17日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」(B1級一組 水沢1600m)。前走1着馬を本線に採ったが、伏兵もずらり。印以上に波乱含みの一戦と見ていいだろう。
エピックスターは中央芝1600m、芝1800mで計2勝。ダート変更後も2勝クラスで4着2回の実績を残して高知へトレード。1勝のみにとどまり、転入前の格付けはC2級。岩手B1編入はどうかと思ったが、初戦2着から前回快勝。2頭が大逃げを打ったが、早めにスパートをかけて4角先頭。あとは余裕たっぷりに0秒3差で完勝した。
正直、高知の成績判断は非常に難しい。これまでもそうだが、A級から転入でも苦戦するケース。下級条件でもがいていてもクラス関係なしに好走するケースも多々ある。エピックスターも同様だったが、高知の馬場が合わなかったか。少なくとも岩手2戦の内容を見るとA級入りも間違いないと思わせた。その意味で今回は正念場。自分の決断は連勝十分と判断した。
ヒカルマドンナは一昨年10月、中央未勝利から転入。C2編入にも恵まれてあっさり3連勝をマークした。翌年春も2連勝を飾り、以降2戦3着を確保したが、以降は低迷続き。勝てないレースが続いたが、昨最終戦2着でシーズンを終了。そして今季は2連勝と幸先のいいスタートを切った。
勢い重視すれば本命視も考えたが、自分の競馬ができないとモロい面があるのも事実。振り返れば春は好走するが、次第に尻すぼみするタイプか。ただ今回は願ってもない絶好の1番枠。あっさり逃げ切りもあるが、マーク厳しく末が甘くなるか。ひとまず対抗評価に落ち着いた。
ハクシンパーソナルは函館ダート2400m1勝から南関東へトレード。C1へ格付けされて2着1回3着3回。2000m前後をメインに使われたのは、おそらくスロースターターだから。転入戦は出遅れながらも豪快なまくりを決めて完勝したが、前走は伸びを欠いて4着。仕掛けの難しいタイプだ。それでも能力の高さは証明済み。できればペースが速くなってほしいところだろう。
ヤマジュンサルサは一戦ごとに調子をあげて前走2着。大化けしたドルズプライスレスが逃げ切りを決めたが、積極策に出て連対を確保した。今回は距離が延長されて1600mが舞台。決して歓迎とは言えないが、好調度を重視するべきか。
サンエイウルフは南関東2勝・B2から転入。初戦は2番手キープから一杯6着に沈んだが、2戦目は待機策に転じて3着。鞍上も手のうちに入れ、今度は連対のシーンまで。
ソルメンシスは大崩れなしすんなりの流れで残り目があるかもしれない。
◎⑩エピックスター
〇①ヒカルマドンナ
▲⑧ハクシンパーソナル
△③ヤマジュンサルサ
△⑥サンエイウルフ
△②ソルメンシス
<お奨めの1頭>
4R・ロックオンエイム
B1からC2降格戦を2着にまとめて地力を垣間見せた。ひと叩きされて今度は首位を奪取する
16日メインは"GRANDAME-JAPAN2023"3歳シーズン「第23回留守杯日高賞」(水沢1600m)。ここ2年は5月中旬に行われたが、今年は1ヵ月ほど前倒し。3歳牝馬重賞へ様変わりして以降、最も早い時期の実施となった。
この日程変更の影響は少なくない。過去10年で2度優勝した北海道代表は1頭もなし。昨年も北海道勢の遠征がなく、一概には言えないが、門別競馬のシーズンスタートは4月19日(水)。来年以降も同時期に実施されれば遠征を自粛するケースが多くなるかもしれない。
また佐賀ル・プランタン賞は4月9日(日)に行われ、優勝は園田マルグリッド。20日(木)には東海クイーン(名古屋)があり、西日本勢も留守杯日高賞へ参戦する可能性が低くなる。
その代わり、南関東勢が5頭参戦。対決構図は南関東vs地元岩手だが、牡馬も含めて世代No.1ミニアチュールは牡馬一冠目・ダイヤモンドカップへ直行。また伏竜ステークス11着後、岩手へ帰郷したフジラプンツェルも同じくダイヤモンドCを目指すため、岩手代表は第二グループ。過去10年で遠征馬8頭が優勝に対し、岩手2勝。うち5回が南関東所属馬が制し、今年も優位は動かない。
フークエンジェルは南関東1勝2着4回3着2回。馬券対象から外れたのは重賞初挑戦・ローレル賞9着だが、スタート直後に脚を滑らせるアクシデント。また3戦1勝で臨んだキャリア不足もこたえた印象だった。それでも以降は3戦連続2着にまとめて軌道修正。浦和・桜花賞でも3着確保した。右回りは未経験だが、昨年グラーツィアで留守杯日高賞を10馬身差で圧勝させた米谷康秀調教師なら手抜かりなし。初重賞制覇に王手をかけた。
ワイズゴールドは南関東1勝2着4回3着1回。フークエンジェルとほぼ似たような成績だが、重賞・ユングフラウ賞、浦和桜花賞で連続4着。特に桜花賞では逃げたアトカラツイテクルの2番手をキープしたが、外を2番人気サーフズアップが追走。終始プレッシャーをかけられる厳しい競馬を強いられた。それでも直線で渋太く粘り、フークエンジェルとはクビ差4着。負けて強しの一戦だった。またフークエンジェルが初の右回りに対してワイズゴールドは走り慣れた右回り。逆転首位の可能性は十分ある。
ラピスアダマンスはデビュー2連勝後、戦列離脱。脚部不安が発生して5ヵ月半の休養を余儀なくされたが、復帰2戦目を0秒5差で完勝。通算成績4戦3勝とした。フークエンジェルと同様、初の右回りだが、キャリアが浅く、今後さらに成長は確実。南関東を含めて初遠征が不安だが、仮に克服できるようなら将来も約束された。
キャッツライズはメンバー最多の4勝をマーク。前走、桜花賞は出遅れも響いて6着に終わったが、勝ち味を知っているのが何よりも強み。本来の先行力を発揮し、好位キープできればあっさりまで。
エイシンレアはローレル賞3着から南関東3歳牝馬の王道を歩んだが、3戦連続で大敗。歯車が狂った感じもあるが、メンバーが大幅に緩和。リフレッシュできれば巻き返しに転じる。
ダレカノカゼノアトは高知2勝後、準重賞2戦大敗して岩手入り。トライアル・あやめ賞は5番人気ながら2着に突っ込んだ。前崩れになった際に浮上。
◎③フークエンジェル
〇⑤ワイズゴールド
▲⑧ラピスアダマンス
△⑥キャッツライズ
△⑪エイシンレア
△⑩ダレカノカゼノアト
<お奨めの1頭>
2R マッハインファイト
転入戦は昨年6月以来の実戦で太め残りがたたって2着だったが、ひと叩きされて今度は負けられない
4月9日に行われた古馬ダートマイルの重賞・シアンモア記念トライアルの『赤松杯』。昨年の桐花賞で上位を争った馬たちの今季始動戦ともなりましたが、優勝したのはこの春に転入のグローリーグローリでした。
昨年の年度代表馬ヴァケーションが自らハナに立って主導権を握り、クロールキックが2番手、そして昨年の桐花賞を制したノーブルサターンがそれを外からマークする3番手で進んでいったスタンド前直線。グローリーグローリはさらにその後ろの内側を追走していました。「戦前の作戦では行ければ2番手。でも返し馬の感じから前に馬を置いた方が流れに乗りやすいと判断しました(山本聡哉騎手)」。
やや抑えたペースで進んでいたヴァケーションがいよいよ仕掛けていった勝負所、食い下がるクロールキックとノーブルサターンの後ろでグローリーグローリは少し離れた4番手。4角を回ったあたりではまだ前との差が大きかったグローリーグローリ、この辺では外にいるセイヴァリアントの方が手応え良く見えたくらいでしたが、直線半ば、加速がついたグローリーグローリが伸び始めると一気にヴァケーションを捉えてゴール。結果は半馬身差を付ける快勝の形となりました。
勝ったグローリーグローリはこの春に転入してこれで2連勝。JRA時代の末期こそ障害に移っていましたが平地でもダートオープン級で好走してきていて東京コースも得意。盛岡に変わって戦う次戦も注目の存在になりそうです。
4月11日のメインレースは12レース・ダート850mのオープン『スプリント特別』。本命は(8)カタナを採りました。
JRA時代も短距離路線を中心に戦っていた同馬でしたが1000mあたりのスプリント戦に挑んだのは岩手に来てから。しかし前走の3月26日『ハヤブサ特別』あるいは昨年12月の『スプリント特別』と岩手で勝ったのはいずれも850m戦、この距離への高い適性を示しています。前走は少頭数・雨で水が浮く不良馬場のやや特殊な状況ではあったものの、最後まで伸び脚を維持しながらきっちり差し切った走りはむしろこの距離がベストと感じさせるもの。
今回は違う距離から転戦してきた馬もいますが850mで抜けた実績を持っているほどの存在はいませんし、一連の内容からもここでもこの馬が中心と見るのが妥当であり当然でしょう。
相手は当初エコロワカの予定でしたが出走取消となったので、改めて(2)ディアリッキーを。前走は◎の3着、初めての850m戦は若干忙しかった印象がありました。昨年のレースを見ていてもスタートダッシュがすごく速い馬ではないですからね。もう少し距離が欲しいのは確かなのでしょう。
とはいえ、忙しい距離・不良馬場で前の馬の勢いが止まらない状況下でも上がり最速で3着を確保したのは地力のなせる技。前走の先着馬が一頭抜けたということなら、そして前走時のような馬場でないのなら、◎との差も詰まってきていいはず。
そうなると悩むのが三番手ですが、ここは(7)セイキングダムにしましょう。短い距離が良さそうな戦績なのはアジアエクスプレス産駒だから納得できるとして、この馬の場合は距離適性云々というよりは集中して戦えるかどうかにかかっているような印象があります。歯車が噛み合えばやたら強い走りを見せる馬でもあり穴馬、惑星としての期待をかけるにふさわしいとも言えそう。
以下は(1)シングンポラリス、(5)サンエイロード。特に後者は休み明けになりますが意外に短距離が合いそうな戦績だけに一点押さえておきたいですね。
●12Rの買い目
馬単(8)=(2)、(8)→(7)、(8)→(1)、(8)→(5)
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10日メインはA級二組「若草特別」(水沢1600m)。各方面から話題と注目を集めているシンザン記念馬キョウヘイが満を持して始動する。
フレイムウィングスは中央ダート2勝2着2回。3歳重賞・レパードステークスにも挑戦して10着。将来を嘱望されたが、気性難を抱えていたため4歳6月、2勝クラス・青梅特別4着後に去勢手術が施された。それで変わり身あるかと思ったが、4着最高。南関東へ移籍後も入着一杯のレースを繰り返していたが、昨年12月、川崎1500m(B1・2戦)を快勝。1年半ぶりの美酒を味わい、長いトンネルから抜け出した。
続く一戦6着から2ヵ月半の休養を経て転入。初戦を2着にまとめ、マズマズの滑り出しとなった。しかも勝ったクロールキックは前日の重賞・赤松杯へエントリーし、絶好の勝機。しっかり白星を手にしたいところだろう。
キョウヘイは2017年、GIII・シンザン記念を優勝。ペルシアンナイト、アルアインなど後のGIホースらを一蹴した。翌年も阪神芝1800m・垂水ステークス(オープン)を快勝したが、以降は勝ち星から遠ざかり、昨年8月からダート路線へシフト。初戦の阿蘇ステークス(小倉ダート1700m)0秒8差6着でメドが立ったかと思ったが、以降3戦は二けた着順に終わり、岩手へ新天地を求めてきた。
佐藤雅彦調教師「パワーの要る地方ダート対応が未知数だが、こなせる素地はあるはず。当面は芝ダートの両にらみで使って行く予定。もちろん盛岡芝も視界に入っている。ファンが多い馬ですからね。いずれもう一花咲かせてやりたいと思っています」
実績申し分なし。ただ佐藤雅彦調教師のコメントどおり地方ダートを克服できるか否か。あえて対抗評価としたのは期待と不安の両面があるから。一個人としては何とかダートもこなしてほしいと願っている。
リュウノゾロは門別2勝、中央ダート2勝。3勝クラスに在籍した。南関東では未勝利だったが、高知で1勝をマークして転入。初戦は6頭立ての少頭数にも恵まれて完勝した。今回は相手強化、マイル延長など課題はあるが、勢い重視。このメンバーなら主導権を握ることができ、あっさり2連勝まで。
ユノートルベルはシーズン開幕戦を快勝。幸先のいいスタートを切ったが、2戦目は伸びを欠いて4着。水沢2勝とこなせない訳ではないが、注文がつくのは事実。すんなりの流れなら反撃に転じる。
サンエイブレーヴは3歳重賞路線に乗って東北優駿(岩手ダービー)3着、ウイナーカップ2着。古馬編入後は苦戦を強いられたが、最終戦2着で通用のメドが立った。前走は7着に終わったが、久々も影響。ひと叩きされて巻き返し必至。
ブラックバゴは昨年、OROカップ2度目制覇を狙って岩手入りしたが、ダート2勝。主戦場が変わった。ただ小回り水沢だと持ち味を生かし切れず、現状は前崩れの条件が付く。
◎①フレイムウィングス
〇③キョウヘイ
▲⑤リュウノゾロ
△⑨ユノートルベル
△⑫サンエイブレーヴ
△⑩ブラックバゴ
<お奨めの1頭>
2R ノーブルゲート
南関東C2から転入後、850m戦で連勝。適性の高さを誇示した。今回は好調馬がそろったが、それでも追いかける手
9日メインは重賞「第48回赤松杯」(水沢1600m)。1着馬から3着馬には春のマイル王決定戦・シアンモア記念(5月7日 盛岡ダート1600m)の優先出走権が与えられる。当初、昨最優秀牝馬ゴールデンヒーラーの登録もあったが、出走を見送った。しかし、ほかの一線級がずらり顔をそろえ、今シーズンの古馬戦線を占う重要な一戦であるのに変わりはない。
主軸にノーブルサターンを指名する。中央ダート4勝。2019年のマーキュリーカップで2着を確保し、3歳時にはJpnII・兵庫チャンピオンシップでも2着を確保したダート強豪。南関東移籍後も2021年の梅見月杯(名古屋)を制し、重賞・ブリリアントカップで2着を確保した。
昨年は精彩を欠いていたが、サンタアニタトロフィーでは6着ながら直線で鋭い脚を使って6着。復調ムードをうかがわせて岩手入り。トウケイニセイ記念を完勝し、続く岩手版グランプリ・桐花賞ではヴァケーションを完封。重賞2連勝を飾ってシーズンを終えた。
その後は宮城県の牧場で休養に入り、赤松杯から始動は当初の青写真どおり。ここに合わせて意欲的に乗り込まれ、万全の態勢で臨む。久々のハンデは地力でカバー。すでにトウケイニセイ記念で水沢1600mを勝っているのも心強い。
グローリーグローリは中央ダート1400m3勝、ダート1600m1勝でオープンまで出世した。その後、障害へ転向して1勝2着1回。転入初戦は未経験の地方ダートがカギだったが、0秒8差で圧勝。好発進を決めた。今回は岩手トップグループが相手。前走のようなレース運びはできないだろうが、仮に2連勝を飾れればシアンモア記念でも主役扱いになる可能性大。陣営も力が入る。
ヴァケーションはJpnI・全日本2歳優駿を優勝し、NARグランプリ2歳最優秀馬の栄誉を獲得した。以降は秋の鞍(2020年)の1勝のみにとどまり昨年4月に、岩手入り。これがずばりとはまり、赤松杯2着からシアンモア記念を優勝。JpnIII・マーキュリーカップでも3着善戦し、以降も岩手競馬の王道をまい進。1勝止まりだったが、年度代表馬に選出された。
冬期間はいつもどおり茨城の牧場でリフレッシュして帰郷。赤松杯から始動するが、あくまでも春の目標はシアンモア記念2連覇。過去実績から左回りの方が反応が鋭く、今年は盛岡で行われるシアンモア記念は大歓迎。その意味で赤松杯は叩き台。勝って当然だが、今回は単穴評価に落ち着く。
セイヴァリアントは昨年、南関東A2から転入後、3勝2着4回。トウケイニセイ記念でも2着を確保した。今季初戦は3着に終わったが、出遅れがすべて。時にゲート出が悪いケースもあり、不安がつきまとうが、スタート互角なら巻き返し必至。
クロールキックは2歳時に寒菊賞を制し、昨年の開幕初日、3歳重賞・スプリングカップで後の二冠馬グットクレンジングを子ども扱いにした。その後は脚部不安のため長期戦列離脱。桐花賞でひとまず復帰したが、さすがに息が持たず9着。しかし一度レースを使って冬休みを迎えたのが奏功。今季初戦を快勝し、復調の手ごたえをつかんだ。
バスカヴィルは芝ダートを問わずいい脚を長く使えるタイプ。ただ前走はクロールキックに完敗3着。前崩れになった際の3着候補まで。
◎(6)ノーブルサターン
〇(2)グローリーグローリ
▲(1)ヴァケーション
△(5)セイヴァリアント
△(4)クロールキック
△(8)バスカヴィル
<お奨めの1頭>
3R ルドヴィカ
年をまたいで3戦連続で2着。惜しいところで勝利を逃がしているが、今回はメンバーが手ごろ。待望の初勝利に王手をかけた
文/松尾 康司