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2009年1月23日 アーカイブ

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ばんえいジョッキーファイル(22) 山本正彦

2009年1月23日(金)

第22回 ベテランの味・マサ兄 山本正彦

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--- 騎手になられたきっかけを教えてください。ご出身は上富良野ですね。

 そう。馬が自宅にいたし、父親が騎手兼調教師やっていた。その時は両方できたんだよね。

--- 山本幸一調教師ですね。同姓同名がいたので、上富良野の山本幸一調教師、東川の……と出身地で分けていたんですよね。

 競馬場に入ったのは17かな。高2の時中退して。
 父親の厩舎に厩務員で入ってね……昭和48年か49年くらい。盛り上がってたかって?  手当ては今くらいの金額でないか。それからどんどん盛り上がってきて、最高のピークは昭和55〜56年くらいだよね。
 1年厩務員して、騎手試験は1回目の試験で受かって、昭和50年から乗ってる。2年目から父親は調教師1本になった。

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--- では、思い出の馬を教えてください。名馬に数多く乗られていますよね。

 自分の(山本幸一)厩舎のところでは、カイリキって馬が一番数多く重賞レース取ったよね。
 帯広来たら一番強くて、帯広だけで重賞5本くらい獲ったんでねぇか。大臣賞(ばんえい記念)は頭獲れなかったけど、2着1回と3着1回。
 それ以降いろんな強い馬に乗せてもらったよな。ヒカルテンリユウだとか、マルゼンバージだとか。
 ヒカルテンリユウは、最終的には金山さん(明彦騎手・現調教師)が乗って大臣賞獲ったんだけど(笑)。迫力のある馬だったよね。体はあまり大きくないんだけど、気性が荒くて体以上の力を出す馬。威張って歩く馬でね、きかなかったんだけどレースにはその根性が出とったよね。
 マルゼンバージはね、自分が初めてダービー(1989年ばんえい優駿)を獲った馬。人気薄ですごい馬券ついた。万馬券でなかったかな。旭川でね。そのままオープンまで行って、最終的にはまた金山さんが乗って大臣賞獲ったんだけど(笑)。

--- 金山騎手が先輩だったのでしょうか。厩舎は別ですよね? 山本さんは現在金山厩舎所属ですが。

 先輩ジョッキーで、色んなこと教えてくれて。これから育っていくって馬を俺に乗せてくれとったんだよね。
 テンショウリ(1992年ばんえい記念)も若い時乗せてもらってた。

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金山厩舎・サダエリコ

--- 好きな戦法は?

 アオザクラっていう雌馬がいたの。障害降りたらいっぺんに差してくるレースの面白さを教えてくれた。
 2障害までは真ん中くらいで持ってきて、障害は後ろからかけていって、降りてから差しこむレース展開っていうのが、馬にも負担かからんし、乗り方として好きなんだよね。
 テン(最初)から押していったら馬って疲れてくる。テンに少し息入れて乗ってきたら障害も楽に登れるし。どこまで持つかっていうのが鍵になるし、ま、そういう乗り方ばかりじゃ勝てないけど。

--- 山本さんは、ゴール前馬の影に隠れるように体勢を低くすることがありますよね。

 へっへっへ〜。みんなにはケツ出してるって言われるんだけど(笑)。
 馬が一生懸命歩いてるのに、叩いたりぼ(追)ったりしたら馬に負担かかるから、抵抗かけないように、ただ乗って馬の歩きにまかして。
 隠れてるわけではないんだけど、あまり動かないようにして。一生懸命歩いてるのにさ、負担かけたり後ろで叩いたりすることもない。
なかなかうまくハマらんけどね。

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--- さて、現役最年長騎手となりました。昔のばんえいと比べて、違う点はありますか?

 馬の体は大きくなったんだけど、昔の馬の方が……もっと迫力があったような気もするよね。
 昔のオープン馬なんてもっと強かったような気がするけど。うん。

--- ではプライベートについて教えてください。

 結構趣味は多いんだけど、休みったら魚釣りとか。あとは夏はゴルフだとか。

--- 今までのジョッキーファイルでも、一緒に釣りをするという騎手がいました。後輩に慕われていますよね。マサ兄(にい)、って。

 どうなんだろう(笑)。

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--- では最後にファンに一言お願いします。

 やっぱり……たくさんいるから大変なんだけど、1頭1頭の馬の“いい個性”っていうのをもっとアピールして、わかってもらいたいような気もします。
 例えば、11歳で頑張っているキョクシンオー。障害の登坂力もいいし、軽めの馬場だったら叩かないでも自分でダーって歩いていけるし。
 あ、今年からマルミシュンキに騎乗するんだけど、オープンに行っても勝ち負けできるような馬に育てていきたいな、と。馬主が期待してるだけに、良く育ててあげたいな、と。
 だからね、体を故障しないように。自分がだよ。


 私はゴール前に沈む、山本騎手の仕草が大好きです。馬を前に進める様々な技術に、さすがベテランと感動!
 今回、わかりやすい解説と馬のことを思ってレースを進めていることを知り、さらに山本騎手のファンになりました。
 ばんえい競馬はベテランであるほど、魅せどころがたくさんある競技だと思います。


取材・文・写真/斎藤友香

やっぱり馬が好き(第53回) 旋丸 巴

楽しみな新人騎手の活躍

 先週の日曜日(18日)、所用があって、厩舎地区を歩いていたら、前方、コースの方向から若い男性が自転車に乗ってやって来た。勝負服を着ているから騎手さんであるのは分かったけれど、見慣れない勝負服柄。はて、誰かしらん? と考えるともなく考えていると、自転車の騎手さん小さくガッツポーズ。顔には満面の笑み。

 あ、あれは、つい先日、デビューした新人騎手・貝羽智生くん。あの喜び方からすると……。

 慌ててスタンドに戻って調べてみると……やっぱり! 貝羽くん、初勝利をあげていたのね。

 騎乗センスの良さではベテラン大河原騎手も一目置く貝羽騎手。初白星をあげるのは時間の問題と誰もが思っていたことだけど、それでも新人さんにとって初めての勝利は、やっぱり格別なものなんでしょうね。と、あの嬉しそうな笑顔を思い出して、こちらまでニヤニヤしてしまったのでありました。

     *     *     *

 さて、しかし、ご存知のように、今年、ばんえい競馬では、この貝羽くんの他にも、実に3名もの新人がデビュー。しかも、みんなそれぞれに個性的。いずれ、友香さんの騎手ファイルで詳しく紹介されるだろうけど、今回は、ちょいと先取りして、一言ずつだけ、ご紹介をば。

 前述、貝羽くんより先に初勝利をあげたのが、長澤幸太騎手。兄弟子に大河原騎手、鈴木恵介騎手がいる名門・服部厩舎の所属だけれど、厩舎をあげてのバックアップと天性の素質で、1月19日現在で既に5勝! 初騎乗初勝利という偉業も達成した大器なのである。

 照れ屋さんなのか、一見すると、ぶっきらぼうだけれど、人懐っこい笑顔は必ずや若い女性にも人気を博すはず。将来のばんえい界のスター誕生!ですわよ、皆さん!

     *     *     *

 兄弟子に恵まれていると言えば、菊池一樹騎手も西弘美・謙一親子を擁する大橋厩舎の所属。厩務員時代から西弘美騎手に可愛がられていて、JRA騎手歓待パーティーや優良馬表彰式といった公式の場所でも、いつも西さんの横には菊池くんの姿が。そう言えば、いつだったか、競馬場から少し離れた和食屋さんで、ばったり西さんに会った時も、その横には菊池くんが居た。という訳で、前々から、よく見知っていた青年が騎手さんになって、私としては密かに親しみを覚えているのである。西さんに負けない立派な騎手になってよ〜!

     *     *     *

 でもね、今年の新人騎手さんで一番個性的、といったら……やっぱり林義直騎手

 だって、身長が、何と! 何と! 190センチ! 厩舎地区で「林騎手」と言って通らなくても、「ジャンボ」と言えば誰もが「ああ、あいつ」と頷くほど。

 厩務員時代から、林くんが馬を引くと、どんな巨漢馬でも小さく見えて、不思議な気持ちになったけれど、騎手としてソリに乗ると、これがまた、益々不可思議。ソリがちっちゃく見えるの。馬がちっちゃく見えるの。遠近感が変なの。

 馬にまたがったら、馬のお腹の向こうから林くんの足先が見えるし、1コースを走っていても凄く近くに見えるし……。

 オッズパーク・ばんえい・マネジメントの方が「ギネスに『世界一大きな騎手』として申請しようかな〜」とおっしゃっていたので、「是非、申請すべきですよ」と強く強くお薦めしておいた。アメリカ辺りにはアマチュア騎手の中にバスケット選手がいるらしいし、ばんえいの騎手がJockeyと言えるのか否か微妙ではあるけれど、いんや、そんなこたー関係ないのですよ。ダメでもともと。申請して、ばんえいの存在を多くの人が知ってくださればいいわけでね。

 もしもジャンボ林くんがギネスブックに載るようなことがあったら、それこそ大きな大きな広告塔になるわけで……。いやギネスブックに載らなくったって、大きな体で大活躍して欲しいものである。

     *     *     *

 ベテラン勢に猛者が居並ぶ「ばんえい騎手」ではあるけれど、いつまでもベテラン騎手に頼っているようでは、ばんえい界に明日はない。早くベテランを脅かし、引導を渡す次代の騎手が育って欲しい、と切望する私には、今年デビューの新人騎手の活躍が楽しみで、楽しみで……。

今週の見どころ(1/24〜1/26)

 1月19日終了現在のジョッキーリーディングは、藤本匠騎手が143勝を挙げ、2位の松田道明騎手に20勝差をつけ独走しています。これまでのばんえいの年間最多勝は坂本東一騎手(現調教師)が2000年度に記録した173勝ですが、その更新が十分に狙える数字で、今後の騎乗ぶりも注目されます。
 なお今週のスカパー!の放送チャンネルは709chとなりますので、ご注意ください。

 1月24日(土)のメイン第11レースは愛国特別(混合500万円未満)
 ここは近3走の500万円未満特別(混合戦含む)ですべて僅差3着のコブラダイオーに期待します。そのうちの2戦の勝ち馬はカネミセンショーですが、今回は昇級と賞金ハンデなどにより25キロ増での出走。対するコブラダイオーが10キロ増と有利なため十分に逆転が見込めるでしょう。
 面白そうなのが昨年の3歳牝馬三冠馬ニシキエース。前走の牝馬混合400万円未満では離れた障害3番手から差し切って勝利し、400万円条件でやっていける目途が立ちました。今回は未経験の725キロで格上馬相手と条件は楽ではありませんが、好走できれば今後に楽しみが広がります。

 1月25日(日)のメイン第11レースはウインターカップ(オールカマー)。オープンから3頭、500万円条件から2頭、400万円条件から1頭、300万円条件から3頭が出走。オープンのバンゼン(720キロ)から、300万円条件の4歳牝馬カネヅル(660キロ)まで上下60キロのハンデ差がつきました。
 実績からすれば、前走で重賞を制しているオープンの2頭、トカチプリティー(700キロ・ヒロインズカップ勝ち馬)、アローファイター(710キロ・天馬賞勝ち馬)が有利でしょう。とはいえ、ハンデ差と好枠を生かせれば、昨年のばんえいダービ2着の実績馬カイセテンザン(670キロ)、前走5歳300万円未満を押し切って今季12勝目を挙げた絶好調ギンガリュウセイ(680キロ)らがつけ入る余地もありそうです。

  1月26日(月)のメイン第11レースは銀嶺特別(オープン)。前開催の睦月特別(オープン)のメンバー中5頭が参戦してきました。
 その睦月特別で2着のホクトキングは持ち前の障害力を発揮し、近4走のオープンですべて連対と好調です。前走と比べてメンバーは骨っぽくなりましたが、ここも上位を狙っていけそうです。
 先行力あるヒロノドラゴン、オープン混合、勝入混合オープンと連勝で上り調子のニシキセンプーも侮れないところです。

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