6年連続7回目のKEIRINグランプリ出場を果たした、東京オリンピック日本代表の新田祐大選手(福島90期)。今年はナショナルチームの活動に専念していましたが、6月から国内の競輪に復帰。少ない出走本数の中、GI優勝こそありませんでしたが、グランプリへの出場権を獲得。実力を発揮しました。そんな新田選手に2020年の振り返り、そして、グランプリへの意気込みを伺いました。
星野:今年もグランプリ出場おめでとうございます。
新田:ありがとうございます。
星野:今年のグランプリメンバーをご覧になった印象はいかがですか?
新田:新しく加わったメンバーもいますが、例年と変わらず強い人が揃ったなという印象ですね。
星野:今年は7開催に出場と出走回数も少なかったと思いますが、その中でのグランプリ戦線を振り返っていかがでしたか?
新田:実は僕にとって7開催を走ったのは、ここ数年を見ると多い方なんです。特に昨年は、日本選手権競輪、高松宮記念杯競輪、オールスター競輪のGI開催を3つ走っただけでした。そして、2018年も2019年も夏ごろまでにはGIを優勝して早めにグランプリ出場を決めていたので、後半は、自転車競技の世界選手権に向けてトレーニングしたり海外遠征に行ったりしていました。でも、今年はGIでの優勝もありませんでしたし、11月の競輪祭を迎える時の賞金ランキングは10位と、最後までグランプリに出場できるか分からない状況でした。いつもと違ったグランプリ戦線でしたけど、逆に考えるといつもは数ヶ月ブランクがあってのグランプリでしたが、今年は約1ヶ月でグランプリを迎える事になります。なので、レースに望む状態は変わってくると思います。
星野:決勝戦に進出することが最低ノルマという中で迎えた競輪祭はどんな心境だったのですか?
新田:過去にも(2014年)競輪祭を賞金ランキング9位で迎えたことがあるんです。その時は自分の中でも戦えると思っていたんですが、結果満足に戦えず、この年のグランプリは出場が叶いませんでした。そこで味わった悔しさや経験から、今回はうまくコントロール出来たと思います。
星野:具体的にはどんな感じですか?
新田:あの時は、グランプリに乗りたい一心で走っていました。そうなるとレースの中でも消極的になって本来の力が出せなくなります。これはオリンピックに向けての戦いの中でもプラスになっていましたね。競輪グランプリへの戦いは1年あって最終戦になる競輪祭が1番注目されて、選手もその大会に向ける気持ちが1年の中で一番大きいと思います。でも、自転車競技は1日の中に凝縮させていて、しかも、競輪のようにライン戦ではないのでレースの中で助けてくれる人もいません。一人での戦いを1日9本走ったりすることもあります。この繰り返しの中で、マインド的な部分は鍛えられましたね。
星野:今までの経験から、しっかりマインドをコントロールしての戦いだったんですね。そして、今年は6月の高松宮記念杯競輪の前に大きな怪我をされたと伺っています。
新田:そうなんです。オリンピックが延期になると決まった次の日、練習中に左太ももの筋断裂で2週間も入院するといった大きな怪我をしたんです。自転車競技だけでなくスポーツ全般を諦めないといけないかなという程の怪我でした。絶望的でしたが、チームの方が熱心にサポートしてくださって、無理矢理ではあったんですが、1ヶ月で復帰することが出来ました。
星野:そんな大変な状況だったとは、先日まで知りませんでした。
新田:今まで関わってくださった方や、応援していただいた方に申し訳ない気持ちがいっぱいで、直後は報道するのを控える事にしたんです。でも、自分の中でも満足に戦える状態に戻ったので、11月に入ってから発表させていただきました。僕にとっては来る大会に向けて一戦一戦やっていくだけなのですが、今思うと、オリンピックが延期になると決定した直後だったので、モチベーションの低下からの怪我かと思われることにも抵抗があったのかもしれません。
星野:今の状態面は大丈夫ですか?
新田:はい。大丈夫です
星野:さて、競輪と競技の両立でも大変なのに、それ以外でも、インターネットテレビの配信、オンライン講義、そしてSNSなど多方面で積極的に活動されています。休む時間はありますか?
新田:ないですね(笑)やりたいことがいっぱいあるので、完全に1日24時間の容量をオーバーしていますね。
星野:そんな中、魚もさばかれていますよね!
新田:そうなんです。魚をさばくきっかけは、血液検査の結果で、体調管理のため、肉ではなく魚をたべてくださいと言われたんです。でも、魚ってそんなに食べ続けられないじゃないですか。じゃあ、食べるためにどうしようかと考えたときに、ちょうど近くに沼津漁港があったので、魚も手に入りますし、さばいてみようと。料理もほとんどしたことなかったんですが、道具とかも買い集めるようになりました。
星野:結局は、自転車からの繋がりだったんですね。
新田:常に自転車に関わる何かはしていたいと思いますね。
星野:さて、来年はオリンピックに向けての年になるかと思いますが、その辺はいかがですか?
新田:来年は、オリンピック中心の1年になりそうですね。まだ、競輪との兼ね合いが全くわからず、競輪を走れるかどうかわかりませんが、オリンピックでは、良い報告ができるように最善を尽くしたいと思います。
星野:その前に、年末の大一番が待ってますね。
新田:北日本のみんなで活躍できる場をみんなで作っていきたいと思っていましたので、まずは、北日本勢が3人グランプリに乗れたというのが嬉しいです。別戦も強力ですが、自分のやるべき事を出し惜しみせずに走りたいと思います。
星野:では、最後にオッズパークの会員の皆様へメッセージをお願いします。
新田:制限もあるなか、直接 声援をいただいたり、間接的にも応援してくださったり、いつも力になっています。年末に向けて好調をキープして望みますので、是非 12月30日の16時30分はグランプリを見て、ソーシャルディスタンスを保って応援していただければと思います。これからも声援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社