10月14日に地方競馬通算900勝を達成した宮下瞳騎手にお話を伺いました。
赤見:900勝達成、おめでとうございます!この数字は意識されていましたか?
宮下:そこまでは意識していなかったですけど、区切りの数字ですし、とても嬉しいです。
今年はたくさん乗せていただいて、いい馬とも巡り合って、レースに乗っていても楽しいですし、周りの関係者の方々や、応援してくれるファンの皆さんに感謝しています。
大目標の1000勝に向けて、これからも頑張ります!!
赤見:900勝の時のお写真も素敵な笑顔で、すごく楽しそうだなというお気持ちが伝わって来ました。
宮下:そうですね。以前は勝ちを意識し過ぎていたところがあったと思います。今ももちろん勝つことにこだわっていますが、一度引退したことで気持ち的にはだいぶ変わって、すごく楽しいですね。
今年鼻を骨折したんですけど、今後また怪我をするかもしれないし、いつまで乗れるかはわからないじゃないですか。そう考えたら、馬に乗れる今が楽しいし、大事にしたいと思っています。
赤見:今年はここまで89勝(2020年10月20日現在)を挙げていて、43歳でキャリアハイですよ?!もう本当にすごいとしか言いようがないです。
宮下:ありがとうございます。たくさんいい馬に乗せていただけるお陰ですし、馬たちが頑張ってくれるお陰です。
赤見:2キロ減になったというのは大きいですか?
宮下:そこも大きいですね。2キロ減になった当初は、あまり意識していなくて、せっかくの2キロ減をちゃんと活かせていなかったと思うんです。
でも2キロ減ということを重視して依頼をしていただく馬もいますし、どういう競馬をすれば減量を活かせるかということを考えるようになりました。
赤見:私事で恐縮ですが、わたしは42歳で体力低下をかなり感じていますし、特に第二子出産後にガクッと来たのですが...、何度も言っちゃいますが、43歳でキャリアハイってすごすぎます!
宮下:ありがとうございます(笑)。
わたしも復帰した当初は疲れとかを感じたんですけど、逆に今はあまりないですね。すごく充実していて、馬に乗ることが楽しくて。
赤見:朝の調教はどのくらい乗っているんですか?
宮下:1:20から23~24頭くらい乗っています。
赤見:20頭を越えると相当キツイと思いますが...
宮下:以前に比べると頭数は増えたんですが、今はなんか、慣れちゃいましたね。
7:40に一度中断して、子供たちを送ってから、また戻って2~3頭乗って終わり、という感じです。
赤見:お子さんたちの支度はどうしているんですか?
宮下:朝ごはんは隣のおばあちゃんが食べさせてくれるんです。本当に感謝しています。
着替えなどの準備はもう2人とも大きいので、箱の中にそれぞれの着替えを入れておくと、自分で着替えてくれます。
今は小学校3年生と年長さんになって、だいぶ手が掛からなくなりました。上の息子が弟の面倒を見てくれるので助かります。
赤見:旦那様(小山信行さん)は現在韓国で調教助手のお仕事をしているということで、お一人で子育てをしながら騎手も頑張るというのは、相当大変じゃないですか?
宮下:自分の時間というのはあまりないですけど、すごく充実していますよ。それは子供の存在が大きいですね。日々の成長を見られるのも嬉しいし、わたしがやらなくても出来ることが増えてますから。
それに、すごく応援してくれるし、カッコいいと言ってくれるのも嬉しいです。
赤見:競馬とお子さんのこと以外で、何か楽しみにしていることはありますか?
宮下:ネイルですね!毎回ではないですけど競馬開催の前に色を変えています。手は目線によく入るので、色が変わってキレイになっていると、新鮮な気持ちになります。
赤見:ずっと日本の女性騎手の記録を更新し続けているわけですが、プレッシャーはないですか?
宮下:今はないですね。あまり意識していないですし、1勝ずつ積み上げていきたいです。
周りの方にフォローしていただきながら、騎手を続けることが出来て、本当に助けていただいて感謝しかないです。これからも周りの方々に感謝の気持ちを忘れず、頑張ります!!
11日に金沢競馬場で行われた兼六園ジュニアカップは、牝馬ながら56キロを背負ったサブノタマヒメが、デビューから無敗の6連勝を果たしました。
管理する金田一昌調教師にお話を伺いました。
赤見:兼六園ジュニアカップ制覇、おめでとうございます!サブノタマヒメは56キロでも強かったですね。
金田:ありがとうございます。強かったですね。
先頭に立ってからはハミを外してフワフワしていて、後ろから馬が来れば来るだけ伸びましたから、着差はクビ差でしたが差し切られることはないだろうなと思っていました。
砂を被っても怯まないですし、これでまだ目一杯走ったことがないわけですから、どのくらい強いのか正直まだわからないなという印象です。
赤見:デビュー前から期待が高かったんですか?
金田:セリでオーナーに買っていただいた馬ですから、もちろん期待はしていました。でも正直ここまで走るとは...、期待以上に頑張ってくれていますね。
赤見:普段はどんな性格なんですか?
金田:大人しいんですよ。人間で言えばちょっとダラダラしているタイプっていうんですかね(笑)。
特に2戦目くらいまでは前脚の出が硬くて、「大丈夫なのかな?」と思うくらいでした。
でも使っていくうちにどんどん良くなっていって、金沢プリンセスカップの時の調教ではかなりいい動きをするようになっていました。
これは相当走るなと感じたんですが、現状はそれ以上の走りですから、今後どこまで強くなるかはまだわからないですね。
赤見:今後の予定というのはいかがですか?
金田:11月には地元で2歳戦が2つありますから、どちらかに出走したいと考えています。
赤見:10日(火)の金沢シンデレラカップ(1500m)か、22日(日)の金沢ヤングチャンピオン(1700m)ですね。
金田:そうですね。間がないですから両方というのは難しいので、馬の様子を見ながらオーナーと相談して決めます。
赤見:女の子は食が細い馬も多いですが、サブノタマヒメはいかがですか?
金田:それがすごくよく食べるんですよ。その点は調整する上でとても心強いですね。
今後は他地区の馬とも戦って行く機会があると思いますので、しっかり調整して、金沢にも強い馬がいるというところをファンの方々にお見せ出来るよう頑張ります。
10月1日に園田競馬場で行われた『姫山菊花賞』は4番人気エイシンニシパが勝利。
1番人気だったジンギが2着で、橋本忠明厩舎ワンツー決着となりました。
赤見:まずは姫山菊花賞制覇、おめでとうございます!エイシンニシパは7歳ですが、まだまだ健在ですね。
橋本:ありがとうございます。3歳の頃から毎年毎年重賞を勝ってくれて、本当にすごい馬です。これだけ息の長い活躍が出来る馬もなかなかいませんから。
赤見:橋本先生から見て、エイシンニシパの一番の強さはどこですか?
橋本:とにかく落ち着いているところですね。オンとオフの切り替えがきっちりしていて、普段は余分なことをまったくしないんですよ。
馬房でも調教でも大人しいですし、おそらく新人の厩務員さんでも扱えるくらいの大人しさです。
赤見:姫山菊花賞はJBC指定競走ですが、この後の予定というのは?
橋本:オーナーと相談してから決めますが、大目標は園田金盃と考えていますので、おそらくこのままぶっつけで挑むことになるのではないかと考えています。
赤見:1番人気はジンギでしたが、2頭の力関係というのはいかがでしょうか?
橋本:ジンギも随分成長して力を付けて来てくれましたね。ただ現状ではエイシンニシパや、新子厩舎のタガノゴールドといった、これまで園田を引っ張って来た一線級に比べると、まだこれからだなというのが正直な思いです。
赤見:ジンギはこれからさらに成長が期待出来そうですね。普段はどんな性格ですか?
橋本:これがまたエイシンニシパとは正反対で、かなりやんちゃなんですよ(苦笑)。
最初に来た頃は3人がかりで扱ってもうるさくて、モノになるだろうかと心配したくらいです。
赤見:どんなことをするんですか?
橋本:例えば、自分の馬屋から外に出る時はいきなりキャンターで走り出す、運動場で立ち上がったらそのまま降りてこない...
赤見:立ち上がって前脚を下ろさないとは...。すごい図ですが、腰や後ろ脚が相当強そうですね。
橋本:そうですね(笑)。最近はだいぶ大人しくなって来ましたけど、馬場入り前に乗り替わろうとすると立ち上がるので、追い切り以外は担当厩務員が毎日調教しています。
あと以前はゲート入りに手こずって、だいぶエキサイトしてしまっていたのですが、覆面をしてゲート入りするようになり、ゲートの中で落ち着いていられるようになりました。
これはかなり大きな効果だと思っています。
赤見:ジンギの今後のご予定は?
橋本:オーナーと相談して決めますが、名古屋の東海菊花賞を視野にと考えています。
赤見:初めての遠征競馬ですが、やんちゃなジンギは大丈夫でしょうか?
橋本:そこは心配していません。うちの厩舎は園田ではなく西脇トレセンなので、普段から輸送競馬をしていますし、姫路に行った時も問題ありませんでしたから。
高い能力のある馬なので、このまま順調に成長させてあげられるよう頑張ります。
8月の若鮎賞から、ビギナーズカップ、青藍賞、ジュニアグランプリと重賞4勝!絶好調の菅原勲調教師にインタビューしました。
【デビュー2戦目の若鮎賞で差し切り勝ちしたマツリダスティール】
赤見:まずはマツリダスティールですが、若鮎賞、ジュニアグランプリと芝重賞を連勝しましたね。
菅原:すごいなというか、思っていた以上に走るんでちょっと驚きました。
最初はここまで走ると思わなかったんですけど、調教を進めるうちにどんどん変わって来て。
気性が前向きになっていったし、体も芯が入って来ましたね。
赤見:2戦目の若鮎賞が衝撃的な勝ち方でした。スタートで出遅れて、外々を回っても差し切るという。
菅原:普通じゃ負けますよね。2歳の2戦目であんな競馬が出来るのは本当にすごいですよ。
普段は割と大人しいんですけど、2戦目3戦目とゲートの中が悪くなる要素があるので、そこだけ心配しています。
でもジュニアグランプリも遠征馬相手に強いレースでしたし、あのレースを見て改めて強いなと感じました。今後はまだはっきり決めてないですが、地元の認定競走や、JRAで遠征出来るレースを視野に考えてます。
芝をメインに、ダートも走らないわけじゃないから、様子見しながら使っていこうと思っています。ダートはもう1頭走る馬もいるんでね、どう使っていくかというのは悩みどころですね。
赤見:ビギナーズカップを勝ったリュウノシンゲンですね。
菅原:この馬も走りますよ。性格がとにかく真面目。
レースでも癖がないし、砂を被っても嫌がる様子もなかったですし、どこからでもレース出来る馬ですね。
今後勝ち抜くようであれば、12月の全日本2歳優駿に行きたいなと思っていますが、まずは地元で勝っていかないと。
【リュウノシンゲンとマツリダスティールのワンツーだったビギナーズカップ】
赤見:どのくらいの素質を感じていますか?
菅原:2頭とも素質はベンテンコゾウと比べてもそん色ないと思っています。このまま順調に成長してくれれば楽しみですね。
赤見:そして、青藍賞を勝ったヒガシウィルウィンは南部杯に行く予定ということですね。
菅原:岩手でどんなレースするかなと思っていましたが、移籍初戦は7ヵ月ぶりの休み明けということもあってか、なかなかパンプキンズを抜けなかったんですよ。
びっくりしたというか、相当ハラハラして。結果的には勝ってくれましたけど、僕の心臓に良くないレースでした(苦笑)。
ただ1回使って気が入りましたから、前走くらいの走りはこの馬には当然ですよね。それだけの実績のある馬ですから。
2回使ってさらに状態はいいので、この状態で南部杯でどれくらいやれるか楽しみです。
【岩手移籍後2連勝のヒガシウィルウィン】
赤見:さらに、厩舎の看板馬ラブバレットも放牧から帰って来たそうですね。
菅原:はい。9歳の分、以前と比べると筋肉が落ちているというか、ハリがいい頃よりもちょっと足りないかなとは思います。どのレースから使うかは様子見しているところです。
2歳の時からずっと頑張ってくれて、性格がとても真っ直ぐな馬。真面目に頑張るところは変わらないですね。
僕にとって特別な馬なので、なんとかもうひと花咲かせたいなと思っています。
赤見:もう1頭、移籍後3連勝中のラストダンスについてはいかがですか?
菅原:この馬もびっくりするくらい走りますよ。これまでは体が弱くて走れなかったんだと思います。
まだ今も弱いところがあるので、もう少し体が出来て丈夫になれば、上のクラスでも戦えると思いますね。
赤見:弱いというのは体質がということですか?
菅原:そうです。全体的にですね。腰もそうだし、後ろも弱いし、前の出も硬い。調教ではぎこちない走りなんですけど、レースだと気が入っていい走りになるんです。
すごくいい素質があるので、成長を促しながらゆっくり使っていく予定です。
赤見:注目馬目白押しですね!
菅原:もう大変なことになってますよ。みんな心配で気が休まる時間がないです。
こういう馬たちがいると厩舎も勢いづくし、厩務員さんたちも張り切って、それが馬にも伝わってという、今すごくいい循環です。
ファンの皆さまには、いつも応援していただいてとても感謝しています。
皆さんの期待に応えられるよう、馬券で貢献出来るよう頑張りますので、岩手競馬に注目していただけたら嬉しいです。
宜しくお願い致します。
先日、地方競馬教養センター第100期騎手候補生の修了記者会見が行われました!
平成30年10月に入所し、2年間の厳しい訓練を終え、見事騎手免許試験に合格したのは4名でした。
恒例の、所属競馬場が北の順からご紹介していきます。
七夕 裕次郎(たなばた ゆうじろう)
浦和・平山真希厩舎
北海道網走市出身
「中2の時に定期健診で病院に行った時、『もう身長は伸びません』と先生から言われて、とてもショックを受けました。
その時は本当に落ち込んだんですけど、その先生がたまたま馬主をしていて、『体の小ささを活かして騎手になってみたら?』と言ってくれたことがきっかけで、騎手を目指しました。
JRAは3回受けて不合格で、地方も3回目の受験で合格したんです。100期の受験が最後にしようと思っていたので合格出来て嬉しかったです。
牧場で働いている時に平山厩舎を紹介していただいて、半年くらい厩務員をしていました。
平山先生はすごく真面目に仕事に取り組む方で、馬に対して情熱を持っている方です。
競馬場実習中はいろいろなことを教えていただきましたし、先輩騎手の方々、特に秋元耕成騎手にも馬に乗ることだけではなく、人との接し方や礼儀を教えていただきました。
一鞍一鞍大切に騎乗して、その馬に合った騎乗が出来るようになりたいです。
最初の目標は1年目で30勝することで、いつか浦和リーディングを獲りたいです!」
長江 慶悟(ながえ けいご)
笠松・後藤佑耶厩舎
愛知県春日井市出身
「中学生の時に友達とテレビで競馬中継を見ていて、騎手になりたいと思いました。
笠松を希望したのは実家が近いということもありますし、騎手が少なくてチャンスを多くいただけるんじゃないかと思って希望しました。
競馬場実習中は後藤先生をはじめたくさんの先輩方によくしていただきました。
質問をすればみなさん気さくに教えて下さり、すぐに馴染むことが出来ました。
実習中は朝というか夜中の12:30くらいに起きて25頭くらい調教していました。
早起きは得意ではないですが、たくさん乗りたくて笠松に行ったので、とてもいい経験になりました。
騎乗回数を増やしてたくさん勝てる騎手になりたいです。
まず目標は30勝して自力で減量を減らすことです」
井上 瑛太(いのうえ えいた)
高知・打越勇児厩舎
高知県高知市出身
「祖父が昔、紀三井寺競馬場で騎手をしていて、今は祖父母ともに高知で厩務員をしています。
僕の両親は競馬関係ではないのですが、小さい頃から祖父のところに遊びに行って、厩舎に顔を出したりしていました。
打越厩舎には前から遊びに行ったりして、厩舎のみなさんに可愛がっていただいていたので、実習で帰った時にもすぐに馴染むことが出来ました。
ツクバクロオーの調教をしていたので、福永洋一記念を勝った時にはとても嬉しかったです。
目標は兄弟子の宮川実騎手です。とにかくカッコよく乗れと教えてもらいました。
初年度は勝ち星よりも1頭1頭丁寧に乗ることを心がけたいです。
(具体的な目標はありますか?)打倒97期(多田羅誠也騎手、濱尚美騎手、妹尾将充騎手)を目指しているので、多田羅騎手の初年度勝利より2つ多い、50勝を目指します!」
飛田 愛斗(ひだ まなと)
佐賀・三小田幸人厩舎
熊本県阿蘇市出身
「叔父が佐賀競馬場の近くで居酒屋をしていて、佐賀の関係者をたくさん知っていました。その関係で父と一緒に競馬場へ遊びに行ったりしているうちに、いつの間にか騎手になりたいと思っていました。
実習中はトップレベルの調教をしていたので、九州ダービー栄城賞を勝った時にはすごく嬉しかったです。
三小田先生にとって初めての弟子ということで、とても可愛がっていただいています。
目標は山口勲騎手です。朝早くから調教にたくさん乗っていて、調子のよくない馬でも調整を工夫して状態を上げて行ったり、その馬その馬に合った調整をしていてすごいなと。
他の人なら諦めてしまうような馬でも、時間を掛けて良くなるのを待ったり、とても勉強になりました。
出水騎手や金山騎手といった若手が活躍していますので、負けないよう頑張ります!」
4名は10月から、順次デビュー予定です。
どんなレースを見せてくれるか楽しみですね!!