青山周平が鈴木圭一郎に初日の雪辱
今シリーズ4戦全勝で決勝戦を迎えた鈴木圭一郎のひとつ内枠から青山周平が鋭い飛び出しを披露して、1周回2コーナーで早くも先頭に立った。その内どなり枠の浜野淳も1周回バックストレッチの展開をうまく切り抜けて2番手まで上がったが、ペースを上げた青山周との車間は開く一方。
0メートルオープン戦でおこなわれた初日12Rの『メモリアル選抜』ではスタート3番手くらいに付けて青山周の逃げを捌いて勝利した鈴木圭は、決勝戦は後方から追い上げる展開に。3周回1コーナーで3番手に浮上すると、4周回ホームストレッチで浜野淳を捌いて2番手へ。残りの周回は青山周との差を少し縮めたが、先頭をうかがえる距離には詰められなかった。
青山周は『オートレースメモリアル』初優勝。G2獲得は通算10度目で、山陽のG2は初制覇となった。
文/鈴木
黒川京介が歓喜のSG初優勝!
試走タイムは青山が断トツの26。2番時計の中村雅とは3つ差を付けた。黒川は30で、長田稚と荒尾も30。鈴木宏と池田政が31、中村杏は32で一番数字が悪かった。
1回目のスタートは黒川のフライングで再発走となった。2回目のスタートは2枠の青山が僅かに行きかけたが、最内の黒川が踏ん張り1コーナーをトップ旋回。青山は2番手に付け、7枠から中村杏が良いスタートを決め3番手を奪取。
黒川の逃げでレースが始まった。2番手に付けた青山は、2周1コーナーで少しタイヤを滑らせてしまう。それでも追走を続け、黒川を抜くタイミングをうかがっていた。何度かインに車を向けたが、入り切るまでは行かず、逆に6周目に入る頃には少しずつ離されていく。そこからは黒川がリードを広げ、トップでゴール線を駆け抜けた。
黒川はSG9度目の優出にして初戴冠。それも、SG最高峰の日本選手権を地元開催での優勝なので喜びも何倍増。優勝戦はフライングをしてしまったが、初日からオール1着と、完璧な競走を見せてくれた。フライングした後でも臆することなく先行できたのが何よりの勝因。川口に新たなヒーローが誕生した。
中村雅人が執念の走りで久々に記念V!
0メートルオープンのスタート争いは2枠の有吉が先行したが、最初の1コーナーでほんの少し流れてしまった。1枠からスタート踏ん張った中村雅は、その隙を逃さず有吉のインに潜り込む。そのまま3コーナーで有吉の内側を回り先頭を奪取。この時、中村雅も有吉も内線からやや外れてしまい、荒尾が有吉を差して2番手に立った。そこからは逃げる中村雅と追う荒尾で一騎打ちの態勢になった。荒尾は再三、中村雅のインを狙ったが、中村雅が絶妙なコース取りで完全ブロック。最後は荒尾が捲りを敢行したが、ゴール前でも中村雅の前に出ることができず、中村雅が1着でフィニッシュを迎えた。
一瞬のチャンスをモノにして先頭に立った中村雅は、その後の周回は我慢のレースになった。逃げてもペースが上がらなかったので、コースを外さないように丁寧に周回を重ねなければならなかった。しかし、確かな技量を誇る中村雅はそれをやってのけた。今回のG2オーバルチャンピオンカップは初制覇。記念レースは2021年のG2ウィナーズカップ以来、21度目のタイトルとなる。久しぶりのタイトルとなったが、次に待っているSG日本選手権オートレースへ向けて弾みがついた。絶好調で最高峰の戦いに臨める。
佐藤励が激戦を制し、若獅子杯2度目のタイトル!
0ハン単騎の金田はスタートを残して出た。10線からは最内の丸山智が先行し、鈴木宏と黒川が乗っていく形。佐藤励は1周1コーナーを回った段階では最後方だった。まず動きがあったのは1周3コーナー。10線から先行した丸山智が金田を差していく。丸山智が逃げ態勢を作り、鈴木宏が続いていった。後ろではインから浮上していた佐藤励が黒川を交わし3番手を奪取。前では鈴木宏が丸山智を捌いて先頭に立った。佐藤励も丸山智を交わし、鈴木宏と一対一の態勢になった。佐藤励は4周3コーナーで鈴木宏のインに飛び込み先頭に踊り出たが、すかさず鈴木宏が差し返していく。しかし、佐藤励は6周3コーナーで再び鈴木宏のインに突っ込み先頭を再奪取。そこからは鈴木宏の反撃を封じてトップでゴールを迎えた。黒川は試走タイムで佐藤励に大きく離されたのと、レース展開も厳しくなり連覇ならず。3着での入線となった。
佐藤励は根性を見せた。1度先頭に立ちながら逆転されてしまったが、再びチャンスが訪れると、それを逃さなかった。やや強引な突っ込みにも見えたが、しっかりとコーナーを回ってみせた。これでG2若獅子杯争奪戦は一昨年に続き2度目のV。記念タイトルはG1のスピード王決定戦(山陽)を含めて3度目の栄冠となった。その全てが山陽走路での結果。佐藤励にとって得意のバンクになったことだろう。
1周回3コーナーが勝負の分かれ目となった
枠番選択順1番目で1枠を選んだ青山周平は、決勝戦が発走すると2枠の黒川京介と3枠の鈴木宏和に先行される形となった。だが1周回3コーナー、外から鈴木圭一郎に捲られそうになったのを突っ張れたことが、その後の展開に大きく影響し、ひいては勝因になったといえよう。
3番手を奪い返した青山周は、直後の2周回ホームストレッチで鈴木宏をあっさり差すと、3周回3コーナーで黒川を捌いて先頭に立ち逃走。通算5度目のプレミアムカップ制覇を決めた。
黒川は青山周に離されず追走しながら逆転を仕掛ける態勢を作るまでには至らなかったものの、鈴木圭の追撃を振り切って2着。
外枠4車は上位争いに加われなかったが、今回がG1初優出であった新井日和が大外8枠から好スタートを放った。内寄りの枠なら序盤のレース展開を作れたかもしれないし、来月下旬に川口レース場で開幕する『SG日本選手権』でも活躍できるのではと期待の増す、鮮やかなダッシュだった。
文/鈴木