ガールズケイリン史上初の『オッズパーク杯ガールズグランプリ』3連覇を目指す児玉碧衣選手(福岡108期)。今年はコロナ禍もあった中で、1年の振り返りや3連覇への思い、そしてガールズグランプリへの意気込みをお伺いしました。
山口:ガールズグランプリ出場決定おめでとうございます。
児玉:ありがとうございます。
山口:今年も昨年までと同様、ずっと賞金ランキング上位にはいましたが、決定していかがですか?
児玉:ガールズグランプリ3連覇をできるチャンスがめぐってきたと思います。
山口:競輪祭でのグランプリトライアルレースの優勝もあり、今年のガールズグランプリは1番車でしたね。
児玉:嬉しいですね!
山口:グランプリトライアルレースはどんな気持ちでレースに入りましたか?
児玉:優勝は目標にしていましたが、そこまで意識はしていませんでした。まず自分のレースをして、その結果に優勝できたら良いなというくらいでしたね。でも結果は優勝することができたので良かったです。
山口:ガールズグランプリの史上初3連覇は意識していますか?
児玉:うーん、そうですね......。毎年ガールズケイリンのレベルがどんどん上がってきて、なかなか勝てないレースも多く、自分か仕掛けたいタイミングで仕掛けさせてもらえないレースも増える中で、3連覇は難しいと思います。でも初めてグランプリを優勝した年から"女王"と呼ばれるようになり、2連覇した今年も"女王"と呼ばれています。「じゃあ今年のグランプリを優勝できなかったら、来年は"女王"と呼んでもらえなくなるのかな」と思うとやっぱり寂しいですし、優勝賞金1,000万円をゲットしたいという気持ちもあるので、3連覇は意識しますし、狙いたいです。狙いに行って勝つことは難しいと思いますが、まだ少し時間はあるので、しっかりと勝てるような練習をしていきたいです。
山口:今年の振り返りをしていただきたいのですが、ファン目線ですが昨年に比べてビッグレースなどで苦戦した年だったのかなと感じました。ご自身ではいかがでしたか?
児玉:1月のガールズケイリンコレクションのトライアルレースがあり、決勝で7着と大敗した結果、コレクションを一つ出られなかったのは残念でした。でも他のレースについては自分の中では、満足のいく1年だったと思います。
山口:具体的にはどういうところでしょうか?
児玉:たくさんレースを走った中で、負けた(2着以下)のは5回だけで、あとは1着でした(12月半ばまでの勝率が92.4%)。それは自分で褒めたいです。
山口:わずかしかない2着以下のレースはどう感じましたか?
児玉:負けに対してはあまり深く気にしないようにしています。負ける時もあるよな、と。特別な思いなどは無くいつも通りですね。
山口:その後でも結果を出されていますもんね。
児玉:そうですね。切り替えもうまくできていると思います。
山口:コロナ禍でのレースが中止になった期間もありました。どう過ごされていたんですか?
児玉:「いつ開催があるのか、どこが中止になるのか」など直近のレースが開催されるかわからない時期は、モチベーションを保つのが難しかったですね。目前のレースに対して準備をしていくのに、それがいつなのかわからないのはキツかったです。
山口:ビッグレースについて、他の選手の優勝もありましたがそれはどう感じましたか?
児玉:そこはあまり気にしていません。これはいつもそうなんですが、自分のレースの振り返りはしますが、他の選手のレースを観察することはないんです。レース結果は見ますが、●●選手がどこを走るからしっかりレースを見よう、というのはないですね。
山口:自分のレースに集中している、というイメージでしょうか?
児玉:そうですね。私のタイプとして「他の選手の走りを研究してレースに臨む」というよりも、「自分が一緒に走った時の感覚」を大切にしているんです。ガールズ選手の中には「この選手はここから仕掛けるからその前に動きたい」など研究される方もいると聞きますが、私は自分の感覚で走っているので研究などは特にしないです。
山口:ビッグレースになるとより、その感覚が大切になってくるんでしょうか。
児玉:そうですね。何度も対戦をした選手ばかりなので、そうだと思います。
山口:そういう意味では、今回のガールズグランプリメンバーは何度も対戦し、イメージも感覚も知っている選手たちなんですね。
児玉:はい、とても強い選手たちが揃いました。でも誰を意識するというよりも、レースの中で自分の力を出し切る、自分のレースをすることだけに意識を向けて走りたいです。
山口:作戦を立てるというよりも、当日スタートしてからの組み立てですか?
児玉:そうなります。そこは自分を信じてレースをするだけです。
山口:この後、小倉の斡旋が入っていますが、走りますか?(インタビュアー注:インタビューは小倉のレース前でした)
児玉:はい、走ります。レース間があまり空かない方が良いというよりも、実は......お金がないんです(笑)。
山口:え!?そうなんですか(笑)。
児玉:はい。車を一括払いで購入したので、一気になくなってしまったんです。なのでお金がなくて走らないと生活が......(笑)。
山口:それじゃあ、ガールズグランプリは優勝して賞金を獲得したいですね(笑)。
児玉:そうなんです。周りの選手にも「お金のない時の児玉は強いからなぁ」とよくからかわれるんです(笑)。逆に今、お金がないというのは良いタイミングかもしれません。車を買ったのも別に狙ってこのタイミングじゃないんですけどね。
山口:一番良いモチベーションかもしれませんね(笑)。何と言うか、とても"プロの競輪選手"らしいです。
児玉:その通りだと思います。車もずっと欲しかった車種なのですごく嬉しくて、たくさん自慢しています!周りにも、賞金が大きなモチベーションになっていることは「さすがプロだね」と言われます。
山口:ちなみにその辺りは原稿に書いても良いんでしょうか (笑) ?
児玉:大丈夫です!
山口:ありがとうございます。ガールズグランプリ優勝の自信はどうでしょうか?
児玉:自信も、あります!
山口:平塚競輪場のイメージはいかがですか?
児玉:すごく軽いバンクだと思います。先行をしても残るようなイメージがありますね。
山口:2017年に平塚グランプリを走った時の事は覚えていますか?
児玉:はい、その時は後方で何もできないレースでした。同じミスはしたくないですね。
山口:たくさんのファンの方も3連覇を期待していると思います。
児玉:ガールズグランプリを優勝して表彰式の場に立つと、私の優勝を泣いて喜んでくれる方がたくさんいるんだと感じます。親しくもない赤の他人の私のために、涙を流して喜んでくれる方がいるんだ、と。今年も表彰式の場に立ってそんなファンの方に恩返しがしたいなと思いますね。
山口:それでは最後にオッズパーク会員の方へ、ガールズグランプリの意気込みをお願いします。
児玉:これからガールズケイリンが続いていく中で2連覇をする選手は今後もいるかもしれません。でも3連覇をする選手はなかなか出ないと思うので、私が優勝してその歴史であったり、越えられない壁、高い目標となるものを作っていけるようにしたいです。児玉碧衣を応援してくださるファンの方に、年末のガールズグランプリで優勝して恩返しがしたいと思います。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
今年は7月いわき平でのガールズケイリンフェスティバル、9月伊東温泉でのガールズケイリンコレクションを優勝し賞金ランキング1位を走り続けた高木真備選手(東京106期)。昨年は出られなかったオッズパーク杯ガールズグランプリへかける強い思いを中心に、今年の振り返りなどを話していただきました。
山口:ガールズグランプリ出場決定おめでとうございます。
高木:ありがとうございます。
山口:決まった時の率直なお気持ちはいかがでしたか?
高木:今年は「ガールズグランプリへ出場して優勝する」という目標に向かってずっとやってきたので、出場が決まってほっとしました。
山口:賞金ランキングでもずっと1位でしたね。
高木:はい。でも決まるまでは気を抜かずに走ろうと思ってやっていました。
山口:11月、競輪祭でのガールズグランプリトライアルレースについて振り返っていきます。入る前はどのような気持ちでしたか?
高木:強いメンバーとレースができる機会はあまりないので、自分の走りを試して、弱点と長所が自分ではっきりわかるといいなと思い参加しました。
山口:1走目、2走目は連勝でしたが、力は発揮できましたか?
高木:トライアルレースでの連勝での勝ち上がりは初めてだったので嬉しかったですが、自分としては消極的だったと思います。他の選手の動きを見てから仕掛けていたので、それが自分の弱いところだと感じました。
山口:先行など早めの仕掛けが理想だったんですか?
高木:そうですね。予選の2走とも自分でレースを動かすような形にはならなかったので、それをできなかった自分の弱さはグランプリまでの残りの時間で強化していきたいです。
山口:決勝も同様でしたか?
高木:そうですね。各選手が仕掛けずに相手の動向を伺うような時には、自信を持って仕掛けたり動かないといけないなと思いました。
山口:全員が仕掛けを読み合うような形でしたね。
高木:はい。でも普段のレースではあのような展開にはなかなかならないので、その経験はとても貴重です。グランプリの前にそのレースが経験できて良かったし、その経験はグランプリにもいきるのかなと思います。
山口:一昨年、高木選手が走った静岡でのガールズグランプリも動きが少ないレースでしたね。
高木:そうですね。あのグランプリも、もちろんみんなが優勝を狙うレースなので仕掛けは遅かったです。それも対策をしたいです。
山口:今年1年を振り返っていかがですか?
高木:デビューしてから一番調子が良かった1年でした。
山口:以前お話を伺った時には、コロナの影響で中止の期間にしっかり練習できたのが良かったと話していただきましたが、その後も良いトレーニングは継続できましたか?
高木:はい。後半戦もしっかりトレーニングができました。今まではコレクションなど1つ大きいレースを優勝すると、その後に少し気が抜けてしまい、調子が崩れてそのままグランプリを走る、という流れが多かったですが、今年は7月ガールズケイリンフェスティバルを優勝した後も気を抜かずに練習をし、9月のコレクションをもう1つ優勝できたことも以前と違って成長した部分だと思います。結果をしっかり出せて良かったです。
山口:連勝も続き、先ほどのお話でも出たビッグレースの優勝も続きました。ご自身でも調子の良さをそのまま走りに出せているという実感はありますか?
高木:今まではレースになると迷って力が出し切れない自分だったのが、一皮むけたのは今年一番大きく感じることで、それを出せるようになってきたのは良かったです。
山口:ビッグレースだから、や、相手が誰であろうとそれは関係ないですか?
高木:そうですね。変わらないように、いつもと同じような力が発揮できるように頑張ってきたつもりです。
山口:今年は10月に300勝の達成もありましたね。
高木:デビューした頃の私は全然勝てなかったので、ここまで積み重ねてこられたのは驚きです。そして応援してくださったファンの方や、周りの方がいたからこそ諦めずに続けてこられたんだと思うので、感謝の気持ちが大きいです。
山口:先日も報告会が行われたと記事を拝見しました。
高木:はい、表彰式をやってもらいました。ファンの皆さんの前でやっていただけて嬉しかったです。これからもどんどん積み重ねていけたらいいなと思います。
山口:ガールズグランプリへ向けてこれからの過ごし方はどのようにしますか?
高木:グランプリへ向けてもう一段階、自分の力を上げていきたいので、練習をしっかり頑張って良い状態で臨みたいです。
山口:言える範囲での強化ポイントはどこですか?
高木:寒くなってくるのでみんな同じ条件ではありますが、その中でもトップスピードを上げていけるようにしたいです。あとはバンクが重くても踏み込める力を付けたいです。言えば全部ですね(笑)。
山口:なるほど(笑)。他の選手の印象はいかがですか?
高木:みんなが優勝だけを狙って走ると思うので、誰がというよりも自分に負けないようにしたいです。今まで3回出て毎回「自分に負けていたな」とつくづく思ったので、"あの場"に飲み込まれないように自分の走りをしっかりしたいです。
山口:「去年出られなかった分も今年は出場し優勝する」というお話は今年のインタビューではいつも話してくださいました。その言動に私は「自分でプレッシャーを与えているのかな」と感じたのですがいかがですか?
高木:うーん、そこまではないかもしれないですけど、でも今まで出場したグランプリの中で一番今年が優勝したいという気持ちは強いです。去年グランプリに出られず悔しかった時から、今年のグランプリで勝つという思いで練習をしていたので、誰よりも平塚のグランプリへかける思いは強いと自分では思います。
山口:平塚競輪場のイメージはいかがですか?
高木:2017年のグランプリで走らせてもらった時はあまり良いレースができなかったので、今回はリベンジを兼ねてしっかり走りたいです。あと、平塚はお世話になっている高木隆弘さん(神奈川64期)のホームバンクなので勝って恩返しをしたいです。
山口:なるほど!高木隆弘選手のホームバンクは平塚でしたね。
高木:そうなんです。2017年のガールズグランプリも私は3番車でした。今回も3番車です。高木隆弘さんが平塚のグランプリを走った時の車番も3番車と聞き、同じ車番なので偶然ですが感じるものがあります。高木隆弘さんはそのグランプリを優勝できなかったですが、「自分のかわりに夢をかなえて欲しい」と言ってもらっているので、その分も頑張りたいです。
山口:二人分の思いがあるんですね!高木隆弘選手とは、今もずっと練習は一緒にされているんですか?
高木:はい、お世話になっています。練習は厳しいですが、私が困った時は助けてくださるし、ここまで私が強くなったのは高木隆弘さんのおかげです。本当にたくさんお世話になっているので、優勝して喜んでいただきたいです。
山口:高木隆弘選手のもとで練習面だけではなく、メンタル面でも成長したと感じますか?
高木:そうですね。高木隆弘さんはGIも何度も優勝されてグランプリも出場されています。「こういう時はどうしたら良いですか?」など悩んでいることを質問すると教えてくれます。もちろん練習のことやレースの組み立てなども、聞いたら何でも答えてくださるので、全部お世話になっています。
山口:そうなんですね。ではガールズグランプリではどんなレースを見せたいですか?
高木:何が何でも優勝したいと思っているので、強い気持ちを持ってレースを走る姿を見てもらいたいです。
山口:それでは最後にオッズパーク会員の方へ、ガールズグランプリの意気込みをお願いします。
高木:この1年間、平塚のグランプリを優勝するという気持ちでやってきました。何が何でも優勝するという強い思いを思ってレースを頑張ります。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
8年連続11回目のKEIRINグランプリ出場を決めた平原康多選手(埼玉87期)。今年は中盤から落車も多く万全ではない中での戦いでした。そんな苦しいなかでもグランプリ最多選出の記録を更新し、目指すは悲願のグランプリ制覇。そんな平原選手に今の心境、そしてどんな状況でもトップで戦い続ける秘訣を伺いました。
星野:11回目のグランプリ出場おめでとうございます。
平原:ありがとうございます。
星野:今年のグランプリメンバーをご覧になってはいかがですか?
平原:凄いメンバーですよね。過去に何度も走っていますが、1番って位じゃないですか?!トップスピードのある選手も揃っていますし、やっぱり今年のベスト9だなという印象です。
星野:そのベスト9の中でも平原選手が、昨年に引き続きグランプリ最多出場回数になりますね。
平原:そうですね。その辺の意識はあまりないですが、グランプリに出場することが、当たり前になってはいけないと常に思っています。毎年これが最後だという気持ちで走っていますね。38歳になりましたし、この位置にいつまでいられるか、年齢的にも段々厳しくなってきますから。
星野:まだまだ、そんな印象はないんですが、今年1年を振り返ってはいかがですか?
平原:前半は良かったんですが、中盤から落車が多かったですね。大きな怪我こそありませんでしたが、それでも落車をすると、それまでにやってきたことが、マイナスからのスタートになってしまうので、毎回毎回建て直してやってきました。さすがに毎月のように落車して、練習中にも落車して、本当に辛い時がありましたね。振り返ってみると1年のほとんどが良い状態で走っていませんから、、、。
星野:その中でも11月に行われたGI競輪祭では決勝戦で2着。今の状態でとしてはどうですか?
平原:決勝戦はマークの競走で途中から自力にスイッチして踏んだんですが、ずっと外を踏まされて、苦しかったですね。でも、今の力は全て出しきれたので悔いはなかったです。あのレースは優勝した郡司(郡司浩平選手・神奈川99期)が本当に強かったですね。ただ、自分の状態だけを見れば、準優勝という結果だったんですけど、感覚的にずれていて、自転車の進みも良くなかったんです。なので、競輪祭が終ってから、グランプリまで1ヶ月程あるので、今は時間を掛けて調整しているところです。
星野:昨年はフレームを大きく変えたり、いろんな事を試された1年でしたが、今年はその辺りはどうでしたか?
平原:昨年は、いろいろフレームとかを試行錯誤してきて、レースでも失敗したりお客さんに迷惑を掛けました。でも、試して分かったことの中から良い部分だけを残して今年はやってきましたね。結果、今年のスタートは、自分の走りに納得できる部分もありました。3月に行われた松山記念競輪の決勝戦では、勝負所で腹を括って先行して、押しきる事ができました。なので、フレームに関しては、昨年1年走った経験を今年に生かしている感じですね。
星野:今年は苦しい時期があったとおっしゃっていましたが、その中でもトップクラスをキープされています。高い位置で戦い続ける難しさもあると思いますが、いかがですか?
平原:そうですね。GIで勝つというのは、その時の日本一になるって事なので、努力の一言に尽きるのではないかなと思っています。たとえ、落車があって状態が万全ではなかったとしても、自分がそこで優勝出来ないってことは、勝った相手より努力が足りなかった、自転車と向き合う気持ちが相手より負けていたからだと思ってます。だから、更に、相手以上に自転車に対して取り組まないといけないと思ってやってきました。大変だけど、それがまた楽しかったりもするんです。
星野:もうやりたくない!って匙を投げそうになることはないんですか?
平原:全然ありますよ(笑)でも、何時間かたったときに、どうすれば勝てるんだろうと考えてる自分がいるんです。この気持ちが切れた時が引退する時だと思っています。でも、自分の競輪人生の中では、まだ第1章なので、引退はまだまだ先ですね。
星野:どういう事ですか?
平原:今の自力で戦っている自分は第1章で、次の第2章は、その自力選手をマークする追い込み型の選手に転向する時だと思っています。父親も追い込み選手として戦っていたので追い込みには追い込みの楽しさもあると思うし、同じ競輪なのにまた違う競輪人生を過ごせるって贅沢じゃないですか。もちろん今は第2章はまだ見えてませんし、いけるところまで自力選手として戦っていこうと思っています。ただ、競輪選手になったからには、いつか追い込みとしても突き詰めてやってみたいですね。引退はそれからです。その為にも、悔いのないように1年1年やっていきたいです。今は今の時代があって、その時々に強い選手がいて、そこに乗り遅れないように対応できるように、僕は「変化の天才」でいたい。それが理想ですね。
星野:平原選手の強さの秘訣が分かってきたように思います。固定観念を持たずに柔軟に対応する。その言葉の裏には計り知れない努力があるんですね。さて、グランプリのメンバーも決まって関東地区からは平原選手1人となりますが、脇本雄太選手(福井94期)と連携するという選択肢もあるのかと注目されています。
平原:正直悩んでいて、まだ、結論が出ていません。グランプリの前夜祭までには決めようと思っていますが、皆さんが注目していただいているように、脇本の後ろも考えています。ただ、いくら彼が強いと言っても、競輪の競走は相手があることですので、脇本の後ろが絶対に優勝に近いって訳でもないんです。それに、ずっと関東で自力としてやってきたって事もあります。とにかく、ここは後悔のないように、車番も発表されましたし、じっくり考えてから結論を出したいと思っています。
星野:先日発表された平原選手の車番は7番車。この車番は印象も良いのではないですか?
平原:そうですね。過去にGIで7回優勝してるんですが、その内4回が7番車での優勝です。印象はいいですし、ファンの皆さんからもそろそろ優勝って声もいただいているので、しっかり狙っていきたいですね。
星野:では、最後にグランプリに向けて、オッズパークの会員の皆様にメッセージをお願いします。
平原:いつも応援ありがとうございます。グランプリでは、とにかく良い勝負をして、今年こそ優勝します。皆さんもグランプリを楽しんでください。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
3年連続3回目のグランプリ出場となった清水裕友選手(山口105期)。今年は全日本選抜競輪で優勝し自身初のタイトルホルダーとなりました。
しかし、その喜びよりも悔しさが勝ったと語る清水選手。その中で競輪人生最高の瞬間もありました。グランプリに向けて、清水選手が語る想いとは。
大津:グランプリ出場おめでとうございます。
清水:ありがとうございます。
大津:3年連続3回目のグランプリ出場です。
清水:3回も続けて出場出来るとは思っていなかったので、続けられたことは嬉しいです。
大津:S級S班の常連というイメージがあります。
清水:まだまだ納得のいく成績を収めていないので自分の中ではそのような感じはないです。
大津:今年一年を振り返っていかがでしたか。
清水:初っ端の全日本選抜競輪でGIを獲れて嬉しかったのですが、そのあとは成績が伴わずパッとしたレースはなかったかなと思います。
サマーナイトも獲ることは出来ましたけど、年間を通して考えるとGIタイトルが獲れて良い一年でしたというよりも不甲斐なさのほうが残る一年でした。
大津:例年競輪祭までグランプリ争いを演じていましたが、全日本選抜競輪の優勝でグランプリ出場が決まりました。心境面の違いはありましたか。
清水:2019年は競輪祭が終わるまで賞金争いでピリピリしていたので、その感覚が自分にとって良かったと感じています。
今年は最初にグランプリ出場を決めたことにより、意識がグランプリにばかり向いてしまいピリピリ感が少し欠けてしまったのかなと。
ただ初めてGIを獲ったので、心境面の変化がどれだけあったのかは実際はよくわかりません。
大津:賞金面ではなくタイトルを獲ってGPです。
清水:それは目指していたところなので嬉しいのは嬉しいのですが、なんというかいざ獲ってみたら「よっしゃ、めちゃくちゃ嬉しい!」という感じもなく、そこまで特別な感情はわいてこなかったです。実感がなかったんですよね。
「ほんまに自分が獲ったんか」「えっ、オレがタイトルホルダーか。」みたいな感じで。
大津:グランプリ出場が2月に決まり、12月までモチベーションを維持するのは難しいように思えます。
清水:もともと集中出来るタイプではないのでなかなか難しかったです。
タイトルを獲ったことで、周りから気が抜けたなぁと思われないようにしようとしていたのですが、結局一年が終わってみれば気が抜けたような成績を残してしまいました。
大津:松浦悠士選手(広島98期)とのゴールデンコンビで、どこまでタイトルを獲得するのか注目も集まりました。
清水:昨年の競輪祭と今年の全日本選抜競輪で2大会続けて中四国地区でタイトルを獲得できるとは思ってなかったので、ええんかなという感覚でした。
ウィナーズカップも松浦さんが優勝しましたし。
大津:競輪界の新たなゴールデンコンビと言われています。
清水:正直、そこに関してはなんとも思わないです。
松浦さんとの連携はもちろん特別なものはありますが、ゴールデンコンビというのは周囲が言っているだけなので、自分としては何か思うことはないですね。
大津:コロナ禍の影響で開催中止期間がありました。
清水:いつレースで走れるか分からない状況の中で練習するのはきつかったです。
ダービーに向けてやっていたので、それまでは自分の中で身体も仕上がっていて良い練習も出来てたんですが、ダービーが中止になった報せを受けて、どうしようかという気持ちにはなりました。
大津:選手にとってダービーという存在はかなり大きなものと聞きます。
清水:ダービーが中止ですからね。まさかダービーが中止になるとは思ってもみなかったので、しばらくは抜け殻というか、練習をしても身が入らない感じはありました。
本当にいつ競輪が始まるかもわからない状態でしたから。
大津:その中で105期の石塚輪太郎選手(和歌山)と渡邉雄太選手(静岡)と寄付をされました。
清水:競輪選手として何か出来ることはないかと考えたときに3人で話し合って寄付をしました。
競輪界がこれから大丈夫なのかという危機感もあったので、自分たちでやれることはやってみようと。
大津:レースでは無観客試合が続きました。
清水:包み隠さずに言うと一つも面白くはありませんでした。
お客さんの声援や熱気があって競輪は成り立つ競技なんだなと強く感じました。
シーンとした中を走るのは、いつもより集中力も欠きますし、特にGIでの無観客というのは精神的に堪える部分がありました。
大津:高松宮記念杯競輪やサマーナイトフェスティバルでは脇本選手、新田選手と今年初対決でした。
清水:実際に走ってみて、正直無理かな、勝てる気がしないというのを感じてしまい、そこから自分のモチベーションが徐々に下がってしまった部分もあったのかもしれません。
サマーナイトは優勝することは出来たのですが、それはラインの力であって人の力を借りることが出来れば勝負になるかなという感じでした。
大津:その後にはオールスターがありました。
清水:あそこで本当に現実を見たというか、無理なものは無理なんだなと自分で諦めました。
大津:ナショナルチームと戦う中で、自分の自力が通用せず戦うイメージが見えてこないと仰っていました。
清水:見えないですね、今でもちょっと見えてこないですね。
大津:現時点での対策はありますか。
清水:短いスパンで勝とうと思うことはやめました。
オリンピックに向けての4年間で計画的に練習をしているナショナルチームと、僕らは一か月に一回くらい対戦をして負けてしまう。
そこから次の一か月でどう対策をするかってやったところで、向こうの4年間とこちらの考えている一か月では太刀打ちが出来ないですからね。
もちろんレースではどうにかしてやろうと毎回思っていますが、自分自身長いスパンで考えてやっていかないといけないと感じさせられました。
大津:話を聞いているとS級S班として戦った中でかなり苦しい時期ではなかったですか。
清水:とても辛く悔しい時期でした。
今までは勢いだけでやっていた部分も少なからずありましたから。
大津:ただその中で地元防府記念3年連続優勝がありました。
清水:あそこだけは絶対に譲れない部分があるので、自分自身をかなり奮い立たせてのぞみました。
防府で育ってきて防府競輪場でレースを見て競輪選手になりたいと思ったので。
GIやGPと同じというか、思いは防府記念のほうが強いです。
大津:決勝戦では宮本隼輔選手(山口113期)、桑原大志選手(山口80期)との連携もありました。
清水:本当に凄く嬉しかったです。
桑原さんは普段から一緒に練習もしてますし、よくアドバイスもしていただけます。
隼輔は小学生の時の自転車教室から一緒でやってきた仲間なので、地元の決勝で走れると決まった時には今までの競輪人生で一番嬉しかったです。
大津:お客さんの声援はいかがでしたか。
清水:顔見せからGIの決勝戦かっていうくらいの声援がありました。
そういう熱いお客さんの前なので地元では変なところは見せられないという責任感もあります。
地元での優勝を望んでる方が多いと思うので、そういった方の前で結果を出せたというのは、今年走ったレースの中でも一番嬉しかったです。
大津:宮本選手はヤンググランプリに出場されます。
清水:隼輔も強いのでチャンスはあると思います。
隼輔の優勝を見て自分も頑張りたいですね。
今年の鬱憤を全てグランプリでという気持ちは自分の中に強くあります。
大津:グランプリは三度目の出場になります。
清水:ここ二年はお客さんの数に圧倒されているというか、初めてグランプリに出たときは発走機に着いた段階で涙が出るんじゃないかってくらい湧き上がるものがありました。
あの雰囲気は普段のレースとは全く違いますね。
大津:何度でも味わいたくなるような感覚ではないですか。
清水:そうですね、何もかも違うので、これは出た人にしか分からないだろうし、出た人の特権だろうと思います。
大津:GPメンバーの印象はいかがですか。
清水:例年通り凄く強い選手が多いですね。
今の時点でレースの展開を頭の中で考えても何も思い浮かばないです。
大津:松浦選手との前後関係は決まっていますか。
清水:まだ松浦さんとは話もしていないので自分が自力でやるかは決まってないです。
前夜祭までに一緒に練習をするので、その時に話が出来たらと思ってます。
自分にそこまで自力でというこだわりもないですし、松浦さんの今の自力を見せてもらったら僕より断然動けているので、その辺は話してみてからですね。
大津:平塚バンクのイメージはありますか。
清水:二回しか走ったことがないので特に可もなく不可もなくっていう感じですかね。
大津:清水選手は冬場が特に強い印象があります。
清水:周りのスピードが落ちるからちょうど良いのかもしれません。
僕はもともとトップスピードがあるわけじゃないので、夏場はトップスピードがある選手が特徴を活かして走ってますが、冬場はそうトップスピードが上がらないんですよね。
僕は年間通して夏も冬もそう変わりませんから。
大津:来年のカレンダーは佐藤慎太郎選手(福島78期)と同じ12月になりました。
清水:粋な計らいで嬉しかったです。
去年優勝したのは慎太郎さんなので今年は僕が優勝して、グランプリチャンピオンが二人で、また来年の12月を迎えたいですね。
大津:オッズパークの読者さんへGPへの意気込みをお願いします。
清水:GPに関しては何が何でも獲りたいって気持ちは持っていたいです。
ここに向けてやってきたっていう部分もあるので、今年ダメだった部分を挽回するためにも、グランプリに全部ぶつけて最後終わり良ければ総て良しという感じで頑張ります。
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※インタビュー / 大津尚之(おおつなおゆき)
ソフトな見た目と裏腹にパワフルで安定感のある実況が魅力。3連複の5人ボックスが得意な車券だが、結果は??
実況、ナレーション、俳優など活躍の場は多岐に渡る。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
12月30日に行われる、競輪界の頂上決戦KEIRINグランプリに初出場を決めた守澤太志選手(秋田96期)。賞金ランキング8位で迎えた最後のGI競輪祭。グランプリ出場の権利をかけて、最後の6日間の戦いは本当に長かったと振り返ります。その守澤選手に今年1年の振り返り、そしてグランプリへの意気込みを伺いました。
星野:KEIRINグランプリ出場、おめでとうございます。
守澤:ありがとうございます。
星野:出場が決まって、今どんなお気持ちですか?
守澤:出場できると思っていなかったので、とりあえず嬉しいですね。終わってから、おめでとうのメッセージがたくさん来て、成人式以来会っていない友人からも来たのはビックリでした。
星野:それだけ、皆さんが応援されていたってことですよね。最後の戦いになった競輪祭の6日間は長かったんじゃないですか?
守澤:本当に長かったです。賞金ランキング8位でシリーズを迎えて、賞金額の差もあまりなかったので、とにかく一戦一戦気を引き締めて行こうという感じでした。
星野:初日を迎えるに当たって心境的にはどうだったんですか?
守澤:グランプリとS級S班を意識し始めたのが、10月の寛仁親王杯競輪の決勝戦に乗った時くらいからだったので、競輪祭が始まるまでは気負いもなく大丈夫かなと思っていたんですが、始まったら違いましたね。初日は郡司さん(郡司浩平選手・神奈川99期)と連携したんですが、南関東を代表する強い自力選手なので、別線の誰かが僕の位置を狙いに来るかなと想定していたのですが、あっさり離れてしまって情けないレースでした。やっぱり、初日は緊張していましたね。
星野:ただ、競輪祭の勝ち上がりは、一次予選を2走したポイントの合計でしたので、守澤選手は、2次予選に進む事になりました。しかし、その2次予選では5着。準決勝には勝ち上がる事が出来ませんでした。いろんな思いもあったかと思いますが...。
守澤:そうですね。準決勝にいけないと厳しいなと思っていましたので、グランプリへのチャンスはなくなったと思いました。それが今の自分の実力だったんだと。ただ、気持ちは切らさずに最終日まで走ろうと思ったんです。4走目は、先頭に晋也(高橋晋也選手・福島115期)で、後ろに大槻さん(大槻寛徳選手・宮城85期)の並びでした。ラインに助けられて1着が取れた感じでしたね。
星野:このレースの高橋選手の取材コメントには守澤選手への気持ちも感じられました。
守澤:晋也はメンバーを見て、僕と一緒だって分かって、僕の為に頑張ると言ったんです。嬉しかったけど、晋也は僕の為に犠牲になる選手ではないですし、自分が勝てるように走ってくれと答えました。晋也はスピードに乗せるのも上手いし、後は全部止めるつもりでいました。それが、自分の結果にも晋也の成長にも繋がると思ったんです。でも、こう言ってくれた気持ちが、僕もそう思ってもらえる選手になったんだと素直に嬉しかったですし、最終日にも繋がったと思います。
星野:少しでも良い着が欲しい中、そう言える守澤選手も凄いですし、お話を聞いていると、北日本の雰囲気の良さが伺えますね。
守澤:そうですね。一致団結してがんばろうという雰囲気があります。競輪祭に行く時も周りからがんばれって言ってもらえて、気持ちも高まりました。
星野:さて、守澤選手自身、競輪祭の直前のレースでは、先行して逃げ切りもありましたし、すごく状態も良かったのではないですか?
守澤:あのレースは展開の中で、先行もあるかなと想定していたんですが、まさか、押しきれるとは思っていなくて、自信になりましたね。競輪祭前にはFI戦を3場所走りましたが、そのレース以外にも9走ともにしっかり走れたと思います。グランプリに行けるかもと意識してから、特に練習内容は変えてないんですけど、気持ちが入っていました。本当、精神面って大切なんだなと改めて実感しました。それに、その気持ちが入った状態で空回りせずに行けたのも良かったと思います。今振り返るとグランプリパワーですかね!
星野:すごいパワーですね!意識しだしたのは寛仁親王杯競輪からだとおっしゃっていましたが、今年はそれ以外でも特別競輪で決勝戦に勝ち上がってます。きっかけなどあったんですか?
守澤:ここ2年位、乗り方を考えてやっていて、それがレースに出せるようになって来たからだと思います。残り2周で誘導員が退避すると、そこからハイペースでいくので、一瞬でパワーを発揮する走り方より、しっかりスピードを維持していくことが大切になってくるんです。その辺を意識してやってきました。ただ、新田(新田祐大・福島90期)の後ろはダッシュ力すごくて違いますけどね(笑) 何をするにも技術が必要になってくるので、今は、伊豆のCSC(日本サイクルスポーツセンター)で一成さん(渡邉一成・福島88期)と一緒に練習させてもらって、ペダリングを見てもらったり、アドバイスをいただいています。後は、体のケアをしてもらってる方が色々と詳しいので、僕の体の状態の悪い所から分析して、自転車の乗り方をアドバイスしてくれるんで、助かってます。
星野:さて、グランプリは先ほどもお名前も出てきた新田選手と佐藤慎太郎選手(福島78級)の北日本地区は三人ですね。
守澤:新田が先頭、慎太郎さんが番手で、僕が3番手を固めることになりそうですね。ダッシュのある選手の3番手は特に難しいと言われるんですが、新田の場合は2番手でも3番手でも変わらないくらいのダッシュ力です。しっかり食らいついて、ゴール勝負していきたいです。
星野:S級S班としては、どんな選手になりたいですか?
守澤:そうですね。今まで、取材もあまりされる事がなかったんですが、すでに、競輪祭が終わってから、10年分くらいじゃないかと思う程の取材を受けています。それだけ、注目される、責任のある位置だと思うので、しっかり責任感を持って走りたいと思います。
星野:練習に取材にとお忙しい中ですが、オフは取られていますか?
守澤:最近は自粛ムードなので、なかなか遠くに出掛けることは出来ませんが、4歳と1歳の娘がいるので、近くの公園で遊んだり、家でおままごとに付き合ったりしています。多忙な中でも、僕の癒しですね。
星野:では、最後に意気込み含め、オッズパークの会員の皆様にメッセージをお願いします。
守澤:僕は6番車なので、大穴になるかと思いますが、最後の直線でゴール勝負できるように新田のダッシュに食らいついていこうと思います。穴党のファンの方に少しでも楽しんでいただけるようにがんばりますので、皆さんもグランプリを楽しんでください。これからも、応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社