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2007年10月26日 アーカイブ

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今週の見どころ(10/27~10/29)

2007年10月26日(金)

 先週土曜日(20日)の第2レースで、今年1月にデビューした西謙一騎手が50勝目を挙げました。ばんえい競馬では重賞・特別競走を除き、通算50勝未満の男性騎手は10キロ、女性騎手は20キロの減量特典があります(さらに女性騎手には50勝到達後も10キロの減量がされます)。
 これで一人前の騎手の仲間入りとなった謙一騎手。2000勝ジョッキーである父・弘美騎手にも負けない活躍を期待したいところです。

 10月27日(土)のメイン第11レースは帯広スーパーSS特別(430万円未満)です。
 近4走の430万円未満で1度も連対を外していないミスターセンプーの安定度が一枚上でしょう。02年のナナカマド賞(当時は重賞)勝ちをはじめ2歳時から息の長い活躍をしている同馬。自慢の登坂力を生かし粘り込む場面も十分です。
 9月29日、10月6日の430万円未満で、それぞれミスターセンプーを破っている銀河賞2着ヒロノドラゴン、同5着メジロショウリキの両4歳馬も上位争いを期待。確実に使える末脚が武器のイチショウリも侮れません。

 10月28日(日)のメイン第11レースは日勝特別(オープン)です。
  今回のメンバー中8頭が、前開催の狩勝特別に出走していました。
 その狩勝特別を障害6番手から豪快に差し切ったのがフクイズミ。今回は2、3着馬が不在のメンバー構成だけに連勝の期待がかかります。
 混戦の2着争いを演じたカネサブラックスーパークリントンミサイルテンリュウらも上位に食い込んでくるでしょう。
 ギャンブラークインは、狩勝特別では障害で腰が入らずに最下位に敗れましたが、オープン入り2戦目の今回は変わり身も期待できそうです。

 この日の第10レースに第30回ナナカマド賞(2歳オープン)が行われます。
 前回の2歳A1戦は一時調子を落としていたオレワスゴイが快勝。2歳A2からの連勝を飾りました。しかし、青雲賞2着ホクショウジャパンや、北央産駒特別1着ウメノタイショウが不出走での結果だけに、これら一線級が揃った今回は試金石となる一戦です。
 これら3頭に、青雲賞1着で前回のA1戦を僅差4着のコトブキタイガー、白菊賞を制し2歳牝馬ナンバー1・カネヅルを加えた面々による大混戦が予想されます。

 10月29日(月)のメイン第11レースは高松市愛と幸福の都市交流記念(500万円未満)です。
 ここはエメラルドと、ライジングサンの一騎打ちが濃厚です。
 エメラルドは、前々開催の同条件戦・神無月特別で、障害先頭から粘るライジングサンをゴール前で強襲。昇級初戦を白星で飾りました。前開催は、4歳牝馬重賞・クインカップで、ニシキユウとともにトップハンデ670キロを課せられたものの3着と健闘。力のあるところを見せました。
 一方のライジングサンは、前開催のいちょう特別は“エメラルドの居ぬ間に”とばかりにしっかり勝利を収めています。
 この2頭に割って入るとすれば、いちょう特別2着のコトノカツマ。3走前(9月17日)の混合600万円未満でもライジングサン(3着)とコンマ3秒差4着に健闘しており人気薄でも侮れません。
 ほか、同レース3着のテンカ、同7着ツジノコウフクも無視できない存在です。

馬券おやじは今日も行く(第39回) 古林英一

故キヲ温ネ新シキヲ知ル

 先日、JRAの知人から「古書店で岩波写真文庫の『馬』を発見して買いました」といわれ、早速見せてもらった。岩波写真文庫というのは1950年代(もしかすると60年代初めかも?)に発行されたA5版の写真集である。1冊1冊がテーマ別に編集されており、なかなか楽しい書籍である。

 この岩波写真文庫、小生が幼少のみぎり、わが家の本棚にびっしり並んでいたのを記憶している。どのようなテーマだったのかは全く記憶がない。なんせ40年以上前の話である。内容は覚えていないが、けっこう一所懸命に見ていた記憶はある。番号がそろっていたように思うので、おそらく親父は全冊買いそろえていたのではなかろうか。

 あらためて(というより、感覚的には初めてであるが)、岩波写真文庫『馬』を見ると、内容の豊富さに驚かされる。競馬、農耕、都市輓馬、そして食肉に至るまで、1950年代の馬のすべてが写真でコンパクトに紹介されている。歴史的事実として、知識としては知ってはいても、改めて画像で見ると、文字情報で得た知識がぐっと実体化するような気がする。

 印象深いいくつかを紹介する。

 競走馬の生産育成を紹介しているページでは千葉・三里塚の牧場が紹介されている。現在でも千葉はサラブレッドの生産県であるが、いまサラブレッドの生産を紹介するなら北海道であろう。日本の馬産史をひもとくと、北海道が競走馬生産で圧倒的なシェアをしめるようになったのは、実は、そう古いことではない。かつては千葉や東北が中心であった。故・吉田善哉氏が独立して社台ファームを最初に開いたのも千葉だったはずだ。そういえば、小生が大学生時代(1970年代後半)、競馬というものに目覚めてしまったときでも、千葉は軽種馬生産で10数パーセントのシェアをもっていた。

 都市輓馬の写真も興味深い。関西で生まれ育った小生にとって、馬は全く身近な動物ではなかった。1960年代、水田を耕作する牛は見た記憶があるが馬を見た記憶はない。しいていえば、小学校入学前に住んでいた大阪市西淀川区の公団住宅に「ロバのパン屋」が来ていたのを覚えているくらいだ。後年、この「ロバのパン屋」の荷車をひいていたのはロバではなく、木曽馬系統の和種馬であったというのを何かで読んだ。だが、当時の子供たちはあれがロバだとみな信じていたはずだ。

 馬には縁がないといわれる関西でも、当然といえば当然であるが、都市輓馬は数多く飼育されていたのである。大阪駅近くにあった大規模な厩舎村があったことを『馬』は教えてくれた。そんな大昔の話ではない。

 あまりにもふつうのことは存外記録されないものである。馬産研究においても同様である。もう少し都市輓馬というものを追いかけてみたいものである。うん、われながら学者っぽい締めくくりである。

 と、話はここで終わらない。ちょっと興奮気味に岩波写真文庫の件をつむじまる文豪にお知らせしたら、「岩波写真文庫って90年代に復刻されて、さらに最近またまた復刻されてるんですよ」と逆に教えられてしまった。いやあ、知らなんだ。スポーツ新聞と競輪・競馬の予想紙しか見ていないからこんなことになるのである。汗顔の至りである。あわてて注文した次第である。

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