8月、名古屋競輪場で行われたガールズドリームレース。ファン投票で選ばれた選手によるレースで優勝をした石井貴子選手(千葉106期)。
そのレースの振り返りとすぐ迫っている伊東温泉競輪場でのガールズケイリンコレクションへの意気込み、また333バンクを走る難しさなどお伺いしました。
山口:ガールズドリームレース、優勝おめでとうございました。
石井:ありがとうございました。
山口:当日の名古屋競輪場は物凄い暑さだったようですね。
石井:そうですね。オールスター競輪の開催中はバンク内が40℃以上の日もあったようです。聞いた話では最終日が一番暑かったみたいですが、私たちが走った4日目も同じような暑さだったと思います。
山口:石井選手、暑いのが苦手なイメージでしたが、大丈夫でしたか?
石井:私、本当に暑いのが大嫌いです。実は去年のドリームレースも暑くて痛い目にあったので、今年はかなり対策していきました。
山口:具体的にはどんな対策をされたんですか?
石井:ある程度はトレーニングで暑さに慣れないといけないと思っていました。でも熱を体にこもらせてしまうと影響が残ってしまいます。しっかりバンク内で練習はしつつ、その他の時間は体を冷やして2~3週間かけて想定される暑さに体を慣らしました。
実は4月に名古屋競輪場で練習をさせていただく機会があり、十分乗り込んでありました。なので前日の指定練習は体力温存の為にバンクには行きませんでした。
山口:備えはばっちりだったんですね。
石井:去年は本当にびっくりするくらい暑かったので、今年はしっかり備えて行きました。暑いと本番のレースでも頭がボーッとして瞬時に体が動かないことがあるんです。反応が遅れると致命傷になる場合もあるので、重要な課題です。
山口:そういう意味では、2年連続で名古屋開催というのは、対策はしやすかったんですか?
石井:はい、環境においては対策できたと思います。車番はファン投票の順位で変わるので対策のしようはないですけど、レースに臨むまでの対策はしっかりできました。
山口:7月のビッグレース・ガールズケイリンフェスティバルの時に、次回のドリームレースへ向けても頑張りたいというお話がありましたが、フェスティバルが終わってからの取り組みはいかがでしたか?
石井:ビッグレースでの2着が続いていたので、次こそはという気持ちで練習してきました。
今年はコロナの影響で5月のコレクションが中止になり9月へ移動した形になりました。なので7月のガールズケイリンフェスティバル、8月のドリームレース、そして移動した9月のコレクションと、この3か月が勝負になります。5月が中止になった事で7月までは賞金ランキングも混戦でしたし、この連続した3つのビッグレースへのスケジューリングは意識をしていました。1戦目のガールズケイリンフェスティバルでは決勝2着だったので「次のドリームレースは優勝するぞ」と気合は入りました。
山口:ガールズドリームレースはファンの皆様に選ばれてのレースですが、その辺りはどう感じていましたか?
石井:今年のファン投票は投票期間がコロナの自粛期間と重なっていました。中止の開催が相次いだこともあり、私自身なかなかそういうイベント(ファン投票)を前向きに捉えることができなかったですし、ファンの皆さんも色々大変な時だったと思います。そんな中で、ファンの皆さんが私のことも気にかけて投票をしてくださっていたのは本当にありがたいことだなと思いました。
山口:そんなレースでの優勝は改めていかがですか?
石井:走れるチャンスをいただけるのならば、あとは私が頑張らないといけないなという気持ちで走りました。投票してくださった方もそうでない方も、画面越しにレースを見ていただけたと思うし、そこで私が勝てたことは幸せだなと感じました。
山口:レースについて振り返っていきます。石井選手の勝敗のポイントはどこにありましたか?
石井:私の場合は、初手の位置を取り合う時、そして児玉碧衣選手(福岡108期)がカマシにいった時に、高木真備選手(東京106期)が児玉選手に飛びつこうとしていたので、追走していた私はそれをしのがなければなりませんでした。
山口:児玉選手が早めに仕掛けるというのを想定していましたか?
石井:どんな展開になるかは予想していなかったです。というのもレース前のインタビューではほぼ全員が「スタートして初手の並びを見ないとわからない」と言っていましたし、まさにその通りでした。全員がどういう初手位置になるかわからない中でしたが、レースの中心になる選手は児玉選手と高木選手かなと私は思っていました。その2人が1番車、2番車なので「2人はおそらく中団辺りにはいそうかな、どちらが前だとしても私は絶対2人の近くにいないとだめだな」とは考えていました。
山口:展開がそこまで読めなかったんですね。最後に児玉選手を抜きに行こうというのはどの辺りの判断だったんですか?
石井:児玉選手が先行した時点で、私のすべきことは2番手の位置をキープすることと、最後の力を貯めつつ追走して、追い込むタイミングを誤らないことでした。 児玉選手の先行なのでよっぽどのスピードじゃない限り捲りに来れないと思います。もし先行が違う選手だったら、後ろからの捲りに合わせて自分も仕掛ける準備をしないといけませんが、児玉選手のスピードでは絶対捲れないなと思って追走と追い込みに集中しても大丈夫だと判断しました。
山口:なるほど!強い児玉選手の先行だから、なんですね。
石井:そうです。タイムも凄まじかったですし、グイグイと加速していく感じに痺れました(笑)。
山口:賞金争いも後半戦に突入しましたが、その点はいかがでしょうか?
石井:1つビッグレースを勝てたのは良かったと思います。今年はコロナの影響で開催が中止になったり、練習で松戸競輪場が使えない状況が続いて練習ができない時期がありました。そういった不安定な状態の中で、自分が勝負所だと思った7~9月に良いコンディションで入れたのは非常に良いことだし、自分でも頑張ったと思います。
しかしガールズケイリンでは、11月の競輪祭を走りきるまではオッズパーク杯ガールズグランプリが確定しません。去年は賞金ランキング3位で競輪祭を走り終えたんですが、ガールズグランプリの車番は競輪祭を優勝した2選手が1番車、2番車だったため、賞金ランキングは3位でも5番車での出走でした。
グランプリという最高峰のレースで外枠での出走は初手の位置が不確定ですし、読めないから嫌だなと、これは今回のドリームレースでも感じた事です。なので今年は内枠でグランプリを走る為にも、ここからもまだまだ勝負ですね。
山口:まもなく伊東温泉でのガールズケイリンコレクションも控えています。5月から9月への移動はどう感じましたか?
石井:まず延期して再度開催していただけることにとても感謝しています。私個人としては9月開催になったことはとてもラッキーでした。というのも4月はコロナの影響で松戸競輪場が使用できなかったんです。練習環境に苦労していてトレーニングもあまりうまくいっておらず、競走でもリズムを掴めていない状況でした。
なので9月になって本当に良かったです。
山口:メンバーはいかがでしょうか?
石井:梅川風子選手(東京112期)はとても強いですし高木選手は相変わらず絶好調、他の選手も強い選手ばかりです。
伊東温泉は333バンクで、私は6番車と外枠での出走です。難しい部分もたくさんありますが必要な動きがちゃんとできるように、トレーニングして準備します。
山口:333バンクの方が、車番が重要なんですか?
石井:車番というよりも333バンクでのガールズケイリンの競走形態ですね。残り1周半まで誘導員がいるのでそれがネックです。レースのスピードやレベルが上がった時に打鐘前後10秒ほどの間に正しい判断ができないと勝ちからは遠ざかる。一瞬の判断が命取りになる可能性が高いんですよ。
誘導員がいなくなった時点ですでにゴールまで500mを切っていて、尚且つコーナーが3つに短い直線。考えるだけで恐ろしいでしょう?(笑)
例えば力の差がはっきりしていて、私の先行をみんなが待っている時などは自分のペースで仕掛けられるので問題ないですが、力が拮抗すれば話は別です。なので333バンクは、仕掛けるタイミングと位置取りがシビアなんですよ。
でもちょうどコレクションの前に松戸での開催に斡旋が入っているんです。333バンクを実践で走れるので、そこでタイミングなどをはかりたいですね。私自身333バンクでのレースが久々ですし、高木選手も同じ斡旋なのでありがたいですね。勝つ負けるは別としても、そこで良い勉強材料が見つかると思います。
山口:この後へ向けて、暑い中ですが今の練習状況はいかがですか?
石井:名古屋辺りまでの暑さは少し落ち着いたので練習もしやすくなりました。もうコレクションまで期間は迫っているので、トレーニングをしっかりして万全な状態で伊東温泉競輪場へ入りたいと思います。
山口:ありがとうございます。それでは最後にオッズパーク会員の方へメッセージをお願いします。
石井:まずはファン投票で選んでいただきありがとうございました。おかげ様でガールズドリームレースを優勝できました。まだまだ大きいレースも続きますし、今年こそグランプリで優勝できるように頑張っていきますので、今後とも応援よろしくお願いします!
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
-------------------------------------------------------
※写真提供:公益財団法人 JKA
8月、名古屋競輪場で行われたアルテミス賞レースで、ビッグレース初制覇となった梅川風子選手(東京112期)。
初めて走ったファン投票で選ばれたレースの振り返りや、ナショナルチームで練習している現在の状況、まもなく開催される伊東温泉競輪場でのガールズケイリンコレクションへの意気込みなどを伺いました。
山口:アルテミス賞レース、優勝おめでとうございます。
梅川:ありがとうございます。
山口:初めてのビッグレースの優勝はいかがでしたか?
梅川:率直に、嬉しかったです。物足りない感じはありましたが、嬉しいです。
山口:アルテミス賞はファン投票で選ばれた選手が走るレースですが、その辺りはどうでしょうか。
梅川:それが何よりも嬉しかったです。今回のコレクションはいつものレースとは違って自分の力だけでは出場できない舞台です。今年は9位で選んでもらって、走らせてもらえたという感謝の気持ちをレースで表したいと一番に思って臨みました。
山口:オッズパーク杯ガールズグランプリを始め単発レースは何度も経験されていますが、雰囲気はいかがでした?
梅川:そこはいつもの単発レースと同じような雰囲気でしたね。変わった感じもなく自分もいつも通りで臨めました。
山口:猛暑の中のレースだったと思いますが、その辺りはいかがでしたか。
梅川:私は暑いのは全然気にならないので、特に苦痛ではなかったです。
山口:残念ながら無観客での開催でしたね。
梅川:そうですね。でも最近は無観客のレースも多かったので、それに慣れてしまってはいました。お客さんの前で走る機会があまりなかったので。
山口:レースの展開を振り返っていきます。石井貴子選手(東京104期)が先行でしたが、それは想定していましたか?
梅川:いや、初手の並びで変わると思っていたのでどうなるかはわかりませんでした。並んだ時に、瞬間的に皆さんがどう動くかなと考えましたね。
山口:ご自分の初手の位置取りはどうでした?
梅川:真ん中あたりにいられたのは良かったと思います。初手で前に押し出されることも想定はしていたんですが、そうならなかったですしね。どちらでも対応できるようにはしていました。
山口:バックストレッチ5番手から捲っていきましたが、2番手からは大久保花梨選手(福岡112期)も捲っていました。踏み合いはいかがでしたか。
梅川:花梨とは何度も同じような展開でレースをすることがあり、勝ったり負けたりその時々なんです。踏み合いも長引いたので苦しかったですね。ゴール前までもつれましたし、後から聞いたんですが名古屋のバンクはインコースの方が有利だったみたいです。かなり内で粘られ苦しかったです。
山口:ゴール前は「勝ったな」という実感はありましたか?
梅川:いや、私の後ろに梶田舞さん(栃木104期)がいてかなり鋭く追い込んできていたので、どっちが1着だったかはわからなかったです。
山口:そうだったんですね。アルテミス賞へ向けて何か特別に調整したことはありますか?
梅川:調整はほとんどしていません。実は競技の「オリンピックシミュレーション」という来年のオリンピックを見据えた摸擬レースがあったんですが、それに参加し、そこへ向けて調整をしていたのでアルテミス賞レースの時にはひと段落ついていました。
直前は休みもあったりして疲れはなかったですが、脚のハリなんかは心配する部分でした。それ以外は問題なく進められましたし、結果も出たので良かったです。
山口:次のガールズケイリンコレクションが9月にあります。5月と同じメンバーですが、5月の中止が決まった時や9月に移動になると決まった時はどう感じましたか?
梅川:5月の時には「やっぱり中止か」と覚悟はしていました。驚きはなく仕方ないという気持ちでしたね。9月に開催されると決まった時は嬉しかったですが、自分の中では「5月のコレクションは無かったもの」として消化していたので、ふわっとした気持ちでした。
5月のコレクションは元々1月のトライアルレースで各選手が出場権をかけ自分で勝ち取ったコレクションですが、それでももう無いものとして諦めていたので、開催してくれたのは驚きでした。
山口:メンバーを見ていかがでしょう?
梅川:その時々によってコレクションを走る選手は違いますが、どのレースでもあんまりメンバーを見て意識することはないです。平常心で走るだけですね。
山口:伊東温泉競輪場のバンクの印象はいかがですか?
梅川:結構難しいバンクかなと思います。333バンクですしね。普段はやっぱり400バンクを走ることが多いので、慣れないという部分もあります。
山口:気を付けるのはどんな所ですか?
梅川:やっぱり一番は後方にならないことです。
山口:位置次第では、積極的に仕掛けないとという場面もありますか?
梅川:積極的にいかないといけない部分も出て来るでしょうし、どこかで仕掛けを待たないといけない場面もあると思います。それはレースの展開に応じて考えないといけないですね。
山口:梅川選手はレースの組み立ては、初手が決まってから考えるんですか?
梅川:ある程度の想定はしますが、でも並んでみないとわからないことがたくさんあるので、並んでから考えることも多いですね。
山口:想定外で焦ってしまうことはあるんでしょうか?
梅川:それはもちろんあります。予想しない動きが絶対どこかではあるので、焦る時はありますよ。
山口:そんな時はどう立て直すんですか?
梅川:レース中に自分で「これは焦った上の動きだな」と思うことはないですが、レースが終わってから振り返った時に「あの時は焦っていたんだな」と思うことはたくさんあります。
そんな時は展開などを見て「落ち着いたら仕掛けられたな」と次に繋げていきますね。
山口:練習地をナショナルチームに移されてしばらく経ちましたが、いかがでしょうか?
梅川:オールスター競輪が終わり、今ようやく練習が始まった所なので、あまり実感はないですね。これからしっかり染み込んでいくと思います。ようやくスタートです。
山口:今までご自身でしていた練習と大きく変わる所はありましたか?
梅川:内容は、私が今までやっていたものと大きく変わらないですが、質が高まったと思います。これからどう自分が変化していくか楽しみです。質に関しては求められる物がとても高いので、そこを自分のものにできたら良い感じに変わると思います。
山口:ナショナルチームに入るきっかけは何だったんですか?
梅川:同期の太田りゆちゃん(埼玉112期)がきっかけでした。自転車をする前はスケートでオリンピックを目標にしていたこともあり、ガールズケイリンに転向してもオリンピックを意識はしていたんですが、ふんわりした気持ちだけではいけないなと自分では思っていました。
そんな時にりゆちゃんと同じ開催で話すことがあり「良い環境を自分から求めれば、練習することができるよ」という話題が出たんです。
その後、コロナでの自粛・中止の期間があり自分の中でどうするか考える時間が1か月ほどありました。しっかり考えた結果、ナショナルチームに参加することを決めました。良いタイミングだったと思います。
行動に移すタイミングを見つけられなかったんですが、その時にりゆちゃんと話ができたというのが大きかったです。
山口:今年の2月にインタビューさせていただいた時に「より良い練習環境は常に求めている」というお話をしていただきましたが、まさに今良い環境で練習ができていますか?
梅川:確かにそんな話をしましたね(笑)。そういうことですよね。以前からずっとより良いトレーニング環境は求めていたのでまさに、という感じです。
山口:目標はどこですか?
梅川:パリオリンピックを目指しています。そこで戦えるように準備をしていきたいです。
山口:今のところの競技との両立はどうですか?
梅川:そうですね、今は練習をし始めた段階でまだ実際の国際レースを走っていないので未知数ですね。これから調整していくべき所ですし、選ばれれば国際レースにも出場できたら良いと思うのでしっかり練習に取り組みたいです。
山口:ガールズケイリンの後半へ向けての目標は何ですか?
梅川:もちろんガールズグランプリも意識しています。まずは出場権を得ることが一番の目標で、その先にグランプリを優勝するというのがあるので、選ばれるようにしっかり走りたいです。
山口:賞金ランキングの順位はいかがですか?(9月上旬では第4位)
梅川:まだトップの選手とも下位の選手とも大きな開きはないですし、ビッグレース1つか2つで逆転するもされるも可能です。まだまだ気は抜かずにいきたいですね。
山口:アルテミス賞レースの優勝でビッグレースを1つ勝ちました。この後のビッグレースなどに向けてのモチベーションはどうですか?
梅川:どんなレースでもまずは目の前のレースを一つ一つ走るのが大切だと思うので、先のことよりは目の前のレースをしっかり走りたいです。その先にグランプリがあると思うので、とにかく目の前のレースをしっかり走ります。
山口:最近SNSも始められましたが、この優勝でファンの皆さんの反応はいかがでしたか?
梅川:今まではSNSをやっていなかったのでファンの方との交流はなかったんですが、始めてみてファンの方からたくさんの応援をもらったり、逆に私から投稿という形でメッセージを送れるのがうまくできるようになったり、とても身近に感じられました。それはとても嬉しいかったです。
SNSをしていない時は、競輪場に見に来てもらうしかお客さんの声は聞けなかったのですが、気軽に交流できるのが良いなと思いました。
山口:ファンの方もより身近に感じられるかもしれませんね。それでは最後に、オッズパーク会員の方へメッセージをお願いします。
梅川:とにかく目の前のレースを大切に走った後に、年末や大きな目標が現れると思います。一走一走を大切にして、ファンの皆さんの嬉しい声がまた聞けるように頑張りたいと思います。
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
-------------------------------------------------------
※写真提供:公益財団法人 JKA
日本競輪選手養成所から史上初の早期卒業者に選ばれた寺崎浩平選手(福井117期)。同期より約半年早く迎えたデビュー戦では、すべて1着の完全優勝。そこから最速記録を次々に更新。今、最も注目を集めているルーキーにデビューからここまでの話、そして、次のGII共同通信社杯競輪への意気込みを伺いました。
星野:まずは、8月に行われたオールスター競輪お疲れ様でした。初めてのGI開催はいかがでしたか?
寺崎:1次予選に関しては、打鐘から仕掛けてラインでも決まりましたし自分らしいレースが出来たと思うんですが、準決勝戦は悔いが残るレースになりました。
星野:いつもなら後方に下げてから一気に先頭まで仕掛けるところを、一旦中団に入りましたね。
寺崎:仕掛けたときに中団が空いていて、そこに新田さん(新田祐大選手・福島90期)がいたので、新田さんの強さはナショナルチームでも良く知っていますし、その動きを封じ込めれば自分が動きやすくなるんじゃないかと、新田さんの強さを意識してしまいました。結果、慣れないことをしてダメだったんですけど、それも経験だと思っています。
星野:周りの先輩からは何かありましたか?
寺崎:そうですね。どう走れば良かったのか先輩に聞いて、レースは毎回振り返っています。色々とアドバイスもいただきましたが自分のダメな気持ちが出たんだと思います。2度同じ失敗をしないようにと言われるので、そこはいつも修正して走っています。
星野:そして、オールスターの最終日はいつも前受けからなんですが、スタートは後方からの攻めになりました。作戦面などいかがでしたか?
寺崎:基本的には前受けのスタイルで組み立てているんですが、敢えて後ろから組み立ててみようと後ろを取りました。今後に繋げる走りをしてみたかったんです。だけど、流し方が分かっていなかったですね。
星野:挑戦していくのも大切ですし、まだデビューして一年経っていませんし、今はたくさん経験を積んでというところだと思いますが、近いところの目標は何ですか?
寺崎:まずはグレードレースの決勝戦に勝ち上がりたいです。そこで持ち味を生かしたレースをしたいですね。大きな目標としたら、やはりGIのタイトルが獲りたいです。
星野:持ち味というと、ご自分ではどう考えていますか?
寺崎:GIIサマーナイトとGIオールスター、それに地元の福井記念も走らせていただいて、活躍している選手は戦術面も上手いですし、経験不足を感じています。ただ、トップスピードに関しては超一流の選手と当たっても通用するなということは分かったので、やはりスピードですね。全体的にレースのスピードも早くなってきているので、持ち味生かしたカマシで戦って、後はいかに自分の展開に持ち込むかだと思っています。
星野:デビューしてから、戦法も変わってると思うんですがその辺りはいかがですか?
寺崎:そうですね。デビューしてからは、何としてでも早くS級に上がろうと思っていたのもあり、捲りを多用していました。そして、S級になってからは近畿地区の自力選手としての走り方や、自分のスタイル、地位を築いていかないといけないなと思うようになり、変わってきましたね。それに、S級では捲り一本では通用しません。何でも出来たらと思っているので、今は戦法には拘っていません。どんな展開になっても勝てるように、もっと脚力をつけていきたいです。
星野:今、トレーニングはどんな感じでされているんですか?
寺崎:今はナショナルチーム「B」で練習しているんですが、本当に練習環境が良いんです。トップの選手たちと練習出来るのも刺激になっています。僕の目標は同県の脇本さんなんですが、先行日本一ですし、スピードに関しても日本でトップクラス。そんな先輩の近くで練習出来るのは贅沢な環境だと思っています。そして、そこに追い付きたいですし、連携するときは僕が前で走らせていただけるようにと思っています。
星野:実際に、サマーナイトフェスティバルの時に初めて連携されましたね。
寺崎:まさか、一緒に走れると思ってもいなかったので、デビュー戦より緊張しました。
星野:さて、日本競輪選手養成所から早期卒業者としても史上初となりますし、そこから、18連勝・無敗でのS級昇級は史上2人目。S級初優勝はデビューから79日目で(従来の記録は144日)大幅に最速記録更新、GII出場も史上最速の177日、その大会では2日目のレースで史上最速のビッグレース初勝利(デビューから178日・従来の記録は269日)、常に記録の更新をされていますが、その辺りはご自身でいかがですか?
寺崎:自分ではそんなに意識はしてなかったんですが、周りから言われるとプレッシャーも感じます。でもその注目に応えたい気持ちも強くて、後押しになっているかもしれません。デビューした時はS級に特別昇班することが目標だったので、そこからS級では強い選手も多いですし、揉まれてすぐに結果はでないだろうと思っていたんです。運が良ければ地元の福井記念に出られるかな、くらいで。まさか、FI戦の優勝回数上位でサマーナイトフェスティバルという大きな大会に出られるとは想像もしていませんでした。でも、選ばれたときは凄く嬉しかったです。
星野:初めての大きな大会、サマーナイトフェスティバルの雰囲気はどうでしたか?
寺崎:史上最速での出場というプレッシャーもありましたし、前検日から、検車場の雰囲気もピリッとしていて、超一流の選手ばかりで緊張しました。でも、その経験があったのでオールスターではそんなに緊張せず、またあの素晴らしいメンバーで戦えることが楽しみなくらいでした。
星野:となると、次は共同通信社杯競輪が待ってますね。
寺崎:333バンクはS級では小田原以来になるのでそこが心配ですが、いつも250バンクで練習しているので、応用出来るかなと思います。豪華なメンバーで戦わせていただけることも楽しみですし、次は決勝戦までいけるようにがんばりたいです。
星野:今は多忙だと思いますが、お休みの日はどう過ごされているんですか?
寺崎:そうですね。基本的にインドア派なので部屋にいるって感じです。趣味が自転車なので、ずっと自転車の事を考えていますね。
星野:もし、どこかに旅行して下さい!と言われたらどこに行きますか?
寺崎:以前、ロードで岐阜県の飛騨に行ったことがあるんですが、次は車で岐阜まで行って、飛騨でサイクリングとかしてみたいですね。
星野:やっぱり、自転車ですか(笑)天職ですね。
寺崎:そうですね。仕事が趣味みたいな(笑)
星野:では、最後にオッズパークの会員の皆様にメッセージをお願いします。
寺崎:いつもオッズをみると自分から売れていたり、注目していただいてるんだなと数字からも感じています。その高い注目度にしっかり応えられる選手になれるよう、これからもがんばっていきますので、応援よろしくお願いします。
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
-------------------------------------------------------
※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
ファン投票3位に選ばれ出場したGIオールスター競輪で、二つ目のGIタイトルを手にした松浦悠士選手(広島98期)。獲得賞金もすでに1億円を超え、実力・人気共にトップクラスの選手。しかし、それに満足することなく、次の挑戦は全てのGIでタイトルを獲得するグランドスラム。強豪ナショナルチーム相手に、ラインの力で勝ち取った今回のオールスター競輪の振り返り、そして年末のGPへ向けて、今年残りの戦いへの意気込みも伺いました。
星野:オールスター競輪、優勝おめでとうございます。
松浦:ありがとうございます。
星野:昨年末の競輪祭から二つ目のGIタイトルを手にしましたが、その辺りはいかがですか。
松浦:タイトルを2つ獲れたことは嬉しいですが、今回のことで満足するのではなく、どれだけやれるかというところを挑戦していきたいと思っています。その為にも、残り4つのタイトルを獲れるように、走るからにはグランドスラムを目指していきたいですね。
星野:そして、この優勝で賞金も1億円を超えましたね。
松浦:賞金はそんなに意識していませんが、ここまで来たら、歴代獲得賞金(現・奈良101期の三谷竜生選手・2億5,531万3,000円)の記録を更新したいなという気持ちがあります。その為には常に決勝に乗って、グランプリをとってというのが条件になっていきますが。
星野:近況の成績を見ても、松浦選手はすべてのレースで決勝に勝ち進んでいますし、この流れで行けば達成できそうですね。
松浦:そうですね。今、中国地区と四国地区合わせて盛り上がっているので、それも大きいと思います。後は、ラインの力にプラスして個人の力も更に上げて行きたいと思っています。
星野:さて、オールスター競輪の決勝戦の話も伺いたいのですが、中四国地区からは、原田研太朗選手(徳島98期)柏野智典選手(岡山88期)そして、松浦選手が乗ってきました。並びが注目されていましたがどのように決まったんですか?
松浦:そうですね。僕は自力で戦って別線を倒したい気持ちもありましたし、(原田)研太朗も前でやりたいと言っていたので、初めは悩みました。けど、強い相手を倒すのであれば纏まっていかないといけないなと思い、研太朗を先頭に僕、そして柏野さんの並びになりました。
星野:原田選手のレースは後ろでどうみてましたか?
松浦:スタートの位置は脇本さんより後ろにしようという事と、打鐘2コーナーでは仕掛けてくるだろうということだけ話していましたが、それ以外、仕掛けるタイミングなどは任せていました。研太朗の後ろは何度も走っているし、同期同級生で頼りにしています。決勝戦の走りをみてもらったら分かるように、後は彼の頑張りに応えないといけないと思いました。
星野:脇本選手が仕掛けて来たときはどうでしたか?
松浦:巻き返しが早いなと思いました。一回煽りを作って脚を使わせてから抵抗しようと思っていたら出られてしまって。今までの脇本さんのスピードを見ていると番手に嵌まって直線勝負しても追走した選手は勝てていない。なので、自分の脚がいっぱいになってもいいと思って前に踏みました。
星野:まさに「ケイリン」VS「競輪」で「競輪」が勝ったと言う瞬間だったのではないですか? (「ケイリン」=競輪が基になってできた自転車競技トラックレースの種目のひとつ)
松浦:それはそうなんですけど、感覚的には少し違うんですよね。脇本さんはナショナルチームで活動はしてるんですが、「競輪」を走るからには「競輪」で戦っているので、そこを考えると「ケイリン」に勝ったって訳ではないんですよね。決勝戦は脇本さんを倒したいと思って、近畿勢3人に対して残りの6人で戦っていたような感じもあります。これが、もし脇本さんが先行していたらまた違ったじゃないですか。そう思うと次は個人の力で勝ちたいなっていうのはありますね。
星野:そうなんですね。先日、脇本選手に取材させていただいた時に、松浦選手とは色んなお話をされるとおっしゃっていました。
松浦:そうなんです。普段は仲良くて、レースではライバルなんです。良い関係だと思います。彼がいなかったら自分はここまで来れていなかったと思うし、感謝も尊敬もしています。だから、そんな相手に勝てたのは本当に嬉しいですね。
星野:脇本選手も今回の結果は悔しいとおっしゃっていましたし、次の戦いではリベンジを狙ってると思いますが、松浦選手には、他にもやってみたい戦い方があるんですよね?
松浦:正直、準決勝の脇本さんの10秒4というタイムを見たら難しいかもしれないですけど、試してみたい走りは何パターンかあります。でも、脇本さんと二人ではないし、相手もいることなので、それがレースで出せるかというと、正直分からないですが、やっぱり、今は個人の力で勝ってみたいですね。
星野:お話を伺ってると、凄くストイックに競輪に取り組んでいらっしゃるイメージなんですが、意外なのが、スイーツ好きなんですよね。
松浦:以前は食事も制限していたんですけど、その後にスイーツを食べ始めたら状態が良くなったんです。ある程度は気にしてるので毎日は食べる事はないですが、好きなので、摂取する時間とか考えて食べています。
星野:松浦選手のSNSを見ていると美味しそうなスイーツ情報があるので皆さんにもチェックして欲しいですね。さて、次は共同通信社杯競輪に出走予定ですが、そこに向けてはいかがですか?
松浦:いつも同じ様なメンバーで戦うことが多いので、オール予選スタートが楽しみなんです。333バンクはあまり、、、て感じなんですが、伊東温泉競輪は大好きなんです。なので、気合い入りますね。
星野:今年はグランプリ出場も決定しました。今年残りに向けて取り組んでいることなどありますか?
松浦:そうですね。日頃から色々と試しているので、基本的には変わらないと思うんですが、もう少し追い込むトレーニングを増やしてパワー(筋力)をつけていこうかなと思っています。
星野:更にパワーアップした松浦選手を皆さんも楽しみにされていると思います。では、オッズパークの会員の皆様にメッセージをお願いします。
松浦:残りのビッグレースや記念競輪では決勝に乗って、しっかり車券に貢献して、GPに向けて頑張っていきますので、そこまでの過程も見ていただけたらと思います。応援よろしくお願いします。
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
-------------------------------------------------------
※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
GIIサマーナイトフェスティバルを制し、今年の「夜王」となった清水裕友選手(山口105期)。オリンピック日本代表のナショナルチームが競輪に本格復帰し、思うような結果を残せない時もありましたが、立て直してのシリーズ優勝。ラインで戦うことの大切さ、そして、この優勝で取り戻した自信を胸に、次に戦うGIオールスター競輪に向けての意気込みを伺いました。
星野:サマーナイトフェスティバル優勝おめでとうございます。
清水:ありがとうございます。
星野:3日間を振り返っていかがですか?
清水:シリーズを迎える時に自分の調子があまり良くなかったので、どうかな?と思っていたんです。でも、ナショナルチームのメンバーがいる中で、1着でスタート出来たのは嬉しかったですね。
星野:初日は松本貴治選手(愛媛111期)と松浦悠士選手(広島98期)の中四国ラインの3番手を走られました。初めての3番手だったんですよね。
清水:一つ前の小松島記念の帰りに、松浦さんが、次の開催は自分が前で走りたいというような話をしていたので、気持ちの準備は出来ていました。いつも僕が2番手を走るときは松浦さんが3番手を固めてくれていたので、アドバイスはいただきましたけど、2番手の仕事も難しいのに、3番手は3番手で内側のコースを他のラインに突かれないように内を締めて走らないといけないなど役割があり、色々勉強になりました。
星野:そして、2日目もラインの先頭ではなく2番手の競走でした。
清水:この日も松本さんに前を任せての競走だったんですけど、すごいかかっていて、ナショナルチームの脇本さん(脇本雄太選手・福井94期)でも無理矢理来る感じに思いました。結果、脇本さんのラインに出られたので、自分は切り替えて、2着に入りましたが、松本さんがあれだけ行ってくれたのに2番手の仕事としては何も出来なかった。3日目の決勝戦も松浦さんが前で僕は後ろだったんですが、新田さん(新田祐大選手・福島90期)がすごいスピードで捲ってきた時に、切り替えるだけでなく、何かアクションをしないといけないなと。人の後ろについたときに、どういう風に前を庇えばいいのか、自分だけでなくラインで決めるというのが、今後の課題ですね。
星野:反省点もあると思いますが、清水選手自身は凄いスピードの新田選手に続き、ゴール前はとらえて、ナショナルチーム相手に優勝しました。
清水:それは自信に繋がりましたね。高松宮記念杯競輪の時に、初日から脇本選手との対戦で注目されていましたが、脚力ではどう考えても負けているので、感性で、自分は自分のレースをしてどこまでやれるかだと思っていました。でも、全然勝てなくて、、、現実を見ました。
星野:高松宮記念杯の時はその後、かなり悩まれてるような感じもありましたが、気持ち的にはどう立て直されたんですか?
清水:そうですね。高松宮記念杯競輪では初日にスピードが違いすぎて、9着になった事をずっと引きずっていた感じでしたね。決勝戦にも行けず、リベンジする権利もないまま終わってしまいましたし。だから、今回も厳しいかなと思っていたんです。でも、初日に1着をとることができて、それがきっかけですかね。こうやってラインで結束すれば、勝てるということもわかりました。それが、気持ちにスイッチが入り、優勝に繋がったと思います。
星野:そうだったんですね。以前、今年に入ってから納得の行くレースは優勝した全日本選抜競輪の時だけと話されていましたが、それはGIIを優勝した今も変わらないですか?
清水:あのときは前検日から出来る!という手応えがあったんです。サマーナイトフェスティバルは上手くレースが出来たなというのはありますが、あの時を思うとまだまだ自分の状態に物足りなさを感じますね。
星野:その全日本選抜競輪は冬場(2月)の開催でした。季節が変わってますが、その辺の影響はありますか?
清水:確かに、夏場は苦手ですね。毎年6月位から体調管理の難しさを感じます。秋に地元の防府記念があるので、毎年そこにピークを持ってきているというのもあるかもしれません。だから、夏が終わった10月11月になると調子が上がってくるんです。
星野:そうなると、次に走られるGIオールスター競輪は8月で、苦手な夏場の開催になりますね。調整面などいかがですか?
清水:今は夏バテしないように練習メニューや時間帯も考えてやっています。苦手でもコンディションを整えて望みたいですね。それに、ラインの力を今回で実感しましたし、今後は個人の力をもっと上げていけば、中四国勢がもっと盛り上がると思います。その意味では夏場の開催ですが、チームで戦ってどこまでいけるか楽しみですね。
星野:ファン投票でドリームレースに選出されましたし、皆さんも楽しみにされていると思います。
清水:右見ても左見てもすごい人たちの中に選んでいただいたのは、嬉しいですね。
タイトルは何個あってもいいと思うので、選んでもらったという、みなさんの気持ちを受け止めて走りたいです。
星野:では、オッズパークの会員の皆さんへ意気込み含め、メッセージをお願いします。
清水:おかげさまでGIIを獲ることができました。これからまだまだ戦いは続いていきます。一戦一戦気を引き締めて、年末のグランプリでは、さらにレベルアップした姿を見てもらえるように頑張りますので、応援よろしくお願いします。
-------------------------------------------------------
※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
-------------------------------------------------------
※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社