先日の小倉・競輪祭GIでの『ガールズグランプリ2019トライアルレース』をもって、今年のオッズパーク杯ガールズグランプリに出場するメンバーが決定しました。3度目の出場を決めた石井貴子選手(千葉106期)に今年の振り返りと、ガールズグランプリへ向けての意気込みを伺いました。
山口:ガールズグランプリ出場決定、おめでとうございます。
石井:ありがとうございます。
山口:今年は賞金ランキングでも常に上位にいらっしゃいましたね。
石井:そうですね。7月のガールズケイリンフェスティバルの優勝がかなり大きかったです。ギリギリまで賞金争いをするのは精神的にも厳しいので、そうではなかったのはありがたかったです。
山口:ガールズグランプリへ向けての準備も、余裕を持って進められますか?
石井:どうでしょうね。年間を通してレースを走っているので、ガールズグランプリだけに向けて準備をするというのは毎年できないですね。ただ今年は9月くらいから、年末のことは意識の片隅にありました。
山口:ちょうど9月頃に競輪場で取材をさせていただいた時にもそのように仰っていたのが印象的でした。ここまでは早かったですか?
石井:そうですね、2か月はあっという間でした。脚力を上げるためにはちょっとずつ積み重ねないといけないですし、レースに常時出ているのでまとまってトレーニングができません。
普通に過ごしているだけでも体調を崩したりするので、それもあって思うように伸びない時期もありました。全部が全部計画通りにはいってはいないですが、その都度、精いっぱいやったのが現状です。
山口:小倉でのグランプリトライアルレースも含めて、優勝ももちろんですが、ずっと3連対を外していませんね。
石井:200勝を達成した前橋の前までは、体調も良くなかったんですが、コンディションも良くなかったんです。11月には徐々に戻ってきていてトライアルレースはしっかり走れましたね。
山口:戦法も多彩です!
石井:トライアルレースは普段の決勝戦を3日間やっている雰囲気でした。去年の初めてのトライアルレースも私は賞金ランキング上位で参加だったんですが、それでもとても大変だと感じました。
ランキング上位でほぼグランプリは確定しており、精神的には楽なんですが、レースを走る上でモチベーションは大切な時期になってきます。また、勝負を掛けに来ている選手は必死で優勝を取りに来ています。普段対戦しない強い選手もたくさんいて、そこで自分がどう走るかも重要です。
怪我もしたくはない、けど勝負には行かないといけない...いろんな葛藤があるレースだなと去年感じました。
その経験があったので、今年はしっかりと去年感じたことを踏まえて集中して入れました。勝負に来ている選手たちに気合負けはしたくなかったですし、自分が優勝するつもりで走りました。
山口:その集中が、勝ち上がりの2連勝だったんですね。
石井:そうですね。自分の現状の仕上がりで勝負をしようと気合は入っていたので大敗せず勝てたんだと思います。決勝は少し足りなかったですが、それがこの後の課題なんでしょうし、現状の把握は出来ましたね。
山口:決勝のレースはいかがでしたか?
石井:決勝ラスト半周の展開、実は競輪学校(現・日本競輪選手養成所)時代のトーナメント競走の際にまったく同じような展開があったんです。真備(高木真備選手・東京106期)が先捲りをうち、それを優香(小林優香選手・福岡106期)が捲って、私がその後ろ。その時も優香が1着、私2着、真備が3着と全く同じ。
それを思い出し「また同じことをやってるよ」と(苦笑)。シリーズを通して自分は自分のことを必死に頑張っていたのですが、106期勢はトパーズでもアメジストでも奮闘していたと思います。みんな頑張っているよなとしみじみと感じた部分もありました。
山口:グランプリトライアルレースは普段とはまた違った雰囲気がありますか?
石井:小倉のドームの感覚が普段走っている感じとはまったく違いました。ガールズ選手は、小倉はたくさん走るんですが、たいていミッドナイトの開催です。その時と空調の入り方が全く違ったので今回のトライアルレースでは「バンクがすごく軽い!」と思いました。
また車輪もARAYAのディスク車輪を使用してのレースだったので、去年のトライアルレースとも全く感覚が違いました。踏み込んだ感じがスカスカしていて「もう少しギアをかけたいな」と思うくらいフワフワ軽かったんです。
この感覚は自分だけではなくて他の選手も感じていたようで、「しっかりモガききって頑張っているんだけど、それでも軽い」とみんなで話していたんです。
そんな経験のないコンディションだったので、追い込みに行く時も自分ではいつものタイミングでいつもの感覚で踏んでいるはずが、踏みごたえがフワフワとしていたので、来年に向けて対策が必要だなと感じました。
山口:ガールズグランプリ2019のメンバーが揃いましたがいかがですか?
石井:強い選手たちが揃ったと思います。
山口:ナショナルチームということもあり、色んな選手が小林選手には注目しているのかなと思うのですが、いかがですか?
石井:そうも言っていられないくらい、調子の良い強い選手たちばかりですよね。なので、一人だけを意識するのはできないですね。各選手がどのように走るのかを想定して自分の力の出しどころを見極めながら走らないといけません。チャンスを見つけて力を出し切れるように頑張りたいです。
山口:立川競輪場の印象はいかがですか?
石井:きっと誰もが言うと思いますが、重くて風が強くて直線が長いイメージです。ただそれが私には味方してくれる気がします。
山口:最後の追い込みがきくバンクですよね。
石井:そうですね。去年のガールズグランプリは、あの季節の静岡にしてはかなり軽くて、ARAYAのディスク車輪だったのでかなり軽かったんです。もっと重いイメージもあったしそのような想定をして練習もしていたので、軽くてびっくりしたんですよ。なので「去年は私に運が向かなかったんだな」と(笑)。それを思えば、静岡よりは今年の立川の方が私に運が向きやすいのかもしれません。
山口:どんな走りをしたいですか?
石井:おそらく消耗戦になると思うんです。まずは体力を削られない脚をしっかりと準備をし、レースの中で力を溜めるところではしっかり溜めて、落ち着いて走れればなと思います。
山口:現状はどのような感じですか?
石井:ずっと続けてトレーニングはしていたんですが体調面でなかなか噛み合わなかった10月を乗り切って、11月のトライアルレースをしっかり走りきれたので、今は予定通りには来ていると思います。
山口:ホームバンクの松戸は33バンクですが、400バンクへの練習はどのようにされますか?
石井:私はずっと400バンクは取手競輪場へ行かせてもらっています。周長に関しては問題ないですし、感覚も大丈夫だと思います。
山口:年末への思いはいかがでしょうか?
石井:昨年がグランプリ2着という結果の悔しさがあるんですが、それは今年のグランプリに向けての気持ちとは関係ないですね。悔しさは、今年をどのように取り組むかの過程に反映したので、レースへ向けてはいつも通りフラットな気持ちで臨みます。
その時々のレース展開によると思うので、自分としては、準備はしっかりして後はやるだけ、という気持ちで入れるようにしたいです。
山口:ありがとうございます。最後にオッズパーク会員のファンの方へ向けて、メッセージをお願いします。
石井:しっかりと1か月準備をして良い状態で入れるようにすることと、落ち着いて自分の力を出し切れるように頑張ります。応援してください!
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA