4度目の大会制覇をもくろむ荒尾聡
飯塚でのランキングトップ、『地元エース』の座は今期も有吉辰也に譲った荒尾聡だが、先ごろ史上31人目の通算1000勝に到達するなど近況のムードは上々だ。
今大会『G2オーバルチャンピオンカップ』は2015年・2019年(1月)・2023年に優勝。その『4年おき』のペースから今年は外れているが、大台達成からの2節で早くも6勝を加算している現在の勢いなら2年連続の戴冠は大いにありそう。
有吉辰也は8月『G1ダイヤモンドレース』と今月の一般開催デイレース、同ミッドナイト(4戦4勝の完全V)と、飯塚は3連続で優出して今回に臨む。今年の優出回数すでに23回。長い年月キープできている安定感は、オートレース界の全体を見渡しても高橋貢と双璧といえる。
オーバルチャンピオンカップ優勝歴は2019年(4月)の1度のみながら、昨年は『G2ミッドナイトチャンピオンカップ』(決勝は8周戦)を制して、今年は『SGオールスターオートレース』(準決勝戦は8周戦)に優出3着と、地元飯塚の長距離戦の戦い方を熟知している。
遠征勢の最大の目玉は高橋貢。8月の伊勢崎ナイター『SGオートレースグランプリ』は予選勝ち上がりポイントが次点の33位で準決勝戦入りは逸したが、続く8月下旬の伊勢崎ナイター一般開催は4日間を無敗で完全V。これで通算優勝回数は歴代ダントツでトップの218回。通算勝利数は来年にも1700勝に達する見込みで、王者の走りは円熟味を一段と増している。
中村雅人は9月山陽『特別G1プレミアムカップ』と川口2節、デイレースに3連続で優出中。直近の飯塚は8月ダイヤモンドレースに優出した他、昨年秋の飯塚デイレース『G2オートレースメモリアル』と『G1開設記念』にも優出しているので、夏~秋の飯塚にエンジンを合わせる整備のコツを会得しているか。
さきに触れたダイヤモンドレースの準決勝戦で中村雅・有吉を破って勝利したのが伊藤信夫。このレースはフライングを喫して勝ち上がり権利を失ったため翌日の優勝戦へは進めなかったが、近年の飯塚では勝ち星を多く挙げられていなかったのが、この1節は5戦して1着2回・2着1回と好走。近年は濡れた走路での上位着順がレース場を問わず急増していることも付け加えておきたい。
加賀谷建明は既得のグレード6タイトルのうち2つを、ここ飯塚で制している。2017年のオーバルチャンピオンカップ優勝は小雪舞う1月、2022年のG1開設記念の優勝は雨上がり重走路の11月と、秋~冬の飯塚に実績を残している。事実いま現在も、暑さが落ち着き始めた先月下旬から成績が急上昇中で、9月プレミアムカップ最終日から11戦7勝、オール3着以内。それ以前の11走が1勝のみだったのとはきわめて対照的だ。
今週14日に閉幕したばかりの山陽デイレース『G2若獅子杯』から、31期以降の若手が数多く転戦してくる。
今年デビューしたばかりの新人37期ながら最重ハンデの20メートル前で戦った福岡鷹は開催3日目の準々決勝戦、1級車の角貝拓海を並ぶ間もなく捲って快勝し、翌4日目の準決勝戦入りを果たした。
同じく最重ハンデの20メートル前に置かれたデビュー2年目36期の村瀬月乃丞は、準決勝戦には進めなかったが4日目の一般戦、今期ランキングA-125の米里崇徳にスタート叩かれる試練の展開から道中で捲って逆転すると、残り1周半で稲原瑞穂・本田仁恵・桝崎星名の1級車3名を次々と捲り、ゴールでは10メートルの差をつけて圧勝した。
いま挙げた2個レースとも出走して後方に沈んだ中村杏亮は、当開催は初日から車券に絡めないレースが続いたが、最終日5日目は5日間で最高の試走タイム33秒を計時し、レースでも強い足色を見せた。オーバルチャンピオンカップは昨年3月の前々回大会、雨走路で鈴木圭一郎を大差でくだして優勝した。
長田稚也は4日目の準決勝戦、レース中盤まで福岡鷹に抵抗されてスピードアップできなかったのと、2番手を走る佐藤摩弥へ迫った5周回4コーナーで滑って車間が開き優出は逸したが、開催初日から好気配を維持し続けた。
森本優佑も初日から好調をキープし、8月『SGオートレースグランプリ』以来のグレードレース優出。その決勝戦は2周回1コーナーやや外へ張り気味になり、ちょうど後ろにいた佐藤励の進む道を空ける形になってしまったが、優勝した佐藤励と前日の準決勝戦で接戦できたのだから、エンジンは状態はかなり高いハズだ。
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主な出場予定選手
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有吉 辰也〔飯塚 S-4(25期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-5(27期)〕
中村 杏亮〔飯塚 S-31(33期)〕
長田 稚也〔飯塚 S-32(34期)〕
森本 優佑〔飯塚 S-46(31期)〕
福岡 鷹〔飯塚 A-101(37期)〕
村瀬 月乃丞〔飯塚 A-226(36期)〕
高橋 貢〔伊勢崎 S-6(22期)〕
中村 雅人〔川口 S-9(28期)〕
加賀谷 建明〔川口 S-14(27期)〕
伊藤 信夫〔浜松 S-19(24期)〕
文/鈴木
佐久間健光が今年2度目の優勝!
伊勢崎のアフター5ナイターは地元の26期・佐久間健光が優勝した。試走は29で一番時計を叩き出した。レースは0ハン単騎の竹内が軽快に逃げ、10線から先行した谷川がマーク追走していたが、佐久間が好エンジンをバックに車を押し上げていった。先頭に立ってからは三浦が追い上げてきたが、射程内に入らせることもさせず逃げ切ってみせた。完全優勝がかかっていた青島は、試走タイムから物足りず、レースでも全く番手を上げることができなかった。
佐久間は今年1月以来の優勝。通算優勝回数は11となった。今年は3回優出し優勝が2回、準優勝が1回。優勝戦に乗れば好成績を残すことができている。8月下旬あたりからエンジンが上向き、気候が変わりつつある現在でも高水準で保てている。元々は、スピードが出る冬場で活躍するイメージがあるので、この勢いのまま次の地元戦でも好走しそうだ。
青島正樹の充実ぶりが光る
7走前にフライングしている青島正樹は今回スタートの切れ味こそ高くはないが、道中の捌きは高いレベルで安定している。初日は仲田恵一朗を捌いて快勝。3日目の準決勝戦は、最新ランキングはA級ながらS級の常連である西原智昭をスンナリ攻略した。
6月の伊勢崎ナイター『G2稲妻賞』、4日目は2着の鈴木清市に、最終日5日目は2着の伊藤正司に、いずれも約20メートルの大差をつけて圧勝。その5日目と今節3日目は時間帯は少し異なるが気温および走路温度がほぼ同じで、決勝戦も同様の気象条件になるなら、またも高度なパフォーマンスを披露することが期待できる。さらに付け加えると、予報では天候が崩れる可能性があり、青島は雨も巧者なので走路状況に関わらず走力を発揮してくれよう。
準決勝戦は一杯の足色に見えたが、持ちタイム比較とブロック技術の高さから、竹内正浩の残り目十分。20線の2名は、攻撃の安定感では佐久間健光の方が優るか。
三浦康平は、長期の不振脱出を経て大活躍した昨年の今頃に連発していたような目の覚める速攻が最近は多くなく、優勝するには20線へ割って入るくらいのダッシュが欲しいところだ。
◎ 7 青島正樹
○ 1 竹内正浩
△ 5 佐久間健光
▲ 6 三浦康平
× 4 仲田恵一朗
おすすめの買い目
7-1=564
穴なら
4-5=671
<スタート位置>
<第1コーナー進入予想>
佐藤励が激戦を制し、若獅子杯2度目のタイトル!
0ハン単騎の金田はスタートを残して出た。10線からは最内の丸山智が先行し、鈴木宏と黒川が乗っていく形。佐藤励は1周1コーナーを回った段階では最後方だった。まず動きがあったのは1周3コーナー。10線から先行した丸山智が金田を差していく。丸山智が逃げ態勢を作り、鈴木宏が続いていった。後ろではインから浮上していた佐藤励が黒川を交わし3番手を奪取。前では鈴木宏が丸山智を捌いて先頭に立った。佐藤励も丸山智を交わし、鈴木宏と一対一の態勢になった。佐藤励は4周3コーナーで鈴木宏のインに飛び込み先頭に踊り出たが、すかさず鈴木宏が差し返していく。しかし、佐藤励は6周3コーナーで再び鈴木宏のインに突っ込み先頭を再奪取。そこからは鈴木宏の反撃を封じてトップでゴールを迎えた。黒川は試走タイムで佐藤励に大きく離されたのと、レース展開も厳しくなり連覇ならず。3着での入線となった。
佐藤励は根性を見せた。1度先頭に立ちながら逆転されてしまったが、再びチャンスが訪れると、それを逃さなかった。やや強引な突っ込みにも見えたが、しっかりとコーナーを回ってみせた。これでG2若獅子杯争奪戦は一昨年に続き2度目のV。記念タイトルはG1のスピード王決定戦(山陽)を含めて3度目の栄冠となった。その全てが山陽走路での結果。佐藤励にとって得意のバンクになったことだろう。