
青山周平が完璧な走りで優勝を決めた!
大注目の0オープンのスタート争いは5枠の青山周が先行した。最内の佐藤摩は包まれる形になり、2番手発進は3枠の篠原。次に4枠の荒尾が続いていった。トップスタートを切った青山周は、絶好の展開を生かしペースを上げていく。2番手に付けた篠原は1度、青山周のインを狙いかけたが、その後は2番手の位置をキープするのが一杯だった。3番手に付けた荒尾は篠原を差しにいくが、何度も抑え込まれてしまう。その間に青山周は大きなリードを作り、スタートからゴールまで先頭を譲らず優勝を決めた。後ろでは荒尾が篠原を攻略して準優勝。松本康は篠原にプレッシャーをかけたが、交わし切るまではいかず4着入線だった。
優勝を決めた青山周は万全のレース運びだった。5枠と、決して良い枠ではなかったが、見事にトップスタートを決めてみせた。これが枠ナリ発進になったとしたら、ここまで楽に勝ち切れなかったかもしれない。大事な場面での集中力は、ナンバー1たる所以を改めて証明してみせた。青山周はこれでG1を31回優勝。記念レースでは59度目のVとなった。次は地元のG1ムーンライトチャンピオンカップが待っている。最高の形で臨めそうだ。
鈴木圭一郎がグランプリ初制覇
鈴木圭一郎がグランプリを制して、史上7人目のSGグランドスラムも達成した
最終日6日目は良走路で開催が始まったが、第8レースが降雨に見舞われて最終12レース決勝戦も重走路で争われることとなった。
オッズは、準決勝戦を勝利し今節無敗の5連勝を決めて、決勝戦の枠番選択を最初に選ぶ権利を獲得して1枠を選べた黒川京介が1番人気。3連単や2連複は2号車の青山周平を相手に採る車券が多くの人気を集めた。ただひとり3.5秒台と断トツの試走タイムを計時した鈴木圭一郎も高い支持を受けた。
頂上決戦が発走した。黒川京介は前輪をわずかに浮かせたが先手を守り抜き、準決勝戦を終えた後のインタビューで雨よりも良走路を希望と語っていた青山周平も枠ナリに続こうとしたが、1周回バックストレッチから3コーナーにかけて5号車の鈴木圭一郎と6号車の金子大輔がアウトを伸びて2・3番手を奪取。しかし3~4周目から金子大輔は離され始めて、黒川と鈴木圭による一騎打ちの様相が濃くなってきた。
大きなコース取りで逃げ込みを図る黒川、その斜め後ろにピタリと貼り付いて仕掛けどころをうかがう鈴木圭。息詰まる熱戦が何周も続く。
決定機は7周回3コーナーにやってきた。鈴木圭が黒川の内へ車を競り込ませて、ついに先頭へ立った。終盤は1周ごとに2車身くらいずつ黒川との車間を拡げて、ゴールでは10メートル近い差を付ける圧勝、完勝といえるレース内容で、5つ目のSGタイトルを獲得。そして史上7人目のSGグランドスラマーの称号も手にした瞬間だった。
大雨の夜空へ祝福の花火が次々と打ち上がる。それを見つめる勝者の視線の先には、雨に打たれながらメインスタンド前を埋め尽くす大勢のファンの姿。誰も帰ろうとしないのは、勝者を心から称えたいから。喜びを分かち合いたいから。
勝者は涙、いや雨を勝負服の袖で拭うと再び愛車にまたがり、大粒の雨の中をウイニングランへ飛び出した。
文/鈴木
黒川京介が鈴木圭一郎との競り合いを制した
黒川京介が強いレース内容でウィナーズカップ2度目の優勝
今節4戦全勝の地元エース鈴木圭一郎を差し置いて黒川京介が1番人気に推された。枠の内外の有利不利があるとはいえ、黒川に対するオートレースファンの信頼度が増していることが表れたオッズであった。
10メートルオープン戦の決勝戦が発走すると、今回が2度目のグレード優出となった佐藤大地が最内枠から先行。4枠の鈴木宏和が2番手に付けて、2枠の木村武之は包まれて3番手。しかし佐藤大の内へ入れず車速の下がった鈴木宏を捲ると3周目に先頭へ立った。
ちょうどそのころ数メートル後ろでは鈴木圭が黒川へイン攻めを仕掛けて、ほぼ内へ入ったが、黒川はグリップ全開でかろうじてしのいだ。そして5周目に鈴木宏のインを突くと、6周回2コーナー立ち上がりで木村武を切り返して首位を奪った。
7周回2コーナー、今度は鈴木圭が同じように木村武へ切り返しを狙ったが不発。同じ地点の両者のアシを見ると、黒川の方が直線の威力が高かった。それでも鈴木圭は8周回2コーナー今度は木村武を攻略して2着まで浮上したのはさすがだった。
黒川はこれで今年なんと12度目のV。『G2ウィナーズカップ』は2023年の前々大会ぶり2度目の制覇。そのレースは10メートルオープン戦の4枠から先行逃げ切りの展開だったが、今回は鈴木圭や木村武を捌いての勝利で、捌く技術の向上、総合力の強化がはっきり判る。次節の伊勢崎ナイター『SGオートレースグランプリ』で今年最初の、通算2冠目のSG制覇をめざす。
文/鈴木
キューポラの夏・黒川の夏
準決で荒尾聡に抑え込まれた黒川京介。枠番選択で1枠を取った荒尾だが、5番目の金子大輔がなぜか6枠を選び、黒川は5枠と絶好のセンター枠におさまる。試走は内枠3車が3.35で黒川は3.31の一番時計と存在感アピール。人気は2連単5-1が3.7倍、1-5が5.2倍。3連単5-1-6が9倍と唯一10倍を切るオッズに。
前輪浮かせたが黒川はトップスタート決め平田雅崇もカマシから一瞬、黒川のイン狙ったが入れない。荒尾は包まれてしまい後方から追い上げる格好に。徐々に黒川が平田を引き離しにかかり、あとはタイムアタック状態。グングン差を拡げ、終わってみれば大差の勝利。2連単は5-8 2,220円といい配当。西原智昭を差した丸山智史が3着入り3連単は5-8-4で15,040円とこれまたビッグな配当(7/21は山陽オーバーミッド、浜松アーリーレース、川口ナイターG1キューポラ杯、いずれも3連単は万車券でした)。
これで黒川京介はキューポラ2連覇を果たすとともに今年の優勝回数を11に延ばした(そのうちG2は4回)。青山周平・鈴木圭一郎を脅かす第3の男として『黒川京介』の名前が挙がってるが、ひょっとして近い将来No.1の座を射止めるかも。『川口・黄金時代』を引っ張るエースとして、今後もより一層強くて速い選手になって欲しい。それが、他の川口所属選手のレベルアップにもつながるのだから。
鈴木圭一郎が大会2連覇
勝負どころで巧みなレース運びを見せた鈴木圭一郎が通算3度目の『小林啓二杯』制覇。
試走トップタイムの鈴木圭一郎が大外枠でも総合力が信頼を集めて1番人気。鈴木圭以外にもSGタイトルホルダーが4名もいる中、グレード未獲得の山本翔が2番人気に推された。
カクテル光線に照らされた8名がスタートを切り、その山本翔と2枠の佐々木啓が先頭集団を形成し、6枠から飛び出した有吉辰也が3番手、鈴木圭はその外4番手へ付ける形で3周目までレースは進行。
2周回3コーナーでは鈴木圭のイン攻めを封じた有吉が、4周回2コーナーでタイヤを滑らせて大きく後退。代わって3番手へ浮上した鈴木圭は5周回2コーナーで佐々木啓を切り返して2番手まで上がると、やや変則的なコース取りでブロックしてきた山本翔を6周回3コーナーで捲り先頭へ立ち、残る2周で後続を突き放して圧勝のゴール。通算86度目の優勝、グレードは44度目の制覇となった。
有吉は終盤に巻き返しを図ったが、荒尾聡のインへ突っ込んだあと松尾啓史に接触してしまい、残念ながら両名とも落車してしまった。山本翔は8周目バックストレッチで佐々木啓の差しを抑え込んで2着を守り、今後の更なる躍進を予感させた。
文/鈴木