4日に行われた北海道スプリントカップは、10歳馬メイショウアイアンがハナ差で勝利!
地元勢の勝利は20年ぶりということで、ホッカイドウ競馬に関わる方々にとっても大きな1勝となりました。
田中淳司調教師に喜びの声を伺いました。
赤見:おめでとうございます!
田中:ありがとうございます。上手くいきました。10歳で大したもんですね。
あの馬自身の老化現象がないというのが一番大きいと思うんですけど、ローテーション的にも無理していないので馬は若いですね。
赤見:休み明けを一度使ってあそこまで状態が良くなるとは...、正直驚きました。
田中:冬場に3ヵ月くらい休ませていたんですけど、調教せずにゆっくりさせたので、その間に筋肉が落ちてしまった部分があって。
戻って来た時にはトモのハリなんかは全然物足りないなと。そこから食べさせて食べさせて食べさせて、少しずつ体を作っていきました。
その途中が前走のレースだったので、そこからどんどん調子が上がっている状態ですね。
赤見:今回のレースでは、JRA勢相手に去年2着だった時以上にいい位置を取って行きました。
田中:そうですね。枠順も良くて、砂を被ると怯んでしまうところがあるので、そうするとポジションが下がってしまって。
今回は外枠が当たって、落合もその辺りをよくわかっているので、中団辺りを無理せず付いて行けましたから、それが一番の勝因だったと思います。
赤見:レースご覧になっていて、力入ったんじゃないですか?
田中:3,4コーナーでもしかしたら勝ち負けになるんじゃないかと思いましたけど、マテラスカイが楽な感じで逃げていて、余力もある感じだったので、直線は突き放されるのかな...と思いながら見ていたんです。
直線半ばからはもう力が入って、足踏みしながら大声だしてました(笑)。
赤見:かなり際どい勝負でしたが、勝ったと思いましたか?
田中:ゴールした瞬間は勝ったと思いました。勢いが勝っていたと思ったので。
落合には「やったな!上手く乗った」と褒めました。
僕らは2歳戦でダートグレードを勝たせてもらうことはありますけど、古馬でっていうのは今の時代本当に難しいですから。
その中で結果を出せたというのは大きいですね。
赤見:地元馬が20年ぶりの勝利ということで、周りの方々の反響も大きかったんじゃないですか?
田中:そうですね。いつもいつも負けて来たので、周りのみんなも興奮してましたし、マスコミの方たちも喜んでくれていました。
本当にありがたいですね。
赤見:メイショウアイアンのレース後の様子はいかがですか?
田中:上り調子で使ったせいか、そこまでダメージはないですね。ご飯もしっかり食べてます。
ワンターンが得意なので、今後はクラスターカップを大目標に、その前に地元で1000mの重賞(グランシャリオ門別スプリント)を使わせてもらおうかなと考えています。
赤見:先生の厩舎はドラゴンエアルも今年9歳で重賞を勝ちました。2歳戦に強いというイメージが大きかったのですが、高齢馬たちの活躍も素晴らしいですね。
田中:おじちゃん馬たちなので、無理使いだけはしないように気をつけています。
僕らは半年シーズンなので、年5,6回の競馬しか使えないんです。その分、馬も若くいられるという部分もあると思いますね。
北海道は2歳のシーズンが終わった後は、JRAや南関東へ移籍する馬が多いんですけど、メイショウアイアンのようにJRAから転入してきたり、一度転厩した馬がまた戻ってきたりすることも多いですから、古馬でもしっかり結果を出して行きたいです。
➅魚住 謙心(うおずみ けんしん)
金沢競馬場 鋤田誠二厩舎
大阪府和泉市出身 17歳
父が競馬ファンで、阪神競馬場によく連れて行ってもらいました。
小学校6年生から乗馬を習っていて、中学生の時に騎手になりたいと思いました。
金沢競馬場を希望した理由は、若手にチャンスが多いイメージがあるからです。
吉原寛人騎手は普段からカッコいいんですけど、南部杯の騎乗はすごくカッコ良かったです。
道中の折り合いも、追い込みも迫力があって、馬が動いているなと。
青柳正義騎手には攻め馬の時によく教えていただいて、脚の使い方や馬上でのバランスを詳しく教えてくれました。
地道にコツコツと努力を続けることが得意なので、これからも努力を惜しまず日々精進します。
⑦深澤 杏花(ふかざわ きょうか)
笠松競馬場 湯前良人厩舎
兵庫県赤穂郡上郡町出身 18歳
小学校4年生くらいの時に、たまたま配っていたチケットをもらって、体験乗馬をしたのがきっかけで、中学1年生くらいまで乗馬をしていました。
2,3歳の頃から水泳(背泳ぎ)をしていたので、途中までは掛け持ちしていたんですけど、中学3年までは水泳に打ち込もうと思っていました。
最初は牧場で働きたいなと思っていたんですけど、たまたまテレビでレースを見て、騎手という職業があるということを知り、目指してみたいなと思うようになりました。
笠松競馬場のみなさんはとても優しくて、いろいろなことを教えていただきました。
周りの方から信頼していただけるよう頑張ります!
⑧細川 智史(ほそかわ さとし)
名古屋競馬場 角田輝也厩舎
鳥取県境港市出身 20歳
高校2年生の時に、5つ年上の兄に米子ウインズに連れて行ってもらった時、モニターで見たジョッキーの姿がカッコ良くて、騎手になりたいと思いました。
センターの受験は1回落ちたんですけど、2回目で合格することが出来ました。
体を動かすことが得意で、中1から高3まではテニスをしていて、高3で一旦部活が終わった後は、駅伝に出場するために陸上部で練習していました。
競馬場実習ではいろいろな方にお世話になって、特に岡部誠騎手や柿原翔騎手にいろいろなことを教えていただきました。
まだまだ至らない部分も多いですが、お世話になった方々に恩返し出来るよう精いっぱい精進します。
③田中 洸多(たなか こうた)
大井競馬場 荒井朋弘厩舎
宮城県仙台市出身 17歳
小学校2年生くらいの時に、母が乗馬クラブのチケットをもらって来てくれて、体験乗馬をしたのがきっかけで乗馬を始めたんですけど、東日本大震災の時に乗馬クラブも大きな被害を受けてしまったんです。
1年後に乗馬クラブがあったところに行ってみて。行きはたんぽぽとか摘んでルンルンだったんですけど、帰りは涙が止まらなくなってしまいました。
結局、しばらく馬から離れていたんですけど、もう一度馬に関わりたいなと。そこからまた別の乗馬クラブで馬に乗っていました。
荒井厩舎所属になったのは、祖父が馬主をしていて、その縁で所属させてもらえることになりました。
先生は優しいですし、厩務員さんたちもとてもよくしてくれて、すんなりと馴染むことが出来ました。
実習中印象に残っている馬はクルセイズスピリツです。
見た目は小柄なんですが、踏み込みが力強くて、すごくしっかりしていました。
真島大輔騎手や、西啓太騎手にいろいろなことを教えていただきました。
真島騎手のような力強く魅せる騎乗が出来るようになりたいですし、西騎手も騎乗はもちろん、普段の人とも接し方などもとても勉強になりました。
小林の新人記録を出した西さんの初年度勝利数を越えられるよう頑張ります!
④池谷 匠翔(いけたに たくと)
川崎競馬場 内田勝義厩舎
神奈川県川崎市出身 18歳
騎手を目指したきっかけは、小学校6年生の時に父の知り合いの馬主さんに北海道に連れて行っていただいたり、体が小さいから騎手に合っているんじゃないかと言われたことです。
僕が「騎手になりたい」と言ったら父が部屋の一つをトレーニング部屋にしてくれて、とても協力してくれました。
競馬場実習で印象に残っている馬はミナミンです。
最初に乗せてもらったころから、だんだんと成長することを感じさせてくれました。
内田先生は厳しいですが、いろいろなことを教えていただきました。
厩務員さんたちはジョッキー出身者が多く、乗ることだけではなく馬の扱いについてもとても勉強になりました。
同期には負けたくないですが、デビューしたら自分との戦いだと思っているので、自分に負けたくないですね。
諦めずに追える騎手になりたいです。
⑤古岡 勇樹(ふるおか ゆうき)
川崎競馬場 岩本洋厩舎
福岡県北九州市出身 19歳
小学校4年生の時に、両親に小倉競馬場に連れて行ってもらったことがきっかけで、騎手を目指すようになりました。
小倉の乗馬センターに通って乗馬をするようになりました。
岩本厩舎はみんな仲が良く、実習の最後にはヒカリオーソに乗せていただきました。
背中が柔らかくて、1歩1歩弾力があり、他の馬にはない走りだなと感じました。
池谷くんとは同期で同じ競馬場なので、いろいろ比べられると思いますから、負けないよう頑張ります!
川崎だけでなく地方競馬全体を盛り上げていける騎手になりたいです。
14(土)、栃木県那須塩原にある地方競馬教養センターで、第99期騎手候補生の修了記者会見が行われました。
2年前の春、12名で入所した99期生。
厳しい訓練と競馬場実習を終え、修了記者会見に臨んだのは8名となりました。
12日には8名全員の騎手免許試験合格も発表され、4月1日付けで騎手となります。
それでは一人一人ご紹介していきましょう。
一般的には名前順が多いと思いますが、教養センターでは北の競馬場から順番に、という独自のルールがあるので、
ここでもその順に従ってご紹介していきます。
①北島 希望(きたじま のぞみ)
浦和競馬場 小久保智厩舎
山口県下関市出身 18歳
騎手を目指したきっかけは、幼稚園の時にもらった「みさきのこうま」という絵本が大好きで、馬を好きになりました。
小学生の頃から乗馬をしていて、ポニーで草競馬に参加したり、小さい頃からずっと騎手になりたかったです。
小久保厩舎に所属するきっかけは、父の叔父が東京でお店をしていて、そこに出入りしていた代行の方が小久保先生と知り合いということで、お目にかかることが出来ました。
最初は怖そうだなって思いましたが、とても優しくて面倒見のいい先生なので、所属させていただけて本当に良かったです。
競馬場実習中にはセンチュリオンやミッシングリンクの調教をさせていただいたり、ブルドッグボスやノブワイルドの乗り運動に跨らせていただきました。
背中の雰囲気やパワーが全然違っていて、すごく勉強になりました。
左海誠二騎手のように、積極的にハナに行って持たせるような騎手になりたいです!
左海騎手は本当にスタートが速いですし、肩の動きが柔らかくて、ああいう風にすると馬の邪魔にならないんだなと。
デビューしたら同期には負けたくないですし、特に南関東の同期の中で一番勝ちたいです。
あとレディースも楽しみですね。
名古屋や佐賀ならば家族も見に来やすいかなと思いますし、先輩方と一緒にレースに乗るのが楽しみです。
②篠谷 葵(しのや あおい)
船橋競馬場 佐藤賢二厩舎
千葉県市川市出身 17歳
騎手を目指したきっかけは、父親が競馬ファンで、出身が千葉の市川市なので、よく中山競馬場と船橋競馬場に連れて行ってもらいました。
夏休みには門別競馬場にも行ったことがあります。
小学校2年生の時に、中山でポニー騎乗体験があったり、自然と騎手になりたいと思うようになりました。
センターに入った時には一般公募だったんですけど、佐藤賢二厩舎に所属出来て良かったです。
競馬場実習中には、いろいろな馬の調教に乗せていただきました。
特に印象が強いのが、ハイセイコー記念の前日にゴールドビルダ―に乗せていただいたことです。
厩務員さんから、「これが仕上がっている馬の背中だから」と言われ、直線で馬なりという指示だったんですけど、すごくいい背中で、これが重賞級の馬かと驚きました。
あとブラヴールにも乗せていただいていて、新馬戦で山口オーナーと「勝ちたいですね」という話をしていたので、勝ってすごく嬉しかったです。
目標は森泰斗騎手です。
実習中にいろいろ教えていただいたり、一緒に食事に行ったりしました。
騎乗面がすごいのはもちろんですが、人柄もすごく良くて、そういう面も見習いたいと思っています。
泰斗さんを追いかけて、将来的には越えられるような存在になれるよう努力します。
~其の弐につづきます~
昨日は千葉県白井にあるJRA競馬学校で、第36期生の卒業式が行われました!
この日10時に騎手免許試験の合格発表があり、4名共に無事に合格。
最後の訓練となる模擬レースを行いました。
これまで、現役の先輩ジョッキーや教官たちと一緒に模擬レースを重ねて来ましたが、同期4人だけで行うのは初めてだったそう。
勝ったのは後方から追い込んだ原優介くんでした。
ご家族や所属調教師が見守る中で1着となった原くん、さぞ喜んでいるかと思いきや、
「1コーナーで膨れてしまい、周りに迷惑を掛けてしまいました。デビューまでまだ時間があるので、しっかり学んで修正したいです」
と、謙虚なコメント。
なにはともあれ、無事にすべての訓練を終了し、卒業式を迎えました。
来賓の方々や、調教師会会長の橋田満調教師、騎手会会長の武豊騎手などたくさんの方々に見守られ、卒業証書授与。
最も優秀な成績を収めた生徒に贈られるアイルランド大使特別賞は、泉谷楓真くんが受賞しました。
武豊騎手からは、
「これから辛いこと、大変なことがたくさんあると思いますが、今日の気持ちを忘れないでください」
と温かいエールを送られました。
左から、秋山稔樹くん、泉谷楓真くん、武豊騎手、小林脩斗くん、原優介くんです。
其の弐では、それぞれのプロフィールを詳しくご紹介していきます。