ガールズケイリン史上初の『オッズパーク杯ガールズグランプリ』3連覇を目指す児玉碧衣選手(福岡108期)。今年はコロナ禍もあった中で、1年の振り返りや3連覇への思い、そしてガールズグランプリへの意気込みをお伺いしました。
山口:ガールズグランプリ出場決定おめでとうございます。
児玉:ありがとうございます。
山口:今年も昨年までと同様、ずっと賞金ランキング上位にはいましたが、決定していかがですか?
児玉:ガールズグランプリ3連覇をできるチャンスがめぐってきたと思います。
山口:競輪祭でのグランプリトライアルレースの優勝もあり、今年のガールズグランプリは1番車でしたね。
児玉:嬉しいですね!
山口:グランプリトライアルレースはどんな気持ちでレースに入りましたか?
児玉:優勝は目標にしていましたが、そこまで意識はしていませんでした。まず自分のレースをして、その結果に優勝できたら良いなというくらいでしたね。でも結果は優勝することができたので良かったです。
山口:ガールズグランプリの史上初3連覇は意識していますか?
児玉:うーん、そうですね......。毎年ガールズケイリンのレベルがどんどん上がってきて、なかなか勝てないレースも多く、自分か仕掛けたいタイミングで仕掛けさせてもらえないレースも増える中で、3連覇は難しいと思います。でも初めてグランプリを優勝した年から"女王"と呼ばれるようになり、2連覇した今年も"女王"と呼ばれています。「じゃあ今年のグランプリを優勝できなかったら、来年は"女王"と呼んでもらえなくなるのかな」と思うとやっぱり寂しいですし、優勝賞金1,000万円をゲットしたいという気持ちもあるので、3連覇は意識しますし、狙いたいです。狙いに行って勝つことは難しいと思いますが、まだ少し時間はあるので、しっかりと勝てるような練習をしていきたいです。
山口:今年の振り返りをしていただきたいのですが、ファン目線ですが昨年に比べてビッグレースなどで苦戦した年だったのかなと感じました。ご自身ではいかがでしたか?
児玉:1月のガールズケイリンコレクションのトライアルレースがあり、決勝で7着と大敗した結果、コレクションを一つ出られなかったのは残念でした。でも他のレースについては自分の中では、満足のいく1年だったと思います。
山口:具体的にはどういうところでしょうか?
児玉:たくさんレースを走った中で、負けた(2着以下)のは5回だけで、あとは1着でした(12月半ばまでの勝率が92.4%)。それは自分で褒めたいです。
山口:わずかしかない2着以下のレースはどう感じましたか?
児玉:負けに対してはあまり深く気にしないようにしています。負ける時もあるよな、と。特別な思いなどは無くいつも通りですね。
山口:その後でも結果を出されていますもんね。
児玉:そうですね。切り替えもうまくできていると思います。
山口:コロナ禍でのレースが中止になった期間もありました。どう過ごされていたんですか?
児玉:「いつ開催があるのか、どこが中止になるのか」など直近のレースが開催されるかわからない時期は、モチベーションを保つのが難しかったですね。目前のレースに対して準備をしていくのに、それがいつなのかわからないのはキツかったです。
山口:ビッグレースについて、他の選手の優勝もありましたがそれはどう感じましたか?
児玉:そこはあまり気にしていません。これはいつもそうなんですが、自分のレースの振り返りはしますが、他の選手のレースを観察することはないんです。レース結果は見ますが、●●選手がどこを走るからしっかりレースを見よう、というのはないですね。
山口:自分のレースに集中している、というイメージでしょうか?
児玉:そうですね。私のタイプとして「他の選手の走りを研究してレースに臨む」というよりも、「自分が一緒に走った時の感覚」を大切にしているんです。ガールズ選手の中には「この選手はここから仕掛けるからその前に動きたい」など研究される方もいると聞きますが、私は自分の感覚で走っているので研究などは特にしないです。
山口:ビッグレースになるとより、その感覚が大切になってくるんでしょうか。
児玉:そうですね。何度も対戦をした選手ばかりなので、そうだと思います。
山口:そういう意味では、今回のガールズグランプリメンバーは何度も対戦し、イメージも感覚も知っている選手たちなんですね。
児玉:はい、とても強い選手たちが揃いました。でも誰を意識するというよりも、レースの中で自分の力を出し切る、自分のレースをすることだけに意識を向けて走りたいです。
山口:作戦を立てるというよりも、当日スタートしてからの組み立てですか?
児玉:そうなります。そこは自分を信じてレースをするだけです。
山口:この後、小倉の斡旋が入っていますが、走りますか?(インタビュアー注:インタビューは小倉のレース前でした)
児玉:はい、走ります。レース間があまり空かない方が良いというよりも、実は......お金がないんです(笑)。
山口:え!?そうなんですか(笑)。
児玉:はい。車を一括払いで購入したので、一気になくなってしまったんです。なのでお金がなくて走らないと生活が......(笑)。
山口:それじゃあ、ガールズグランプリは優勝して賞金を獲得したいですね(笑)。
児玉:そうなんです。周りの選手にも「お金のない時の児玉は強いからなぁ」とよくからかわれるんです(笑)。逆に今、お金がないというのは良いタイミングかもしれません。車を買ったのも別に狙ってこのタイミングじゃないんですけどね。
山口:一番良いモチベーションかもしれませんね(笑)。何と言うか、とても"プロの競輪選手"らしいです。
児玉:その通りだと思います。車もずっと欲しかった車種なのですごく嬉しくて、たくさん自慢しています!周りにも、賞金が大きなモチベーションになっていることは「さすがプロだね」と言われます。
山口:ちなみにその辺りは原稿に書いても良いんでしょうか (笑) ?
児玉:大丈夫です!
山口:ありがとうございます。ガールズグランプリ優勝の自信はどうでしょうか?
児玉:自信も、あります!
山口:平塚競輪場のイメージはいかがですか?
児玉:すごく軽いバンクだと思います。先行をしても残るようなイメージがありますね。
山口:2017年に平塚グランプリを走った時の事は覚えていますか?
児玉:はい、その時は後方で何もできないレースでした。同じミスはしたくないですね。
山口:たくさんのファンの方も3連覇を期待していると思います。
児玉:ガールズグランプリを優勝して表彰式の場に立つと、私の優勝を泣いて喜んでくれる方がたくさんいるんだと感じます。親しくもない赤の他人の私のために、涙を流して喜んでくれる方がいるんだ、と。今年も表彰式の場に立ってそんなファンの方に恩返しがしたいなと思いますね。
山口:それでは最後にオッズパーク会員の方へ、ガールズグランプリの意気込みをお願いします。
児玉:これからガールズケイリンが続いていく中で2連覇をする選手は今後もいるかもしれません。でも3連覇をする選手はなかなか出ないと思うので、私が優勝してその歴史であったり、越えられない壁、高い目標となるものを作っていけるようにしたいです。児玉碧衣を応援してくださるファンの方に、年末のガールズグランプリで優勝して恩返しがしたいと思います。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA