出馬表を見てちょっと驚いたのが、リーダーズボードの名がなかったこと。これまで地方馬には先着されたことがなく地元名古屋では10戦全勝。中央馬に挑戦した兵庫ジュニアグランプリJpnIIでも、直線を向いたあたりではあわやと思わせる場面もあっての3着。いずれはダートグレードをという器だけに、地元のダービーの舞台に立てなかったのはなんとも残念。脚部不安で放牧に出され、復帰は未定だそうだ。
となると注目は唯一金沢から遠征のケージーキンカメ。中央未勝利からの転入だが、金沢では5戦5勝。しかも2着馬につけた着差が5馬身、大差、7馬身、5馬身、大差というもの。前走ではディアブレイズンと併走するように先行し、直線だけで突き放して2秒2の差をつけた。そのディアブレイズンは、5月25日の北日本新聞杯を難なく制している。東京ダービーでは吉原寛人騎手が"ダービージョッキー"となったが、今度は青柳正義騎手が名古屋でダービージョッキーになれるかどうか。
相手は、駿蹄賞で2着だったドクターナイーヴ。その駿蹄賞では、リーダーズボードに並びかけることすらできず5馬身差をつけられたが、3コーナー手前から積極的に追いかけ、3着以下を寄せつけなかったというレースぶりは価値がある。この馬も中央未勝利からの転入馬だが、その後は3着を外さない堅実な成績。笠松の新緑賞制覇という実績も評価できる。
トーホウボンバーも中央未勝利からの転入で、直後は3連勝したものの、重賞タイトルにはもう少しのところで手が届かず。リーダーズボード不在のスプリングカップではドクターナイーヴに先着したものの2着、新緑賞ではドクターナイーヴに3/4馬身差まで迫っての2着だった。
駿蹄賞で後方から追い上げ3着に入ったピースフルリバティ、ダートグレードで強い相手に揉まれてきたカツゲキイチバンらも連下候補。
◎9ケージーキンカメ
◯10ドクターナイーヴ
▲8トーホウボンバー
△3ピースフルリバティ
△7カツゲキイチバン
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一冠目の菊水賞は、ニホンカイセーラがクリノエビスジンに6馬身、さらに3着には10馬身差をつけるという圧勝だったが、この世代のトップと目された3~4頭が不在というメンバーで争われたレースだっただけに、額面通りに受け取らないほうがよさそう。
そして戻ってきたのがトーコー軍団。トーコーガイアは1月の笠松・ゴールドジュニアを快勝。それ以来の復帰戦となった前走は、ゴール前でようやく抜け出してというレースだったが、叩いての変わり身に期待したい。
トーコーポセイドンは化骨が遅れたのに加えて疲労もあり、回復が遅れてぶっつけでの園田ダービーにようやく間に合った。園田ジュニアカップではトーコーガイアを半馬身差でしりぞけたが、今回はそれ以来5か月ぶりの実戦でどこまで仕上がっているか。
エイシンナカヤマは今年2月の3歳デビューで、そこから4戦負けなし。とくに前走、初めて距離を1700メートルに伸ばした一戦では、3~4コーナーで外から豪快にまくってきて抜け出した。父ハーツクライは、オークスをヌーヴォレコルトが勝ち、日本ダービーをワンアンドオンリーが勝ち、そして今週末の安田記念にはドバイを勝ったことでレーティングで世界のトップに立ったジャスタウェイが控えている。その父の勢いが園田にも届くかどうか。
菊水賞組は厳しいと見るが、2番人気で競走中止したエナエビスは、それ以外は負けておらず、まだ底を見せていない。
◎6トーコーガイア
◯8トーコーポセイドン
▲2エイシンナカヤマ
△9エナエビス
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さすがに一冠目、1000メートルの北斗盃からは2頭のみの出走。重賞勝ち馬のいないメンバーだけに混戦。
中央から戻ってきたスタンドアウトから。2歳時の北海道では、北海道2歳優駿JpnIII(6着)を除けば7戦してオール連対。8月のアタックチャレンジから3連勝と後半に力をつけた。中央では4戦していずれも二桁着順だったが、芝のジュニアカップではしんがり負けとはいえ、好位を追走して勝ち馬から1秒差というスピードを見せた。2歳時から中距離を中心に使われており、重賞実績のない今回のメンバーなら能力上位。
トライアルのローズキングダム賞は3着だったフレイムハーツだが、叩き2戦目の上積みに期待。この馬もデビューから1700メートルを中心に使われ、ここまで1勝のみと勝ち切れないレースが目立つものの、勝ち馬から1秒以上の差をつけられて負けたのはデビュー戦のみと、堅実に走っている。
トライアルのローズキングダム賞を制したのがヤマノミラクル。好位追走から直線で先頭に立ってそのまま押し切った。1700メートル戦は不思議とこれで2度めだったが、距離は長いほうがよさそう。
同2着だったのがダテオトコ。スタートで大きくで遅れながらも直線ではいつの間にかラチ沿いから前に迫ってヤマノミラクルにクビ差の2着。出遅れてなければもしかして、というレースぶりだった。この馬も距離延長で力を発揮しそう。
ハーブティーは、昨年新設されたブロッサムカップ3着で、今シーズン初戦の北斗盃も3着。重賞実績はあるが、この馬は逆に距離延長が不安材料。
ローズキングダム賞は4着だったが、叩き2戦目の前走を勝ったワイルドサプライズは、今シーズン3戦目での上積みがあれば上位争いに加われるか。
◎3スタンドアウト
◯4フレイムハーツ
▲11ヤマノミラクル
△2ダテオトコ
△8ハーブティー
△12ワイルドサプライズ
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大井では結果を残せなかったライズラインだが、岩手に復帰初戦となったやまびこ賞を圧勝。むしろ大井で強い相手に揉まれたことが身になった印象だ。1800メートルの盛岡で直線後続を楽に突き放したというレースぶりなら、200メートルの距離延長も問題ない。
シグラップロードは、2歳時には惜しいところが何度もありながら重賞タイトルに手が届かず、しかし今シーズン最初の重賞スプリングカップでタイトル奪取となった。やまびこ賞は2着だが、ライズラインから7馬身という決定的な差をつけられているだけに、逆転まではどうか。
ライズラインが実力的に抜けているというメンバーなら、馬券的な狙いは新興勢力のコウギョウセット。昨秋デビューした盛岡では3戦いずれも勝ち馬から1秒以上離されての惨敗が続いたが、今シーズンは盛岡開催となってから2連勝と調子を上げて臨む初めての重賞。どこまで迫れるか。
ラブバレットは2歳時の重賞戦線ではライズラインと頂点を争い、正月の金杯では1馬身差でライズラインをしりぞけている。しかし冬休み明けの今シーズン、スプリングカップではシグラップロードの4着、やまびこ賞ではライズライン、シグラップロードに差を付けられての敗戦。復活はあるのかどうか。
フラッシュモブは、前走芝のはまなす賞はともかく、それまで岩手転入後の3戦、いずれも重賞で2、4、3着。得意の末脚を生かせる展開になれば上位を狙う力はある。
◎4ライズライン
◯6シグラップロード
▲12コウギョウセット
△11ラブバレット
△9フラッシュモブ
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さあ、いよいよ地方競馬もダービーウイーク。第一弾は例年通り佐賀の九州ダービー栄城賞だが、地元佐賀勢は混戦。3歳になってから重賞を勝っているのはスーパーレインボーとマサヤの2頭のみで、それもいわゆるS2重賞。従来からの主要重賞(S1重賞)を制している馬はいない。とはいえ、3歳の主要重賞のうち花吹雪賞、ル・プランタン賞と2つのタイトルを高知のクロスオーバーに持って行かれているのだから、そうした状況も仕方ないか。
ミスタージャックはJRA小倉の芝挑戦があり、その後に高賞金の佐賀若駒賞(2000メートル)でマサヤに4馬身差をつけて圧勝。続く前走は古馬B-3組に格付けされ、1400メートル戦を直線まで逃げ粘って2着。距離経験もあり、芝や古馬との1400メートル戦で厳しいペースも経験して力をつけていると見る。
ニシノマリーナの前走黒潮皐月賞は、1番人気に支持されるも見せ場なくというレースで6着に負けた。とはいえ3月の土佐春花賞では、佐賀で重賞2勝のクロスオーバーに3馬身差をつけて勝っているだけに、ここでも能力上位は間違いない。ただ距離経験が1600メートルまでしかなく、血統的にも必ずしも距離延長はプラスではなく、また遠征競馬も初めてとなるのが不安材料。
マサヤは、4走前にはスーパーレインボーに、3走前にはミスタージャックに先着されてのともに2着だったが、その後は2連勝と調子を上げてここに臨む。3歳になってからは1750メートル戦以上しか使われていないという距離経験もプラス。
門別や大井で重賞出走経験のあるグライスも侮れない存在。
スーパーレインボーは、ル・プランタン賞では6着だったものの、その後2戦のレースぶりからは上昇がうかがえる。
高知から遠征のもう1頭、オールラウンドもここにきて3連勝と力をつけている。
◎1ミスタージャック
◯3ニシノマリーナ
▲11マサヤ
△4グライス
△8スーパーレインボー
△9オールラウンド
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