3年連続のオッズパーク杯ガールズグランプリの出場を決めた梅川風子選手(東京112期)。今年はナショナルチームへの参加や初めてのビッグレース「アルテミス賞レース」を優勝するなど、ご自身でも変化の大きい年だったと話してくれました。
梅川選手に、今年の振り返りとガールズグランプリへの意気込みをお伺いしました。
山口:ガールズグランプリ出場決定、おめでとうございます。
梅川:ありがとうございます。
山口:今年は賞金ランキングで常に上位にいらっしゃいましたが、今、出場が決まっていかがですか?
梅川:賞金ランキングでは、小倉のグランプリトライアルレースを走る前から、(グランプリには)ほぼ出場はできるということでしたので、今年は焦りもなく決定できて良かったです。
山口:トライアルレースの3日間は振り返っていかがでしたか?
梅川:予選は連勝できたのですが、大事な決勝で負けてしまい悔しいという気持ちが大きいです。
実は今まで負けてしまったレースを後からじっくり振り返ることはほとんどありませんでした。でもナショナルチームに参加してからは、負けたレースをフィードバックして何故負けたのかを深く考え、原因を追求するようになったんです。
それにより、次に負けないために、勝つために、どうしたら良いかを逃げずに考える時間が増えました。
山口:それはどなたかのアドバイスで振り返るようになったんですか?
梅川:そうです。9月にあった伊東温泉競輪でのガールズケイリンコレクションの時から振り返るようになりました。レースでの判断違いや、レース中の考え方などをコーチ達と話し合うようになりました。
山口:今までと違う新しい発見はありますか?
梅川:はい。今までは負けたレースを振り返るより、次のレースもすぐあったため次の準備をすることに重点を置いて、過去のレースを深追いはしていませんでした。でもその結果、同じミスを何度もしていることに気がついたんです。
しっかり考え抜いて自分なりの答えを出す習慣になったのは良いことだと思いました。
山口:過去の着順を見ると、梅川選手が負けているのはビッグレースの決勝くらいです。振り返りは次のビッグレースに繋がりそうですね。
梅川:そうですね。もちろん繋げていかなければと思っています。大きいレースや大事な決勝で優勝するために、同じところではミスをしないようにしたいです。
レースの雰囲気や流れを感じるというか、精神的に強くなることを中心に指導してもらい、私もそのように強くなりたいと考えています。
山口:ガールズグランプリをはじめビッグレースの決勝は、動きの少ないレースが多い気がします。瞬間的な判断が難しそうと素人ながら思うのですが、走っている選手はいかがでしょうか。
梅川:まさにその通り、瞬間的な判断がとても大切です。動きのない中で、自分が躊躇せず仕掛けるか、もしくは「ここは待つべきなのか」と瞬時に判断するのはとても難しいですし、だからこそ大切です。
それを一瞬で感じ取れるかは、負けたレースからは特に学びがあります。自分にフィードバックができるんです。負けたレースを何度も振り返るのはとても嫌なんですけどね(笑)。でも、それを心に刻んで次に活かせるようにしています。
山口:今はグランプリトライアルレースを中心にお話いただきましたが、次は今年1年を振り返ってはいかがでしたか。
梅川:とても変化があった1年です。長い目で見たら大きな一歩になったかなと感じています。
山口:伊豆に拠点を移されたというのが特に大きいと思いますが、そこからのご自身の変化は何かありますか?
梅川:まだそこまで日も経っていないので、私自身は大きな変化を感じていません。でもあと1年くらい経ったら、自分でも「これくらい変わったな」と実感できるような成長の確信はあります。
山口:以前9月にインタビューをさせていただいた時にはナショナルチームでのレースは出ていないと仰っていましたが、先日前橋で「全日本自転車競技選手権大会トラック・レース」があり優勝もされました。その結果についてはいかがでしょう。
梅川:何種目か出場して、ナショナルチームとしての第一歩をまず踏み出した感じです。でも全体で見ると、まだ"さわり"だけ。例えて言えば1,000本ノックの1本目くらい(笑)。まだまだこれからです。
山口:ガールズグランプリへ向けて、これからの過ごし方はどのような感じですか?
梅川:これからガールズグランプリにむけて、約1ヵ月、ナショナルチームでトレーニングメニューを組んでくれるみたいです。
ナショナルチームとして、私が聞く限りですが、昨年まではそのようにガールズグランプリへ向けての特別なメニューはなかったようなのですが、今年はおそらく初めて、年末へ向けてしっかりと調整を含めたトレーニングが組まれるようなので楽しみです。しっかりと取り組んで調子を上げて臨みたいです。
山口:ナショナルチームの総力戦、ですね。
梅川:そうですね。競技の「全日本トラック・レース」へもそのように仕上げてから臨んではいるのですが、ガールズケイリンとしてのグランプリのレースは特別なので、ナショナルチームも考慮してくれているみたいです。
私自身としても一つのレースに向けて整えていくのは初めての試みなので、結果がどう出るか、よりもしっかりと結果が出せる状態にまで仕上げて臨めると思います。どんな結果になるか楽しみにしています。
山口:今までの9月のガールズケイリンコレクションや競輪祭でのグランプリトライアルレースへは、そこまで精密に照準を合わせていた訳ではないんですか?
梅川:そうですね。バシッと合わせていた訳ではないです。でも悪くもない、フラットな状態でした。でも次のガールズグランプリについてはしっかり合わせるようなので、今までとは違うと思います。
山口:梅川選手は3年連続でのガールズグランプリ出走です。昨年は落車もあり悔しい結果だったと思いますが、今年のレースへの思いはいかがですか?
梅川:7人全員が優勝だけを狙って走るレースなので、私が優勝をしてファンの皆さんと喜びを分かち合うのは当然の目標として掲げています。
私は今年で3回目の挑戦で、グランプリは毎年ずっと挑戦し続けることは不可能なレースなので、優勝できる可能性のある内に勝ちたいです。今あるチャンスを逃さないようにしたいですね。
山口:他のメンバーも何度も戦っている選手たちですが、レースへのイメージはいかがですか?
梅川:イメージは全く考えていません。どの選手がどう動くか、自分がどうしたいかは想像しないと思います。それは先ほどの話ではないですが、しっかりレースの中で感じ取って動くだけです。
山口:今年は特にビッグレースでも優勝を含めて活躍されたと思います。自信や手応えはいかがでしょうか。
梅川:私の立場はまだまだ挑戦者です。自分が挑戦できる良い立ち位置にいると考えて、守りに入らないようにしたいです。もう1ヵ月もないので、しっかりと調整して臨みたいですね。
山口:気持ちの面ではいかがですか?
梅川:ドキドキはします。でも、苦しんで成長しながら目標に向かっていくのは、私はとても楽しいと感じるかもしれません。緊張してしんどいながらも、終わった時に楽しかったと思える気がするので、今はしっかり苦しさに向き合っていきたいです。
山口:舞台となる平塚は9月に完全優勝されています。イメージはいかがですか?
梅川:結果も出ているバンクなのでイメージは良いと思います。後、気になるのは当日のバンクコンディションだけですね。ただ一発レースなのでどんな状態でも全員が同じ条件です。特に気にすることもなく臨めそうです。
山口:では最後に、オッズパーク会員の方へガールズグランプリの意気込みをお願いします。
梅川:年末の大一番ガールズグランプリですが、今年は来たくても来られないファンの皆さんが圧倒的に多いと思います。「画面からでも伝わる走り」があると思うので、私の「1着にこだわる走り」だったり「気迫」を少しでも感じ取ってもらえるように頑張りたいです。
また、平塚に来られるお客様にはそれをより感じていただけるようエキサイティングな気持ちを届けられるように走ります。ほとんどのファンの皆さんは画面越しですが、車券を買って応援していただけたら嬉しいです。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
11月の競輪祭で行われた『ガールズグランプリトライアルレースB』で優勝しガールズグランプリ出場を勝ち取った佐藤水菜選手(神奈川114期)。
優勝したトライアルレースBの決勝と今年1年の振り返り、ナショナルチーム加入で生活がガラッと変わった現状、そしてオッズパーク杯ガールズグランプリへの意気込みをお伺いしました。
山口:『ガールズグランプリトライアルレースB』優勝おめでとうございました。
佐藤:ありがとうございました。
山口:優勝した率直なお気持ちはいかがですか?
佐藤:強い選手ばかりのトライアルレースなので、まずは決勝にのることが目標でした。そこでまさか優勝できるとは思わず、嬉しいの一言です。
山口:1走目が4着、2走目が3着でしたね。決勝を走る前はどんなお気持ちでしたか?
佐藤:初日の先行をしたレースで私のやりたいことが出せました。2日目は展開が悪く、後ろから捲られたレースでした。決勝はプレッシャーもなく怖いものがないと思っていたので、勝ちにこだわらず緊張もせずリラックスして走れました。
山口:打鐘が過ぎても動きがない決勝でしたが、焦りはなかったですか?
佐藤:はい。2走目と展開が似ていたので落ちついていました。初手は小林優香さん(福岡106期)の後ろだったんですが太田りゆさん(埼玉112期)が位置をあげてきて前に入ったのは想定外でした。
りゆさんが前に入った時に、2走目の自分(の位置)と優香さん(の位置)が似ていると気付き、冷静にレースの動きが見られました。優香さんが捲りに行った時に私も仕掛け、後ろから梅川風子さん(東京112期)が捲ってくる音が聞こえたので「梅川さんは出させちゃいけない」と踏み負けないようにしたのがポイントだったかもしれません。
「早めに捲りきってしまうと他の選手に後ろから差されてしまう」と短い時間の中で考え、行けるところから全力で踏みました。
山口:とても冷静だったんですね!ゴールした時には「優勝した!ガールズグランプリ出場だ」という思いはありましたか?
佐藤:最終4コーナーでりゆさんが最内にいるのが見えました。「りゆさんはすごく強いし、私の捲りを合わせられたらどうしよう」と焦ったんです。 でも焦りつつもゴールしたら自分が1着だったので、「私が優勝できた!?のかな?」というのが正直なところです(笑)。
山口:走る前までは決勝に乗ることが目標という話も先ほどあったように、自分でもびっくりの気持ちが大きかったようですね。
佐藤:はい。小倉のトライアルレースの前に「全日本自転車競技選手権大会トラック・レース」という自転車競技のレースが前橋競輪場であり、私も走らせてもらったんですが、そのレースで梅川さん、優香さん、りゆさんに負けているんです。私が先行しゴール前で3人に抜かれてしまう結果でした。
その結果もあったし、トライアルレースの1走目、2走目も全然勝てませんでした。なので「ようやく勝てた」というほっとした気持ちと達成感が強かったです。その後に「地元・平塚でのガールズグランプリに出られるんだ」という思いがあり、更に嬉しさが倍増しました。
山口:ビッグレースでの優勝はこれが初めてですが、その結果を受けてはいかがでしょう?
佐藤:ほっとした部分はありましたが、正直に言うとコレクションなどでの結果は特に気にしていませんでした。「現状でどれだけ戦えるか」を重視していましたし、このトライアルレースでも「1年間で自分がどれだけ、どのように成長したかを知るチャンス」ととらえていたんです。だからこそ去年はトライアルレースで決勝に上がれなかった自分は超えたかった思いはありました。
あ、でも先日の「全日本トラック・レース」で負けていたので、勝ちたいなと思っていましたね。
山口:そうでしたか。では、今年を1年振り返ってみていかがでしたか?
佐藤:去年のガールズグランプリトライアルレースで怪我(腰痛)をしてから今年の4月くらいまでは練習も思うようにできませんでした。だんだんと良くなってきた頃にナショナルチームへ加入の話が本格的に決まり、7月には拠点も伊豆に移して練習が始まりました。
そこから私の人生が凄く変わったと感じます。
山口:具体的にはどのようなことが変わったんですか?
佐藤:競輪学校(現:競輪選手養成所)に戻ったような感じです。全てが管理されているので、私はその方がやりやすいです。自分でどうしようと練習に悩むよりコーチに「こんな練習をしよう、こんなメニューを取り入れよう」と言ってもらう方がわかりやすい。
毎週メニューがきちっと決まるのは、楽ではなく苦しいところも多いですが、充実感はとてもあります。
山口:力がついた、という実感はありますか?
佐藤:あります。たった4か月ですが、ハロン(バンク半周200mのダッシュ)のタイムが0.6秒も縮まったんです!こんなに一気にタイムが縮まるなんて自分でもびっくりしています。それが一番成長を感じたことです。
山口:ナショナルチームへ参加は佐藤選手の希望だったんですか?
佐藤:もともとガールズケイリンと並行して自転車競技もやりたいと思っていました。デビューした年からナショナルチームへどう?というお誘いはいただいていたんですが、参加するきっかけやタイミングもなかったのでなかなか話は進まなかったんです。
でも今回は直接じっくりとお話する機会があり、それからトントンと話が進み参加することにしました。参加してとても良かったと思います。
山口:以前からナショナルチームで練習されている小林選手、太田選手、梅川選手とも同じ練習をされているんですか?
佐藤:いえ、他の皆さんはAチームで私はBチームなので、同じ場所にはいるんですが練習メニューなどは全く別です。パリオリンピックを目指してやっています。
山口:今年のガールズグランプリは地元平塚での開催です。神奈川所属の選手として今年1年はどのように目標を立てていましたか?
佐藤:昨年末からの腰痛もあったので、年頭は諦めもありました。「今年は平塚でのグランプリだけど、今の状態だと出るのは難しいかもしれない」と思っていたんです。
でも途中でナショナルチームへ参加し、自分の脚力も目に見えてアップしだしてからはグランプリも狙えるかもしれないと気持ちも変化しました。ただ、結果は思うように出ず「あと少し、あと少しだけど届かない」という賞金ランキングの位置が続きました。「小倉でのトライアルレースを優勝したら出られるけど、強いメンバーで優勝できるかな、できないよな。でも出たいな」と葛藤してのトライアルレースに参戦したので、まさか優勝してグランプリ出場できることになるとは本当にびっくりしています。私自身がびっくりしたので、きっと皆さんもびっくりしたんじゃないですか(笑)。
山口:優勝した後の周りからの声はいかがでしたか?
佐藤:コロナの影響で直接は会えないですが、メッセージなどで「良かったね」や「おめでとう」と言っていただけました。
同じようにトライアルレースに参加していた児玉碧衣さん(福岡108期)や同期の柳原真緒さん(福井114期)からも祝ってもらえて、凄く嬉しかったです。真緒さんも私の後のレースで同じく決勝だったんですが、終わった後には目に涙を浮かべて「おめでとう」と言ってくれました。
私はアメジスト(Bグループ)優勝のチャンピオンジャージを着ていたんですが「すごく似合ってる」と言ってくれたのが本当に嬉しかったです。真緒さんは学校の時からずっと強くて凄い人だなとずっと思っていたので、そんな人からそんな感想をいただけてとても嬉しかったですね。
山口:佐藤選手にとっては昨年に続き2回目のガールズグランプリです。どんなレースを見せたいですか?
佐藤:去年よりはグランプリシリーズの様子も雰囲気もわかっているし、舞台となる平塚は何度も練習でもレースでも走っている慣れているバンクです。特別気負わずにチャレンジャーとしてしっかり走りたいです。
山口:昨年と同様でしたら、トライアルレース優勝者が内枠になりますね。それは有利になりそうですか?
佐藤:そうですね。今年も優勝者に内枠をもらえるなら、車番を活かして好きな位置からレースができそうです。チャンスをみていきたいですね。
山口:残り1か月をきりましたが、この後の過ごし方はいかがですか?
佐藤:ナショナルチームの練習は引き続きあるのでそれを毎日頑張るだけですね。私は特に調整などは必要ないと思っているので問題ないです。競輪選手はオールシーズン走っているので、いつも気にしていませんでした。ギリギリまでしっかり練習して自信をつけてから参加したいです。
山口:現状(12月初頭)では15日からの前橋競輪は斡旋が入っていますね。
佐藤:はい、前橋は特に何もなければ走りたいです。新車でグランプリに出るので、その新車を前橋で試したいんです。良い機会をいただきました。
山口:新情報ですね!それは前橋の前に記事にして良い情報なんですか(笑)?
佐藤:問題ないです!
山口:ありがとうございます(笑)。新車が良い感触だと良いですね。
それでは最後に、オッズパーク会員の方へガールズグランプリへの意気込みをお願いします。
佐藤:今年のガールズグランプリは地元の平塚です。しっかり優勝を狙って頑張ります。
今年は新型コロナウイルスの影響で、神奈川県内の限られた方しか場内では観戦できませんが、テレビやインターネットで見てくださっている方にも「良いレースだった」と言ってもらえるようなレースをしたいです。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
11月、防府記念で行われたデビュー2年未満のガールズ選手たちによる単発レース『第2回ガールズフレッシュクイーン』。初の単発レースでありながらも見事優勝した久米詩選手(静岡116期)。
その後の小倉競輪祭での『オッズパーク杯ガールズグランプリトライアルレース』でも活躍を見せ決勝戦へ。2つのビッグレースの振り返りを中心に、今後の目標や近況などをお伺いしました。
山口:まずは『第2回ガールズフレッシュクイーン』優勝おめでとうございました。
久米:ありがとうございます。
山口:どういう意識でレースに臨まれましたか?
久米:防府の333バンクなので展開も早くなるなと思っていました。自力タイプの強い選手が集まったことで展開も想定しにくかったですが、前々には絶対いなければという意識だけは持っていました。
山口:意識していた選手はいましたか?
久米:佐藤水菜選手(神奈川114期)と柳原真緒選手(福井114期)です。
山口:自分から動いて3番手の位置を取りました。佐藤選手や柳原選手は後方でしたが、想定通りでしたか?
久米:そうですね、良い位置を取れたと思いました。
山口:そのまま野本怜菜選手(埼玉114期)が先行体制に入りましたが、予想はしていましたか?
久米:全くしていませんでした。自分にとってはとても有利な展開になったと思います。恵まれたし運が良かったです。
山口:最後追い込んだ時には比嘉真梨代選手(沖縄114期)と接戦でしたね。
久米:もうガムシャラでした。自分が優勝だとはわからなかったです。差せたかなと思っていたんですが、お客様の声で比嘉さんの名前を呼んでいる方が多かったので「差せなかったんだな」と感じていました。
山口:フレッシュクイーンは、デビュー2年未満のガールズ選手の内、選考期間トップ7選手によるレースですが、出場は目標にされていましたか?
久米:はい、このフレッシュクイーンに出られるように意識をして練習もレースも走っていました。私はギリギリ7番手での選考だったので、(フレッシュクイーンに)出られたこと、直前の久留米で優勝をして好感触でフレッシュクイーンに臨めたこと、更に優勝もできて良い流れにのれたと思います。
山口:その久留米も1月以来の久々の優勝でしたね。
久米:そうなんです。
山口:練習を変えたなど、何か変化があったんでしょうか?
久米:セッティングを変えたりなどはしていたんですが、一番大きく変わったのはレース展開を読めるようになってきたことだと思います。
自分から積極的にレースを動かして有利な展開に持ち込めることが多くなりました。
山口:今レースの振り返りを伺っていると、本当にその通りのレースになったんだなと感じました。
久米:そうですね。有利になるような展開のきっかけを自分で作れるようになりました。それによって狙い通りの位置が取れたり、結果として恵まれることも多くなりました。
山口:『ガールズグランプリトライアルレースA』でも、まさに展開を動かしていらっしゃた印象です。
まずは終わってから率直な感想はいかがですか?
久米:もともと予備で、欠場選手が出たために繰り上がりでの出場だったので、楽しめたら良いなと思っていました。結果は決勝にも勝ち上がることができたしレースも楽しめたし、1着も取れたので良かったと思います。
山口:初日の1着スタートは攻めたレースでしたね。組み立てはどのように考えていましたか?
久米:自在タイプの選手が多いレースだったので前々にいた方が有利だと思っていました。3番手に入れたのはとても良かったです。
山口:ビッグレースの初日、緊張はしなかったですか?
久米:特に緊張しすぎることも、全く緊張しないでもなく、良い緊張感で臨めました。
山口:2走目ですが、先に動いて奥井迪選手(東京106期)を待つような形になりました。意図はどういう所でしたか?
久米:奥井選手が早めに仕掛けてきたのがわかったのでその後ろを取りたいと思いました。あのレースを走っているメンバーを比較すると、自分の脚では1周先行だと残らないと思い奥井選手の後ろを狙いました。
山口:狙い通りの位置を確保でしたね。後ろからの仕掛けは見えていましたか?
久米:バックストレッチでは捲ってくる坂口楓華選手(京都112期)や柳原選手など4車くらいの併走になったのがわかりました。並んだくらいに気付いたので、自分が出ようとした時には、外の選手にはもういかれていたので遅かったですね。
山口:2走目の方がポイントは高いですが、走る前に決勝というのは意識していましたか?
久米:はい。1走目に1着が取れたのでもしかしたら決勝へもいけるのではないかと思っていました。でも自分でプレッシャーを与えすぎないようにして、できるだけ自然体で走りました。
山口:決勝ですが、初手の位置取りはいかがでしたか?
久米:強い児玉碧衣さん(福岡108期)と荒牧聖未さん(栃木102期)の後ろは取れるかなと思っていて、結果としてそこが道中では7番手になるのも覚悟しての位置取りでした。
途中で追い上げたりしましたが、技術不足で良い位置は取れなかったです。最終的に児玉選手の捲りを追走する形でしたが、内からのあおりで膨らんでしまいました。
それについては脚力も技術も不足していたんだと思いました。
山口:先輩期と混ざってのビッグレース、特にガールズグランプリに出場できるチャンスのあるレースは、このトライアルレースが初めてですがいかがでしたか?
久米:検車場などのピリ付いた雰囲気や強い選手たちのレース以外の過ごし方を知れたり、とてもいい勉強になりました。普段のレースとは違い、男子選手もいるGIレースは初めてだったので、その空気も経験ができて良かったです。
山口:ビッグレースへ向けての練習はしましたか?
久米:トライアルレースの直前は平塚だったんですが、そこからあまり日数もなかったので、思い切り練習をするというよりは調整程度でした。
山口:久米選手は適性で養成所に入所とありますが、お父様は元選手ですよね。選手を目指すきっかけはお父様ですか?
久米:はい、選手をやっていた父の影響です。高校3年の時に進路を考えた時、大学進学の予定だったんですが、大学で具体的に何を目指すかは未定だったんです。
ならば「選手を目指してみよう」と急遽進路を変更しました。その時には技能では間に合わなかったので適性で受験をしました。
山口:養成所時代は苦労されたのではないですか?
久米:そうですね。苦労というか何をしたら良いかも全くわからずゼロからのスタートでした。自転車の乗り方なども最初からしっかり教わりました。
山口:卒業した時はどんな選手になりたいと思っていましたか?
久米:自分のレベルが低すぎて、プロになって通用するのか全くわからなかったのでイメージもできませんでした。「デビューするまでに戦える状態にしないと!」と思って練習に取り組んでいました。
山口:7月にデビューして10月には初優勝ですから、デビューまでに充実した練習ができたんですね。
久米:はい。3月に卒業してから丸3か月の練習期間が大きかったです。最初の半分はひたすら距離を乗って体力をつけることを意識し、残りはバイクを使ってのスピード練習や、バンクに入っての練習をしていました。
山口:今の練習状況はどのような感じですか?
久米:伊豆のサイクルスポーツセンターのバンクを使っています。固定された練習メンバーではなく、その日に練習に来ていた静岡の選手に混ぜていただいて練習をしています。
山口:ガールズケイリンの選手と一緒に練習することはありますか?
久米:ほとんどないです。たまにナショナルチームの鈴木奈央さん(静岡110期)がガールズケイリンの練習をする日と重なった時には一緒に混ぜていただいています。
山口:練習のモチベーションは何ですか?
久米:具体的にはタイムが一番の目安になります。スピードメーターをつけて最高スピードを「これくらい出したい」など目的を持ってやることですね。
山口:先ほどのお話でレースを動かせるようになって結果が出始めた、とありましたが、他の選手は研究しますか?
久米:はい。ガールズケイリンのレースは基本的に見ています。それぞれの選手の特徴があるので頭に入れてレースに臨みます。
「この選手ならここで動くかな」や「この選手なら仕掛けるだろうけど、それより先に自分が動きたいな」などは考えています。
山口:もし想定通りにならなかった時はどうしますか?
久米:そうですね・・・・・・。その時にできることをやるしかないです。常に1着を狙ってのレースをしていますが、展開の想定が悪く1着が狙えない場合なら少しでも良い着を。
例えば予選2などは決勝をかけて全選手にチャンスがあると思うので、決勝には上がれる着を狙って走ります。その時の最善をつくします。
山口:戦法は、今後へ向けてはいかがでしょうか?
久米:今、勝てている戦法が自在に動いてからの差しだと思うので、もう少し自力の決まり手がつくように捲りなども増やしていきたいです。
山口:先行はどうですか?
久米:考えの中にはありますが、メンバー次第ですね。自分か先に仕掛けて勝てるメンバーであれば先に仕掛けていきたいです。
山口:今の目標は何でしょうか?
久米:まだハッキリとは言えないのですが、今のままの成績だと今後は大きいレースにも出られるチャンスが増えると思います。その時に合わせて良い結果を残せるようにしたいです。
山口:来年はガールズグランプリが地元・静岡での開催ですが、それはいかがでしょう?
久米:今年、自分がこんなに結果を残せるとは思っていなかったので、もう少し頑張って、来年はビッグレースやグランプリトライアルレースで良い結果が残せたら、グランプリ出場も視野に入ると思うので頑張りたいです。
山口:今年は静岡の先輩、鈴木美教選手が最後の権利を獲得しました。久米選手も来年は年頭からそれを狙えるのではないですか?
久米:はい。熾烈な争いがあるというのを間近で見られました。来年は自分もそこへ参加したいです。
山口:ありがとうございます。それでは最後に、オッズパーク会員のファンの方へメッセージをお願いします。
久米:いつも応援ありがとうございます。来年はガールズグランプリを狙えるように1年かけて頑張るので応援お願いします。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA
9月に行われたGII共同通信社杯競輪でビッグレース初制覇となった中本匠栄選手(熊本97期)。3年前に同じ伊東温泉バンクで落車骨折し、今年に入ってからも怪我を繰り返し、心が折れそうな時期もあったと言います。シリーズは本調子ではない中、ラインの力で得た優勝。その決勝戦の振り返り、これからの目標。そして、九州の先輩、後輩、練習仲間への気持ちも伺いました。
星野:共同通信社杯競輪、優勝おめでとうございます。アクシデントもあった中での優勝でしたが、改めて振り返っていかがですか?
中本:アクシデントも、1着到達のヒデさん(山田英明選手・佐賀89期)の失格もあって喜べなかったし、最初は実感も湧かなかったんですが、周りや家族から祝福されて、今は優勝したことより、祝福してもらった事が嬉しいですね。
星野:今年は二度、怪我をされて万全ではない中の開催だったと思うんですが、状態としてはどうだったんですか?
中本:そうですね。今年は4月と7月に落車して骨折もしました。脚力が戻りきってない中で初日を迎えたので、初日の並びも本来なら僕が前を回らないといけないんでしょうけど、先輩のヒデさんの後ろを回らせてもらったくらいです。
星野:その中で、準決勝のレースはラインの先頭を走って、自分でレースを切り開きましたね。
中本:準決勝は園田さん(園田匠選手・福岡87期)との連携で、前受けから先行ラインの2番手に飛び付く。あのパターンしかないと思っていました。結果、脇本さん(脇本雄太選手・福井94期)には捲られたんですが、園田さんと一緒に決勝戦へ行けてよかったと思います。それに、決勝戦には九州勢が4人揃いました。なかなかないことなので、その内の一人になれたこと、しかも自分で動いて決勝戦に乗れたことが素直に嬉しかったです。
星野:初めての特別の決勝戦はどんな気持ちで走りましたか?
中本:ラインの先頭に賢人(山崎賢人選手・長崎111期)と2番手にヒデさん、3番手に僕、後ろには園田さんがいたので、自分はラインをサポートする気持ちが大きかったですね。僕たち九州勢以外は全員単騎を選んでいて、そのなかには強豪ナショナルチームのメンバーもいたし、位置を狙ってくる選手もいるかもしれないと思っていました。レースは賢人が逃げる展開でスピード上げてくれて、ヒデさんがブロックしてくれて、九州から優勝者が出たのは、ラインの力が大きかったですね。
星野:ゴール体制は、中本選手は2着で1着が審議になりましたが、結果が出るまではどんな心境でしたか?
中本:僕から買ってくれている人もいたので、こんな事を言うのは申し訳ないですが、僕は2着で良いから、セーブであってくれと思っていました。レースが一緒の時は練習の仕方を教えていただいたり、お世話になっている先輩で、頑張っている姿も見ていたので、ヒデさんが優勝して欲しいと思っていました。
星野:その中本選手の気持ちが、表彰式や優勝インタビューからも伝わってきました。さて、この優勝した日(9月21日)が、3年前に大きな怪我をされた日だったんですね。
中本:3年前に同じ伊東温泉バンクで頚椎骨折したのは覚えていたんですが、日にちまでは覚えていなくて、レースが終わってから聞きました。レース前でなくて良かったなと、もし先に聞いていたら、意識してしまったと思います。どうしても怪我をしたイメージが抜けなくて、あの日から伊東温泉競輪場の斡旋は受けていなかったんです。それで、今回の共同通信社杯競輪の舞台が伊東温泉競輪で、出場が決まったときは、せっかく走るチャンスをもらえたんだから、走ってみようと決めました。でも、初日はやっぱり怖かったですね。
星野:その辛い時期を乗り越えたのが、今回の結果に繋がったと思いますが、支えはなんだったんですか?
中本:僕は怪我が多いタイプで、復帰の仕方とか練習方法をいろいろ周りに聞いてやってきました。頚椎骨折から2年ほどは落車もなかったんですが、今年の4月に鎖骨と肋骨を骨折して手術して、ようやく良くなってきたかなって時に、また同じところを骨折して手術して、、、この時は正直心が折れかかりました。でも、合志さん(合志正臣選手・熊本81期)も怪我の多い先輩で、経験を元にアドバイスもらいながらやってきました。家族にも心配をかけましたし、やっぱり周りの人や今の環境が支えてくれてたんだと思います。
星野:これで、GIIの優勝を手にして、賞金ランキングもかなりランクアップしましたが、その辺りはいかがですか?
中本:元々、グランプリに向けての賞金争いをする位置にはいなかったので、怪我も多かった中で、その位置にいられるのは有難い事だと思います。でも、それでモチベーションが上がりすぎると、今やっていることのバランスも壊れそうなので、良い意味で意識できるようにしていきたいですね。
星野:来月には、今年最後のGI、競輪祭がやってきます。
中本:そうですね。今はそこに向けて取り組んでますが、現状を考えても、優勝することは難しいと思います。だけど、一戦一戦、周りから期待される以上に確定板(3着以内)を常に意識していけば、それがいつかGIでの優勝に繋がるんじゃないかなと思います。その為にも今は脚力を戻して、スピードも全体的に上がってますし、レースの中で余裕を持てるくらいにならないと横の動きも出来ませんから、対応していかないとと思っています。怪我から復帰して、レースが続いていましたが、やっと休養も取れるようになりました。なので、少しゆっくり出来たことを次のレースに生かしていきたいですね。
星野:話を伺ってると、中本選手の人柄もうかがえますし、周りの環境も本当に良さそうですね。
中本:今は、熊本も若手が多くなってきて、本当に雰囲気がいいんです。良い仲間に恵まれていると思います。だから、これからはレースでは先輩を引っ張っていって、また、熊本の若手を引っ張っていける選手になっていきたいですね。
星野:では、最後にオッズパークの会員の皆様にメッセージをお願いします。
中本:まずは、僕自身の状態を戻していって、レースではやれることを一つ一つやっていきます。そして、また大きな所で九州の仲間とラインを組めればと思います。これからも、応援よろしくお願いします。
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※インタビュー / 星野めぐみ(ほしのめぐみ)
大阪府出身。タレント、アナウンサー、競輪キャスターとして活躍中。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
今年7月に先輩期に混ざって本格デビューを迎えた118期生。卒業記念レースを優勝した尾方真生選手(福岡118期)はいきなりデビュー節を優勝し、ここまで積み重ねた優勝はルーキーシリーズを含めて5回!
更に11月に小倉競輪場・競輪祭で行われる「ガールズグランプリ2020トライアルレース」にも118期としてただ一人出場権を獲得しました。
選手になろうと思ったきっかけや、デビューからこれまでの振り返り、そしてトライアルレースへの意気込みをお伺いしました。
山口:まずは11月に行われる「オッズパーク杯ガールズグランプリ2020トライアルレース」に出場が決まった時のお気持ちを聞かせてください。
尾方:7月に本格デビューしてから9月までが選考期間だったんですが、118期の場合は優勝回数が2回以上で、かつ競走得点上位選手という条件でした。 私は、優勝回数は達成していたので、9月中は競走得点を落とさないようにしようと思っていました。周りの選手たちには「条件も満たしているから多分出られると思うよ」と言っていただきましたが、決定した時はやっぱり嬉しかったです。
山口:デビューした年からトライアルレースには出場していた選手も過去にいました。デビュー時から目標にしていたんですか?
尾方:デビューする前、養成所に入る前から目標にしていました。私が養成所に入る前の2018年に師匠である藤田剣次さん(福岡85期)から「競輪祭見においで」と言われ競輪祭を見学させてもらい、その時に初めてガールズケイリンのレースを見たんです。
そこで藤田さんや大師匠と「デビューした年から競輪祭のトライアルレースに出られるように頑張るぞ」と、一番近い目標を競輪祭に定めました。今それが達成できて嬉しいです。
山口:間近にみたトライアルレースはいかがでした?
尾方:その年にデビューした佐藤水菜選手(神奈川114期)が新人選手として走っていましたし、姉弟子の皆さんも参加されていました。それまでテレビなどではガールズケイリンのレースは見ていましたが、実際に目の前でレースを見ると迫力がありました。
山口:今年は本格デビューの前にルーキーシリーズがありました。先輩期と混ざっての7月からのレースは同期だけのレースとはどう違いましたか?
尾方:同期とは養成所時代から何度も一緒に走っているので、誰がどういう走りをするのかが大体わかっており、仕掛け所なども把握しています。でも先輩たちは1レース1レース全く違う走りをするんです。周りを見て仕掛けている感じもします。
私は自分でレースを動かしていくタイプなんですが、先輩たちに前団で見られて警戒されていると緊張してしまい、なかなか仕掛けられないレースもありました。
同期だけだと思い切って仕掛ける場面でも、それをさせてもらえない時などは、レース経験の浅さを感じます。
山口:尾方選手はデビューしてから1着が多いですが、それ以外の時には警戒されたレースがありましたね。
尾方:はい、勝てなかったレースはそのように思い切り仕掛けられないレースでした。
山口:ただ優勝回数は先輩期と混ざってからも4回されています。ご自身の成績は振り返っていかがですか?
尾方:優勝しているのは嬉しいです。最近は、予選では今までよりは緊張もほぐれ、リラックスして走れているんですが、決勝になるとまだ緊張してしまいます。決勝でもそこをもっと改善して、魅せるレースができるようになりたいです。
山口:戦法や持ち味はどんなところですか?
尾方:自力を発揮したいと思っています。今は2コーナーからの捲りが決まることが多いですが、自分としてはホームから仕掛けて押し切れるようなレースをしたいですね。
山口:尾方選手のプロフィールには学生時代は陸上をしていたと書いてありますが、ガールズケイリン選手を目指したきっかけは何ですか?
尾方:陸上時代には「競輪」や「ガールズケイリン」は全く知りませんでした。たまたま高校時代の下宿先の方が元選手の方で、その方に競輪場に連れていってもらい競輪用の自転車にのせてもらったのがきっかけです。
その時に面白いなと思ったのと、一緒に練習させてもらった選手のスピードが凄くて、それに憧れて選手になろうと思って自転車を始めました。
山口:では自転車歴はまだ浅いんですね。
尾方:はい。実は元選手の方に競輪場に連れていってもらったのも、陸上部を引退して大学受験が終わった後でした。「もし興味があるなら、大学を卒業した後に競輪学校(現:日本競輪選手養成所)を受験してみたら良いよ」と言われたんです。自転車を始めてもすぐ選手になろう、ということではありませんでした。
ただ予想よりタイムが良く「今年受験したら合格するよ」と言われて、受けたら合格しました。
山口:そうだったんですか!初めて競技用の自転車に乗った時はいかがでした?
尾方:普通の自転車と違いブレーキがついていないので怖かったです。でも、バンクの内側を走らせてもらった時に、普通の自転車よりもスピードが出てグイグイ進んでいったのが楽しかったです。
山口:怖いよりも楽しいが大きかったんですね。初めて乗った時もタイムは良かったんですか?
尾方:1kmT.T.(タイムトライアル)のタイムはそこまで良くなかったと思います。手応えはそこまでありませんでした。
山口:養成所ではゴールデンキャップを取得されましたが、自転車経験が浅いからこその成長というのは自分で感じましたか?
尾方:養成所の夏帰省の時、ガールズ選手の皆さんの合宿に参加させてもらい、そこで児玉碧衣さん(福岡108期)や尾崎睦さん(神奈川108期)など強い先輩たちと一緒に練習させてもらいました。
その時にプロで戦っている先輩たちから刺激を受けたんです。夏帰省後、養成所に戻ってからはタイムが出るようになりました。
山口:「デビューしたらこの強い先輩たちと戦うんだ」と刺激になったんですね。
尾方:そうですね、意識も変わったと思います。
山口:9月の高知では尾崎選手の上を捲って優勝されました。強さを目の当たりにした先輩を破っての優勝は嬉しかったのではないですか?
尾方:はい。嬉しかったですが、睦さんはとてもレースが上手いなと感じました。仕掛け所など学ぶ所がたくさんありました。
山口:今の練習環境はどのような感じですか?
尾方:最近は同期の廣木まこさん(福岡118期)と碧衣さんと同じ時間に練習することが多いです。
山口:久留米はガールズ選手が多く所属していますが、レースの実践練習などもできますか?
尾方:デビュー前はコロナの影響でレースが中止になり、皆さんいらっしゃったので、レース形態の練習もしていました。今は皆さんレースがあるのでなかなか人数が揃わず、私はバイク誘導の練習を中心にしています。
山口:デビューして毎月レースがあるという生活は慣れましたか?
尾方:はい、だいぶ慣れました。レースとレースの間に練習をして、自信をつけてまたレースへ向かうという感じです。直前には師匠にアドバイスをもらったりしています。私はあまり本番で緊張をしない方なので、それは良い部分だと思います。
山口:陸上時代からあまり緊張しない方だったんですか?
尾方:いえ、陸上の時はすごく緊張するタイプでした。多分、大きいレースになると緊張する気がしますが、今のところはリラックスして走れています。
山口:ミッドナイト競輪も何度も走られていますが、時間帯はいかがですか?
尾方:私は普段の練習時間が夕方からスタートすることが多いので、ミッドナイトは平気でした。逆にモーニングはつらいかもしれないですね。
山口:今後強化していきたいことは何ですか?
尾方:先行でも捲りでも、私は初速が遅いので、そこを強化していきたいです。
山口:トライアルレースへ向けての意識はいかがですか?
尾方:師匠とも「しっかり競輪祭へ向けて練習していくぞ」と気合を入れて、練習メニューを組んでもらっています。参加するガールズ選手では私がいちばんデビューしたばかりで経験も浅いですが、先輩選手にも警戒してもらえるような走りをしたいです。
山口:トライアルレースではグループAで走りますが、メンバーを見ていかがですか?
尾方:AでもBでも強い選手しかいないので、どちらに入っても変わらずにしっかり走りたいと思っていました。誰を意識するとかではなく、新人なのでしっかりと力を出すレースをしたいです。
山口:前半のお話で、かなり他の選手のレースを見て研究されている印象を受けました。分析などはしっかりされますか?
尾方:はい、一緒にレースを走る選手については事前に見ます。どこから仕掛けるのか、などはイメージしているつもりなんですが、先ほども言ったように先輩たちは1レース1レース戦法も全然違います。見ていてもなかなか掴めていないですね。
山口:その辺りは経験なんでしょうか。
尾方:そうかもしれません。
山口:トライアルレースが行われる小倉競輪場はデビューのルーキーシリーズで走られましたが、印象はいかがでしたか?
尾方:とても軽くて走りやすかったです。でも先輩たちからは「3コーナーがあまり進まない」という事を聞き、実際にレースVTRを見ても3コーナーで浮いてしまっている選手がたくさんいました。なので走る時はその辺りも気を付けて走りたいです。
山口:ファンの皆様のご声援はどう感じますか?
尾方:8月末に地元の久留米を走ったんですが、その時は私の名前を呼んでくださる方もたくさんいらっしゃいました。
走り終わった後も「良かったぞ」と声を掛けていただいて、とても応援していただいていることを実感しました。もっと頑張って皆さんの応援に応えられるようになりたいなと思います。
山口:直にお客様の声が届くと頑張ろうと思えるんですね。ありがとうございます。
それでは最後にオッズパーク会員の方へ、今後の意気込みも含めてメッセージをお願いします。
尾方:デビューしてから時間は経っていませんが、たくさん応援してくださるファンの方がいるのを感じます。それにしっかり応えられるように頑張っていきます。
トライアルレースは強い先輩たちに負けずに自分の走りを思い切りできるように頑張ります。
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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。
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※写真提供:公益財団法人 JKA