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2006年11月10日 アーカイブ

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今週のみどころ(11/11〜11/13)

2006年11月10日(金)

 来週19日にばんえい菊花賞を控え、3歳の各馬が次々と出走態勢を整えています。その注目馬の中で掉尾を飾るのが、13日(月)のメイン、サロマ湖特別に出走するホクショウダイヤ。ばんえい大賞典では4着に敗れたものの、定量戦なら話は別。番組賞金でも2歳チャンプのマルミシュンキに迫る勢いですし、その仕上がり具合に要注目です。
 11日(土)に行われるのは美幌峠特別(3歳以上800万円未満)。前走オープンとの混合オータムカップで2着に健闘したライジングサンが、ここでも人気に推されるでしょう。近走は掲示板をはずさない堅実さを見せており、しかも戦ってきた相手がフクイズミやトカチプリティーなど、オープン上位をにぎわす面々。今回のメンバーは、一部を除いてほぼ勝負付けが済んでいるだけに、きっちり勝利を収めたいところでしょう。その“一部”というのは勢いある4歳勢で、スーパークリントンは堅実さという面で見てもヒケを取りませんし、ナリタボブサップも馬場が軽くなれば浮上してくるでしょう。ほかキングシャープとイッスンボウシも注目で、カツテンリュウの一発にも期待したいところ。
 12日(日)のメインレースに行われるのはレディースカップ(4歳以上7歳以下牝馬オープン)。サダエリコやアンローズなどの一線級から、4歳馬エンジュダイヤ、ウィナーサマーに至るまで、注目牝馬が多数エントリーしてきました。なかでも中心となりそうなのはフクイズミで、前走二世ロッシーニ記念特別でも完勝を収めており、勢いは抜群。障害さえ無難に越えれば、ここでも強烈な末脚を見ることができるでしょう。重賞2勝を含む5連勝中のアンローズにも注目で、前走イオンカップも文句なしの完勝。北見に移っても好調を維持しているようです。1開催休みを入れただけに、当日の状態に注意しましょう。ほかトカチプリティー、プリンセスサクラコの安定度、前走快勝エンジュダイヤの勢いにも注目です。
 この日の第10レースには、いちい賞(2歳牝馬オープン)が行われます。やはり9月の白菊賞上位組を中心視できそうで、そのレースを制したニシキガールは、北見で2戦して6、5着。ただ、牡馬も含めた2歳トップクラスでの争いなので仕方がない部分もあり、牝馬同士なら上位とも言えましょう。しかし、そのニシキガールが敗れた10月29日の2歳A-1戦で、シベチャタイガーやコーネルフジなど牡馬トップクラスを打ち負かしたのがプリンセスモモ。白菊賞2着、2連勝中の勢いもあるだけに、ここは要注目の一戦です。また白菊賞、ナナカマド賞ともに3着のダイヤローズも争覇圏。近2走1、2着で、特に前走はアローファイターの1秒1差に健闘しています。
 13日(月)はメインレースにサロマ湖特別(3歳以上550万円未満)が行われます。この路線の主役キョウワテンリュウをはじめ、今季10連勝をマークしたハイタワー、3歳馬ホクショウダイヤなど注目の各馬がエントリー。楽しみなメンバー構成となりました。なかでも中心視したいのはキョウワテンリュウ。前走こそ6着に崩れましたが、今季は連対率5割をキープしている安定株。今回のメンバーは何度も負かしている相手でもあり、冷静な力比較ではやはり上位と言えるでしょう。同じ4歳馬のトウリュウも2戦続けて3着に好走しており、その安定度からいっても有力。ハイタワーも一度このクラスを経験しただけに、前走の巻き返しを図りたいところ。またホクショウダイヤは、昇級初戦ですがキョウワテンリュウと好勝負を演じていただけに期待が持てるでしょう。安定感あるイナズマダッシュまでが好勝負圏内と言えそうです。

馬券おやじは今日も行く(第27回)  古林英一

輓曳から「ばんえい」へ

 存廃論議で気の揉める昨今である。これは公営競技(いわゆる3競オートですな)全般に共通していえることなのだが、1950年代に、自治体(中央競馬は国だが)の収益源として現在の公営競技が出そろい、以来半世紀の歴史を刻んできた。ついでに、ちょいと細かいことをいうと、3競オートのうち、競馬については「自治体の小銭稼ぎとして競馬をやる」という文言は、競馬法のどこを探してもないのである。あるのは収益の使途を定めた第23条の3だけなのである。しばしば「財政競馬」といういい方がなされるが、少なくとも、競馬に関しては「財政寄与」を目的にあげる必要は実はないのである。

 だから、競馬については、「財政への寄与」ではなく、「馬事文化の保全・継承」を目的に掲げてもかまわないのである。このことは、ばんえい存続のひとつの根拠として、高く掲げてもいいのではないだろうか。全国津々浦々のばんえいファンの多くは、馬券だけが目当てではなく、ばんえいという世界でも類例をみない馬事競技そのものを愛好しているのだと小生は信じている。もちろん、馬券推理も重要な楽しみではあるのだが。

 さて、小生の今回の表題は「輓曳から“ばんえい”へ」であるが、輓曳と“ばんえい”は同じだろ?という疑問はもっともである。これは文学的表現というものなのである。もちろん、辞書的な意味は同じだ。だが、その昔、輓曳と表記されていた時代と、現代の「ばんえい」と表記される時代では、ずいぶんその内容は変わっている。

Sori1  ばんえい競馬情報局をご覧になるような方なら、先刻ご承知とは思うが、馬と橇を連結している帯のような馬具がある。胴びきというのだが、これは布製で、橇との連結部分だけ鉄製のチェーンが使われている。

 輓馬大会などではチェーンのみの胴曳きも使われている。なぜ故に布製の胴曳きが使用されているのか、布よりもチェーンの方が丈夫だろうと小生なんぞは思っていたのだが、実はさにあらずで、チェーンは腐食による損傷があって、切れやすいのだそうだ。そこで麻製、現在はナイロン製の胴曳きが使用されているのだという。

 また、胴びきに平行して、長い棒が装備されている。これはかじ棒である。「輓曳」の時代のかじ棒は木製(タモの木が使われたそうな)だったのが、今ではグラスファイバー製である。木製では損傷が起こりやすいことに加え、タモの木そのものが資源枯渇によって入手困難になってきたことから、グラスファイバー製に切り替えられた。

 タモの木に替わる材料を探し求めていたとき、たまたま走り高跳びのバーを見た関係者がこれだと思いついたという逸話が残っている。走り高跳びと輓曳競馬、思わぬところで思わぬものが結びつくものだ。早速関係者が尋ね回って見つけたバーのメーカーが、あのミズノであった。ミズノの担当者も思わぬ注文でさぞびっくりしただろう。ということで、今は違うそうだが、最初のグラスファイバー製かじ棒はミズノ製だったのである。

 橇だって当初は木製だったのが、今の鉄製になったのは、1970年代になってからの話である。重量物も当初は麻袋やカマスに土砂を詰めたものだったのが、今は鉄板である。

 一見すると、昔ながらの競技のように見えて、その実、ずいぶん近代化がおこなわれているのである。伝統の継承・保存と、近代化という、一見相反するテーマをさりげなく、実現したのが「輓曳から“ばんえい”へ」という流れであった。

 と、今回はちょっと学者っぽいシメで、お後がよろしいようで。

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