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2008年10月30日 アーカイブ

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ばんえいジョッキーファイル(15) 工藤篤

2008年10月30日(木)

第15回 夢はつかむもの 工藤篤

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--- 騎手になられたきっかけを教えてください。ご出身は弘前ですね。

 うちにもばん馬用の馬いたからね。ちっちゃい頃から馬好きだった。
 俺が知ってる馬飼ってた人のところに、たまたま橋本豊元調教師が来てたの。いつもオフ期間になったら弘前の隣に湯治に来てたのさ。それで、馬糞出しに来ないかって言われて。
 俺は密かに騎手になろうと思ってたから、こういうことってあるんだなーって。

--- 騎手になりたい思いが引き寄せた出会いですね。ばんえい競馬のことはご存知でしたか? ばん馬大会に出られたりとか。

 ばんえいのことは馬飼ってたからだいたいわかる。ばん馬大会は親についてほとんど見るだけだね。中学のとき1回やったかな。
 親は違うところに就職してほしかったみたいだけどな。農業機械科に入ったし、公務員でもなれって。
 俺はとりあえず騎手に挑戦してみて、ダメならまた……って。
 頭の中はもう騎手しかなかったね。

--- 当時は競馬中継もインターネットもない時代でしたが、どのようなところに憧れたのでしょうか?

 憧れっていったら騎手全員だね。例えば、毎年カレンダーに載る騎手……金山さん(明彦調教師)でも、木村さん(卓司元調教師・元騎手)でも、久田さん(守調教師)でも。
 写真とか、たまにテレビに出たら見て。カレンダーとか見たら余計いいなって。
 北海道は、小学校6年生の時函館まで来て草ばんば見た。

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--- そして高校卒業後、橋本厩舎の厩務員になられました。

 橋本厩舎に今の大河原さんが兄弟子でいたから。俺の弟弟子が村上慎一調教師。俺は先生と呼んでるけど(笑)。
 騎手試験はね……昔はね、1、2年目っていったら受からないっていわれてたから。
 俺は期限は5年だと思った。だめなら違うこと考えなきゃって。
 1年目で一度学科受かった。試験の2カ月前に肺炎で入院したのさ。入院中なんもすることないから、病院で教本ばっかり見て、それがたまたまよかったのか……実技で落ちたけどね。2年目で受かった。

--- そして初勝利ですが、なんと。

 なんと。コーネルトップ号(ばんえいグランプリなど重賞8勝、現在の種雄馬リーディング)なんですよ。
 あれ何戦目かな。俺、なかなか勝てなかったんだよな。4月デビューで5月。周りの人がだまってみてられなくて……橋本先生からこれ乗れっていわれて。コーネルトップが今でいう2歳の時、初勝利。

--- 2歳の時だったのですか!

 俺と一緒に……俺が一緒にデビューしたみたいな(笑)。
 だまって捕まってるだけで行った感じ。そのくらい強かった。能力が違う。

--- コーネルトップは2歳時から評判馬だったのでしょうか。

 大きくて生まれた時から話題の馬だったの。十勝の市場あるしょ。はじめて1千万円の大台ついた馬だよ。コーネルトップが親馬で周りが仔っこ馬みたいだった。
 デビューする前から見てたからさ。もう見た感じ化け物だと思った。

--- その他に思い出に残る馬はいますか?

 うーん……カネサリュウか。俺に初重賞(ホクレン賞)もたらしてくれた馬だし。父コーネルトップですから。

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イレネー記念 カネサリュウ

--- コーネルトップの仔が活躍していますが、いかがですか?

 父以上の馬はまだ出てきてないな。それに近いくらいの馬は出るんだけど……おやじほど根性ないのかなぁ。
 コーネルトップの性格はね、わりかし温厚だったよ。
 仔も温厚だけど、変わった性格の馬多いね(笑)。ちょっと素直さがないところがあるんだよね。

--- 頭がいいのでしょうかね(笑)。

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--- ところで、工藤さんは痩せて見えますが減量は……

 してます。秋になったらどうしても太るんだよね。夏なら普通に仕事して普通に食っててもいいんだけど、秋になったらダメ。
 25日から(騎手重量が75kgから)77kgになったけど油断できない。身になるタイプだから。
 俺もともと太ってたんだよ。中学校の時110kgあったんだ(笑)。

--- えー!! どうやって痩せたんですか?

 食事療法。あとは走って。シャツと下着の上にカッパ着て、その上にトレーナーとか着て。傍から見たらさ、暑い時にカッパ着て走ってたら馬鹿だと思われるしょ。だから中に着て(笑)。すごい汗。わかるんですよ、自分でどれくらい汗出たか。
 病院の先生もそのままいったら死ぬよっていわれた。でも……夢もあったから。

--- 努力家なんですね。集中して何かをやり遂げるタイプですか?

 それはあるかもしれない。性格が控えめだから、こう、積み上げて。
 凝り性?……っていったら凝り性かも。

--- 何かに秀でる人はそういうところありますよね。ばんえいおたく。

 おたくまでは……(笑)。

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今年のJRAデーでは先生役(そりに乗っているのは石橋守騎手)

--- 勝負服の由来について教えてください。

 これはね、自分がデザインしたんだけど……たまたまJRAの雑誌の『優駿』見てて、黄色使ってる生地で目立つっていったら、ダイタクヘリオス(中村雅一氏の勝負服)とかエアが冠のラッキーフィールド。これいいなって思って真似した。
 黄色は……つながりあるんですよ。橋本さんも騎手時代黄色だったみたいだし。

--- そういえば大河原騎手も黄色ですね。
 ではプライベートについて教えてください。

 休みは……朝は普通に調教して、夕方は全部仕事終わったらパチンコ屋さんかな? お酒はほどほどしか飲めないし。
 私生活で仲がいいのは鈴木恵介かな。飲みに行ったり食べに行ったり。騎手になってからだよ。
 帯広のオススメかい。北海道ジンギスカン。鳥せい(十勝発祥の若どりの店)。あの味は帯広だわ。

--- パチンコですか。ギャンブル好きですか? 人生ギャンブルみたいな。

 そこまではいかないけど(笑)。
 こういう商売してるから。一攫千金、みたいな。ならないけど……(笑)。

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クリスマスのサンタ役が似合っています

--- では、ファンに一言お願いいたします。

 ばんえいの魅力は、やっぱりゴール前の接戦。これが一番の魅力でない。
 馬券買ってにぎりしめて、負けたら「工藤、バカヤロー!」とかっていわれるのがやっぱり。ヤジ? 聞こえる聞こえる!

--- 夢を叶えてきた工藤さんですが、最後に、今の夢を。

 夢はね。
 ばんえい競馬が盛り上がって……。
 リーディング……上位(笑)。なりたいですね……。なるっ!


 優しい顔つきからは勝負師然としたところが見えないのですが、陰でものすごい努力をされてきたのでしょうね。夢を引きつける力とセンスを感じます。今の夢も実現することでしょう。
 それにしても工藤騎手、優しい! インタビュー中も他の騎手が冷やかしに来たりして、愛されているのがわかります。
 ぜひ競馬場に来て工藤騎手の笑顔に癒されてください。

取材・文・写真/斎藤友香

馬券おやじは今日も行く(第49回) 古林英一

必見!これで菊花賞はいただき!……になったらいいなあ

 ナイター開催も終わり北海道は晩秋である。今年は妙に暖かい日が続いたので、これは地球温暖化とやらで、このまま冬にならないのではあるまいかと心密かに懸念していたのであるが、ここ数日突然寒くなり、山や峠は雪だそうな。感覚的にいうと、2障害をすんなり切ってゴール寸前まで逃げ粘っていた秋を、フクイズミのように冬が一気に追い込んできたという感じである。これから帯広の昼間開催にお出かけになるみなさん、くれぐれも暖かい服装をお忘れなきように。昼間は暖かくても、メインレース、最終レースになるとぐっと気温が下がる。特に最終なんぞになると、日がかげって寒くなるわ、すってんてんにやられて、懐も寒くなってるわで実に寒いったらありゃしない。

 どうも、この季節が一番寒いような気がする。もちろん、気温だけをみればこれからまだまだ寒くなるのだが、氷点下××度なんていう季節になれば、こちらもそれなりの覚悟と対策をとって競馬場に出撃するし、帯広競馬場のスタンドの中は随所に暖房用の大型ファンがぶんぶん回っているのでそんなに寒くはない。レースのときだけ外に出るのだが、それとても夢中になってるからあまり寒さは感じないものである。体がまだ冬体制になっていないこの時期が妙に寒く感じられるのである。

 ま、外気が寒くなるのは仕方ない。お天道様に文句たれても仕方ない。せめて懐だけでも温かく帰途につきたいものである。で、いよいよ今年も菊花賞である。帯広競馬場に勇躍出撃しようか、それとも自宅でごろごろ寝っ転がってTV観戦にしようか、はてさてどうしたものかと迷ってたら、オッズパークのNさんから「菊花賞イベントをやるから帯広に来い」とメールが来たのである。来いといわれりゃ行かざるを得まい。

 野を越え山を越えて帯広に出撃するからには、「何がなんでも勝たねばならぬ」と「王将(「餃子の〜」ではありません、念のため)」の坂田三吉の気分になったはいいが、ここのところ、というよりもこの春からずっとなのだが、ばんえいの馬券がおそろしく当たらない。たとえば、ナイターの最終開催の第13回6日間とデー開催になった14回前半の3日間あわせて9日間で、小生が手を出したレースは全部で43レース。このうち的中したのはわずか5レース。回収率にいたってはわずか40%程度にとどまっているのである。

 こんな状況で帯広に出撃するのは竹槍でB29と戦うようなもの(いうことが古いなあ。そこの若い衆、わかる?)。そこで、今回の菊花賞予想は自分で予想を立てるのをやめ、必殺技を繰り出すことにした。名付けて「下手な考え休むに似たり・当たるも八卦当たらぬも八卦・必勝・エクセル活用・数理統計学的予想術」である。

 細かいことは抜きにして要点だけをいえば、走破タイムは馬場水分とばんえい重量で決まると仮定し、これまでの各出走馬の今年度の戦績を元データとし、出走予定10頭の菊花賞の予想タイムを推定したのである。統計学でいう重回帰分析という手法である。

 で、出た結果は、馬場が重かろうと軽かろうと、勝つのはニシキエースということになった。ちなみに、仮に馬場水分が昨年と同じ4.5%程度だとすれば、ニシキエースの走破タイムは2分5秒程度と推定される。昨年のシベチャタイガーが2分4秒9であるから、まあ妥当なところではなかろうか。

 そして、2着は…。

 これが混戦模様なのである。当日の馬場水分次第で2着候補が変わるのである。3.6%未満であればライデンロック、3.6〜6.0%程度ならウメノタイショウ、さらに軽くなるようならオレワスゴイである。もう1頭気になる馬がカイセテンザンである。というのは、この馬の走破タイムには殆ど法則性がないのである。こういう不安定なデータの馬は一発あるかもしれない。

 以上、結論は、

 ◎ニシキエース
 ○ウメノタイショウ
 ▲ライデンロック
 △オレワスゴイ
 ×カイセテンザン

となった。これでしっかり儲けて、小生は豪華にグリーン車で札幌に戻るのである。

 では、みなさん、11月3日帯広競馬場で会いましょう!

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