2年ぶり4回目のオッズパーク杯ガールズグランプリ出場を決めた奥井迪選手(東京106期)。今年は地元ホームバンク立川競輪場での開催。最後まで賞金争いで苦しんだ今年の振り返りとガールズグランプリへの意気込みを伺いました。
山口:ガールズグランプリ出場決定おめでとうございます。
奥井:ありがとうございます。
山口:最後まで賞金争いがありましたね。
奥井:はい。特に今年のグランプリは地元ホームバンクの立川での開催です。なので、年齢的にも地元で走るグランプリは今年で最後かもしれないと、気持ちの入れようは強かったです。だからこそギリギリの戦いはきつかったですね。
正直、競輪祭でのグランプリトライアルレースの時には自分では出られないと思っていました。だからこそ決まった時は嬉しかったです。
山口:賞金争いの相手が、同じ立川がホームバンクの小林莉子選手(東京102期)だったのも辛かったと思います。
奥井:そうですね。本当に複雑でした。2人で出場できたら一番良かったんですけど、そこは辛い立場でしたね。たぶんお互いがそう思っていたと思います。
山口:そうですよね。でもお互い負けられない戦いだったんでしょうね。
奥井:お互い地元だからこそ気持ちも入っていたと思いますし、莉子ちゃんも怪我を押してまで走っていたのも知っているので凄く複雑でしたね。
山口:決まった時はどんな思いでしたか?
奥井:本当に出られるとは思っておらず、しばらく信じられなくてぼーっとしていました。駄目だと思っていたので。
競輪祭グランプリトライアルレースの決勝直後は自分でも賞金ランキングがどう変わったかがわかっていなくて帰り際に記者さんに聞きました。じわじわと出られる実感がわいてきました。
山口:昨年はガールズグランプリ出場ができませんでしたが、どんな思いで見ていらっしゃいましたか?
奥井:とても悔しい思いでしたね。だからこそ今年の立川は出たいと強い気持ちがありました。去年のグランプリを見たお客様に「奥井のいないグランプリは面白くない」と言ってもらったんです。その言葉がもう一度私を奮起させてくれました。
「またあの舞台で先行をしたい」と思えましたし、立川でのグランプリで先行がしたいというのは今年の初めから自分での目標にしていました。
山口:では、ガールズグランプリでの戦法は決まっているんですね。
奥井:そうですね。その思いが強いですね。
山口:地元だからこそ結果を求めに、という気持ちがあるのかなと思っていました。
奥井:きっとたくさんの方は「地元だから優勝を狙いにくる」と思っているんでしょうが、自分の中では存在価値はそこ(先行)なのかなと思うんです。「あの大舞台でも先行できる」というのが私の良さでもあり私にしかできないことかなと。
馬鹿だな、優勝狙いにいけばいいのに、と思う方もいらっしゃると思いますけどね。
山口:いえいえ、それこそ魅力だと思います。実際に2017年平塚ガールズグランプリでの、先行して2着は「逃げ切れるのでは!?」と思いました。
奥井:走る時にも、先行したら勝てないというのは思っているんです。でも先行して惜しい結果になった時に「先行して逃げ切って勝つんだ!」という強い思いがないから負けたんだなとあの時に強く感じました。本気で思えてなかったんだなと。
山口:立川でのグランプリは2016年に続き二度目ですが、前回の時と思いは違いますか?
奥井:全然違いますね。まず、選出のされ方が今年はギリギリまで賞金争いがありましたから。他も感じ方は大きく違います。どこがどう違うかは言葉にするのは難しいですけど。
山口:昨年は出場できず、今年は苦しい戦いを勝ち抜いての出場だからでしょうか。
奥井:そうかもしれません。以前は賞金争いもギリギリまでではなかったですし、立川グランプリで先行して勝ちたいという気持ちが大きくそれも少し余裕がありました。でも出られるからには気持ちは同じように高めていきたいです。
山口:昨年からガールズグランプリへのトライアルレースが競輪祭で始まりましたが、あの舞台はいかがですか?
奥井:正直に言うと私はあの舞台には疑問を感じながら臨んでいます。レースの存在意味、2つのトーナメントで、一発でグランプリ出場者が2名決まるのは、2年目の今年も複雑な気持ちでした。1年間頑張ってきた意味ってなんだろうと思ってしまいます。
もちろん決まったからには真剣に、優勝を目指して走るんですが、疑問が残るのが正直な気持ちです。
山口:奥井選手は、グランプリトライアルレースで逆転して決めよう、ではなく1年間賞金を積み重ねてガールズグランプリに出たいという気持ちが大きいんですね。
奥井:そうですね。小倉で決めるというよりは、ガールズケイリンコレクションなどを勝ってグランプリを決めたい気持ちが強いです。
山口:今年1年を振り返っていかがでしたか?
奥井;自分の力のなさを感じる1年でしたね。コンスタントに結果も出せてなかったですし、大きいレースで力負けすることもありました。どこかでは「こんな力のない自分がグランプリに選ばれて良いのかな」という思いもまだあるくらい、今年の自分のレースには手応えが感じられない1年でした。
山口:そうですか。その思いをうまく変換してガールズグランプリへぶつけられたら良いですね。
奥井:そうですね。ガールズグランプリを目指してやってきたからこそ、大舞台でやってきたことをぶつけたいですね。結果には繋がっていなかったけどやれることはやってきたので、最後の締めで良い走りができたらなと思います。
山口:以前コメントで「先行を貫いていても結果が出ない、ファンの方に支持されないなら意味がないかもしれない」と仰っていたのを拝見し戦法に迷っているのかなと感じました。それについてはいかがでしょうか。
奥井:まだすごく葛藤がありますね。自分の中ではまだ決めきれてなくてはっきりしない部分があります。先行だけでは駄目だと感じながら、自分の中では先行したいという気持ちも大きいんです。葛藤はまだこれからも続くのかなと思います。
山口:勝ちやすいという点ではどうでしょうか。
奥井:普段の開催で優勝している時は捲りが多い気がします。でも、大きい舞台では私の捲りが通用するかと言われるとそうではないので、難しいですね。
山口:他の6選手の対策はいかがでしょうか。
奥井:先行するにしても、タイミングや駆け方があると思うので考えたいですね。最終バックを先頭で通過し、優香(小林優香選手・福岡106期)や碧衣ちゃん(児玉碧衣選手・福岡108期)のようなスピードのある捲りを合わせきれたら一番良いですけど、きっとそう簡単にはいかないです。残された時間でやれることをやりたいです。
山口:現状の調子はいかがでしょう?
奥井:凄く良いという訳ではないですが、グランプリへ向けてやることをやって直前にピークを持っていきたいです。あと1開催あるので走って確かめたいですね。(インタビュー実施は12月初頭)
山口:そうですか。走られるんですね。
奥井:はい、冬場の寒い中でのレースは最近走っていなかったので、そのコンディションの中でレース勘を付けたいです。
山口:立川はホームバンクですから、走り慣れていますね。
奥井:はい、冬の立川の厳しいコンディションは一番わかっていると思いますし、慣れているので走りやすさはあります。
山口:先日はお客様の前で壮行会があったそうですが、いかがでしたか?
奥井:たくさんの地元ファンの方にあたたかく応援してもらいました。前回の立川グランプリの時にも私への声援がとても大きくて「もう一度この舞台で走りたい」と思わせてくれたのは、地元ファンの方のおかげです。今年もファンの方の気持ちも一緒に持って走りたいです。
山口:どんな走りをしたいですか?
奥井:自分にしかできない走り、というのは先行だと思います。そのために残りの時間を大切にしたいです。
山口:最後にオッズパーク会員の方へガールズグランプリへの意気込みをお願いします。
奥井:地元立川でのガールズグランプリなので、いつも以上に気持ちを込めて走ります。当日はぜひ現地で声援を送ってください!
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA