口:ご自身の名前の「増茂るるこ賞」もありましたが、いかがでした?
増茂:記念に馬券を買いました!全然当たらなかったんですが、とてもありがたいですね。今も大切に取ってあります!
山口:他のレースも買われたんですか?
増茂:他のガールズ選手は買っている方もいましたが、私はたくさんは買えなかったですね。
山口:トークショーやテレビ出演もあったようですが、どんなお話をされたんですか?
増茂:競馬ファンの方に少しでも競輪・ガールズケイリンに興味を持っていただけるように、みんなで相談してトークをしました。「普段はこんなふうにレースをする」などの話ですね。
山口:場内のお客様の雰囲気はどんな感じだったんですか?
増茂:競輪場とは少し雰囲気は違いましたね。家族連れも多かったように思ったので、みんなで馬を応援する声が多かったと思います。アットホームな感じでしたね。
山口:お客様とは直接触れ合えましたか?
増茂:馬券を買ったりなど、結構自由に行動させてもらえたので、その時に直接話しかけてもらったりしました。「太もも大きいね」とか、そういう話もありました。
山口:場内にいらっしゃるだけでもPRになりますね。
増茂:そうですね。その後SNSでも「ばんえい競馬でお会いしました。今度車券買いますね」とメッセージをもらいました!かなり良いPRにもなったと思います。
山口:ガールズケイリンのPRイベント出演はいかがですか?
増茂:私はガールズケイリンカフェなどは少なく、こういう競輪場とは違う場所に行ってPRするというイベントの方が多いですね。競輪を全く知らない方にPRをするのはやり甲斐があって面白いです。
山口:ありがとうございます。これからもPR期待しています!では近況のお話に移ります。振り返っていかがですか?
増茂:デビューして8年目に入ったんですが、どうやら春に調子を崩すというのがわかりました。その調子が悪い時期が今年は長くて自分でも心配だったんですが、最近少しずつ点数も元に戻ってきているのでもう大丈夫かなと思います。
山口:仕掛けなどは変わってきましたか?
増茂:新人選手のアベレージが高いし年々レベルも上がってきていると感じます。私もいろいろ戦法を試しながらやっています。
山口:新人選手についての印象はどうですか?
増茂:位置取りなどが上手な選手が多く、とてもセンスがあると思います。自転車競技出身の方も多いからなんですかね。
山口:研究や対策されているなと感じることはありますか?
増茂:それは私はあまり感じませんが、物怖じしない印象です。
山口:どう対応されていきますか?
増茂:今は自力にはこだわらず、1着を取れるような仕掛けを心掛けています。
山口:今、練習で強化したい部分はどこですか?
増茂:今パワーをつけているところなので、それが瞬発力にも繋がると良いなと思います。ダッシュも強化していきたい部分ですね。ダッシュ力がアップすると捲りのスピードや飛びつくなど戦法も広がるので強化していきたいです。
山口:インコースが空いたときなどは怖がらずにいけるタイプですか?
増茂:コースが空けば、できれば内内にはいきたいですね。私はあまり落車を経験していないので恐怖心はないですが、他の選手に迷惑を掛けないレースをしたいと心掛けているので、その辺りは気にして、力で勝てるようにしたいですね。
山口:今後の目標は何ですか?
増茂:一つ一つ目標になるようなビッグレースに出られていないので、コレクションなどに関わっていけるような選手になっていきたいです。
山口:今の練習環境はどのような感じですか?
増茂:基本的には競輪場にいるガールズの選手と一緒に練習しています。東京は女子もたくさんいるので恵まれていると思います。
山口:移籍して来られた方もいらっしゃいましたが、出稽古に来る方もいるんですか?
増茂:たまにいますね。そういう方とも一緒に練習をしたりしますよ。あとは、パワーが欲しいので、今はウェイトトレーニングも定期的に取り入れています。最低でも週2で出来るようにと斡旋が出たら計画を立てていますね。
山口:ウェイトトレーニングの効果はいかがですか?
増茂:自転車やレースへの効果はまだ感じませんが、体形は変わらず体重が増えたので筋肉がついたんだと思いました。それが瞬発力や自転車のスピードに繋げられれば良いですね。それが難しいんですけど(苦笑)。
山口:パワーから瞬発への連動は、継続してやっていくしかないんですか?
増茂:おそらく自転車に乗って続けていくしかないと思います。なので頑張ります!
山口:それでは今後の意気込みなどを、オッズパーク会員の方へお願いします。
増茂:自分らしくこれからも1期生は頑張っていくので、応援よろしくお願いします!
山口:やはり「1期生」の同期の選手は特別な存在ですか?
増茂:私はそこまで意識はしていないんですが、代謝制度が始まって1期生も人数が減ってきました。ガールズケイリン1期生から始まってみんなで頑張って1から作り上げてきた仲間なのでみんなで頑張りたいなという気持ちはあります。
山口:ありがとうございます。頑張ってください!
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA