オッズパークで発売しているオートレースの各開催(川口オート、伊勢崎オート、浜松オート、飯塚オート、山陽オート)の展望や、グレードレース(SG、GI、GII)決勝の直前予想情報とレース結果を提供します。
オッズパークで発売しているオートレースの各開催(川口オート、伊勢崎オート、浜松オート、飯塚オート、山陽オート)の展望や、グレードレース(SG、GI、GII)決勝の直前予想情報とレース結果を提供します。 石本圭耶が嬉しい記念初優勝!
0ハン単騎に置かれた押田幸はスタートを残すことができなかった。その押田幸を叩いていったのは3枠の石本。5枠の長田稚は白煙を噴き、スタートで遅れてしまった。8枠の黒川はカマシ気味に出ていき、バックストレッチでは3番手に付けることができた。そして、1周を回るころには押田幸を交わし2番手の位置を奪取。そこからは逃げる石本と、追う黒川で一対一の様相になった。鈴木圭はスタートダッシュが付かず、厳しい位置からの競走となった。
石本の試走タイムは38。それに対して追う黒川は32。残り7周あったので、番手が入れ替わるのは時間の問題かと思われた。しかし、石本はコースを外すことなくペースも落とさず走り、黒川は攻略の糸口が見つからないでいた。結局、そのままの態勢でゴール線を迎えた。後ろでは山本将が3番手を走っていたが、佐藤励が交わして3着入線となった。
石本はこれで通算4度目の優勝、そして自身初めての記念タイトルホルダーになった。今回の勝因はなんと言ってもスタートだろう。ハンデが前の押田幸を叩いていけたことで展開がだいぶ楽になった。その後の走りも落ち着いていた。試走タイムは明らかに劣勢だったが、立ち上がりでインを開けることなく、それでいてスピードも落とすことなく走っていけた。養成所では怪我のため、デビューが遅れることになったが、デビューからは2連勝を決めたようにセンスは感じさせていた。養成所卒業式では「自分の体型はオートレースに向いていると思います。それを生かして頑張っていきたいです」と語っていたが、今回のスタートは、軽量の石本の特長を活用できた結果。これから記念レースでも活躍する姿が見られるだろう。
黒川京介が大会初制覇
黒川京介が今年のキューポラ杯ぶりとなる4度目のG1優勝
濡れ走路で始まった最終日は第9レース頃に雨が上がり、決勝戦12レースは完全には乾かなかったがスピードの出るコンディションでおこなわれた。
青山周平との全勝対決となった黒川京介は、4枠から鋭く飛び出して1枠の青山周をはじめとする内枠の3名を包んでトップスタート。そこへ乗って出るように5枠の佐藤摩弥がアウト伸びて2番手へ付け、さらに6枠の荒尾聡も足を伸ばしてきたが、青山周は前へ出させず3番手からの展開に。
3周回1コーナーで青山周が同期佐藤摩の内へ攻め込んで2番手へ上昇したが、黒川のスピードは周回を重ねるごとに増していき、レース後半は一人旅の様相。本走3.341秒の好タイムで独走ゴールとなった。
2枠と有利な位置を得ながら5番手発進になってしまった佐藤励だが、道中は荒尾聡や佐藤摩をイン戦で捌いて3着まで押し上げたから、車の状態は良かった。対して鈴木圭一郎は離れた後方のまま終わり、気候・不安定な走路状態に車がマッチしなかったのかも。
今期ランキングS3、10月から適用される次期S2の若武者は、今期のS1とS2に完勝して、今年7度目、デビュー通算14度目のグレード制覇。次は地元川口で1節走ったあと、来月上旬には『G2若獅子杯争奪戦』2度目の優勝をめざして、ここ山陽レース場へ戻ってくる。
文/鈴木
佐藤励がムーンライト初制覇
佐藤励が初めて伊勢崎のグレードタイトルを獲得した
日本一とも称されるダッシュ力を持つ3枠の鈴木宏和がトップスタートを行きかけたが、2枠から長田稚也が伸び返して先行し逃げ態勢。外枠勢は6枠の佐藤励が4枠の荒尾聡と5枠の金子大輔を抑えて3番手発進。そして3周回目に鈴木宏を差して2番手に上がると5周回1コーナーで長田稚のインへ突っ込んで先頭へ。長田稚は付いて行けるアシがあり何度か反撃を試みたがかなわず、レースの最終盤は佐藤励が突き放して1着。2023年の『スピード王決定戦』(山陽)に続く2度目のG1制覇となった。
黒川京介はスタート直後から佐藤励の背後を取れたが徐々に離されて先頭争いには加われず。それでも7周回に鈴木宏を捌いて3番手へ浮上した。鈴木圭一郎は8番手発進となり、鈴木宏へ差を詰めての5着に終わった。
佐藤励は今月19日から始まる『プレミアムカップ』(山陽)でG1連続優勝をめざす。そして来月には同じ山陽で開催されるG2『若獅子杯争奪戦』へ参戦し、昨年からの2連覇と通算3度目の大会制覇をもくろむ。
文/鈴木
青山周平が完璧な走りで優勝を決めた!
大注目の0オープンのスタート争いは5枠の青山周が先行した。最内の佐藤摩は包まれる形になり、2番手発進は3枠の篠原。次に4枠の荒尾が続いていった。トップスタートを切った青山周は、絶好の展開を生かしペースを上げていく。2番手に付けた篠原は1度、青山周のインを狙いかけたが、その後は2番手の位置をキープするのが一杯だった。3番手に付けた荒尾は篠原を差しにいくが、何度も抑え込まれてしまう。その間に青山周は大きなリードを作り、スタートからゴールまで先頭を譲らず優勝を決めた。後ろでは荒尾が篠原を攻略して準優勝。松本康は篠原にプレッシャーをかけたが、交わし切るまではいかず4着入線だった。
優勝を決めた青山周は万全のレース運びだった。5枠と、決して良い枠ではなかったが、見事にトップスタートを決めてみせた。これが枠ナリ発進になったとしたら、ここまで楽に勝ち切れなかったかもしれない。大事な場面での集中力は、ナンバー1たる所以を改めて証明してみせた。青山周はこれでG1を31回優勝。記念レースでは59度目のVとなった。次は地元のG1ムーンライトチャンピオンカップが待っている。最高の形で臨めそうだ。
鈴木圭一郎がグランプリ初制覇
鈴木圭一郎がグランプリを制して、史上7人目のSGグランドスラムも達成した
最終日6日目は良走路で開催が始まったが、第8レースが降雨に見舞われて最終12レース決勝戦も重走路で争われることとなった。
オッズは、準決勝戦を勝利し今節無敗の5連勝を決めて、決勝戦の枠番選択を最初に選ぶ権利を獲得して1枠を選べた黒川京介が1番人気。3連単や2連複は2号車の青山周平を相手に採る車券が多くの人気を集めた。ただひとり3.5秒台と断トツの試走タイムを計時した鈴木圭一郎も高い支持を受けた。
頂上決戦が発走した。黒川京介は前輪をわずかに浮かせたが先手を守り抜き、準決勝戦を終えた後のインタビューで雨よりも良走路を希望と語っていた青山周平も枠ナリに続こうとしたが、1周回バックストレッチから3コーナーにかけて5号車の鈴木圭一郎と6号車の金子大輔がアウトを伸びて2・3番手を奪取。しかし3~4周目から金子大輔は離され始めて、黒川と鈴木圭による一騎打ちの様相が濃くなってきた。
大きなコース取りで逃げ込みを図る黒川、その斜め後ろにピタリと貼り付いて仕掛けどころをうかがう鈴木圭。息詰まる熱戦が何周も続く。
決定機は7周回3コーナーにやってきた。鈴木圭が黒川の内へ車を競り込ませて、ついに先頭へ立った。終盤は1周ごとに2車身くらいずつ黒川との車間を拡げて、ゴールでは10メートル近い差を付ける圧勝、完勝といえるレース内容で、5つ目のSGタイトルを獲得。そして史上7人目のSGグランドスラマーの称号も手にした瞬間だった。
大雨の夜空へ祝福の花火が次々と打ち上がる。それを見つめる勝者の視線の先には、雨に打たれながらメインスタンド前を埋め尽くす大勢のファンの姿。誰も帰ろうとしないのは、勝者を心から称えたいから。喜びを分かち合いたいから。
勝者は涙、いや雨を勝負服の袖で拭うと再び愛車にまたがり、大粒の雨の中をウイニングランへ飛び出した。
文/鈴木