月曜メインレースは全国交流のダートグレードレース・マーキュリーカップです。始めに騎手変更のおしらせから。
台風4号接近に伴うJRA小倉競馬の代替開催実施に伴い、当初騎乗予定だったJRA騎手3名が騎乗変更となっています。
7番メイショウアズーロ・・・小牧太騎手→村松学騎手
11番クーリンガー・・・和田竜二騎手→武士沢友治騎手
12番エイシンロンバード・・・武豊騎手→内田利雄騎手
発表になったのが土曜日の昼過ぎで、一部専門紙などでは変更前のままになっている場合があります。改めてご注意下さいますようお願いいたします。
さてマーキュリーカップ。11回目を迎えるこのレース、今年は全体にやや粒が小さい感じ。かつては“残念帝王賞”といえる位置にあってハイレベルの戦いが繰り広げられたのですが。ただこれは、JRAも含めて全国的にダート中距離の層が薄くなっていますからね。仕方がないとは思います。
そんな中で抜けた存在に見えるのがJRA・シャーベットトーン。重賞戦線に登場し始めたのは今年からですが、平安SG3・3着、川崎記念G1・4着、東海SG2・3着とすでにいつ勝ってもおかしくない成績を残しています。前走や東海Sのようにいいペースで先行しながらもゴール前ちょっと差されてしまう、そんな勝ち味の遅さはありますが、とはいえここまで重賞で負けた相手も強いですからね。今回のメンバーなら勝機、というか確勝を狙っての出走でしょう。これが主軸。
対抗は、岩手のサイレントエクセルを推します。みちのく大賞典は1番人気に推されつつも3着。まだ完調ではないのかなという結果でしたが、今回はそこからの上積みも期待十分。天候不良で軽いコース状態になりそうなのもこの馬にとってはプラスです。
3番手も岩手からテンショウボスでどうでしょうか。みちのく大賞典を制覇して古馬重賞2勝目を挙げ、いまや岩手のトップクラスの1頭となりました。スピードタイプだけに正直この距離は長いかなと思うのですが、若い4歳馬の成長力に乗ってみたいところ。
以下はいずれもJRA勢から。まずクーリンガーはさすがに衰えが感じられる今年ですが、マーキュリーカップは過去4回の出走でいずれも掲示板を外していない安定した成績。ディバインシルバーの例もあるようにこういうタイプは得意コースで一変の可能性がありますし、先行力もあるから押さえは必要。
もう一頭はメイショウアズーロ。1600万下挑戦の前走は全くレースをしていません。緩い流れで前々の競馬をすれば流れ込みあっておかしくないでしょう。
買い目はまず5枠8番シャーベットトーンと8枠14番サイレントエクセルを裏表で押さえつつ、この2頭をフォーメーション1・2着に入れて3着に3、7、11へ。個人的にはサイレントエクセル頭に色気を出してみたいです。
◇お奨めこの一頭
7R:ノーブルウイング
1800m戦はこの馬にはやや距離が長く、前走の敗戦はそれも影響。ただここは相手関係が大幅に楽だし、勝ってクラスを上げなくては短い距離に出られないのだから、意地でも勝ちたいレースだ。
14日メインは今年新設のA2特別「第1回ラ・フランス賞」(盛岡芝1700m)、10頭立て。
このメンバーは実力伯仲、というより各馬が一長一短でちょっと難しい一戦となった。盛岡芝の実績を優先するか、トータルでの芝適性を優先するか―迷ってしまったが、ここはマイネルアルバの中央芝3勝を重視してみたい。
マイネルアルバの中央時代3勝の内訳は芝1200m、芝1600m、芝1800mでそれぞれ1勝ずつ。その他に芝で2着3回の実績を残している。
岩手初戦は今年6月、A2級・盛岡ダート1600m戦。この時は2月18日、JRA東京・1000万下(甲斐駒特別)以来、3ヵ月半ぶりの実戦だったにもかかわらず、後方待機策から鮮やかな直線抜け出しを決めて快勝。幸先の良いスタートを切ったが、続く2戦目は3番手キープから直線一杯となって7着に沈み、今回は1ヶ月ぶりのレースとなった。
カギは初の盛岡芝に尽きる。いかに芝を走り慣れているとは言え、小回りをどうこなすか。そして初戦で見せた末脚は見事だったが、今回はペースが速くなるとはまず考えられず、前半に貯めて直線勝負に賭けたら脚を余して負けてしまわないか、これが不安材料となる。まぁ、名手・小林騎手のこと、そのあたりは杞憂に終わると思う。
相手筆頭にタイキスペクトルを指名する。マイネルアルバと同じ小林義明厩舎でコンビを組むのは、この日から岩手競馬で騎乗する内田利雄騎手。今回も華麗な手綱さばきを見せてくれるに違いない。
タイキスペクトルは一昨年12月に転入し、当初はB3スタートでいきなり2連勝をマーク。続く一戦でA2へ昇級したためメンバーが強化され、頭打ちのレースを繰り返し、B1へ降格しても凡走続きだった。
ところが芝、そして内田利雄騎手に替わって動きが一変した。当日メインのB1級芝1600m特別「ジュライカップ」では10番人気と低評価だったが、それを見事に覆して1着。当然だが、3連単17万円のビッグ配当となった。
続くダート戦は4着止まりに終わったが、同じクラスの芝1700m戦・パストラルガーデンカップでも鮮やかに抜け出して芝2連勝。秘めた適性を存分に発揮した。
その後、A2へ復帰し、芝でも2、6、4着と伸びひと息に終わったのが気になるが、盛岡芝の対応力はこのメンバーで1、2の存在。久々の芝、内田利雄騎手とのコンビでどんなレースを披露してくれるのか非常に楽しみとなった。
タイキスペクトルと同様、盛岡芝を得意としているのがプリンセスワールドだ。
過去、盛岡芝<2.1.2.5>。しかもJRA500万下と岩手A2級との芝交流戦でも常に上位争いを演じており、中味も非常に濃い。ネックはいかにダート戦だったにしても、今季は3着最高と精彩を欠いている点。適性は十分に理解していても▲評価に落ち着く。
エルハーベンハイトは中央8戦未勝利に終わったが、芝2000mで2着2回3着1回。その持ち賞金の関係でA2へ格付けされ、当初はクラスの壁に突き当たっていたが、一戦ごとにペースにも慣れ始め、前回2着を確保。4歳の成長期とあいまって、上昇著しいのが目につく。しかも今回は実績のある芝に加え、アドマイヤボス産駒は盛岡芝が大得意。アッサリ首位に躍り出ても何ら不思議はない。
サクラスターダムも決して軽視はできない。中央時代の3勝はダート戦だったが、芝・1000万下でも3、4着に入ったこともあり、マイネルアルバと実績比較では見劣らない。岩手転入は北海道、南関東を経て今年4月。移籍初戦・A1級で2着に入り、これで通用するかと思ったが、以降の3戦を凡走。しかし今回は芝に替わって一変の可能性がある。あとは気配アップのヒカルダイチも若干押さえたい。
◎ ?マイネルアルバ
○ ?タイキスペクトル
▲ ?プリンセスワールド
△ ?エルハーベンハイト
△ ?サクラスターダム
△ ?ヒカルダイチ
3連単は5、7、1のボックスをお奨めだが、7を1着固定に7、1、9、3のフォーメーションの手もあるかも
馬複は5−7、1−5、5−9、3−5、1−7
<お奨めの1頭>
11レース エイシンリトルオー
転入後は芝、ダートを問わずすべて3着以上にまとめて安定度抜群。ここは盛岡初勝利のチャンス
15日(日)メインは地方競馬全国交流「第29回せきれい賞」(盛岡芝2400m)、12頭立て。このレースは天皇賞・秋のステップ競走代表馬選定競走に位置づけられ、大井から2頭、川崎から2頭の計4頭が参戦してきた。
参考となるレースは同条件で行われたトライアル・かきつばた賞。1番人気に支持されたのはタイキリオンだったが、自慢の末脚が不発に終わって4着。2400mの長丁場に手こずった印象だった。
一方のサイレントグリーンは積極的に前へつけ、4コーナーでは早くも先頭。他の馬がなし崩し的に脚を使ってしまったが、板垣騎手は芝2400mの攻略法を知り尽くしたレースぶりを披露し、これでかきつばた賞3度目の制覇を果たした。
(かきつばた賞ゴール 優勝サイレントグリーン 写真・佐藤到)
昨シーズンのサイレントグリーンは精彩を欠いて年間未勝利に終わり、ピーク過ぎたかと思わせたが、かきつばた賞で見事に復活。今年はジェーピーバトルのような強烈なオーラを放つ馬が不在で、サイレントグリーン優位は動かし難く、一昨年に続くせきれい賞2度目の制覇を狙っている。
本線にマルタカキラリーを採る。休み明け初戦のあじさい賞を3着にまとめ、2戦目の前走・かきつばた賞は2着。やはり中央4勝の内訳が芝2000mで3勝、芝1700mで1勝はダテではなく、小回りの芝2400mも守備範囲を証明した。
かきつばた賞の着差は0・9秒と6馬身もつけられてしまったが、これは先にも記したとおり板垣騎手の好騎乗が光ったレース。まだ逆転の余地は十分にあると思っている。
タイキリオンは前々走・あじさい賞(盛岡芝1700m)では後方でジックリ待機策から直線勝負に賭けたが、その戦法がズバリ的中。鮮やかな直線一気を決め、中央重賞ウィーナーの貫禄を見せつけた。その内容から芝2400mもこなすだろうとかきつばた賞で1番人気に支持されたが、3番手から伸び切れずに4着に敗れた。
G?・ニュージーランドトロフィー(3歳)が中山芝1600m、そしてあじさい賞は芝1700mが舞台で本質的にマイラーだとは分かっていたが、かきつばた賞で距離適性があれほど出るとは思わなかった。まさになし崩し的に脚を使わされ、切れ勝負型の本領を発揮できずに終わった。
それでも盛岡芝2400m戦2度目なら大丈夫ではないかと踏んだし、加えてメンバーも骨っぽくなく、ここ一番では適性以上に底力がモノを言う。
遠征組ではトネノキングの存在が気になる。中央芝の挑戦はこれまで5回あり、初の芝レースとなった東京500万下・ゆりかもめ賞(芝2400m)でタイム差なし2着の実績を誇る。その後、東京ダービー、ジャパンダートダービーで連続5着に入って、ここでは能力上位と見ていいかもしれない。
マイネルアルドーレは中央1勝(芝2000m)に止まったが、芝2000m〜2600mで2着7回3着1回。南関東3戦とも着外に沈んでいるが、芝に替わって一変の可能性がある。
◎ ?サイレントグリーン
○ ?マルタカキラリー
▲ ?タイキリオン
△ ?トネノキング
△ ?ナイキアヘッド
△ ?マイネルアルドーレ
3連単は5、9の1、2着折り返しから3、10を厚めに。11、1は押さえ少々
馬複は5−9、3−5、5−10、3−9、9−10
<お奨めの1頭>
11レース アドマイヤウイング
好調度を前面に芝、ダートで目下2連勝中。メンバーも前回より楽になり、中心疑わず
まずはテシオPOGのご報告から。
先の日曜日、8日に行われた新馬戦フューチャー競争に募集番号3番「ビューティオペラ2005」(父シャーディー)が、ビューティドリームの名で登場! 3番人気でスタートしたビューティドリームはするすると先頭に立つとそのままゴール前まで粘り、最後は1番人気のテンショウベストに交わされたものの2着と大健闘しました。ご応募下さった秋田市の石井さん、おめでとうございます。
ビューティドリームは今年の3月、私がPOG馬の取材で盛岡の厩舎を回った際ちょうどその日に入厩したということで写真を撮りに行きました。そのときは大雪の日に見慣れぬ土地にやって来たばかりで馬房の隅でおどおどしていた彼女。しかし馬群を引っ張ってレースを戦う姿は見違えるように立派でしたね。
左:2着でゴールするビューティドリーム 右:3月12日、到着したばかりの馬房にて
さて、いよいよ次週は今期最初のグレードレース、マーキュリーカップJpn.IIIですね。このJpn.格付けってどうもまだ馴染めないのですが、世界の競馬界の中で、日本の存在が確固たるものとなった証しとして受け入れるべき時なのでしょう。OROの2000mを舞台に、熱き戦いが繰り広げられる!さ〜ぁみなさん盛り上がっていきましょ〜!! ……といきたいところですが、ワタクシいま個人的にテンション下がってます。理由は、岩手馬の大将格がはっきりしないから…ではなく、自分のパゾコンが壊れたから。私的なことでスミマセン m(_ _)m
我が家にはWindowsとMac2台のパソコンがあって、万一の時にも仕事が出来るようになっていたのですが、どういうわけか今回は次々に逝ってしまいました。泣)何かに祟られているのか…
そこで急遽、知り合いの店でお蔵入りしていた古いPCを借りてきたのですが、これがふた昔程前のマシンなので、処理速度は遅いし、サイズの大きな画像ファイルを複数同時に扱うなんて無理。さらにはUSBが1.1なので、競馬で一日撮影したデータをコピーするのに30分から1時間近くもかかってしまいます。貸してもらっておいて言うのもなんですが、ほんの数年前まで現役だったはずの機械でも、いまの時の流れのなかではあっという間に古道具になってしまうのですね。まぁそれでもこうして仕事ができるだけでもありがたいのですが。
というわけで今回はこのへんで。あ、マーキュリーまでにはテンションあげて臨みますので、みなさんも見に現地やライブ中継に見に来てくださいね。
(文・写真/佐藤到)
7月7日 第8回ミルキーウェイカップ(3歳オープン ダート1800m)
(写真・佐藤到)
1着 マツノメガミ
外から好ダッシュを決め、同型オーナーズスキャンが後方に控えたこともあってスンナリ先手を取る。2コーナーからスッとペースを落とし、これで息を抜けたのが最後で二の脚を使えた最大の要因。そして3コーナーで徐々にピッチを上げ、4コーナーでは後続に3馬身ほどのセーフティリード。これも板垣騎手の絶妙の判断で、ネバーオブライトが差を詰めようとしたが、マツノメガミはさらに突き放してゴール。2連勝を飾るとともに初タイトルを手に入れた。
「スタートで競られなかったので、楽に逃げることができた。4コーナーで後ろを離したのは追って伸びるタイプではないから。あのぐらい離さないと…と思って早めにスパートをかけた。まじめで気のいい馬なのでとても乗りやすい」と板垣騎手。
2着 ネバーオブライト
マツノメガミの3馬身ほど後ろを追走。ゆったりとしたペースだったため、ここ2戦のように追っ付けどおしではなく終始2番手をキープし、直線勝負に持ち込もうとしたが、マツノメガミの方の脚色が上回り、4馬身差をつけられてしまった。
それでもひとまず2着にまとめたのが収穫で、タイプ的に忙しい競馬より今回のような中距離以上が合う印象を受けた。
3着 ハルサンヒコ
ネバーオブライトからまた3馬身離れた中団インを追走し、3コーナーからジワジワ差を詰めようとしたが、伸び案外に終わる。
ダイヤモンドカップ1、2着馬が不在。そしてボスアミーゴも福島遠征で絶好のチャンスかに見えたが、同厩マツノメガミの逃げ切りにしてやられる。いわゆるどんな相手でも上位争いを演じる一方で、メンバーに恵まれても勝ち切れないタイプで、どこかでひと皮むけないと表舞台での白星は難しいかもしれない。
7月8日 第7回ふみづき賞(B1級以下 ダート3000m)
(写真・佐藤到)
1着 ベリーメリーホーク
現在、日本ダートでは最長の3000mが話題を呼んだが、ツジジオットがレースを非常におもしろくした。そのツジジオットは大逃げを打ったと思ったら、600m以降はガクンとペースダウン。緩急自在の戦法を取ったが、ベリーメリーホークはそれに惑わされず終始5番手でジックリ待機する。徐々にペースが上がり始めたラスト800mから仕掛け、4コーナーではツジジオット、ウエストサンオペラを射程圏内に入れる。
ラスト200mあたりでウエストサンオペラと併走状態になったが、馬体を併せると渋太いのを知り尽くしていた菅原勲騎手は、ベリーメリーホークを意識的に離して大外コースを選んで交わし、盛岡ダート3000mのレコードホルダー(基準がないため、あくまでも参考だが)となった。
「忙しい競馬より今回のような長い距離が合うし、道中はまったく掛かるところがなく、直線までいかに脚を貯めていられるかだけを考えて乗った。長丁場はいかに騎手が我慢させるかがカギなので、折り合いがつくこの馬にはベスト」と菅原勲騎手。
その言葉どおり、菅原勲騎手は見事な騎乗ぶりを披露した。
2着 ウエストサンオペラ
1周目スタンド前でヒメツバキが掛かり気味となって2番手まで進出したが、こちらは終始2、3番手インをキープ。ツジジオットが4コーナー過ぎに一杯となって押し出される格好で早め先頭に立ったが、それでベリーメリーホークの格好の標的になった格好。それでもゴールまで内で粘ったが、競り合いを避けられたのが痛かった。
3着 ヤマニンリボールト
ベリーメリーホークと同様、道中は掛かることなく4番手をキープ。4コーナーで徐々に先陣に接近したが、そこで脚色が一杯となった。
4着 ツジジオット
先にも記したが、3000mレースを盛り上げた最大の功労馬。いつもどおり好スタートから1周目3コーナーでは後続を10馬身ほど離す大逃げを打ったが、その後はガクンとペースを落とし、後ろを団子状態にする。向正面では5、6馬身と馬群がグッと詰めるほどのスローに落とし、まさに関本浩司マジック。そして4コーナーまで主導権を握ったが、さすがに直線を向くと苦しくなって失速したものの、3000mの長丁場でずっと緊張感を保ってレースを運んだ功績は大だった。