3日メインは岩手クラシック最終三冠目「第55回不来方賞」(水沢2000m)。すでに報道でもあったとおり、来年度から不来方賞はJpnIIへ昇格。現行スタイルの岩手クラシックは今年で終止符を打つ。そのラストイヤーに2010年、ロックハンドスター以来の三冠馬誕生の可能性が非常に高くなった。
ミニアチュールは昨年12月、北海道2勝から転入後、圧巻の7連勝中。ダイヤモンドカップ、東北優駿(岩手ダービー)の二冠を制し、ひまわり賞(オークス)も圧勝。重賞6連勝と破竹の進撃を続けている。ひまわり賞優勝後、「不来方賞へ直行する」と佐藤祐司調教師。今年は猛暑の連続。各陣営とも夏負け対策に苦労している中、ミニアチュールは体力も消耗がなく、不来方賞へ向けて態勢万全。水沢2000mも東北優駿完勝で問題ないことも証明済みとほぼ死角なし。岩手競馬史上初の牝馬による牡馬三冠制覇へまい進する。
リッキーナイトは北海道から岩手3戦2勝2着1回後、南関東へ移籍。船橋2戦を使って再転入。スプリングカップ、ダイヤモンドカップ、東北優駿と3戦連続でミニアチュールの2着を確保した。その後は遠野馬の里へ移動して休養。やまびこ賞から始動したが、スタートで大きく出遅れるアクシデント。さらに道中は掛かりっ放しで11着に大敗。休み明けでいつもより入れ込みが激しかったことも影響したか。今回もスタート、折り合い面の不安を抱えているが、二冠2着で実力は折り紙付き。次位は譲れない。
ルーンファクターは北海道1勝、南関東2勝後、佐賀3戦を経て転入。佐賀栄城賞5着、2か月ぶりの実戦でやまびこ賞7番人気に甘んじたが、最後方からまくり一気を決めて快勝。上がり3ハロン36秒1の驚異的な末脚を駆使した。小回り水沢でもやまびこ賞の再現できるか、半信半疑の面は否定できないが、ひと叩きされてさらに上昇。馬群をうまくさばいて直線台頭する。
プルタオルネは北海道1勝から交流・知床賞へエントリーしたが、出走取り消し。仕切り直しで平和賞(船橋)で挑戦し完勝した。今季は北海道クラシックを目指したが、北斗盃6着、北海優駿4着。矛先を芝に変えて交流・オパールカップへ参戦して3着後、そのまま岩手入りした。やまびこ賞3番人気だったが、後方のまま10着。見せ場すら作れず評価に迷うところだが、重賞ウイナーの意地を見せたい。
マツリダワールドは昨年、芝1勝のみにとどまったが、今季はダートも克服。前回快勝も含めて1勝2着4回。ひと冬を越して成長の跡がはっきりうかがえる。メンバーが大幅に強化されたが、地力アップ疑いなし。
セイグッドラックは中央未勝利から転入後、いきなり3連勝マーク。勢いを駆って重賞・やまびこ賞へ挑戦したが、経験値の差が大きかったようで7着。しかし今回は重賞挑戦2度目。一線級のペースにも慣れたはず。
◎⑧ミニアチュール
〇⑤リッキーナイト
▲②ルーンファクター
△③プルタオルネ
△⑨マツリダワールド
△④セイグッドラック
<お奨めの1頭>
2R デルマアシュラ
中央芝1勝から転入。当初はA級へ編入して苦戦を強いられたが、今回から最下級C2へ急降格。相手が一気に甘くなった。
8月25日(金)、村上昌幸元調教師が逝去された。70歳だった。村上昌幸さんは1970年、父親でもある村上初男(故人)きゅう舎から騎手デビュー。3年目の1972年、187勝をマークしてリーディングジョッキーの座を獲得。これは菅原勲元騎手(現調教師)に破られるまで29年間にわたって岩手最多勝記録だった。
以降、1981年まで10年連続でリーディングジョッキーに君臨。10年連続の記録は現在も岩手競馬記録として残っている。1987年に騎手引退するまで岩手通算1783勝。この数字にばらつきがあるのはデビュー当時、浦和競馬に修行。昔、本人にも確認したが、何勝かしたとコメント。ひとまず公式に沿って1783勝を今回は記した。
1988年からきゅう舎を開業。今年3月19日(日)、調教師通算1500勝を達成。騎手、調教師で1500勝以上は村上昌幸さん一人のみ。岩手競馬の多大な貢献を果たし続けてきた。
騎手時代、人は"天才"と称したが、実際は努力の人。人一倍研究熱心だった。かつて雑誌テシオで取材をお願いした時、「当時のリーディングジョッキーだった(小西)重征さんにしつこいほど話を聞いたし、いろいろ技術を盗んだ。浦和へ行ったのも騎乗技術をあげるため。その頃は他場で騎乗できるチャンスはほとんどなかった」と。村上昌幸さんは我々のヒーローでした。ありがとうございました。安らかにお眠りください。
続いて重賞報告。27日(日)、水沢2000mを舞台に"GRANDAME-JAPAN2023"古馬シーズン「第49回ビューチフルドリーマーカップ」が行われ、1番人気に支持されたノーブルシルエットが逃げ切りを決めて3馬身差で完勝。中央ダート4勝オープンから南関東移籍3戦目で初重賞を手にした。
笹川翼騎手「行っても良かったし、2番手でも良かったが、前回(フリオーソレジェンドカップ10着)のことがあったから行ければ行こうと思っていた。スローだったが、息が入らなかったのでペース以上に展開は楽ではなかった。でもこれで負けるようでは次はないと思ってレースを進めた。3コーナーで2番手の馬を離したので、前回よりも走り切れると思った。今回、勝ってくれたが、実績を考えると物足りない。まだ伸びしろがあると思うし、地方ダートの方が向き。矢野さんから重大なバトンを受けましたから、その分もしっかり取り組んでいきたいと思っています」
佐野謙二調教師「名古屋(秋桜賞1700m)も考えたが、2000mの方がいいとビューチフルドリーマーカップを選択した。レース間隔は詰まったが、小回り水沢も合ったと思う。次走はレディスプレリュード。そこでもいい競馬を期待しています」
今、最も勢いがあるシニスターミニスター産駒、ノーブルシルエットの今後に注目したい。
今週の岩手競馬
9月3日(日) 「第55回不来方賞」(3歳 水沢2000m)
9月4日(月) 「夢・希望・未来へ前進」(B1級 水沢1400m)
9月5日(火) 「ブラッドストーン賞」(B1級一組 水沢1600m)