
有吉辰也が鮮やかなスタートを決めた!
0ハン単騎の村瀬はマイペースで走っていた。しかし、20線から先行した有吉がまずは西をパス。その後、村瀬との距離を詰め、冷静に仕掛けるタイミングをうかがっていた。そして、交わせると判断するとインに突っ込んでいった。試走一番時計をマークした鈴木圭は、序盤で金子大をまくり、悪くない位置に付けることができた。ただ、2番手に浮上するまでにやや時間がかかってしまった。有吉と一対一に持ち込んだ時にはリードを作られており、追い込み届かず準優勝だった。
今回の優勝戦の焦点は20線に5車並んだスタート争いだったが、優勝した有吉は見事にトップスタートを決めてみせた。道中で同ハン勢を捌くのと、スタートで他の車を置いて出るのとではレース展開が大きく変わってくる。以前は『カミソリスタート』との異名を得ていた武器が今回の優勝戦でも遺憾なく発揮された。有吉の次の出番は久々の開催となる飯塚オート。地元でも魅力ある走りを見せてくれそうだ。
外枠勢による三つ巴戦
予報によると、29日から30日にかけて雨模様で、まずは濡れ走路で予想。雨での技術および実績は5~7号車が他4名を圧倒している。この3名、今節初日の雨走路はいずれも勝利できなかったが、今月10日におこなわれた浜松デイレースG1『ゴールデンレース』準決勝戦を鈴木圭一郎と金子大輔はそれぞれの出走レースで大差勝ち。対して有吉辰也は浜松の雨を今年は前述した1度しか走っておらず、整備用のデータや実戦に乗った経験に乏しい点で、逆転候補の3番手評価にとどめた。
西翔子は今節初日4着のレース後 雨用に調整したけど乗れなかったと述懐。デビュー3年目の村瀬月乃丞は浜松の雨経験は昨年7着と今節初日4着のわずか2走と、まだ実績を挙げられていない。近年は伊藤信夫や中村友和の方が雨走路をこなせている。
もし走路の回復が早くて良走路(もしくは近い状態)になった場合でも、鈴木圭一郎の速攻の切れ味は一段とアップしそうだ。
◎ 7 鈴木圭一郎
○ 6 金子大輔
△ 5 有吉辰也
▲ 1 村瀬月乃丞
穴 3 中村友和
おすすめの買い目
7=6-513
穴なら
3=6-175
文/鈴木
大月が速攻で抜け出し、ブッチ切りの優勝!
20線から先行したのは吉田恵だったが、2周目のホームストレッチで大月が差して2番手に立つ。前は山中が逃げていたが、思ったほどペースが上がっていなかった。3周3コーナーで大月が山中を交わして先頭を奪取。そこからは一人旅だった。実力者・早川は内山高を抜くのに苦労していたが、5周目に内山を含め中団を交わし、ゴール前では吉田恵をも捕えて2番手入線。しかし、大月が見事に後続を振り切ってみせた。
大月は2節前から今のエンジン『ハイプ』に乗り換わっているが、その後の調整が実り、最高の結果を出した。大月は今年2度目の優出にして、今年の初優勝。自身では通算5度目の優勝となった。これまではエンジンが安定せず、成績も散発傾向にあったが、このエンジンはベースが良さそうなので次に待っているG2稲妻賞でも大いに見せ場を作れそうだ。
G2ミッドナイトチャンピオンカップの展望
前回大会の実施からわずか2か月、黒川京介の2連覇ムードが一気に高まってきた。
2024年度の最終日、3月31日の前回ミッドナイトチャンピオンカップ(山陽で実施)優勝戦は、黒川が本走タイム3.341秒で優勝。1か月後の川口ナイターSG『オールスター』優勝戦はゴール寸前、佐藤励に逆転をくらって3着となったが、さらに1か月後の5月25日。川口ナイターG2『川口記念』優勝戦は、ひとつ内枠の佐藤励より先にスタート出ると、ゴールでは20メートルのリードを作って完勝。その1着タイムは3月31日と全く同じ3.341秒だった。
2連覇を果たした川口記念に続いて、今大会も地元勢を差し置いての山陽2連覇は大いに有望な情勢だ。
その前回ミッドナイトチャンピオンカップで準優勝したのは松尾啓史。彼もまた先週の川口記念にも優出しており5着だったが、川口は黒川の庭。今度は松尾啓のホーム・山陽へ場所を移す。
課題として先行力が挙げられるが、前回ミッドナイトチャンピオンカップ優勝戦はスタート遅れての離れた最後方7番手からゴールでは黒川まで数メートルまで迫っていたし、夜が更けるほど速いタイムが出る傾向もあるので、今回の舞台では地の利も生かして、川口記念で黒川に付けられた差を詰めて、逆転・リベンジまでもっていきたい。
今期の山陽ランキングトップ、すなわち地元エースは浜野淳。前期A-13からS-19へとジャンプアップした今期は、10年ぶり16度目のタイトルを獲得してエースの看板に箔を加えたいところ。
前回ミッドナイトチャンピオンカップは準決勝戦へ進出しての5戦2勝。今回は2週間ほど前になるが浜松デイレースG1『ゴールデンレース』に優出して今回への参戦となり、機力面のレベルも高い。
近年ずっと松尾啓史との2名で山陽エースの座を争い続けてきた丹村飛竜が、今期の全国ランキングはA-10。前期のS-30から大幅に下がってしまった。しかし今年は1月~2月に7連勝、4月には2度の4連勝、そして今月は23日の山陽ミッドナイト一般開催に準優勝と、S級の輝きをバッチリ放っている。
その山陽ミッドナイト優勝戦3着の別府敬剛、4着の藤岡一樹、同開催へ優出はできなかったが2・3日目に2連勝した丸山智史、この3名も昇り調子で今節に参戦できる。
久門徹は2月中旬の山陽ナイターに優勝し、今月は伊勢崎アフター5ナイター優勝戦で3着に入っている。
2022年の本大会(飯塚で実施)を制している篠原睦は、今年1月に飯塚ミッドナイト、3月に山陽ナイターで優勝すると、前回ミッドナイトチャンピオンカップ優勝戦にも優出した。
丹村飛竜と同様に今期A級へ降格したがS級の能力を備えている佐々木啓は、今月16日の山陽ミッドナイトに準優勝。ちなみに、このとき優勝した福岡鷹が、翌週23日の優勝戦では丹村飛竜を2着にくだして連続Vを果たすこととなる。
4月の前半にレース中の妨害判定が続いてしまってリズムを崩していた永島潤太郎が、SGオールスター挑戦を経た5月の山陽ミッドナイト2節で復調した。気候が暑くなりつつあるにも関わらず直近節では久しぶりに本走タイム3.3秒台を出すなど、機力も乗り手も上向いているとみて良さそうだ。
永島とは逆に5月に入ると浜松デイ2節で勢いを下げてしまった山本翔だが、昨年10月ごろから長らく山陽の消音ではS級の強豪たちと比べても互角以上の安定感を示しており、更に最近は捌く腕を上げ続けているので、今季はグレードタイトル初獲得へそろそろ動きたいところだ。
上記の黒川など以外の遠征車に触れると、渡辺篤は過去1年間の山陽・消音マフラーへ15戦に出走して着外5度のみ。ほか10走は7勝・2着2回・3着1回と、遠征勢の中で上位級の安定感を誇る。
同期間、中村杏亮・阿部剛士・平塚雅樹・新井日和も高い確率で3着以内に入っているし、同様に好走している牧瀬嘉葵と遠藤誠はそれぞれ2度、山陽の夜に優出している。
最後は、ともにデビュー2年目と少ないキャリアで大舞台へ果敢に挑戦する地元期待の若手2名。
田中崇は今回がデビュー以来4度目のグレード出場。昨秋の山陽デイレースG2『オートレースメモリアル』は補充選手として出走した開催後半2日間に2連勝。正選手として出走した先月の山陽デイレースG1『令和グランドチャンピオンカップ』最終日は、1級車の小栗勝太や竹内正浩にアウト伸び勝って2着と好走した。
村田光希は、若手のみで争われるG2若獅子杯を除くと、大勢のSGホルダーをまじえた強豪に胸を借りる形でのグレード参戦は正選手としては今回が初めて。しかし今月中旬の伊勢崎ナイターでの走りは彼の成長を示すものであった。
4日制の初日2着、2日目1着と好走して臨んだ3日目の準決勝戦。単独0ハンから10メートル後ろの金山周平を突き放して逃げ態勢を作ると、2周回で2番手まで上がった高橋貢を5周目まで近寄らせない快走。ラスト1周で伊藤正真と高橋貢に抜かれたが本走タイム3.419秒での3着。そして最終日4日目は、当時エンジン好調だった同ハン1級車の生方将人を捲り、レース後半は中村杏亮のイン攻めをスピードで抑え込んで2着と健闘した。
同期の浅倉樹良や福岡鷹の活躍の陰に隠れてしまうきらいがなくもないが、この両名も素質・能力が非凡であり、今回はハンデ位置もそこそこ有利な条件を得られそうで、活躍する可能性は決して低くない。
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主な出場予定選手
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浜野 淳〔山陽 S-19(24期)〕
松尾 啓史〔山陽 S-26(26期)〕
丸山 智史〔山陽 S-31(31期)〕
丹村 飛竜〔山陽 A-10(29期)〕
佐々木 啓〔山陽 A-18(23期)〕
山本 翔〔山陽 A-89(34期)〕
黒川 京介〔川口 S-3(33期)〕
篠原 睦〔飯塚 S-18(26期)〕
渡辺 篤〔浜松 S-36(31期)〕
中村 杏亮〔飯塚 A-1(33期)〕
新井 日和〔伊勢崎 A-24(35期)〕
文/鈴木
山中充智の逃げ切りもあるか
0ハン山中充智と20線の3名が充実の仕上がりを誇る今節の決勝戦。30線の伊藤正真も前節ナイター優勝時と変わらないレベルの機力を備えているが、内山高秀と総合力トップの早川清太郎は準決勝戦の動きに余力が感じられず、さらにメンバーの強化する決勝戦でも他者をなぎ倒すほどのエンジンの伸びしろがあるかどうか。
本来の実力からみてハンデの有利さもある山中充智が振り切るか。今節の森村亮はスタートが良く内枠から先行するケース十分。今節中の反撃シーンが光る吉田恵輔、準決勝戦で野本佳章をうまく逆転した大月渉がレース道中、森村亮へ逆襲を図る。
伊藤正真は準決勝戦では外枠の三浦康平に先行されたが、前節の決勝戦は好スタート速攻からブッチギリで圧勝しており、今回1~4号車の誰がハイペースを作っても捕えられるスピードがある。
◎ 1 山中充智
○ 6 伊藤正真
△ 7 早川清太郎
▲ 3 吉田恵輔
穴 2 森村亮
おすすめの買い目
1=6-732
穴なら
2=3-4671
文/鈴木