先週の「絆カップ」がダート短距離の総決算レースなら、今回21日の「第43回北上川大賞典」は岩手競馬のロンゲストレース。今年は2011年、以来10年ぶりに盛岡ダート2500mで行われる。
発走地点は向こう正面。3コーナーカーブ手前200mあたりからスタートし、盛岡ダートコースを1周半。水沢2500mと同様、前半はスロー。残り800mからの攻防となる。最も大事なのは持久力に加え、折り合い面。1周目スタンド前で掛かってしまうと、例外なく終いが甘くなる。
現在、エンパイアペガサスが2連覇中。2019年の休止をはさんで2018年、2020年の北上川大賞典を制し、ボールドマックス、グレートホープ以来、史上3頭目の3連覇を目指す。さらにエンパイアペガサスは現在、重賞18勝。6月の一條記念みちのく大賞典で自身の持つ岩手競馬重賞制覇の記録を更新したが、仮に北上川大賞典、桐花賞を連勝すれば重賞20勝の偉業達成。陣営も力が入っているに違いない。
ご存知かもしれないが、JRAのセオリーの一つに"長距離戦は騎手で買え"というのがある。岩手競馬で北上川大賞典最多騎手は菅原勲元騎手の11勝。グレートホープ、トウケイニセイで5年連続優勝の離れ業もやってのけた。
2位は村上忍騎手。昨年もエンパイアペガサスのコンビを組んで北上川大賞典6度目の優勝を果たした。過去10年のデータでも5回優勝し、勝率5割。驚くべき数字を残している。村上忍騎手は今年、マツリダスティールとタッグを組んで臨む。
マツリダスティールは昨年、盛岡芝4戦4勝で最優秀ターフホースの栄誉を獲得。今シーズンも芝路線を歩んだが、イーハトーブマイルからダートへシフト。春以来のダート戦だったが、出遅れながらも能力の違いを見せつけて圧勝。続いて岩手三冠目・不来方賞へ駒を進め、ゴールデンヒーラー、リュウノシンゲン相手に2秒6差でぶっち切り勝ち。周囲の度肝を抜いた。
続くダービーグランプリは逃げ馬が総崩れの超ハイペースに飲み込まれて13着に沈んだが、前走・盛岡1800m戦で余裕の逃げ切りを決めて完勝。ダービーGP惨敗のダメージがなかったことを証明した。今度は未知の2500m戦だが、競りかける馬が不在で単騎逃げが打てるのは確実。前回同様、マイペースの逃げに持ち込んで古馬タイトルを手にする。
エンパイアペガサスは今年6月、一條記念みちのく大賞典を優勝。メイセイオペラ以来、史上2頭目の3度目制覇を果たした。続いてマーキュリーカップへ挑戦して7着後、歴戦の疲れを取るために3ヵ月休養。最大目標の桐花賞から逆算してA級→北上川大賞典のステップを踏む。
その復帰戦は5着に終わったが、陣営の想定内。元々が叩かれて一変するタイプで昨年もA級2着から北上川大賞典を0秒3差で完勝した。過去、エンパイアペガサスは2018年、2020年の北上川大賞典を優勝。2019年は休止だったから現在、2連覇中。仮に制すればボールドマックス、グレートホープ以来、史上3頭目となる3連覇の偉業達成となる。
ヤマショウブラックは2019年度の年度代表馬。昨年、南関東から帰郷して初戦が北上川大賞典だったが、無念の出走取り消し。その後は完全休養に入り、今季春から始動。3戦目を快勝し、これで軌道に乗ったかと思ったが、以降は足踏み。相手が甘くなっても勝てないレースが続いている。
ただ、条件が合わなかったのも事実。父がエルコンドルパサー産駒ルースリンド、母父が菊花賞馬ダンスインザダークとガチガチのステイヤー。スタミナ勝負は持って来いの配合で2500m戦に活路を開く。
ユノートルベルは無類のタフさを誇ったトウホクビジンの初仔。持ち味は堅実な差し脚。牝馬準重賞・フェアリーカップ2着、重賞・青藍賞でも2着を確保した。南部杯は10着だったが、前回快勝。岩手初勝利を飾り、上昇ムードで北上川大賞典へ臨む。
ジェイケイブラックは昨北上川大賞典6秒5差のしんがり負けを喫したが、水沢が舞台では仕方がない面もあった。しかし今年は盛岡2500mが舞台。成績どおり盛岡コースを得意とし、重賞でも好走の可能性は十分ある。
レールガンは冬場に南関東へ移籍したのが大正解。昨年よりパワーアップが歴然で2勝2着2回。2500mは未経験だが、2000mで3着2回。ノーマークにはできない。
◎②マツリダスティール
〇⑥エンパイアペガサス
▲⑦ヤマショウブラック
△①ユノートルベル
△⑩ジェイケイブラック
△⑤レールガン
<お奨めの1頭>
5R エレガントオーラ
転入戦を1秒5差で圧勝。タイム以上のパフォーマンスを披露した。相手は骨っぽくなったが、それでも追いかける手
11月14日に行われた2歳牝馬の地方競馬全国交流重賞『プリンセスカップ』は北海道から遠征のレディーアーサー号が優勝。自身二つ目の重賞タイトルを獲得しました。
「本当は先行する競馬を考えていましたが、スタートでトモを滑らせて出遅れ気味になってしまって」と振り返っていた服部茂史騎手。しかしレディーアーサーは道中着実にポジションを上げながら機をうかがい、直線に向いて前が開いたところを一気に抜け出してそのままゴール。ハイレベルな門別の2歳重賞で牡馬とも互角に渡り合ってきた実力をしっかり発揮しました。
2着は直線で内を突いた大井・ササキンローズが確保。地元勢はアップテンペストが3着、若駒賞を制していたカクテルライトは4着となりました。
11月16日のメインレースは第11Rです。B2級ダート1400mの特別戦『ノベンバーカップ』。本命は(11)チェンカーンを採りました。
今季の盛岡戦ではマイルのみに出走して5戦1勝2着2回4着2回、掲示板を外していないのですから十分堅実と言える戦績を残しています。ですが同馬のキャリアから見ればマイルは長めの距離、近走はマイルに挑んで克服しつつあったという見方が妥当なのかもしれません。実際1400mは水沢で2勝、それもいずれも後続を大きく引き離す完勝。だからといって"1400mがベスト"とするのは早計かもしれませんが、ひとハロン短縮で強さを増す可能性が十分に高いと考えるのは自然でしょう。
対抗は(9)カッチャオ。この馬も850mから1600mまで様々な距離で堅実に戦ってきていますが、一番手堅く戦えるのは1400mのように見えます。実際今季は盛岡1400mで3戦して勝ち星こそ無いものの全て3着以上。前走同様あるいはそれ以上の結果もあり得るはず。
(5)タイセイターゲットの前走は7番人気からの逃げ切りで穴を開けた形。しかし現級の実力馬・好調馬を寄せ付けなかった走りをフロックとしてしまうのは惜しい気がします。前走同様の逃げでも、なんとなれば差しに回る形でも戦える点も今の馬場傾向では魅力と言えるのでは。
岩手に再転入となる(1)パーセプトロンは旧地では1200m中心の戦いでしたが以前の在籍時には盛岡1400mで優勝経験があり、距離が長いと言うのは早いでしょう。馬場傾向的に楽観はできませんが好枠から先行して・・・のパターンを警戒。もう一頭は(7)ピンクキャンディーを。夏頃のような力のいる馬場とはあまり相性が良くないタイプで今の比較的軽めの馬場ならもう少しやれるはず。前走で久しぶりに馬券圏内に食い込んだ点もそんな上向きムードの現れと考えたいところです。
●11Rの買い目
馬単(11)=(9)、(11)=(5)、(9)=(5)、(11)→(1)、(11)→(7)
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先週7日、盛岡ダート1200mで行われた「第11回絆カップ」はキラットダイヤが単勝120円の圧倒的1番人気に応え、10馬身差で逃げ切りを決めた。ただ2着は7番人気ゲンキチハヤブサが入り、馬連複4900円、馬連単6080円の高配当となった。
キラットダイヤはサウスヴィグラス産駒。中央ダート1000m2勝から転入。初戦の水沢1400mは3着に終わったが、2戦目から早池峰スーパースプリント(水沢850m)、岩鷲賞(盛岡ダート1200m)、ヴィーナススプリント(同)と重賞3連勝。今回もワンサイド決着で連勝を4に伸ばした。
板垣吉則調教師「内のきゅう舎に来たときは動きがちょっと堅かったが、夏の放牧から戻って堅さがなくなった。それでどんな調教でもできるようになった。この後は条件が合うレースがないので完全休養。来春から始動します」
注目してほしいのはキラットダイヤのローテーション。早池峰SSから岩鷲賞まで1ヵ月半、ヴィーナススプリントは2ヵ月のレース間隔を開けて出走。そして今回も約1ヵ月半ほど開けて絆カップへ臨んだ。
これまで短距離路線はクラスターカップを頂点に、重賞だけではなく一般戦(A級)でも1000m前後のレースが多数組まれているが、まったく見向きもせず目標を1本に絞って調整。岩手競馬では考えられなかった使い方で重賞4連勝を飾った。
さらにレース前には勝っても負けても絆カップを最後にシーズンオフは決定済み。この潔さには感服し、実際に圧勝してしまうのだから頭が下がる。もしかすると、岩手に新風を吹き込むかもしれないと思った。獲得賞金も1000万越え。来春、リフレッシュして英気を養って戦列に戻ってくるキラットダイヤとの再会を楽しみにしたい。
15日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」(B1級一組 盛岡ダート1800m)。実力プラス、距離対応がカギを握る一戦となる。
ブルーノバローズは函館芝2000m1勝から転入。初戦は2着に終わったが、2戦目からダート芝で2連勝。あっさりA級へ昇格したが、2戦5、7着。オープンの壁が厚かったようだが、今回は再びB1級へ降格。また中央時代のメイン距離は芝2000mで、芝2600mでも5着1回。1800m延長は望むところ。
ダンサーズドリームは2歳時に岩手入りして1勝マーク。順調な滑り出しだったが、3歳途中まで勝ち切れないレースの連続。頭打ちかと思わせたが、7月にシーズン初勝利をあげると6勝を荒稼ぎ。奥手が本格化を迎えた。今季もなかなか軌道に乗れなかったが、B1級へ降格した前走2着。本来の伸びを見せてくれた。上昇ムードに乗って待望の白星ゲットまで十分。
コログレッツォは典型的な追い込み馬。そのため展開に左右される面があるが、今季も4勝マーク。健在を誇示している。2連勝で臨んだカシオペア賞はJRA相手では5着も仕方なし。1800m延長で前々走の再現を狙う。
マラジェッツは南関東B3級から転入。軌道に乗るのに時間がかかったが、前回快勝で弾みついたのは確実。南関東2000mで1勝2着1回の実績から、まとめて負かすシーンまで。
ナムラバンザイは今季1勝2着4回。盛岡巧者に定評がある。近走は伸びを欠いていたが、B1降格の前走3着。やはりマークは欠かせない。
ポエムロビンはすんなりの競馬に持ち込めるか否かがすべて。今回のメンバーならそれができる可能性がある。
◎⑤ブルーノバローズ
〇③ダンサーズドリーム
▲⑦コログレッツォ
△⑫マラジェッツ
△④ナムラバンザイ
△⑨ポエムロビン
<お奨めの1頭>
11R ナンヨーヴィヨレ
前走は超ハイペースの2番手を追走しながら2着。改めてこの馬のポテンシャルの高さを実感した
14日メインは"GRANDAME-JAPAN2021"2歳シーズン・セミファイナル「第37回プリンセスカップ」(盛岡ダート1400m)。
同レースが"GRANDAME-JAPAN"に組み込まれたのは2012年。一貫して水沢1400mが舞台。盛岡で行われるのは2011年、東日本大震災で水沢開催が12月までずれ込んだとき。それ以前も盛岡で何度か実施されたことがあったが、基本は水沢で行われている。
交流格上げ後、北海道4勝、岩手3勝、浦和1勝。一見すると岩手勢も健闘しているな―と思うだろうが、3勝はゴールデンヒーラー、サプライズハッピー、ブリリアントロビン。共通するのは牡馬相手にも重賞制し、互角以上の勝負を演じてきた強豪牝馬のみ。冷静に考えれば北海道優位と見るのが妥当だろう。
今年は遠征馬は北海道1頭、大井1頭、浦和1頭。計3頭は例年に比べて少ないが、北海道代表・レディーアーサーは強力。中心に揺るぎなし。
デビュー戦は2着に敗れたが、2戦目を1秒3差で圧勝。続いて2歳いの一番の重賞・栄冠賞3着から一旦休養。約2ヵ月半の休養から復帰し、イノセントカップを快勝。強烈なまくりで初重賞を手にした。
その結果からJpnIII・エーデルワイス賞でヒストリックノヴァの2番人気に支持されたが、14頭立て11番枠に入り、終始外目を回されるロス。これが響いて直線外から伸びたが、0秒3差6着に敗れた。一方、勝ったスピーディキックは内を突いたのが奏功。進路の差も明暗を分けた。
今回はエーデルワイス賞の雪辱戦。メンバー構成から負ける要素はほとんどなく、仮に制すれば15ポイントを獲得。エーデルワイス賞の2ポイントを加えると17ポイントし、暫定3位スティールルージュに並び、総合優勝圏内にも入る。
カクテルライトは北海道4戦1勝から転入。初戦はアップテンペストの2着に敗れたが、続くビギナーズカップで首位を奪回。初の1600mがネックだった若駒賞でも見事な逃げ切りを決めた。
前走・南部駒賞は4着。マークも厳しかったが、マイルが長かった。地元同士ならペース次第でごまかしもきくが、交流戦は甘くはなかった。今回も逃げの手に出てマークされるが、何といっても1400m短縮は好材料。仮にハイペースで飛ばしてもこの距離なら我慢がきくはず。
アップテンペストは水沢2戦2着1回に終わったが、盛岡に替わって圧巻の4連勝。広いコースも合った。ビギナーズカップは0秒9差2着に終わったが、前回ハイタイム完勝で軌道修正。
その後は一旦放牧に出て休養。使い詰めだっただけにちょうどいい一休み。強調材料は今回と同じ盛岡ダート1400m5戦4勝2着1回。この経験の多さに加え、リフレッシュできていれば一発の可能性がある。
ササキンローズはスタートがカギだが、2戦目でただ1頭だけ38秒0の強烈な末脚を使って直線一気を決めた。初輸送、初の左回り、初の1400mなど不確定要素は多いが、ハイペースになれば一気突き抜けるシーンまで。
ザワロインは盛岡ダートのみを使われて着外は一度もなし。前回、好タイムで初勝利を飾り、上昇ムードに乗った。
チェリースイスは知床賞6着、南部駒賞5着。いい脚を長く使えるのが武器。勝ち負けはきついが、3連モノの押さえは必要。
◎⑤レディーアーサー
〇⑧カクテルライト
▲①アップテンペスト
△⑦ササキンローズ
△④ザワロイン
△⑥チェリースイス
<お奨めの1頭>
2R エープラス
前走は1年3ヶ月の長期休養明けだったことを考えれば2着で上昇。ひと叩きされて首位奪取に燃える
11月7日に行われたダート1200mの重賞『絆カップ』。今季から1200mに短縮されて秋のダートスプリント戦となったこのレースは、今季ここまで重賞3勝を挙げているキラットダイヤが優勝。4つめの重賞タイトルを獲得しました。
スタート直後こそ競り合いに巻き込まれるかに見えたキラットダイヤでしたが、二の脚のダッシュで抜け出してリードを取るとその後は一人旅。3~4コーナーあたりでもう後続は追いつけず差は拡がる一方に。ゴールでの2着馬との差は10馬身、大差にこそならなかったものの最後まで危なげなく走り抜いたキラットダイヤの、その強さとスピードが際立ったレースとなりました。
一方2着争いは最後まで激戦となり、道中2番手で粘っていたケイアイテディをゲンキチハヤブサが交わして2着を確保。2番人気ドラセナも直線追い上げましたがこちらは4着まで、ケイアイテディが3着を守り切りました。
11月9日のメインレースは第11RのA級一組ダート1800m『晩秋特別』。本命は(9)リリーモントルーです。
成績上は「3連勝のあと3連敗」になりましたが直近の3戦はダートマイルの重賞・芝1700mの重賞、南部杯なのですから敗れた事を気にする必要はなく、むしろ南部杯での地方馬最先着、青藍賞での優勝争いに加わる3着は力量を評価して良い結果だったと考えます。
今回はA級特別戦に戻って、相手関係もこれまで何度か戦っている馬たち。1800mという距離は4走前に勝ち抜いている条件。となれば主力視は当然、この後の重賞戦線にむけて再度進撃開始を狙う一戦といえるでしょう。
対抗は(1)プロヴィデンスを。前走はマツリダスティールにこそかなわなかったものの3着以下は危なげなく引き離しての2着確保。それが自身初めての1800m戦だったのですから高く評価していい走りだったでしょう。ここも同型がいますが絶好枠から主導権を握る事ができれば。
三番手はその"同型"(8)パンプキンズ。この馬も近走の敗戦は重賞でのもの、A級特別なら距離問わず好走できている事、その先行力もまた距離を問わない事はいまさら言うまでもありません。外枠といっても8番枠なら自身の形に持ち込めるでしょうし、そうであればこの距離でも。
ここのところ着順が振るわない(4)ヤマショウブラックですが、状態自体が着順ほど悪いようには見えません。あくまで展開や距離の影響ではないでしょうか。その意味で1800m・得意な雨馬場という事になりそうな今回は変身の可能性を意識したいもの。
また(2)マルケイマーヴェルも3走前の牝馬準重賞で1800mを勝ちきっているように距離はこなせている戦績。対牡馬のここでも力量通用と考えたいですね。
●11Rの買い目
馬単(9)=(1)、(9)=(8)、(9)→(4)、(9)→(2)
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