23日メインは岩手古馬の最高峰「第52回一條記念みちのく大賞典」(水沢2000m)。優勝馬の名前は盛岡、水沢などを行き来する馬運車に刻まれる。
グランコージーは2歳時に6戦5勝、重賞・若駒賞、寒菊賞を優勝し、2歳最優秀馬に選ばれた。その後、南関東へ移籍してクラウンカップ6着から帰郷。ダイヤモンドカップは1番人気をフレッチャビアンカに譲ったが、9馬身差で逃げ切り圧勝。岩手一冠目を獲得したが、以降はフレッチャビアンカに完敗。東北優駿4着、不来方賞3着、ダービーグランプリ3着。続くイーハトーブマイルも3着に敗れ、南関東へ移籍。以降は岩手、南関東と転籍を繰り返して昨年終盤に岩手へ戻って初戦を快勝したが、トウケイニセイ記念9着、最終戦2着でシーズンを終了。
今季は水沢へ移籍。あっさり3連勝を飾り、赤松杯ではダイヤモンドカップ以来の重賞制覇。さらにはシアンモア記念も逃げ切り、快進撃を続けている。今回は2000mが舞台。過去、3着3回が最高で距離延長がネックだが、充実した今なら十分克服できる。
ヴァケーションはJpnI・全日本2歳優駿を制し、NARグランプリ最優秀2歳馬に選ばれた強豪。以降は秋の鞍(名古屋)1勝のみにとどまり、一昨年4月に転入。初戦・赤松杯2着からシアンモア記念を快勝。岩手で再生し、一條記念みちのく大賞典3着、JpnIII・マーキュリーカップで3着に健闘。桐花賞でも2着にまとめ、年度代表馬に選出された。
昨年は一條記念みちのく大賞典を8馬身差で逃げ切って圧勝。健在を誇示したが、川崎遠征後は順調さを欠いて3ヵ月半休養。トウケイニセイ記念2着、桐花賞3着の成績を残した。今季は赤松杯3着からシアンモア記念2着。盛岡コースで初連対を果たし、上昇ムードでみちのく大賞典2連覇を目指す。
フレイムウィングスは中央ダート1800m2勝。2022年9月に南関東へトレードされ、B1戦で1勝後、昨年3月に転入。一條記念みちのく大賞典3着、北上川大賞典2着、桐花賞2着。まだ岩手で白星をあげていないが、大舞台で好走を続けている。今季2戦は着外だったが、あすなろ賞3着で復調気配をうかがわせた。
スズカゴウケツは中央ダート3勝から一昨年に転入。2戦1勝から名古屋へ移籍して6戦1勝から再転入。シアンモア記念2着、一條記念みちのく大賞典2着に健闘し、その後に1勝マーク。冬場は南関東へ移籍して2戦3着から里帰り。3戦目、あすなろ賞を完勝して初重賞を手にした。今年はトライアルを制してみちのく大賞典へ臨む。
ゴールドギアは中央芝5勝から昨年に転入。あすなろ賞2着から芝準重賞・かきつばた賞を優勝。続いて芝交流・せきれい賞2着、OROカップ3着の成績から最優秀ターフホースに選ばれた。ダートでも前々走2着、あすなろ賞2年連続2着。ダートもこなせる。
グローリーグローリは中央ダート4勝、障害1勝から昨年3月に転入。赤松杯、あすなろ賞と重賞2勝。昨年後半は順調さを欠き、今季2戦も着外に沈んだが、3戦目を快勝。あすなろ賞は4着に敗れて連覇はならなかったが、前走2着を確保。マーク欠かせない。
◎②グランコージー
〇④ヴァケーション
▲⑥フレイムウィングス
△⑦スズカゴウケツ
△③ゴールドギア
△①グローリーグローリ
<お奨めの1頭>
6R タイセイファルクス
転入戦を1秒差で逃げ切って圧勝。能力の違いを見せつけた。大外に入ったが、追いかける手
6月16日(日) 「第32回東北優駿」(3歳オープン 水沢2000m)
イーハトーブマイル、ウイナーカップでハナを主張したコンバットスプーンが逃げ、2番手をフジユージーンが追走し、3番手外にエイシンポロシリ。意外だったのはサクラトップキッド。いつもは前半で置かれていたが、今回は好ダッシュを決めて4番につけた。5番手にセイバイラック、中団後ろに2番人気レッドオパール、続いてホッコーアドミラル、後方3番手にバウンスライトの隊列で進んだ。
3コーナー手前、フジユージーンが馬なりでコンバットスプーンを交わして先頭。あとは後続を突き放す一方。直線を向いて鞍上・村上忍騎手が気合いをつけると、さらにギアアップ。後続に2秒1差の大差をつけてゴールに入り、自身の連勝を無敗8に伸ばした。2着にはフジユージーンに続く上がり39秒0で伸びたサクラトップキッドが入り、3着は10番人気セイバイラック。
1着・フジユージーン=村上忍騎手
「東京ダービー回避後、きゅう舎は調整が大変だったと思うが、しっかり立て直してくれて感謝。前回(ダイヤモンドカップ)はテンションが上がっていましたが、今日は落ち着いていたので非常に乗りやすかった。ポジションは出てみてからだったが、折り合いをつけて、いつでもスパートをかけられる2,3番手を考えていたのでイメージどおりの位置を取れた。あとはいつもどおりの強さで勝ってくれた。今日も結果を出すことしか考えていなかったが、無敗で二冠達成はすごいことですよね。次はさらに強いメンバーになるでしょうが、自分も気を引き締めて臨みたいと思っています」
瀬戸幸一調教師
「東京ダービーを辞退してファンの方々に迷惑をかけ、ご心配もおかけしたが、今日はいいレース内容だったので納得してもらえると思います。中間のアクシデントで4、5日ぐらい休んだが、その後は順調に回復できたので、東北優駿を使うことを決めた。最終追い切りも予定どおり動いたし、プラス10キロも地元競馬なので想定内。折り合いがついて、初の2000mでもしっかり伸びてくれた。この後は不来方賞へ直行します。暑さ対策を考えながら夏を過ごさなければなりませんから、近郊の牧場で短期放牧に出ます。戻った後に本格的に乗り込み、万全の態勢で不来方賞へ向かいたいと考えています」
今年、岩手三冠目・不来方賞はJpnIIへ昇格。ジャパンダートクラシック・トライアルとなったが、その初年度に岩手から無敗二冠馬が挑戦するのも何かの縁。現時点でJRA、全国の地方競馬からどんな強豪が参戦するのかは読めないが、フジユージーンの出走で盛り上がるのは確実。無事に夏を過ごし、万全の態勢で不来方賞へ臨んでほしい。
2着・サクラトップキッド
今季は追走に手こずってズブさが目についたが、今回は4番手をキープ。2000mへ延長され、ゆったりと流れる競馬も合った。このメンバーで2着確保は大収穫。まだ伸びしろがあり、今後も目が離せない。
3着・セイバイラック
2歳時は芝・若鮎賞2着。ダート路線へ変更後も寒菊賞2着、金杯2着など堅実さを発揮したが、今季は尻すぼみの成績。前走・イーハトーブマイルで8着に沈み、10番人気に甘んじたが、今回はコースロスなくレースを進めて3着に巻き返した。
今週の岩手競馬
6月23日(日)メイン11R 「第52回一條記念みちのく大賞典」(オープン 水沢2000m)
6月24日(月)メイン12R 「水無月特別」(A級一組 水沢1600m)
6月25日(火)メイン12R 「スプリント特別」(オープン 水沢1300m)
6月16日に行われた岩手の3歳三冠路線・二冠目『東北優駿』はフジユージーンが大差圧勝。デビューから8連勝、"無敗の3歳二冠馬"となりました。
既報の通り東京ダービーを回避して東北優駿に出走したフジユージーン。手綱を取った村上忍騎手も慎重にレースを進めたように見えましたが、しかし逃げるコンバットスプーンの2番手を馬なりで追走、2周目の3コーナー手前で先頭に立つと、あとは軽く大きなストライドのままに後続を引き離す一方。ゴールを駆け抜ける時もあくまで楽な手応えのまま。自身4度目の「大差」勝ちとなる勝利を、楽々収めました。
同馬はこれでデビューから8連勝、重賞は6連勝。無敗のままに二冠を獲得した勝利は単勝オッズ1.0倍という断然の人気のおまけ付き。次戦は9月3日、今年からJpnIIになった不来方賞となる予定。いよいよJRA勢との戦いに挑みます。
2着は4番人気サクラトップキッド、3着には10番人気のセイバイラックが飛び込んで断然の人気馬が勝ったにもかかわらず3連単は万馬券決着。2番人気に推されたレッドオパールは10着に終わっています。
6月18日のメインレースは12Rの特別戦『ジューンカップ』。ダート1900mというちょっとレアな条件で行われる一戦です。
一時は1800mの代替的な位置づけとしてA級戦で多く行われていた水沢ダート1900m戦ですが近年は数を減らしてシーズンに2~3戦程度に。今年は9月の3歳牝馬重賞オータムティアラがこの距離で行われることで注目度が上がるでしょうか。しかしシーズンの中ではちょっと珍しい距離なのは間違いありません。それだけに行われた場合には必然的に「この距離初出走」という馬が多くなってしまい、予想の手がかりを探すのに悩む条件でもあります。
さてジューンカップ、本命は(6)パーソナルマキとしました。
今年11歳ながらここまで4連勝中の同馬。デビューから全国を渡り歩きつつ、南関や東海地区ではA級でも戦ってきました。4連勝はC2級からスタートしたものではありますが、B2級の前走にしても危なげのない勝ち方を見せています。11歳夏になっても地力はしっかり維持、そして過去には1800mや2000mという距離も経験。この馬も経験としては1900mは初めてなのでその部分の課題はあるのでしょうが、ゆったり大きな走りはいかにもじっくり動ける距離向きと思えますし、ここでも期待をするに足る存在と見ました。
対抗は(9)デッドアヘッド。こちらもJRA時代から中距離メインで走ってきており、岩手に来る前の実績の中では1800m以上の距離での健闘が目についていました。この馬もゆったり大きなトビの逃げ馬。本来得意の距離で大きく変わってくるかも。
三番手は(8)ニシノブライアントでどうでしょうか。2000mでの実績・経験でならこの馬がメンバー中最右翼。岩手の水に慣れてきたと思える今なら注目していい頃合いでは。
以下、まず(4)ヤマショウリアンはじっくり流れに乗っていける距離の方が持ち味が活きそう。調子自体も春から徐々に上がってきている印象。もう一頭は(2)エイシンヌチマシヌ。相手なりに戦えるだけに初距離でもあまり苦にしない可能性を考慮して。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(6)=(9)、(6)=(8)、(6)=(4)、(9)=(8)、(6)→(2)
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17日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」(B1級一組 水沢1600m)。今回はA級とB1級を行き来するメンバー構成。その力量比較が重要なファクターとなる。
ヴァルラームは南関東デビューで7勝をあげ、B1まで出世。2022年1月以降は勝ち星から遠ざかり、昨年9月に岩手入り。3勝2着1回3着1回と安定した成績を残した。今季も休み明け初戦を快勝し、2戦目6着から首位を奪回。2勝目をマークした。
前走は4着止まりだったが、逃げたアーバンキッド、2番手エイシンスコッティの先行2頭で決着。いつもどおり直線で伸びてきたが、ペースに泣いた一戦だった。今回はA級1度使ってB1へ降格は好材料。水沢1600m2戦2勝とパーフェクト成績。反撃に転じる好条件がそろった。
オンザブロッサムは東京芝1800m・2歳新馬戦を快勝。4戦目にデイリー杯クイーンカップ(GIII 14着)へ挑戦した。その後は1勝クラスで苦戦を強いられ、今年4月に岩手入り。2連勝をマークした。前走は8着に終わったが、1000mが合わなかった上、出遅れも致命傷となった。今回は実績がある水沢マイルが舞台。4歳の若さを武器に逆転を狙う。
ベルフラカンは昨年10月、盛岡ダート1600m8着後、戦列離脱。今年4月、能力検査を受けて復帰し、4戦4着2回が最高だが、ここ3戦はA級戦。相手が強かっただけではなく、自分の競馬ができなかったのが苦戦要因。今回のメンバーなら外目の枠でも主導権を握ることができ、マイペースに逃げ必至。ベストの水沢マイルを迎えたのも心強い。
エスペルトは昨年、南関東B3級から転入後4戦3勝の好成績を収めたが、脚部不安が発生。今年3月に復帰して入着一杯だが、ここ2戦に復調の兆し。そろそろ一発があるかもしれない。
ゴールデンギフトは相手なりに駆ける堅実さが身上。前々走は7着に沈んだが、前回快勝で軌道修正。成績が示すとおり水沢巧者。メンバーは骨っぽくなったが、軽視できない。
モレッキはかつてのシャープな切れは影を潜めて今季未勝利だが、大崩れなし。先行激化になった際に浮上。
◎③ヴァルラーム
〇①オンザブロッサム
▲⑦ベルフラカン
△⑧エスペルト
△⑨ゴールデンギフト
△②モレッキ
<お奨めの1頭>
4R ミヤギヴォイジャー
デビュー戦は2着に敗れたが、わずかクビ差負け。それでも走破タイムが抜けており、今度こそ首位を奪取する
16日メインは岩手二冠目「第32回東北優駿」(水沢2000m)。当初、無敗7連勝フジユージーンがJpnI・東京ダービーへ挑戦予定だったが、寝違えのアクシデントが発生したため自重。矛先を東北優駿へ変えたため1強ムードとなった。
フジユージーンは昨年6月4日、シーズン第一弾の2歳新馬・水沢850m戦を2秒2差で逃げ切り勝ち。以降も圧倒的な強さを誇示し、現在まで7戦7勝。重賞も目下5連勝中。今季もスプリングカップを2秒4差で圧勝し、東日本交流・ダイヤモンドカップを0秒7差で完勝。東京ダービー出走を表明したが、無念の遠征断念。幸い大事には至らず、たっぷり1ヵ月半の休養を取り東北優駿へ駒を進めた。今回は地元同士の戦いに戻り、能力の違いは歴然。順当に二冠を制す。
サクラトップキッドはデビュー2連勝を飾り、以降は重賞路線へ名乗り。南部駒賞5着から着順を一つ一つアップ。今季初戦のスプリングカップで2着を確保した。続くダイヤモンドカップ6着、イーハトーブマイル4着と伸びを欠いたが、流れが落ち着く2000m延長は大歓迎。追走も楽になれば持てる能力をフルに発揮できるはず。
レッドオパールは昨年11月、門別4戦1勝2着1回から転入。あっさり3連勝を飾り、重賞・寒菊賞、準重賞・奥州弥生賞を制した。あやめ賞は3着、留守杯日高賞3着と伸びを欠いたが、初の盛岡遠征・イーハトーブマイルを完勝。再び勢いを取り戻した。課題は2000m克服だが、折り合いさえつけばこなせるはず。走り慣れた地元水沢戦も強調材料となる。
バウンスライトは中央3戦0勝から転入。クラスにも恵まれてあっさり2連勝。勢いを駆って重賞・イーハトーブマイルへ挑戦して3着。重賞でも通用することを証明した。この結果からウイナーカップで1番人気に支持されたが、先行有利の流れに持ち込まれたのが致命傷。メンバー最速の上がりを披露したが、先行有利の競馬に泣いて3着に終わった。脚質から忙しい1400m戦より2000m向きは明らか。
ホッコーアドミラルは中央3戦0勝、佐賀2勝から今年4月に転入。相手なりに駆ける堅実さを武器に1勝2着1回3着1回4着1回。すべて入着を確保し、重賞へ初挑戦。メンバーは大幅に強化されたが、父はジャパンカップを制し、母は芝1200m~1400m5勝。秘めた素質を開花させるか注目が集まる。
コンバットスプーンは2歳時に2勝をマークして重賞・ネクストスター盛岡2着。冬場は南関東へ移籍して4戦着外に終わって帰郷。初戦のダイヤモンドカップは7着だったが、イーハトーブマイル2着、ウイナーカップ2着。2000mは明らかに長いが、超スローなら残り目一考。
◎⑨フジユージーン
〇⑥サクラトップキッド
▲⑧レッドオパール
△②バウンスライト
△⑤ホッコーアドミラル
△④コンバットスプーン
<お奨めの1頭>
2R ラポジート
水沢850mを51秒8で圧勝。良馬場で実戦以上の破格タイムをマークした。本番も同じ水沢850m戦。まずはレースパフォーマンスに注目