7月1日(月)メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」(B1級一組 盛岡ダート1600m)。この日は夕方の降水確率が90%だが、予想最高気温が30度超え。真夏日の可能性が高く、サラブレッドにも少なからず影響するのは確実。いつも以上にパドックの気配、体重の増減が重要なファクターになるに違いない。
主軸はマナホク。昨年11月、門別から再転入。絆カップ4着、トウケイニセイ記念で5着を確保した。今季はA級からB2へ降格して初戦を快勝。3歳時に岩手クラシック三冠目・不来方賞(当時は地元重賞)を快勝した実力を誇示した。
以降は2着3回3着1回と足踏みを続けているが、近2走はヒロシクンが相手では仕方なし。ご存じのとおり、ヒロシクンはB1級3連勝から岩手古馬の最高峰・一條記念みちのく大賞典へ挑戦。鮮やかな逃げ切りを決めた。レース回顧でも触れたが、ヒロシクンの祖母はファビラスラフイン。岩手で秘めた素質を開花させた。今回は強豪メンバーが抜けて絶好の勝機。いい脚を長く使えるタイプで直線長い盛岡向き。首位を奪回し、今後に弾みをつける。
エスクマは2歳時に盛岡で2勝マーク。3歳時は順調さを欠いて2度の休養を経て秋に復帰。いきなり2連勝を飾り、地力の高さを誇示した。しかし典型的なサウスポーで水沢に替わって凡走の連続。これまで2着1回が最高と小回りで苦戦するが、盛岡に替わると反応が一変。競馬再開の水沢戦は3戦とも着外に沈んだが、盛岡で2着に反撃すると前々回快勝した。
それゆえ前走・水沢850m8着も陣営の想定内。その一戦を叩いて盛岡戦に照準をピタリと合わせた。盛岡マイルも3戦2勝2着1回と得意とする条件。好調メンバーがそろったが、適性を前面に逆転首位まで十分。
ネオネオモッズは2歳時に2勝をあげたが、3歳時は1勝のみ。昨年は開幕から好走を続けたが、脚部不安が発生して8ヵ月休養。今季も2戦着外だったが、3戦目を快勝。続く一戦は8着だったが、以降は2勝2着1回3着1回。ようやく上昇ムードに乗った。前回も快勝し、絶好調を誇っている。
ローグネイションは昨年A級から今年は最下級C2へ降格。あっさり5連勝をマークした。3走前10着に敗れて連勝はストップしたが、しっかり軌道修正して1、3着。相手は骨っぽくなったが、マーク欠かせない。
マルケイアローは今季3着2回と伸びを欠いているが、元々が器用なタイプではなくコース広い盛岡で本領を発揮。マイルも4勝2着1回と距離も合う。
エスペルトは昨年7月、南関東B3から転入して3勝2着1回。その後は休養を余儀なくされ、復帰後は入着止まりだが、徐々に復調気配。
◎(2)マナホク
〇(3)エスクマ
▲(8)ネオネオモッズ
△(9)ローグネイション
△(1)マルケイアロー
△(10)エスペルト
<お奨めの1頭>
3R ミラクルレインボー
休養明けの初戦1000m戦を完勝。前走は4着に沈んだが、今回はマイペースの逃げ必至。条件も合い、首位を奪回する
今週から戦いの舞台は盛岡競馬場へ替わり、いよいよ芝レースもスタートする。今年は芝のダメージを考えて実施時期を遅らせて終了も10月。短期集中型で芝競走を行う。今季のこけら落としは第7R・B1級特別「朝顔賞」。その試走を受け、メインは3歳重賞「第17回サファイア賞」(盛岡芝2400m)。盛岡芝の基本距離は1600m、1700mだが、いきなり盛岡芝の最長距離を舞台に行われ、未知の部分が多数。波乱の要素もたっぷりと含んでいる。
セイバイラックは昨年、デビュー4戦まで芝路線を歩んで重賞・若鮎賞2着、芝交流・ジュニアグランプリ4着。5戦目も芝1600m戦にエントリーしたが、走路悪化のためダート変更。それも功を奏して初勝利をあげ、以降はダート路線へシフト。一連の重賞で入着を確保。着外に沈んだのは前々走・イーハトーブマイル8着のみ。抜群の安定感を誇り、東北優駿でも3着に健闘した。
ただ芝ダートを問わず勝ち切れないのも事実。最後の爆発力が足りないのがネックだが、それならば2400m延長は歓迎のはず。ジリ脚タイプには打ってつけの条件と言え、重賞挑戦10度目で悲願の重賞タイトルを手にする。
ホッコーアドミラルは中央3戦0勝、佐賀2勝から今年4月に転入。初戦3着から2戦目を快勝し、以降4、2着。前走は格下から東北優駿へ挑戦して5着に健闘した。今度は芝に替わるが、父シュヴァルグランはジャパンカップを優勝。母父もヨハネスブルグなら血統的にはOK。何よりもどんな流れにも対応できるのが強味。アッサリまで十分。
プリズムスペクトルは2歳時に3戦を消化。陣営は芝も予定していたが、脚部不安のため9月から戦列離脱。今年3月に復帰し、2勝2着1回。本来の実力を発揮してきた。なぜ芝を使いたかったかというと血統背景。父レインボーラインは春の天皇賞を制し、阪神大賞典1着。長丁場で活躍し、母父がスピニングワールド。大化けする可能性を十分に秘めている。
シンプロレタリアトは東京芝2000m・新馬戦で3番人気5着。その後3戦は二けた着順に終わり、門別へトレード。初戦を快勝し、2戦目8着から転入。いきなり芝重賞へ挑戦はデビュー戦の内容を考えれば納得できる。
サンタルチアは東京芝1800m・新馬戦7着。今回は3月以来の実戦だが、転入前の中京芝2000m戦で2番手をキープした先行力が魅力。マイペースに持ち込んで粘りを発揮。
ユウユウププリエはデビュー戦の水沢850m5頭立て4着。他のダート戦では入着が一度もなく、ほとんどが大差負け。しかし5戦目の芝重賞・若鮎賞で動きが一変して快勝。典型的ターフホースと見ていい。今回は待ちに待った一戦。
◎⑧セイバイラック
〇⑦ホッコーアドミラル
▲④プリズムスペクトル
△②シンプロレタリアト
△③サンタルチア
△⑩ユウユウププリエ
<お奨めの1頭>
2R ポマイカイ
デビュー戦の盛岡ダート1000m戦を1秒8差で圧勝。早池峰SSを完勝ダイセンメイトの弟らしくスピードを発揮した。1400m延長でも追いかける手
6月23日(日)「第52回一條記念みちのく大賞典」(オープン 水沢2000m)
内2番枠を引き当てたグランコージーの逃げを誰もが疑わなかったが、外枠からヒロシクンが手綱をしごいて先手を主張。意表を突かれたが、レース後のコメントで分かったことだが、陣営が戦前から考えていた作戦。1周目3コーナーで主導権を握った。グランコージーは2番手に控え、3番手インにヴァケーション、4番手外マイネルアストリア、5番手インにグローリーグローリ、6番手にスズカゴウケツ。ゴールドギアは馬群が切れた後方3番手を追走した。
残り800m(2コーナー過ぎ)からヒロシクンが一気にペースアップ。グランコージーも遅れじと接近を測ったが、セーフティリードを保ったまま。グランコージーは4コーナー手前で脚いろが怪しくなり、直線で内から外に出したグローリーグローリが差を詰めにかかる。さらに大外からゴールドギアが伸びてきたが、ヒロシクンが2着グローリーグローリに0秒2差をつけて鮮やかな逃げ切りを決めた。
1着・ヒロシクン=高松亮騎手
「返し馬の感触が良かったので、迷いなく逃げの手に出た。ペースを落としてつつかれるのが嫌だったので、ある程度は流して逃げた。ヒロシクンはおちゃめな部分があるので常に気合いをつけて走らせたが、最後まで頑張ってくれた。みちのく大賞典はずっと勝ちたかったレース。馬運車に名前が載ることも含めてうれしい」
佐藤雅彦調教師
「実はオーナーが事故で入院中。うちのきゅう舎に入った時から使うレースはまかせる―と言われましたから、元気になってほしいという気持ちもあって挑戦を決めた。中央1勝馬でB1級3連勝はなかなかできないこと。それに中央ダート1800mを勝っていたので、2000mも持つだろうと思っていた。今回は挑戦者の立場。2,3番手だと外を回らければならない。なのでジョッキーには"守りはない。思い切った競馬をしてくれ"と伝えた。転入後は連闘だったので、まずは疲れを取ることに専念。今後については白紙だが、ユッコ(シアンモア記念優勝)、キョウヘイ(準重賞・桂樹杯)、そしてヒロシクンといい、オーナーは何かを持っていますね」
ヒロシクンは中央1勝から転入後、B1級であっさり3連勝。祖母はファビラスラフイン(秋華賞1着、ジャパンカップ2着)。自身は550キロ前後の大型芦毛馬で今回も持ち前のパワーで押し切った。自分の競馬ができれば今後も重賞で活躍できるに違いない。
2着・グローリーグローリ
道中は一貫して4,5番手の経済コースを進み、直線でもヒロシクンにジワジワと接近して0秒2差まで肉薄。昨年秋、復帰後は長く低迷が続いたが、今季3戦目を快勝。そして今回2着で完全復調した。
3着・ゴールドギア
前半は後方3番手に待機してロングスパートをかけて3着。ダートでも長距離なら通用を証明したが、元々がターフホース。次回は芝2400m交流・せきれい賞となる。
4着・グランコージー
赤松杯、シアンモア記念を連勝し、1番人気に支持されたが、出鼻を叩かれたのが致命傷。加えて2000mも長かった。マイルなら反撃必至。
7着・ヴァケーション
3番手外追走は想定どおりだが、勝負どころから脚いろが怪しくなって直線一杯7着。昨年の迫力を取り戻せない印象は否めない。
今週の岩手競馬
6月30日(日) メイン11R 「サファイア賞」(3歳 盛岡芝2400m)
7月1日(月) メイン12R 「夢・希望 未来へ前進」(B1一組 盛岡ダート1600m)
7月2日(火) メイン12R 「ハヤテスプリント」(3歳・地方競馬全国交流 盛岡ダート1200m)
6月23日に行われたシーズン前半の古馬路線総決算『一條記念みちのく大賞典』はヒロシクンが優勝。自身の初めての重賞挑戦で見事タイトルを獲得しました。
戦前の想定では今回もグランコージーが逃げる、それを追う馬がどこで仕掛けるのか・グランコージーがどこまで粘れるのか?が焦点になると思われた今年のみちのく大賞典でしたがゲートが開いてすぐ波乱の気配が漂い始めました。一線のスタートから予想通り前に出て行ったグランコージー。しかしその外からハナを奪ったのはヒロシクン。一周目のスタンド前は先頭ヒロシクン、グランコージーは二番手で、有力どころはそれをマークするかの隊形で通過していきます。
"後続がいつ動くか"に焦点が移ったもののヒロシクンの手応えは衰えず、ゴール寸前でこそ脚色が鈍ったものの差し馬勢の追撃を振り切ってゴール。自身初めての重賞挑戦が岩手伝統のビッグタイトルという金星となりました。
2着はグローリーグローリ、3着はゴールドギア。1番人気グランコージーは最後も伸びを欠き4着、2番人気ヴァケーションは終盤後退して7着に終わっており、馬番3連単は14万6280円の波乱の結末ともなりました。
6月25日のメインレースは12RですOP級ダート1300mの『スプリント特別』。
6月に入ってスタートした初夏の水沢開催もこの25日が最終日。「初夏」と言いましたが真夏のような暑さの日もあってちっとも初夏っぽくなかったですね。梅雨も、23日になってようやく東北地方の梅雨入りが発表されたほどの遅い梅雨に。このまま本格的な夏になってから梅雨で終わるのか、はたまたグズグズした日がしばらく続くのか・・・ですが、なんとなく今年の夏は(今年の夏も?)いつもとは違う"夏"になりそうな予感です。
このレースの本命は(7)アメージングランを狙います。
高知から3月に転入、その初戦の水沢1400m戦を勝ったアメージングランでしたがその後は掲示板圏内にも食い込めない結果が続いています。その近走からは強気になれないのは確かですがこの間の気配は決して悪く感じませんでしたし、直近二戦のマイルもこの馬には長かったと言えるはずです。今回の相手は白嶺賞や栗駒賞の重賞並み、決して軽くはないですが、1300mに距離短縮されたことで変化を期待してみましょう。
対抗は(11)キモンリッキーを。こちらも再転入初戦で勝ってからは白星無く来ていますが昨年の在籍時はB1級、今はむしろOP級でも通用する力を付けていると評価できる内容です。近走で敗れている相手はゴールデンヒーラー。ここなら大手を振って戦えるはず。
(10)ドルズプライスレスも同様。今季の三戦はすべてゴールデンヒーラーに阻まれてきましたが自身の力量は安定して発揮してきています。当然この馬も優勝候補の一角。
(1)ミニアチュールは今回は△一番手の印にしましたが、前走の850mは短すぎたことは明白ですし、二走前の再現があってもおかしくないという評価。もう一頭は(6)サイタブラウンを。マイルで勝っていますがそれは少し長い。ベストはこの辺の距離でしょう。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(7)=(11)、(7)=(10)、(11)=(10)、(7)→(1)、(7)→(6)
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24日メインはA級一組「水無月特別」(水沢1600m)。一線級は前日の一條記念みちのく大賞典へエントリー。実質A級二組のメンバー構成となり、実力も伯仲。どの馬にもチャンスがある一戦となった。
タイセイメガロスは今年3月末に中央芝2勝、笠松2勝から転入。昨年8月以来の実戦がこたえて後方のまま9着に終わったが、一度実戦を使われて反応が一変。サンエイコンドルの2着を確保し、3戦目3着から重賞・あすなろ賞へ挑戦。一気にメンバーが強化され、2番手をキープしたものの7着に沈んだ。
しかし前走は自己条件に戻って反撃。圧倒的1番人気に支持されたエイシンスコッティが逃げ、タイセイメガロスは2番手を追走。向こう正面では後続を5馬身以上も離して先行。2頭がハイペースを形成し、タイセイメガロスは4角で競り落としたが、そこで一杯。離れた4番手につけたルチルクォーツが抜け出しを決めた。結果タイセイメガロスは2着だったが、敗れて強し。今度こそ首位を奪取する。
サンエイコンドルは昨年4月、南関東C1級から転入。B2編入にも恵まれて5勝マーク。今季はA級へ昇格したが、1勝2着2回とマズマズの成績を収めている。評価に迷うのは前走11着。2番手を追走したが、早々と失速。持ち味の先行粘りがまったく見られなかった。
敗因は分からないが、中間に順調に追い切りを消化して落ち込みなし。水沢3勝2着2回はすべてマイル戦でマークしているように条件ベスト。4走前にはタイセイメガロスを完封して1秒1差で圧勝し、巻き返しに転じて不思議はないと判断したい。
エイシンガネーシャは中央ダート1800m1勝、園田5勝、南関東0勝、笠松1勝が過去履歴。岩手転入後は3、4、6着。入着止まりが続いているが、タイムでは他を上回り、順調度が何よりも強み。そろそろ連対を果たすシーンまで。
ドゥーベは阪神芝1600m1勝、阪神ダート1400m1勝から南関東・B2を経て岩手入り。いい脚を長く使えるのが持ち味でコース2度目も強調材料となる。
アマルインジャズは今季2戦目の水沢1600mを快勝。以降は4戦連続で着外だが、岩手9勝すべて水沢であげている巧者。盛岡に替わる前に好走したいところ。
グリニッジシチーは中央ダート2勝、園田0勝、高知5勝から転入。3着着外だが、ここ2戦は重賞が舞台。A級戦なら反撃可能だろう。
◎(8)タイセイメガロス
〇(9)サンエイコンドル
▲(5)エイシンガネーシャ
△(1)ドゥーベ
△(7)アマルインジャズ
△(2)グリニッジシチー
<お奨めの1頭>
6R プリンセスアメリカ
転入戦3着は出遅れが痛かった。スタートを決めれば、このクラスでは能力上位は明らか