早いもので師走、12月を迎えた。岩手競馬も約1ヶ月半で冬休みに入り、11月29日には盛岡地区で積雪があった。これから雪との戦いが待っているが、この季節に意外な活躍を見せるのが芝適性がある馬たち。
凍結対策のため、コースに融雪剤がまかれると単純な不良馬場ではなくなる。表面的には水が浮いているが、粘り気が出てくると芝コースと同じような状態になるらしい。冬の岩手競馬は芝実績も要チェック。これが勝利への鉄則だ。
12月1日メインはB1「ひいらぎ賞」、水沢1900m。賞金ハンデ戦で最高58キロ、最軽量54キロと4キロのハンデ差も勝敗に影響。コパノツイテルがトップハンデ58キロ、シルククレヴァー、スノウプリンス57キロをどう判断するかが、まずポイントとなる。
主軸はシルククレヴァーとした。中央0勝、南関東3勝・B3から転入。A級へ格付けされ、初戦、3戦目、5戦目に白星をマークし、重賞路線に乗るかと思ったが、以降は白星なし。芝・かきつばた賞6着以外はすべて入着を果たして堅実さを誇示したが、最後で伸び切れなかった。
しかし、B1へ降格した2戦目の前回を3馬身差で圧勝。これでようやく吹っ切れたと解釈して間違いない。好走要因は相手弱化とコース替わり。盛岡もこなすが、水沢5戦3勝3着2回の成績が示すとおりだった。
ハンデは57キロに増えたが、530キロ前後の大型馬で斤量泣きはほぼ考えられないし、ジリ脚で距離が伸びれば伸びた方がいいタイプ。村上忍騎手は南関東時代に一度騎乗経験があり、クセも分かっているはず。
コパノツイテルはB1ですでに7勝を荒稼ぎ。普通ならば卒業してもおかしくないが、格付け賞金で今回もB1据え置き。その分、58キロの負担重量が課せられたが、それが微妙。前々走・白神賞で58キロで4着。積極的に攻めたが、直線で伸びを欠いた。これが負担重量の影響だった。
とは言え、実績では群を抜く存在。山本政聡騎手もそれは意識しているだろうし、前走はA級馬相手に完勝。引き続き好気配を保ち、当然アッサリ首位まで。
ブラックタイガーは盛岡コースを苦手としていたが、レースを使いながら徐々に克服。白神賞ではコパノツイテルに先着2着を確保した。これが3歳の成長力だろうし、今度は待ちに待った水沢が舞台。過去、水沢は<3.3.2.1>と絶対の自信を持っている。ハンデ差も味方にして大勢逆転を狙う。
ノーティカルスターは中央芝2000mで1勝。2012年、1年1ヶ月の長期休養を余儀なくされ、今年4月に復帰したが、8月の函館ダート1700m戦6着後に岩手へ新天地を求めてきた。
それがずばりはまり、転入初戦で出遅れながらも豪快にまくって2着。芝・秋嶺賞は9着に終わったが、ダートに替わった前回でも鮮やかな3角まくりを決めて快勝。5歳馬だが、レースキャリアが少なく伸びシロは十分。ここでも目が離せない1頭となって。
ラブソングは前走5着だったが、1400mの忙しい流れにとまどったため。切れ勝負型だが、距離が伸びた方が持ち味を発揮。ハイペースなら一気台頭する可能性もある。スノウプリンスは1900m克服がカギだが、前走はコパノツイテルの3着確保。押さえ必要か。
◎(5)シルククレヴァー
○(6)コパノツイテル
▲(7)ブラックタイガー
△(1)ノーティカルスター
△(11)ラブソング
△(3)スノウプリンス
<お奨めの1頭>
3R ニイタカヤマ
一戦ごとに迫力増は明らか。目下2連勝もすばらしいが、競り合いに強いのが魅力。同じ1300mが舞台なら追いかけて損なし
30日、メインはB1級一組、水沢1600m戦。レース名の「前へ!前へ!前へ!」は調騎会騎手部会協賛によるファン公募から。キーワードが隠されているかと思ったら、ワタリルーブル、ドラゴンオサム、トートアフィシオンと快速馬が3頭エントリー。
ワタリルーブル、ドラゴンオサムは再転入後、精彩を欠くレースが続き、可能性があるとしたらトートアフィシオンだろう。今シーズンはダート短距離、芝に絞ってローテーションを組んで6勝。FM岩手杯までは飛ぶ鳥を落とす勢い。
目標だった芝1000m重賞・OROターフスプリントでも有力候補の1頭になるはずだった。ところがトライアル・ハーベストカップ(オープン)でライトマッスル、トートアフィシオンが激しく競り合い、漁夫の利を得てスーパーワシントンがイン強襲を決めて快勝。
トートアフィシオンは4着に終わり、優先出走権を獲得できず。ひとまずOROターフSに登録はしたが、賞金順位で抽選モレ。陣営も落胆を隠せなかったが、そのうっ憤を晴らすかのように芝1700m・秋嶺賞(B1)を逃げ切り勝ちを果たした。
今回は久々のダート戦ぬ加え、同型がそろって△止まりとなったが、絶好の1枠を引き当てたのが好材料。自分の競馬ができれば首位奪取の可能性もある。
水沢1600mが舞台なら本命はエクセラン。中央から再転入後、<4.3.3.1>と抜群の安定感。ここ2戦は2着だったが、これはファーストメジャー、クリスティラビットが思いもよらない激走に遭ったため。勝負の運としか言いようがなかった。水沢マイル2戦2勝とパーフェクト成績を誇り、今度こそ首位を奪取する。
エクセランに死角があるとすれば、やはり最後の爆発力勝負になったとき。負けて強しの評価ができる反面、詰めが甘いのも事実。マイネルゴスホークが逆転を狙う。中央0勝に終わったが、ダート1600mと1700mで2着。転入当初は伸びを欠いたが、移籍5戦目を快勝。弾みついた前走は元A級馬で翌日12月1日、メイン・ひいらぎ賞でも人気を集めるシルククレヴァーの2着。上昇ムードに乗っている。
レディアントデイズは中央芝で2着2回。初戦の盛岡ダート1600mを快勝し、芝2戦2、3着。この成績から前走も2番人気に支持されたが、中団から退いて9着。まったく"らしさ"が見られなかったが、初輸送と初の水沢にとまどったか。父がニューイングランドで気性の激しさがマイナスとなったかもしれない。勢い止まるのか、それとも巻き返しなるか。正念場を迎えた。
ヴェルシュナイダーは昨年、ロックハンドパワーと双璧をなし、2歳戦線をリードしてきたが、名古屋から帰郷後は1勝のみ。こちらも気性難が出世を妨げている印象だ。ただ、それだけにレースに集中できれば地力の高さでアッサリまで。いずれ復活が待ち遠しい。
◎(3)エクセラン
○(6)マイネルゴスホーク
▲(7)レディアントデイズ
△(1)トートアフィシオン
△(4)ヴェルシュナイダー
<お奨めの1頭>
11R メジロオマリー
前走・ノベンバーカップはホッコーアムールとのマッチレースを制して完勝。自身の連勝を6に伸ばした。どこまで連勝続けるか楽しみ
月曜のメインレースは『HITスタリオンシリーズ』のカネヒキリ賞。A級一組・ダート1800m戦です。
当初(1)エバーオンワード本命で予想を書いておりましたが、同馬が競走除外(前売り発売開始後の出走取消)となったので内容を書き換えております。あらかじめご了承ください。
さて本命は、思い切って(4)イーグルドライヴを狙ってみましょう。二走前の落馬競走中止の影響がどうなるか?と思われましたが先行して3着に粘った前走からすればもう問題は無さそう。今の水沢は基本的に先行有利・スピードが活きる馬場。前走くらい思い切って行ければ、主導権を握って一気に・・・も可能でしょう。
課題は右回りという事になるでしょうか。JRA時代は左右両方を使われていましたがどちらかといえば左回りの方に良績が多めでその点が不安材料。ですが中距離なら右回りの中では安定感がある方だったようです。今回は実質3番枠、最内の強力同型もいなくなりました。そんな枠順の利も味方になってくれると見ます。
対抗は(6)ニホンピロララバイ。転入後はまだ勝ち星が無く・・・も、負けた相手はエバーオンワード、ミキノウインク、ローレルカンタータといった今のA級一般戦の強豪ばかり。むしろタイム差で見れば検討している方です。もう一押しの詰めの甘さというか、レースの大勢決してから伸びてくるような所があって頭には強く推しづらいのですが、ここまでの堅実さは当然買えますし右回りの方が良い実績なのも魅力です。
三番手は(8)ダノンボルケーノ。春先の勢いを欠き、結果もムラが大きい近況ですが、馬の状態自体は悪くはないと思えるだけに相手弱化で見直してみたい所。(9)スーブルソーも同様で、アテにならなさではこちらの方がはるかに上なのですが、時折勝ち負けに加わってきそうな走りを見せるのはやはり地力ある馬ということ。この馬にとっても相手弱化ですし、少々強引な狙いでも一変を狙ってみるのが面白いのかもしれません。
●10Rの買い目
馬単(4)=(6)、(4)=(8)、(4)=(9)、(6)→(8)、(6)→(9)、
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かつてダービーグランプリは出世魚にも例えられた。『ダービー馬によるダービー』を夢見て1986年に創設。当初は3年連続で南関東馬が優勝したが、第4回で地元岩手のスイフトセイダイが制し、以降は各地区が万遍なく優勝。
賞金もグレードも年を重ねるごとに上がり、OROパークが完成した1996年にはJRAにも門戸を開放。それを祝して皐月賞馬イシノサンデーが石崎隆之騎手とのコンビで優勝した。
以降もレギュラーメンバー、ゴールドアリュール、ユートピア、パーソナルラッシュ、カネヒキリなどダートの強豪を続々と輩出。ダービーグランプリはダート3歳№1決定戦の地位を確立した。
ところが2007年、馬インフルエンザ渦に飲み込まれ、地元重賞での実施を余儀なくされ、翌年には周辺事情を鑑みて休止となった。
それから3年後、復活を願うファンの声に応えて復活。創設当初の原点に立ち返り、地方競馬全国交流で再スタートを切った。2010年、久々に熱気に包まれた水沢競馬場を舞台に、地元の声援にも後押しされてロックハンドスターが優勝。以降もカミノヌヴォー、ロッソコルサが制し、岩手勢3連覇で今年を迎えた。
本命はやはりジェネラルグラントだろう。全日本2歳優駿、東京ダービー2着。その実績もすばらしいが、小回り水沢コースは先行力と器用さが要求される馬場。ジェネラルグラントは本質的にマイラーの印象で2000mは若干長いが、小回りなら大丈夫。また勝負どころでスッと反応できることが必要条件だが、まさに打ってつけのタイプ。
ジャパンダートダービー以来、4ヵ月半ぶりの実戦が気にならない訳ではないが、ここでは地力の違いが明白。余談だが、仮に優勝すれば1988年、アエロプラーヌ(東京王冠賞馬=当時)以来の南関東勢優勝となる。
クラグオーは北海道三冠馬クラキンコの全弟。姉はダービーグランプリ出走はならなかったが、父クラキングオーは第15回に出走して8着(優勝はレギュラーメンバー)。母クラシャトルは第9回に出走5着(優勝はブラッククロス)。母父、そして姉が果たせなかったダービーグランプリ制覇を目指す。
地元期待一番手は牝馬コウギョウデジタル。岩手版オークス・ひまわり賞、元祖岩手ダービー・不来方賞の両方を制したのは史上初の快挙。しかも2つともレースレコードを大幅に更新し、2分6秒0。舞台が盛岡から水沢に替わってもタイム比較では勝ち負けになるはず。
エスケイロードは東京ダービー7着。ジェネラルグラントとは1秒差だったが、こちらは順調に使われてきたのが強み。ハイレベル南関東で戦ってきた実績で一発をもくろむ。
エーシンクリアーは通算13戦9勝2着1回とメンバー最多の勝利数。目下2連勝に加え、前走は笠松遠征・岐阜金賞を豪快なまくりで快勝。アウェーでの勝利が心強い。園田所属馬では初の優勝を目指す。
地の利を生かしたいのがヴェリイブライト。東京ダービー13着からは狙いづらいが、不来方賞を巧みなレース運びで2着。ジリ脚タイプゆえ、2000mは望むところ。
◎(5)ジェネラルグラント
○(9)クラグオー
▲(8)コウギョウデジタル
△(2)エスケイロード
△(11)エーシンクリアー
△(6)ヴェリイブライト
<お奨めの1頭>
11R イーサンジャンパー
前回はローレルカンタータのマークがきつく5着に沈んだが、気配落ちはまったくなし。メンバーにも恵まれて首位は譲れない
今週はオープン「第25回栗駒賞」、3歳・地方競馬全国交流「第26回ダービーグランプリ」の重賞二連発。シーズン終盤に差し掛かり、重賞が目白押しだが、その矢先に朗報が入ってきた。
1月11日(土)、重賞「ニューイヤーカップJBC」を新設。期の途中で重賞が創設されるのは極めてまれなケースだが、来年に盛岡競馬場で開催されるJBCを祝して実施する。カテゴリーは明け4歳。水沢1600mを舞台にフルゲート12頭を予定している。
今回のダービーグランプリ出走組も新設重賞を狙いにくる馬たちも多いはず。その意味でも楽しみがまた増えた。
本題に入りたい。23日メインはオープン馬による水沢1400m重賞「第25回栗駒賞」。今季もオープン戦線は勝ち馬が次々と替わり、我々予想陣を泣かせている。
その象徴が栗駒賞へ直結する絆カップだった。1着・ヒカルジョディー(11番人気)、2着・ジョーモルデュー(7番人気)、3着・ランドオウジ(6番人気)と入線し、248万7160円の超万馬券が飛び出した。
まずは絆カップを振り返ってみたい。大外からシャイニングサヤカがハナを主張し、2番手ランドオウジ。3番手を1番人気エバーオンワードが追走し、前半3ハロンが34秒4。地方交流としては恐ろしく超ハイペースとなった。昨年、トウホクビジンが最後方一気を決めたときが35秒1。それよりさらに速い流れでレースが進み、完全に前崩れの展開で中団にいたヒカルジョディーが快勝。後方3番手を追走したジョーモルデューが大外から一気に伸びて2着の結果となった。
ちなみに前半1000m通過が58秒6。これは2011年、マイネルサウダージがマークした盛岡ダート1000m59秒4をはるかに上回るタイムだった。
その中でランドオウジは最後まで粘って3着。最も強いレースをした。これまで最短1600m戦で1400mは未経験だが、前走の内容を見れば本命視するべきだろう。
ヒカルジョディーは好、凡走の落差が激しくアテにしづらい馬。絆カップは展開にも恵まれた印象があるが、2ヶ月ぶりのハンデがあったことを考えれば叩かれた上積みは十分。水沢も得意とし、再現の可能性十分。
ドリームクラフトは絆カップ5着だったが、タイム差は0秒6。馬券争いに参加した。今年7月、同じ水沢1400mで行われた重賞・岩鷲賞を5馬身差で圧勝したように条件ベスト。使い詰めできた点に若干不安は残るが、首位圏内に位置する。
スーパーワシントンは10歳にして初重賞・早池峰賞を制し、ここ2戦の芝1000m・ハーベストカップ優勝、OROターフスプリント2着と依然、好調サイクルを保っている。最大の強みは追ってからの反応の良さ。有力馬がもたつけば重賞2勝目のシーンまで。
スズヨシーズンは今年3月、転入初戦の水沢1400mを6馬身差で圧勝。ヒカルジョディーを並ぶ間もなく抜き去った。追い込み一辺倒の脚質で展開に注文がつくが、ハイペース必至。一気台頭するか。
コスモフィナンシェはみちのく大賞典優勝時の迫力が若干薄れた印象もあるが、1400mは8戦7勝2着1回と抜群の勝率。ソロソロ巻き返しあっても不思議はない。
◎(11)ランドオウジ
○(1)ヒカルジョディー
▲(6)ドリームクラフト
△(8)スーパーワシントン
△(3)スズヨシーズン
△(4)コスモフィナンシェ
<お奨めの1頭>
11R ブリス
中央未勝利から転入後、けた違いの強さで6戦6勝。今回はC1昇級、距離も未知の1600m延長だが、勢いで難なく克服する