今週は重賞がなく、いわゆる中休み。先々週の岩手クラシック一冠目・ダイヤモンドカップ、先週のシアンモア記念で春の総決算レースはひとまず終了。次週のオープン重賞・あすなろ賞から一條記念みちのく大賞典への道が始まる。毎週のようにあった3歳重賞もひと休み。ちょうど狭間の開催となった。
14日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」(B1級五組 盛岡ダート1600m)。B2級から昇格馬が4頭。B1級在籍馬との力量比較が大きなポイントとなる。
主軸にデンジャーマンを指名する。中央4戦0勝からホッカイドウ競馬で2勝から南関東へ移籍して3勝マーク。再び中央入りしたが、6戦二けた着順に終わり、岩手へ新天地を求めてきた。注目の初戦は中団をキープして直線鮮やかに抜け出して完勝。メンバー最速タイの上がりを駆使し、幸先のいいスタートを切った。今回はB1昇級だが、走破タイム1分40秒5は馬場を考えると優秀。もう一丁いけると見た。
ダブルダブルは中央芝2着1回から古馬B2へ編入。後方待機策からスパートをかけると一気に加速。上がり3ハロン36秒5という驚異的な脚で5馬身差で圧勝した。続く3歳芝2400m重賞はスローペースに落とされて4着。ダートに戻っても3着に終わった。以降は小回り水沢にてこずって入着一杯だったが、盛岡に替わった前走、出遅れながらも2着。勝利をモノにできなかったが、改めて盛岡ダートが合うことを証明した。ペース速くなれば一気突き抜ける。
ネイチャーミヤビは昨年7月、中山ダート1800m2着1回から転入。あっさり2連勝を飾り、3歳重賞・やまびこ賞3着に終わったが、自己条件に戻って首位を奪回。再び中央入りしたが、2戦大敗を喫し、南関東2戦も連続10着。今回は2ヵ月ぶりの実戦で復調度合いがカギを握るが、岩手の実績は文句なし。地力を信じる手。
ブライトミニスターは園田1勝2着2回からホッカイドウ1戦を経て転入。2着1回3着1回後、7ヵ月の休養を余儀なくされて前走で復帰。久々の実戦で5番人気にとどまったが、0秒1紗3着。好内容を見せてくれた。ひと叩きされて良化は確実。上記3頭をまとめて負かすシーンまで。
エイシンボールディはシーズン当初は精彩を欠いていたが、徐々に立ち直りを見せて前々走4着から前回快勝。元々、盛岡コースが主戦場だったが、久々の美酒を味わった。弾みついたのは間違いなし。
シェアザモーメントは今季1勝2着1回。相手なりに駆ける堅実さが武器でマーク欠かせない。
◎(2)デンジャーマン
〇(1)ダブルダブル
▲(6)ネイチャーミヤビ
△(7)ブライトミニスター
△(8)エイシンボールディ
△(4)シェアザモーメント
<お奨めの1頭>
2R ヤマニンライバリー
中央未勝利、門別2戦を経て転入。昨年10月以来の実戦だが、スピード一目。能力検査を叩かれて態勢が整った
先週7日、春の総決算「第48回シアンモア記念」(盛岡ダート1600m)が行われ、5番人気ノーブルサターンが2馬身差で完勝。トウケイニセイ記念、桐花賞に続いて重賞3勝目を手にした。2着には8番人気スズカゴウケツが突っ込み、3着に4番人気セイヴァリアント。3連単49万900円の特大万馬券が飛び出した。
意外に荒れることで定評があるシアンモア記念。2017年に牝馬ユッコ(6番人気)が快勝して3連単13万3880円、2013年、同じく牝馬トウホクビジン(6番人気)が優勝して3連単16万530円の高配当を記録したが、49万円は過去最高の配当。さすがにお手上げだった。
板垣吉則調教師「前走後はオーバーワークにならないように調整した。赤松杯では勝ち馬に水をあけられたが、休み明けの部分とかいろいろ要因があったのだと思う。その部分を今回の条件、盛岡のような大きいコースで、左回りのワンターンの条件で、どれだけ詰められるかとは考えていたが、今回は本当に理想のレースをしてくれた。次はみちのく大賞典を目標に進めていきたいと思う」
勝因を考えてみたい。まずはハロンラップ。12秒9-11秒8-11秒8-11秒7-11秒9-11秒8-11秒9-12秒4。前半3ハロン36秒5、上がり3ハロン35秒9。専門紙はスローペースにしなければならないのも当然だが、これほどきれいに11秒台のラップを刻むのは珍しい。南部杯ならともかく、地元重賞では一度ラップが緩み、息が抜ける流れになる。
しかし今回はゴールデンヒーラーが逃げ、直後2番手にヴァケーション。結果的にゴールデンヒーラー6着、ヴァケーション7着。共倒れになるほど息が抜けない流れとなった。
それなら3番手外を追走したノーブルサターンも同様に沈んでも不思議はないが、中央ダート4勝・オープンに在籍。マーキュリーカップで2着、兵庫チャンピオンシップ2着など実績に加え、JRAの速い流れを何度も経験していたことが大きかったに違いない。
2着確保したスズカゴウケツも中央ダート3勝馬。一方、グローリーグローリはスタートで若干出負けした上、前半で折り合いを欠いたのが痛かった。
ノーブルサターンは馬体重が前走比マイナス1キロ。赤松杯は過去最高の545キロで臨み、伸びひと息だったが、今回は大型馬らしくひと叩きされた変わり身も大きかった。
ただゴールデンヒーラーの6着は意外だった。久々に直線失速する姿を見た。原因は何だったのか。発情期を迎えたのか。ノーブルサターンが馬っ気を出していたので可能性がない訳ではないが、あくまでも想像の域。改めて競馬の難しさを思い知った。
今回のメンバーはほぼ一條記念みちのく大賞典へ向かう。そこでの決着はどうなるのか。一ファンとしても興味深い。
今週の岩手競馬
5月14日(日) メイン11R「夢・希望 未来へ前進」(B1級五組 盛岡ダート1600m)
5月15日(月) メイン12R「チャイナアスタ賞」(B1級三組 盛岡ダート1600m)
5月16日(火) メイン11R「ネモフィラ賞」(B1級一組 盛岡ダート1600m)
5月7日に行われた古馬伝統の重賞『シアンモア記念』。優勝したのは昨年の桐花賞馬ノーブルサターン。1番人気ゴールデンヒーラーらが敗れたことで3連単49万円の波乱の結末となりました。
好スタートからハナに立ったゴールデンヒーラーを、3番人気ヴァケーションと共に追う形になったノーブルサターン。3~4コーナーの勝負所では持ったままの手応えで外から捲っていくと直線入口でゴールデンヒーラーを交わして先頭に。そこからは後続を寄せ付けないままにゴールを駆け抜け、昨年の桐花賞以来、岩手では3つめの重賞タイトルを獲得しました。
2着は8番人気スズカゴウケツ、3着は4番人気セイヴァリアント。人気上位ゴールデンヒーラーは6着、グローリーグローリは5着、ヴァケーションは7着に終わっています。
5月9日のメインレースは12レースの『牡丹特別』、A級二組のダート1600mです。
昨日8日、朝の時点での盛岡競馬場の天候発表が「小雪」になっていて驚きました。みぞれ程度という話でしたが、競馬場の中にある厩舎の人たちの話によればうっすら白くなるくらいには降ったとのこと。県北の方では積もるくらい降ったそうですし、5月の平地での雪なんてちょっと聞いたことがないですね。桜も記憶にない早さでしたが雪も、記憶にないタイミングで降った変な春です。
さてレースの予想に行きましょう。本命は(8)マイネルアンファンを採りました。
南関東から転入してその初戦を圧勝、二戦目も完勝。三戦目の前走は2着に敗れた同馬。最初の二戦がB1級、前走がA級だったといえば"クラスの壁"なのかとも思ってしまいますが、しかしその前走は4頭立ての1800m戦という非常に特殊な状況・条件だった事、勝ち馬が完全にペースを握ってしまった点は考慮しなくてはならないでしょう。今回は12頭立てのマイル戦、戦いやすさはむしろ増すはず。
過去戦績からは左回りが凄く得意とまでは言えない感じですが、JRA新潟と東京で1勝ずつ挙げているのであれば問題はないでしょう。この先の重賞戦線を目指す上でも盛岡コースにしっかり対応しておきたいところ。
対抗は(7)ツルマルハナコ。昨年の盛岡では8戦して掲示板を外していないように恐らくサウスポー。この春の苦戦はクラス云々よりも周りの左右の違いの影響が大きかったと見ます。A級通用の力は昨秋に示しており、マイルは少し長いかもしれませんが、巻き返しに注目できる存在。
▲は(2)ブレイニーランを。JRA時代は芝を主戦場としていた馬ですが水沢ダートで2着1着。芝馬だからダートなら軽い馬場が良いというタイプではなく逆に力のいる馬場の方が良さそう。この春の盛岡もパワーを要求する馬場ですから、この馬に合う可能性も高いのでは。
水沢での(1)キョウヘイは小回りコース・内枠に苦戦した印象。広いコースに変わっての変化に注意しておきたい一頭。あとは人気通りに走らずあてにしづらいもののここでも上位に食い込む力はある(11)セイシーキングを。
●12Rの買い目
馬単(8)=(7)、(8)=(2)、(7)=(2)、(8)→(1)、(8)→(11)
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8日メインは「スプリント特別」(盛岡ダート1000m)。翌月6月4日に早池峰スーパースプリント(水沢850m)が控え、その一戦をにらんだメンバーが顔をそろえた。
カタナは中央ダート1200m戦で未勝利を脱出し、その後、東京ダート1400mで3勝。オープンに在籍したが、二けた着順、競走中止などで4戦とも凡走。大井1戦、名古屋4戦を経て転入した。初戦は10着に沈んだが、2戦目4着から3戦目の水沢850mを快勝。続く1300m3着でシーズンを終えた。
今季は850m戦を選択し、あっさり連勝。ハイタイムをマークして逃げ切りを決めた。今回は盛岡ダート1000mが舞台。先にも記したとおり盛岡2戦は10、4着。コース対応がカギを握るは当時は本調子も欠いていたため度外視。左回りはむしろ望むところだし、1000mも守備範囲。3連勝を飾り、来たる早池峰SSへ向けて万全で臨みたいところだろう。
ディアリッキーは東京2歳優駿牝馬3着、翌年は東京プリンセス賞2着。JpnIII・クイーン賞で4着を確保し、その後、門別一戦を使って転入。2連勝を飾り、牝馬1200m重賞・ヴィーナススプリントを完勝した。続くレースで6着から再び南関東へ移籍。2戦を使って再び岩手へ戻ってきた。
選択した距離は850mだったが、追走に手こずって3、6着。スーパースプリントの速い流れが合わなかった。しかし今回は盛岡ダート1000mが舞台。もう1ハロン欲しいところだが、直線長い盛岡でこそ本領を発揮するタイプ。距離不足は承知の上で対抗評価とした。
コスモカルナックは中央3勝2着4回3着2回。すべて芝1200mでマークした。前々走は1年ぶりの実戦だったが、逃げて2着に粘った。以上の実績があれば当然通用だが、最大ネックは生涯初めてのダート戦。調教では問題ないようだが、実戦は別。砂を被って戦意喪失のケースも多い。
ただコスモカルナックは先行力があるのが強み。内枠を引き当て、ハナを取れる可能性大。そうなれば初ダートでもあっさりも十分。最終目標はOROターフスプリントだと思うが、仮にダートもこなせるなら選択メニューも一気に増加。陣営も力が入るところだろう。
トミケンキルカスは一昨年、南関東A2から転入後、年をまたいで4連勝。以降は勝ち星から遠ざかったが、OROターフスプリントで3着に突っ込んで高配当を演出した。気になるのは今季3戦して3着2回7着1回。11歳の年齢もあるのか迫力が薄れつつある。このまま尻すぼみになるか、反撃に転じるか。正念場を迎えた。
タマモメイトウは中央芝1200m以下で5勝。重賞にも3度挑戦した。ただ転入後は9、5着。水沢ダートが合わないようなレース内容だったが、盛岡ダート1000mに替わって新味を出せるか。
カミノコは強烈なまくり脚で転入後3勝、JpnIII・クラスターカップ5着。今季初出走のハンデはあるが、明らかに盛岡向き。ダート1000mも中央時代に3着1回の実績を残し、いきなり馬券対象になるかもしれない。
◎(7)カタナ
〇(9)ディアリッキー
▲(2)コスモカルナック
△(5)トミケンキルカス
△(6)タマモメイトウ
△(10)カミノコ
<お奨めの1頭>
4R リリアナフェアリー
中京ダート1400m・2歳新馬戦5着。転入前の阪神ダート1200mで1分13秒9のタイムをマークなら、3歳C2はフリーパス
7日メインは春競馬の総決算「第48回シアンモア記念」。今年は2018年以来、5年ぶりに盛岡ダート1600mで行われる。昨年はヴァケーションが優勝。JpnIホース(全日本2歳優駿)が見事復活。年度代表馬にも選出された。今年の岩手トップが勢ぞろい。まさに初のマイル王決定戦にふさわしい一戦となった。
ゴールデンヒーラーは昨年、青藍賞完勝からJpnI・マイルチャンピオンシップ南部杯でメンバー最速タイの上がりを披露して5着に健闘。過去に岩手所属馬の南部杯制覇はメイセイオペラ、トーホウエンペラーが果たしているが、以降は苦戦の連続。岩手所属馬が5着を確保したのは2004年ウツミジョーダン以来のことだった。
続いて盛岡開催のJBCレディスクラシックにエントリーしたが、脚部不安が発生したため無念の出走取り消し。その後、北海道へ移動して完全休養。意外だったが、これが水沢入厩後、初めての放牧だった。
水沢へ帰郷したのは今年2月。休養効果だと思うが、一回り体が大きくなって戻ってきた。以降は入念に乗り込まれ、当初は赤松杯に登録があったが、あえてスキップ。栗駒賞から始動し、中1週でシアンモア記念へ臨む。理由はテシオコラムで報告したが、発情期と重なることを避けるため。昨年3着に敗れた雪辱を果たす。
ヴァケーションは昨年4月、7ヵ月半の休養を経て岩手入り。赤松杯2着からシアンモア記念を快勝。1年半ぶりの勝利を飾り、以降も岩手競馬の王道をまい進した。
陣営はシアンモア記念へ休み明けで臨む構想もあったが、ひと叩きすることを優先。赤松杯は逃げて2着だったが、収穫の多い一戦となった。強力な逃げ馬が不在で先手を主張。ゴール前でグローリーグローリに交わされたが、試走と考えれば合格点。ひと叩きされてシアンモア記念2連覇を狙う。
盛岡は3戦3着1回。ほかは着外だが、中身を考えてほしい。3着はJpnIII・マーキュリーカップでの善戦。ほかは南部杯12着、JBCクラシック10着ならば納得。元々、南関東4勝(ほか1勝は名古屋)はすべて左回り。盛岡替わりはむしろ望むところだろう。
グローリーグローリは中央ダート4勝2着7回。5歳暮に3勝クラスを卒業したが、持ち味の先行粘りで好勝負を演じ、障害1勝を経て転入。久々の平地がネックだったが、あっさり2連勝。トライアル・赤松杯でもきっちり差し切った。跳びの大きいタイプでコース広い盛岡は歓迎。東京ダート1600m・3勝クラス快勝でも裏付けている。鞍上に名手・岡部誠騎手を指名し、岩手トップを狙う。
ノーブルサターンは昨年暮、転入してトウケイニセイ記念、桐花賞と重賞2連勝。ヴァケーションを一蹴した。今季初戦の赤松杯は4着だったが、デビュー最高体重も敗因。馬体が絞れてくれば反撃必至。
セイヴァリアントは今季2戦3着。初戦は出遅れが痛かったが、赤松杯3着で軌道修正。時に出遅れるのがネックだが、盛岡なら挽回がきく。
クロールキックは昨年4月、南関東から帰郷戦のスプリングカップを圧勝したが、脚部不安のために長期リタイア。昨年終盤に復帰したが、体調が戻らず凡走。しかし今季初戦を快勝して復活宣言。果たして現オープンに通用するか真価を問われる。
◎⑦ゴールデンヒーラー
〇⑧ヴァケーション
▲④グローリーグローリ
△⑤ノーブルサターン
△⑥セイヴァリアント
△⑨クロールキック
<お奨めの1頭>
2R サッチモ
2戦連続2着は相手が強すぎた。今回はメンバーが大幅に甘くなり、待望の初勝利を飾る