11日メインはA級一組「白露特別」(水沢1600m)。前日10日に重賞・青藍賞があったため、A級一組と言っても実質二組のメンバー構成。しかし生きのいい若駒がそろった上、実力伯仲。馬券的にもおもしろい一戦となった。
ダブルラッキーは南関東で4勝をあげてB3級に在籍。今年6月に転入し、岩手B2級へ編入。格付けにも恵まれて4戦3勝。一度2着はラブロックが強じんな粘りを発揮して逃げ切りを許したもの。以降は軌道修正して2連勝をマークした。今回からA級へ昇格して相手は強化されたが、実質A級二組。自身の成長度を試す格好の一戦となった。仮に突破できれば重賞にも名乗りをあげることができ、どんなパフォーマンスを披露できるか楽しみ。
ヒカルマドンナは今季5勝2着2回。4度、馬券対象から外れたが、すべて4着。相手なりに駆ける堅実さを発揮している。こちらもA級復帰戦だが、一連の安定度でリード。また水沢1600m戦は前回快勝も含めて5勝2着2回3着3回と最も得意とする舞台。コース替わる前にもう一丁いきたいところ。
マイジュネスは南関東1勝のみながら3歳芝交流・オパールカップで優勝ウンにタイム差なし2着に惜敗。今年6月に転入し、初戦で豪快なまくりを披露して完勝。前記ヒカルマドンナを4着に退けた。続いて重賞・一條記念みちのく大賞典でも5着に善戦した。桂樹杯は8着に終わったが、以降は連続3着。前走は早めまくりに出て見せ場を作った。2頭をまとめて負かすシーンまで。
ストロングフォースは堅実無比。現在、6戦連続で馬券対象(3着以上)を果たしている。課題は最後の詰めが甘いこと。前走も絶好の展開に持ち込んだが、ブラックバゴにタイム差なし2着に敗れた。それでも上位の一角を形成するのは間違いない。
インテンスライトは中央芝4勝、オープンまで出世。盛岡芝を狙ってのトレードだが、せきれい賞10着、いしがきマイラーズ6着と伸びを欠いた。今回は生涯初めてのダート戦だが、母スコルピオンキッズは園田5勝、中央ダート1勝。新境地を拓く可能性を秘めている。
ベルフラカンは先行粘りが身上。着外はハイペースに巻き込まれた前々走8着のみ。流れが落ち着けば連対確保まで。
◎⑥ダブルラッキー
〇⑤ヒカルマドンナ
▲④マイジュネス
△③ストロングフォース
△⑧インテンスライト
△⑦ベルフラカン
<お奨めの1頭>
1R ハッピーホリデイズ
前走、C2級・850m戦では破格のタイムで逃げ切り勝ち。6頭立ての少頭数も味方にして2連勝を飾る
10日メインはJpnI・マイルチャンピオンシップ南部杯トライアル「第31回青藍賞」(水沢1600m)。1着馬に優先出走権が与えられる。昨年まで盛岡ダート1600mが舞台だったが、今年は2018年(優勝エンパイアペガサス)以来、水沢マイルで行われる。
2連覇は一昨年からさかのぼってヒガシウィルウィン(第28、29回)、エンパイアペガサス(第26、27回)、トーホウエンペラー(第9、10回)が2連覇を達成。またモリユウプリンスが2度制覇(第1、3回)。昨年の覇者ゴールデンヒーラーは史上4頭目の2連覇を目指す。
ゴールデンヒーラーは2歳時に最優秀短距離馬、3、4歳時には最優秀牝馬に選ばれ、常に表路線を歩んできた。3歳時は牡馬クラシック三冠に挑戦して2、4、2着。昨年は青藍賞完勝から南部杯へ挑戦して5着に善戦。メンバー最速タイの上がりを披露して2004年、ウツミジョーダン以来、久々に電光掲示板に載った。
続いてJBCレディスクラシックへ名乗りを上げたが、脚部不安が発生して出走取り消し。直後に北海道へ放牧に出て、今年2月に帰郷。水沢1400m重賞・栗駒賞で戦列復帰して完勝。今年の活躍も約束されたと思ったが、シアンモア記念6着、一條記念みちのく大賞典8着。前途に暗雲が立ち込め、次走に注目が集まった。
ゴールデンヒーラーが選んだのはフェアリーカップ。牝馬限定に加えて準重賞。周囲は意表を突かれたが、陣営は背水の陣で臨んだ。仮にフェアリーCで負ければ繁殖に上がる選択肢もあったからだ。
スタートはあまり良かった訳ではなく、中団インを追走。周囲が壁になってハラハラさせたが、山本聡哉騎手「逆にこれで闘志に火がついたみたいだ」そうで、満を持して追い出すと鋭く反応。2着に1秒4差をつけてゴールに入り、見事復活した。
以降は昨年と同じく青藍賞、南部杯が陣営の描く青写真。「フェアリーCはまだ気持ちが後ろ向き」(山本聡哉騎手)だったそうだが、ひと叩きされてどこまでメンタル面で上昇するか。青藍賞は重要な一戦となった。
ミラバーグマンは大井1200m・2歳新馬戦を快勝。3歳時には遠征を試みて若草賞(名古屋)2着、東海クイーンカップ12着。輸送競馬で体重減もこたえたが、地元に戻って2連勝。続く一戦3着から古馬牝馬相手の東京シンデレラマイル・トライアルを快勝した。本番・東京シンデレラマイルは4着ダノンレジーナの4着に終わり、以降は勝ち星なし。それでも2着1回、3着1回。B1級でも勝ち負けを演じてきた。
今回は1月25日以来、7ヵ月ぶりの実戦だが、乗り込み量に不足なし。能力検査も叩かれて万全の態勢で臨む。休み明けでも勝ち負け必至。
リュウノゾロは門別でデビュー2連勝を飾り、イノセントカップ9着から園田へ転籍。出走取り消しのアクシデントがあり、今度はJRA入り。ダート短距離で2勝をマークし、南関東、高知1勝を経て転入。初戦を快勝して2戦目タイム差なし2着。まずまずの滑り出しだったが、無念の戦列離脱。4ヵ月休養したが、復帰戦を圧勝して青藍賞へ臨む。相手は大幅に強化されたが、ひと叩きされてさらに上昇は確実。
マイネルアンファンは中央ダート3勝、南関東2勝・B1級から転入後、4勝2着2回3着1回。馬券対象から外れたのは4走前5着のみと抜群の安定感を誇っている。今度は重賞が舞台だが、格負けはまったくなし。
ジェイケイブラックは昨年、北上川大賞典を制して重賞ウイナーの仲間入り。今季は初戦の1勝のみだが、以降も大崩れなし。3着候補には外せない。
◎③ゴールデンヒーラー
〇④ミラバーグマン
▲①リュウノゾロ
△②マイネルアンファン
△⑤ジェイケイブラック
<お奨めの1頭>
7R ボンジュールリーゼ
転入戦2着だったが、勝った相手が強かった。走破タイムはすばらしく、今度は首位を譲れない
9月3日(日)、岩手クラシック三冠目「第55回不来方賞」が水沢2000mを舞台に行われた。単勝1・1倍の圧倒的1番人気に支持されたのは、史上初の牝馬による牡馬三冠制覇の期待がかかったミニアチュール。
何度も記したが、北海道2勝から転入後、破竹の7連勝中。ダイヤモンドカップ、東北優駿(岩手ダービー)の牡馬二冠、さらには岩手版オークス・ひまわり賞も制し、3歳戦線を独走し続けた。
逃げたのは、そのミニアチュール。2番手にマツリダワールドがつけ、3番手外にリッキーナイト。ルーンファクターは前走、やまびこ賞は最後方から直線一気で快勝したが、今回は4番手インを追走した。
ミニアチュールは快調に飛ばしたように見えたが、勝負どころの3コーナーで手ごたえが怪しくなって一杯。替わってマツリダワールドが先頭に立ったが、間髪入れずルーンファクターが交わし、あとは後続を突き放す一方。2着マツリダワールドに7馬身差をつけてゴールに入った。
坂口祐一騎手「道中は後ろすぎず前すぎず。前3頭の後ろはちょうどいいポジション。ミニアチュールを見ながら、ロスなくレースを進めることができた。前回(やまびこ賞)は最後方からの競馬だったが、水沢は形状が違いますからね。3コーナーから少しずつスパートをかけたのは急に追い出すとカッとなったり、反抗したりするところがあるから。この馬にいい流れになったと思う。直線を向いてビジョンを観たら、後ろの馬がいないと分かったので勝ったなと思いました」
また雑談でこうつけ加えた。「門別2戦目を勝った時、道中置かれたが、凄い脚で伸びていたので、やまびこ賞は同じ戦法を採った。でも今回は小回り水沢なので同じポジションではとても届かないので、早め追走した。栄城賞(九州ダービー)は折り合いを欠いて失速したが、スムーズにレースを運ぶことができれば力を出せると思った。乗っていて気分屋のところがあって、よくわからない面があるが、能力は高いと思います」
確かに南関東移籍2連勝後、12月7日の「ひばり特別」では後に無敗で南関東三冠馬に輝いたミックファイヤの1秒差3着にまとめていた。
千葉幸喜調教師「前回は休み明けもあって半信半疑だったが、走ると分かったので中間は馬体重を気にせず、とにかく攻めたのが良かったと思う。ジョッキーには別段、指示を出していない。前回で結果を出してくれましたからね。次走はダービーグランプリへ直行。今年は南関東などから強豪が来ると聞いているが、岩手代表として恥ずかしくない競馬をしたいと思っています」
一方、4着に敗れたミニアチュール。転入後、初めて敗戦を喫したが、7月11日、ひまわり賞以来とレース間隔が開いたのも影響したか。ただ、一見スローに見えた不来方賞だったが、前半1000m62秒6に対し後半1000mは66秒2。優勝タイムも東北優駿は2分11秒3だったが、今回は2分8秒8。思った以上に厳しい流れだった。
明暗がくっきり浮き彫りとなった第55回不来方賞。ルーンファクター、ミニアチュールの今後の動向に注目したい。
今週の岩手競馬
9月10日(日) 「第31回青藍賞」(オープン 水沢1600m)
9月11日(月) 「白露特別」(A級一組 水沢1600m)
9月12日(火) 「スプリント特別」(オープン 水沢1300m)
9月3日に行われた3歳ダート三冠の三冠目、ダービーGPトライアルの重賞『不来方賞』は2番人気ルーンファクターが7馬身差快勝。前走のやまびこ賞に続いて重賞連勝を果たしました。
ここで三冠達成がかかった1番人気ミニアチュールは、これまで同様に先行策を採りましたがマツリダワールド・リッキーナイトに競りかけられ続ける厳しい展開。それでも先頭を守り続けたミニアチュールでしたが2周目3コーナー手前で脚色が鈍ったシーンがビジョンに映し出されると場内にため息が拡がりました。
そのミニアチュールを交わして先頭に立ったマツリダワールドを、さらに外から捲っていったのがルーンファクター。4コーナーを大きく回りながらもリードを拡げゴールでは7馬身差、自身ふたつ目の重賞制覇は三冠最後の一戦を獲得する大きな勝利となりました。
2着はマツリダワールドが粘り切り3着には勝ち馬の後を追ってまくり上げてきたセイグッドラック。ミニアチュールは3着馬から9馬身差の4着に終わっています。
9月5日のメインレースは12Rです。B1級一組、ダート1600mの『ブラッドストーン賞』、6頭立て。
暦が9月に入り先日までの凶悪なほどの日差しと暑さこそ弱まってきた感じですが、今度は非常に蒸し暑い、不快度の高い天候になっています。朝晩はだいぶ気温が低めになって秋の気配も増しては来ているのですが・・・。まだしばらくは残暑を我慢しなければならないようですね。
さてこのブラッドストーン賞、本命は(1)ラブロックを採りました。
6着に敗れた前走ですが、ハナ争いの段階で外枠の馬たちにどんどん前に行かれて・・・で主導権を握れずじまいの後方ママという形。この馬の場合、今季ここまでの3勝がいずれも先頭で競馬をしていた事を思えばやはり前に行ってこそ、自力で主導権を握ってこそなのだと感じます。
スタートがそれほど速くはないのですぐコーナーに入る水沢のマイルは前走のように行ききれない事がある点・B1ではさすがにB2やC1の時のように楽に戦えない点、というところは考慮しなくてはなりませんが、6頭立ての少頭数で内枠となった今回は前走より楽に戦えるでしょう。理想はハナですが、この頭数なら2番手でも極端に苦しい展開にはならないと見ました。
相手は(6)リリーアロー。この水沢開催はなかなか差し馬が活躍できず、それはこの馬のような好位差しのタイプでもそうなのですが、それだけに前走6着が力負けだというのは早いでしょう。引き続き展開ひとつで、の評価で。
三番手は(3)サンエイコンドルを。人気薄で走るという方向よりは人気で負けるという方向に振れ幅が大きめで狙いづらさもある馬ですが、B1級上位組で勝ち負けしてきているように地力はここでも上の存在。その力が発揮されれば勝ち負けまで、で、位置づけはまさしく単穴。
ヒモはまずまず(4)アスリエル。転入前の二戦の敗れ方が気になるのですが、過去にもしばしばぽろっと大敗することがあるという戦績でもあり、気にしすぎる事はないのでしょう。カギは小回り・右回り対応。(5)ハイアキュレイトはC1からB2に上がってきたところでしたのでB1の一組は相手強化感が否めず。ただコース相性の良さとそうやって昇級してきた勢いには期待していいと感じます。
●12Rの買い目
馬単(1)=(6)、(1)=(3)、(6)=(3)、(1)=(4)、(1)→(5)
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今開催(9月3日)から格付け変動があったため、とまどっている方も多いと思う。岩手在籍馬(2、3歳馬、転入馬を除く)は前12走の持ち賞金によってクラスが移動した。
9月4日(月)で最もわかりやすいのが第5R・C2級四組(水沢1300m)。④マコトダイトウレンは佐賀A2から岩手B1級に編入して3、2着。14走前、船橋B3級・1200m戦を勝っているが、1着賞金240万円が格付け賞金から外れたため最下級C2へ降格した。
同じく⑧アナンクスも名古屋A級から再転入時はB1級で走って9、4、3着にまとめていたが、同じくC2級へ降格した。当然だが、B1級とC2級ではクラスの違いが明らか。必然的に格上馬に強い印が打たれることになる。もちろん結果がイコールではないが、今開催は降格馬重視がセオリー。クラス変動が重要なファクターとなった。
4日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」。今回はB1級スプリント 水沢1400mの条件で行われる。実力伯仲のメンバーがそろって波乱の要素も含んだ一戦となった。
ビッグタマテルーフは2歳時1勝、3歳時1勝のみだったが、3歳牝馬交流・留守杯日高賞で2着に善戦し、3歳牝馬・OROオータムティアラ3着。ダービーグランプリにも挑戦した。
勝ち味の遅さがネックで今季も精彩を欠いた時期があったが、2勝2着1回。近走の安定感が目につく。前走・秋桜賞も好調メンバーがそろいながら3着に健闘。今回も骨っぽいメンバーだが、前走タイムを重視する手。
モレッキはシャープな切れを武器にA級でも勝ち負けを演じてきた実力馬。盛岡よりも水沢が合い、今季3勝はすべて水沢1600mでマークした。ただ前走4着止まりだったように展開に左右される面があり、それでスプリント1400mにエントリー。ペース速くなれば一気突き抜けるシーンまで十分。
アザルは中央1勝クラスから転入後、芝ダートを舞台に4勝2着2回。前々走の芝1600m5着だったが、マークがきつかった印象。前回快勝で軌道修正に成功した。走破タイム比較では見劣るが、水沢1400m2勝と適性一目。
アブシンスはマイル4勝だが、4月以降は短距離路線へシフト。それが功を奏して1勝2着4回の好成績。秋桜賞は7着に終わったが、大外11番枠がこたえた一戦。巻き返し必至とみるべき。
アウデリアは北海道1勝、南関東3勝。近走は伸びを欠いているが、岩手B1なら通用の実績。
フェブサンカラは中央芝1200m1勝から転入。岩手1勝は芝1700mでマークしたが、ダートもこなせる。
◎⑦ビッグタマテルーフ
〇⑤モレッキ
▲⑨アザル
△⑥アブシンス
△⑪アウデリア
△②フェブサンカラ
<お奨めの1頭>
5R マコトダイトウレン
佐賀A級からB1編入して3、2着。今回は1300mが舞台だが、もちろん守備範囲。C2クラスなら順当に勝機