平成10年10月高崎競馬場にて騎手デビュー。以来、高崎競馬が廃止される平成17年1月まで騎乗を続け2033戦91勝。元騎手の目線からレースを分析から、現役時代の思い出など、様々な話題を楽しく書き綴ってまいります!
平成10年10月高崎競馬場にて騎手デビュー。以来、高崎競馬が廃止される平成17年1月まで騎乗を続け2033戦91勝。元騎手の目線からレースを分析から、現役時代の思い出など、様々な話題を楽しく書き綴ってまいります!先日、地方競馬教養センター第100期騎手候補生の修了記者会見が行われました!
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平成30年10月に入所し、2年間の厳しい訓練を終え、見事騎手免許試験に合格したのは4名でした。
恒例の、所属競馬場が北の順からご紹介していきます。
七夕 裕次郎(たなばた ゆうじろう)
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浦和・平山真希厩舎
北海道網走市出身
「中2の時に定期健診で病院に行った時、『もう身長は伸びません』と先生から言われて、とてもショックを受けました。
その時は本当に落ち込んだんですけど、その先生がたまたま馬主をしていて、『体の小ささを活かして騎手になってみたら?』と言ってくれたことがきっかけで、騎手を目指しました。
JRAは3回受けて不合格で、地方も3回目の受験で合格したんです。100期の受験が最後にしようと思っていたので合格出来て嬉しかったです。
牧場で働いている時に平山厩舎を紹介していただいて、半年くらい厩務員をしていました。
平山先生はすごく真面目に仕事に取り組む方で、馬に対して情熱を持っている方です。
競馬場実習中はいろいろなことを教えていただきましたし、先輩騎手の方々、特に秋元耕成騎手にも馬に乗ることだけではなく、人との接し方や礼儀を教えていただきました。
一鞍一鞍大切に騎乗して、その馬に合った騎乗が出来るようになりたいです。
最初の目標は1年目で30勝することで、いつか浦和リーディングを獲りたいです!」
長江 慶悟(ながえ けいご)
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笠松・後藤佑耶厩舎
愛知県春日井市出身
「中学生の時に友達とテレビで競馬中継を見ていて、騎手になりたいと思いました。
笠松を希望したのは実家が近いということもありますし、騎手が少なくてチャンスを多くいただけるんじゃないかと思って希望しました。
競馬場実習中は後藤先生をはじめたくさんの先輩方によくしていただきました。
質問をすればみなさん気さくに教えて下さり、すぐに馴染むことが出来ました。
実習中は朝というか夜中の12:30くらいに起きて25頭くらい調教していました。
早起きは得意ではないですが、たくさん乗りたくて笠松に行ったので、とてもいい経験になりました。
騎乗回数を増やしてたくさん勝てる騎手になりたいです。
まず目標は30勝して自力で減量を減らすことです」
井上 瑛太(いのうえ えいた)
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高知・打越勇児厩舎
高知県高知市出身
「祖父が昔、紀三井寺競馬場で騎手をしていて、今は祖父母ともに高知で厩務員をしています。
僕の両親は競馬関係ではないのですが、小さい頃から祖父のところに遊びに行って、厩舎に顔を出したりしていました。
打越厩舎には前から遊びに行ったりして、厩舎のみなさんに可愛がっていただいていたので、実習で帰った時にもすぐに馴染むことが出来ました。
ツクバクロオーの調教をしていたので、福永洋一記念を勝った時にはとても嬉しかったです。
目標は兄弟子の宮川実騎手です。とにかくカッコよく乗れと教えてもらいました。
初年度は勝ち星よりも1頭1頭丁寧に乗ることを心がけたいです。
(具体的な目標はありますか?)打倒97期(多田羅誠也騎手、濱尚美騎手、妹尾将充騎手)を目指しているので、多田羅騎手の初年度勝利より2つ多い、50勝を目指します!」
飛田 愛斗(ひだ まなと)
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佐賀・三小田幸人厩舎
熊本県阿蘇市出身
「叔父が佐賀競馬場の近くで居酒屋をしていて、佐賀の関係者をたくさん知っていました。その関係で父と一緒に競馬場へ遊びに行ったりしているうちに、いつの間にか騎手になりたいと思っていました。
実習中はトップレベルの調教をしていたので、九州ダービー栄城賞を勝った時にはすごく嬉しかったです。
三小田先生にとって初めての弟子ということで、とても可愛がっていただいています。
目標は山口勲騎手です。朝早くから調教にたくさん乗っていて、調子のよくない馬でも調整を工夫して状態を上げて行ったり、その馬その馬に合った調整をしていてすごいなと。
他の人なら諦めてしまうような馬でも、時間を掛けて良くなるのを待ったり、とても勉強になりました。
出水騎手や金山騎手といった若手が活躍していますので、負けないよう頑張ります!」
4名は10月から、順次デビュー予定です。
どんなレースを見せてくれるか楽しみですね!!
昨日札幌競馬場で行われた札幌日経オープンに出走した、ホッカイドウ競馬所属のシンボ。
格上挑戦で一気の相手強化になりましたが、好位追走から直線もよく伸びて4着。
レコード決着の中でも存在感を見せてくれました。
一夜明けて、齊藤正弘調教師にお話を伺いました。
赤見:遠征お疲れ様でした。4着とはいえ見どころの多いレースでしたね。
齊藤:ありがとうございます。いい脚で上がって行ってくれましたね。
赤見:好ダッシュで逃げられそうかなと思ったところで、外から来た馬がいて、逃げられない展開になりました。
齊藤:もちろん行ければというのはあったと思いますが、古川(吉洋)君も試したかったのではないかと思います。
というのも、レース前からこの先も古川君にお願いしたいと話していて。
北海道ブロックの代表に選出されることが条件になりますが、レース前からこの次は、セントライト記念か神戸新聞杯という、菊花賞トライアルを目指したいという風に考えていたんです。
赤見:着順としては4着でしたが、一気の相手強化で自分の形にならずという展開の中、よく伸びてきてくれましたね。
齊藤:そうですね。今回も頑張ってくれました。前走は函館で直線が短いから、というところがありましたが、昨日の競馬はもう少し直線があったらさらに伸びたのでは?と感じさせるレース内容でした。古川君も、どこからでも競馬が出来るという手ごたえを掴んだのではないかと。重賞に出ている馬たち、3勝クラスを勝っている馬たちと戦って、どのくらいやれるかと思いましたが、本当に頑張ってくれました。
赤見:今朝の様子はいかがですか?
齊藤:いつもと変わらないですね。札幌だったので輸送も少なかったですし、プラス2キロで体にも少し余裕があったかなという風に感じています。
この次は中山か中京ということで、長距離輸送での競馬になりますが、2歳の時に何度も盛岡へ行って慣れているし、輸送をしても体が減らないんですよね。
初めて盛岡に遠征した時は2歳の9月でしたが、その時もプラス体重でしたから。そういう部分のメンタルはすごいと思います。
赤見:セントライト記念(9月21日)か、神戸新聞杯(9月27日)、どちらになりそうですか?
齊藤:そこは迷っているところです。今年は神戸新聞杯が中京開催ということもありますし、馬の状態を見ながら調整していきます。
今回次に繋がる内容のレースが出来て、また一歩前に進むことが出来ました。
これからも一つ一つ着実に進んでいきたいと思っています。
赤見:昨日のマーキュリーカップ、強豪に混じってランガディアが3着に追い込んで来ましたね!
板垣:レース前に鈴木祐騎手には、「相手が相当強いし、リラックスして乗ってきて」と話しました。
ペースが流れたということもありますが、向正面ではまだジッと動かず、3,4コーナー辺りから仕掛けだして、最後までよく伸びてくれましたね。
赤見:マーキュリーカップで地元所属馬が3着以内に入ったのは久しぶりでした。
板垣:やっぱり2000mだと力差が大きく出ますからね。そういう条件で上位に食い込めたというのはとても嬉しいです。
今朝も様子を見ましたが、いつも通りカイバをしっかり食べていました。
上に行く馬というのは食欲も落ちないんですよね。
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写真は前走みちのく大賞典を勝った時のもの
赤見:今後の予定が気になりますが、もう決まっていますか?
板垣:昨日もけっこう聞かれましたけど、今はまだ白紙です。
とりあえず8月は岩手も暑くなりますから、お休みする予定でいます。
その後は遠征も含め、適鞍を考えていこうと思っています。
赤見:この馬の適距離というのはどのくらいだとお考えですか?
板垣:僕の中ではマイルから1800mくらいがベストではないかと思っていて。
昨日鈴木騎手は「2000mでもやれる」と言っていましたから、2000mまでは大丈夫だと思いますね。
ただ地元馬同士の2000mとなるとかなりスローになって、折り合いをつけるのが大変なので、折り合いの面を考えるとマイルがベストなのかなと。
赤見:マーキュリーカップで3着に頑張ったことで、さらに注目度が上がりましたね。
板垣:ファンの皆さまにはとても感謝しています。
今後も馬の状態を見ながら、どのレースに出走するかしっかり考えていきます。
赤見:そしてもう1頭、オッズパーク地方競馬応援プロジェクトのマリーグレイスですが、好調が続いていますね。
昨年末も3連勝していましたが、この馬は波が大きいのでしょうか?
板垣:実は逆で、好不調の波は全然ないんですよ。
うちの厩舎に来た2歳の頃から、調子の変動というのはあまり感じないですね。
小柄な女の子なのでそういうところがありそうなものですが、調教では常にテンションが高くて、レースでは自分の形にさえなれば、けっこう強い相手でも粘ってくれるんです。
赤見:なるほど。一番重要なのは展開ということですね。
板垣:そうです。逃げか番手、揉まれないということが大きいです。
それに、昨年デビューの塚本涼人騎手とも相性がいいですね。
今までは盛岡に輸送すると、ガクッと体重が減ることが多かったんですが、前走はマイナス2キロでしたから、精神的にも成長してくれたなと。
次は芝が1000mの番組なので、ダートの自己条件を予定しています。
今後とも宜しくお願い致します。
昨日の吉野ヶ里記念は3歳牝馬のミスカゴシマが差し切り勝ち!
九州ダービー栄城賞では圧倒的1番人気ながら3着に負け、前走は初の古馬対戦で7着に惨敗。
悔しい負けが続きましたが、強敵相手に見事復活の勝利を挙げました。
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平山宏秀調教師にお話を伺いました。
赤見:吉野ヶ里記念制覇、おめでとうございます!すごい女の子ですね。
平山:ありがとうございます。本当にすごい馬ですよね。
昨日あれだけ頑張ってくれたのに、今日はもう何事もなかったかのようにケロっとしてますよ。
赤見:九州ダービー栄城賞を目標にやってきただけに、敗戦は相当悔しかったのではないですか?
馬にとっても佐賀で負けたのは初めてで、何か変化はありましたか?
平山:僕らは悔しかったですけど、馬は全然変わらなかったです(苦笑)。そういう動じないところがこの馬の強さだなと。
ダービーまでは前に行く競馬をしてきて、ダービーでももちろん逃げる予定だったんですけど、他の馬たちからのマークがだんだんとキツくなっていきました。
逃げる競馬だけでは上に進めないということもあって、控える競馬も教えようと。
前走初めて古馬と戦った時には大きく負けましたが、古馬オープンのペースが経験出来たというのは大きかったと思います。
赤見:そして今回差し切り勝ちということで、レースの幅が広がりましたね。
平山:そうですね。ドラゴンゲートやハッピーハッピーといった古馬の実績馬たちを負かしてくれて、もちろん展開がハマったという面もありますけど、こういう競馬で勝ってくれて嬉しかったです。
赤見:この後、佐賀はしばらく開催がお休みになりますが、次走の予定というのは決まっていますか?
平山:まだ決定というわけではないけれど、権利を獲ったサマーチャンピオンに出るか、ロータスクラウン賞に行こうか、というところで考えています。
それに、これからは遠征にも積極的に行きたいと思っています。
川崎のロジータ記念に挑戦したい気持ちもあるので、その前にもう少し近場で遠征出来るレースがあればと。
馬の状態と相談になりますが、本当に物事に動じない馬で、初めて金沢に行った時にも普段と変わらなかったんです。
今後はいろいろな競馬場にチャレンジしたいです。
ミスカゴシマが全国の競馬場で、どんなレースを見せてくれるか楽しみです!!
12日の函館10レース『横津岳特別』で、10番人気の低評価を覆し、見事逃げ切り勝ちを収めたシンボ(北海道)。地方競馬所属馬のJRA勝利は2018年8月のハッピーグリン(STV賞)以来です。まだ3歳のシンボですから、今後の動向も含めとても気になりますね。管理する齊藤正弘調教師にお話を伺いました。
赤見:JRAでの勝利おめでとうございます!!古馬相手の2勝クラスで勝ったというのがまたすごいですね。
齊藤:ありがとうございます。オーナーと共に、「地方から中央に挑戦したい」という想いでやって来たので、とても嬉しいですね。いろいろなことがすべて上手く行きましたし、調教師をしていて負けることの方が多いわけですが、こんなに上手く行ったのは初めてではないでしょうか。オーナーはじめこの馬に関わってくれた方々、そして頑張ってくれた馬に感謝しています。
赤見:10番人気でしたが、レース前から手ごたえはありましたか?
齊藤:もちろん勝つことを目指して使っていますが、まさか本当に勝ち切ってくれるとは...。勝った要因はいくつかありますが、降級制度がなくなって、上のクラスから下がって来る馬がいなかったというのも大きいと思います。この馬自身のことで言えば、前走前々走と逃げる競馬をして、門別の長い400mの直線で粘りが増すような競馬が出来ました。結果的にこの時には負けたんですが、函館のフラットコースで、短い直線はプラスになるなと感じていました。
実は以前からJRAに挑戦しようと思っていたのですが、コロナの影響で遠征が出来ず...。その頃は1勝クラスへ挑戦する予定だったんですけど、北海優駿で賞金を加算したので今回は2勝クラスへの挑戦になりました。それでも勝ってくれたので、この馬が秘めていた能力の高さを改めて感じました。
赤見:北斗盃から逃げる競馬をしていますが、先生からの指示ですか?
齊藤:そうですね。これまでも先行して揉まれない方がいい競馬をしていましたし、今シーズン初戦の牡羊座特別で後ろから行って最下位だったんですよ。この時は休み明けと言っても当初はJRAに使いに行く予定で、体はしっかり作っていました。それなのにまったく走れなかったことがショックで、次の北斗盃は内回りでしたし「行ってみよう」と言ったのがきっかけです。
赤見:今回のレースでは、ポンとハナを奪って、向正面でプレッシャーを掛けられる場面もありましたが、最後までしっかり粘ってくれました。
齊藤:古川(吉洋)くんが上手く乗ってくれましたね。いくら人気薄の馬といってもペースが遅かったら突いて来るのは当たり前で、そこは古川くんの好判断で、一度突き放してからまた溜めを作って息を入れてくれました。直線は力が入りましたが、初めての2600mでよく粘ってくれましたね。
赤見:シンボはどんな性格ですか?
齊藤:名前の通り、とても辛抱強い馬だと思います。北海優駿はかなりのスローペースだったんですけど、レース後に競馬ブックの高倉克己さんに言われたのが、「ここまでスローのラップで掛からずに折り合いがつくのはすごい」と。我慢強くて溜めが作れる馬なんだと再認識しました。それに、2歳の頃から遠征に行っても大きく馬体重が変わらないのはメンタルの強さだと思います。今回のレース後も大きなダメージもなく、元気に過ごしていますよ。
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写真は水沢の金杯で勝利した時のもの(当時は岩手の齋藤雄一厩舎所属)
赤見:今後の予定は決まっていますか?
齊藤:距離の選択肢として札幌日経オープンを目指したいと考えています。シンボはJRA認定競走を勝っていないので、これまでの規定だったら中央に挑戦することは出来なかったんですけど、今年はJRA認定競走を勝たなくても、賞金の規定を満たせばJRAに挑戦出来ることになった最初の年なんですよね。そういう形で門戸を開いていただけたことがありがたいですし、そこで結果を出せたということは、自分たちだけではなく、今後に続く馬たちにとっても大きいことなんじゃないかと思っています。今年だけではなく来年もチャレンジ出来ますから、長い目で見て一つ一つ足場を固めていきたいです。
赤見:では、ファンの方々にメッセージをお願いします。
齊藤:門別は先日一日の売り上げレコードを更新し、いつも応援してくれるファンの方々には感謝の気持ちでいっぱいです。これからも地元はもちろん、JRAにもチャレンジしていきますので、応援宜しくお願い致します。