青山周平が現役単独最多の選手権V5へ躍り出るか
『SG日本選手権』を最も多く優勝したのは飯塚将光(引退)の6度。2位タイの優勝4度で続くのが高橋貢・永井大介・青山周平。まずはこの3名から近況の動向をみていく。
高橋貢は2017年の『SGオートレースグランプリ』を最後にSG制覇からは遠ざかっているが、今年は6月に浜松G2優勝。前期も今期も全国ランキングS級シングルに位置して存在感を放っており、今すでに史上最多を独走しているSG優勝回数を22度に延ばす態勢は整っている。
永井大介は単独で史上最多となる『選手権3連覇』のレコード保持者。今年まだグレード優勝はないが、昨年2月の川口デイレース『G1開設記念グランプリレース』決勝戦では1周で先頭に立つと、2番手まで追い上げてきた青山周平をレース終盤は逆に突き放して快勝した。今月は川口のみ4節に出場して、昼夜を合わせて3節に優出と、9月に比べて上昇気流に乗ってきた感がある。
日本選手権の2連覇を2度達成しているのはオートレース史上、飯塚将光と青山周の2名のみ。その青山周が今回は3連覇をめざす資格を持っている。9月29日の伊勢崎ナイターを優勝した直後のアフター5ナイターは身体不良で欠場。およそ1か月ぶりの競走となった10月24日~28日の伊勢崎ナイターは全日程スーパーハンデに据えられたが5戦5勝の完全V。史上3人目、自身初の15連勝を飾った。
川口では7月ナイター『G1キューポラ杯』は節間を通して天候が不順だったこともあり準決勝戦進出にとどまったが、デイレースでは今年3月に『G1開設記念グランプリレース』優勝。そして昨年末には『SGスーパースター王座決定戦』を5戦全勝し、通算V5を決めている。
早川清太郎もまた1か月ぶりの実戦として10月24日~28日の伊勢崎ナイター決勝戦に臨み、青山周には捌かれたが準優勝。大レース制覇から少し遠ざかっているが、前回に獲得したタイトルはナイターではあるが2022年7月の川口『G1キューポラ杯』。直近の川口デイレースは今年3月の『G1開設記念グランプリレース』の5戦中4走に2連対して準決勝戦に進んでいる。
能力はSG級と誰もが認める実力者。先述した川口グランプリレースの準決勝戦はスタート8番手に遅れて6着に敗れたが、10月27日の前節ナイター準決勝戦では鋭いダッシュを放っており、念願のSG初制覇に向けてはスタート力に一層の磨きをかけたい。
片平巧(引退)と並ぶ選手権通算V3なのが、10月から適用中の最新ランキングで全国S1を青山周から奪還した鈴木圭一郎。近況は『SGオートレースグランプリ』『G1ダイヤモンドレース』『特別G1プレミアムカップ』と決勝戦に進みながら勝てず、前節の『G2若獅子杯争奪戦』は落車妨害で開催3日目に勝ち上がり権利喪失と、今ひとつ勢いに乗りきれていないが、今年の勝ち星を97まで延ばしており、選手権の節間に史上初の年間100勝まで到達すれば、おのずと勢いも増してくるだろう。あとは今後を含めたテーマとしては、青山周にレースで前を走られた時いかにして攻略するか。
今年の川口デイレースでは、浜松車は金子大輔が2月の『SG全日本選抜』で鈴木圭を2着にくだして優勝。木村武之は今月の一般開催で3日間3勝の完全V。佐藤貴也は3月『G1開設記念グランプリレース』準優勝と、鈴木圭の他にもSGレーサーが高い実績を残している。
西日本の2場は、飯塚の荒尾聡が4節に出場してSG全日本選抜を含む3度優出、山陽の山本翔と松尾彩が比較的に上位着順を多く獲っているものの、川口デイレースで際立った活躍をできている選手が多くない。
中村雅人が飯塚デイレース『G2オーバルチャンピオンカップ』を制して地元川口へ帰ってくる。今年は16度優出して、2度のVはいずれも川口デイレースと、年間を通じての流れも良く、10年ぶり2度目の選手権制覇へムードをみずから高めてきた。
黒川京介の最近の優勝は川口の夜開催でのものが続いているが、8月以降のSGやG1・G2にしっかり優出しており、高い走力を長らくキープしている。佐藤励は不振に終わった『SGオートレースグランプリ』の次節、『G1ダイヤモンドレース』へ優出したあたりから成績が急上昇中だ。9月末の川口と山陽『G2若獅子杯争奪戦』のデイレース2節を連続優勝。若獅子杯の決勝戦では黒川京介をイン切り返しで捌いている。今月23日の川口ナイトレースで若井友和・黒川・永井を下して優勝した上和田拓海との川口ニューウエーブ3名はいずれも若くしてスタート力と攻撃力の高さを誇り、日本一を決めるこの舞台でさらに躍進するか注目だ。
森且行は今年10度優出し、2着が5回に3着が2度と、落車事故による療養を経て4年ぶりの復活Vは遠くないはず。その4年前のVこそ悲願のSG初制覇となった2020年の第52回日本選手権である。
池田政和も同様にレース中の事故から長期療養ののちに復帰。選手権は1999年と2003年の2度制覇。今月上旬の川口デイレースは3日目の決勝戦は雨に見舞われて苦戦したが、良走路の初日予選と2日目準決勝戦は快勝。特に2日目は好スタートから自在に捌き3周で先頭に立つ速攻劇。中村雅人に影をも踏ませなかった。
この2大スターが、縁もゆかりもあり地元で開催される日本選手権で完全復活を遂げるか、動向を注視したい。
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主な出場予定選手
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中村 雅人〔川口 S-9(28期)〕
黒川 京介〔川口 S-10(33期)〕
佐藤 励〔川口 S-12(35期)〕
永井 大介〔川口 S-18(25期)〕
池田 政和〔川口 S-26(23期)〕
森 且行〔川口 S-35(25期)〕
鈴木 圭一郎〔浜松 S-1(32期)〕
青山 周平〔伊勢崎 S-2(31期)〕
金子 大輔〔浜松 S-3(29期)〕
荒尾 聡〔飯塚 S-5(27期)〕
高橋 貢〔伊勢崎 S-6(22期)〕
早川 清太郎〔伊勢崎 S-17(29期)〕
文/鈴木
田中輝義が接戦を制して自身2度目のV!
水崎のみ試走タイムは悪かったが、それ以外はほとんど数字の差がなかった飯塚優勝戦。10線3車並びのスタートは最内の桜木が飛び出した。これに田中輝と中村颯が乗っていく形。20線3車も枠ナリの発進となった。
桜木は早々と水崎を交わし逃げに入った。田中輝も離されずに続き、一対一の態勢に持ち込む。後ろでは中村颯、高林、新村などが続いていたが、上位浮上の機会を図れないでいた。まず動きがあったのは5周3コーナー。2番手に付けていた田中輝が桜木のインに突っ込んだ。桜木は差し返しの態勢を作り、青旗すぎで田中輝のインに入って行ったが、2コーナーの立ち上がりで態勢を崩してしまう。田中輝は難なく先頭を再奪取し、後ろに付けていた新村が2番手に浮上した。桜木は結果的に3着まで番手を落としてしまった。
レース序盤から桜木の後ろにジカ付けしていた田中輝は落ち着いていた。エンジン的には明らかに桜木より強めだったが、仕掛けるタイミングを間違えないようにジックリと構えていた。そして、巡ってきたチャンス。田中輝は桜木に逆転されそうにもなったが、ここも冷静に対処できていた。田中輝は2022年5月以来、自身2度目となる優勝。近況は連を外しておらず、この流れはしばらく続きそうだ。
選手権へ大きく弾みつけた青山周平
自身の連勝記録13を3日目にクリアーし、14連勝で優勝戦へ進んだ青山周平。37期の佐藤智也が優出したため、本来なら50m後ろになる青山周だが、今回はさらに10m後ろのハンデで戦ってきた。試走もダントツの26秒と他を圧倒し、朝練落車でケガをした辰巳裕樹(5枠)が欠車となり7車立てとなった。オッズは青山周を中心に2連単は8-7、8-1、8-4、8-6の順。3連単は8-7-4と8-7-6がそれぞれ6倍、8-7-1が6.9倍だった。
佐藤智也の逃げで始まったがペース上がらず佐久間健光が番手取って捕える。そのとき青山周は早川清太郎を捌いており青旗前では佐久間を射程内に。そのまま最終3コーナーで計ったように佐久間に突っ込み先頭へ。佐久間に早川も肉薄し3車はほぼ差がなくゴールイン。青山周の優勝は決まったが、2着は写真判定へ。結果は同着だった。8-6-7は660円、8-7-6は320円 2連単は8-6 280円、8-7 110円。
青山周平はこのあと中1日で川口へ乗り込みSG第56回日本選手権へ。最大のライバルである鈴木圭一郎が保持する18連勝更新も視野に、ハンデなしの0mオープンでのガチ勝負。11月4日の最終日12R優勝戦で雌雄を決するのか、乞うご期待。
遠藤誠が決め手を発揮する!
イン抑えて走る水崎に桜木や田中輝が重なって走りそうで大混戦が想定される。しっかりとインを突いていける遠藤は、20線大外に置かれているが内枠勢をカマシて行く可能性十分。レース序盤で好位置に付け、混み合う前団を1車ずつ落ち着いて交わしていきそうだ。その遠藤の攻めが不発になると、前残りの目が出てくる。水崎がそのまま押し切るケースもありそうだが、10線から枠ナリ発進を決める桜木が道中でマーク差しを狙う。田中輝も枠ナリに出て行くと勝負圏内に入っていける。走りはムラな面ある新村だが、今節はエンジンが仕上がっており激走を見せるか。
◎ 7 遠藤誠
○ 2 桜木公和
△ 3 田中輝義
△ 1 水崎正二
▲ 6 新村嘉之
おすすめの買い目
7=2-136
穴なら 大駆けある新村に注意
6-1237
スタート位置
第1コーナー進入予想