
早いもので今開催の11日(月)で今シーズンの盛岡競馬もひとまず終了。南部杯を頂点に数々の好勝負が繰り広げられてきた。
今年、特に目についたのが芝の充実。各クラスで芝競走が実施され、適性を求めて芝で実績を残してきた転入馬が非常に多かった。9日メイン「オッズパーク杯」(盛岡芝1600m)もその典型的なレースとなった。
今季の芝レースも「絆カップ」、10日(日)、第1R。2歳(芝1000m)、11日のメイン10R・五葉山賞(C1 芝1000m)を残すのみ。順当に決まるか、それとも波乱で幕が閉じるのか。熱い視線を送りながら注目している。
主軸はヒビケジンダイコ。中央2勝・1000万下で頭打ちで南関東へトレード。5戦とも着外に終わり、岩手へ新天地を求めてきたのがズバリ。南関東の成績と同様、ダートでは苦戦の連続だったが、芝に替わって反応が一変。芝2400m・かきつばた賞で2着を確保し、本番の地方交流・せきれい賞を優勝。中央2勝を芝2000m、2400mで上げたが、その適性を存分に発揮した。
その後、一戦置いてGⅡ・京都大賞典へ挑戦。さすがにスピードについていけず13着に終わったが、帰郷戦のダート1600mで3着。遠征疲れのないことを確認できてホッとした。
血統的にも芝長距離向きでマイル短縮が不安材料だが、それは盛岡芝適性がカバー。積極的なレース運びを見せれば距離も克服できると判断した。
ケニアブラックは中央4勝・準オープンから転入。2戦とも8着止まりだったが、これが生涯初のダート戦。条件があわなかったと解釈したい。今回は盛岡芝1600mが舞台。中央時代は芝1600m3勝、芝1800m1勝と待ちに待った一戦。2戦のうっ憤を一気に晴らすか。
マイネルエデンも準オープンからの転入。近4走は順調さを欠いて二ケタ着順。これをどう評価するかだが、ここ2戦は明らかに太め残り。馬体重が520キロ台まで落ちていれば芝4勝の実力を見せることができるはず。
グリッドマトリクスは初戦・OROターフスプリント9着。これは初の芝1000mの速い流れに戸惑ったのが大きかった印象。中央時代は芝1600m、1800m、2000mで3勝。距離延長はもちろん望むところだろう。
アラマサコマンダーも芝1000mの忙しい競馬が合わなかった。芝1700m交流・OROカップで0秒9差5着にまとめたように、適距離に替わって巻き返しに転じる。
コンプリートは展開次第だが、スンナリの流れになれば渋太さを発揮。ハーベストCが0秒4差、OROターフスプリントが0秒6差5着。流れは向かなかったが、今回はペース落ち着きそうで持ち味を発揮するシーンまで。
◎(6)ヒビケジンダイコ
○(3)ケニアブラック
▲(10)マイネルエデン
△(2)グリッドマトリクス
△(9)アラマサコマンダー
△(7)コンプリート
<お奨めの1頭>
8R ファウヌス
前走はハイペースがたたって3着。連勝4でストップしたが、これは展開のアヤ。首位奪回に燃えている
メインレースの前に月曜の10Rのお話を。このレースの頭数は「16」。JRAや南関東では珍しくない頭数ですが岩手で16頭立てが行われるのは実に希。「おや?」と思った方もおられるのではないでしょうか。
盛岡競馬場で16頭立てのレースが行われるのはこれが二度目です。前回は2002年の6月10日、ダート1400mと1600mで16頭立てのレースが設定されました。
目的は、その年11月に行われる事になっていたJBCの予行でした。設計上は16頭立てにも対応している盛岡のダートコースですが実際にやってみるとどうなるのか?フルゲート16頭が予定されていたJBCの前に各所の流れを確認するために行われた物でした。
結果的にその年のJBCは最大15頭になって、本番での16頭立ては実現しませんでした。その後は交流競走で最大14頭(南部杯のみ15頭)、地元の重賞・特別では12頭という事にもなって、「フルゲート16頭」はお蔵入り状態になっていました。
今回の16頭立ても前回の実施時と同様、1年後に迫った盛岡JBCに向けての試行という事で、以前行われなかった1800m、1400mや1600mと違いコースを一周・コーナーを4度回る形での多頭数の確認なのだそうです。
南部杯が15頭になったことも一度しかないし、確かにスタンド前を通過する16頭の馬群・・・は見応え十分だと思えますし、各所のポジション争い・直線の攻防も楽しそうです。
ちなみに前回の16頭立て時は、1400mでは枠で言うと7-8、1600mでは1-7で決まっていました。内か外の枠が戦いやすくて3,4,5,6枠の真ん中あたりの枠が苦戦した・・・という感じの結果です。今回の10Rも各馬の力や脚質を見ると内目の枠と外目の枠の馬が優勢に見えますが、さてどうなりますか。
3日メイン、「知床賞」は北海道、岩手の人馬交流を促進する目的で創設された2歳交流戦。第1回は門別で開催された「岩手山特別」で1着・クラフィンライデン(北海道)、2着・センリグランピー(岩手)。
2回目=知床賞は水沢で開催し、1着・ダンストンルティー(岩手)、2着・ダークライ(岩手)。
3回目は門別、4回目は盛岡と交互に実施されたが、昨年から知床賞は重賞へ格上げ。地方競馬全国交流・南部駒賞トライアルとなり、1着馬には優先出走件が与えられる。
毎年、悩まされるのがレベル比較。基本は層の厚さも含めて北海道上位だが、岩手所属馬には地の利があり、過去3回の知床賞は岩手2勝。果たして今年はどちらに軍配が上がるか。
迷った末の結論は北海道・ワイルドソウル。デビュー戦・フレッシュチャレンジは2番人気に支持されたが、ハッピースプリントの4着。以降も1200mの忙しい競馬が合わなかったのか3、8、4着だったが、距離1700m延長された5戦目を快勝。待望の初勝利を飾り、サファイア特別2着から重賞・サンライズカップへ挑戦。
さすがにメンバーが大幅強化され、中団のままハッピースプリントの6着だったが、一度でも厳しい競馬を経験すると今後の糧になるケースも多々。岩手勢は若駒賞1、2着馬が不在なら首位奪取の可能性は高い。あとは輸送をうまくクリアーできるかが課題。
カーネルキッスは2勝馬。特に3走前のレース内容がすばらしかった。前走、トーセンホマレボシ賞は5着だったが、初の1700mを果敢に攻めて前半3ハロン36秒台のハイペースを自ら形成。直線入り口で一杯となったが、これは当然のこと。鞍上がリーディングジョッキー・桑村騎手に戻り、大駆けに期待した。
シグラップロードは岩手の期待を集めて出走する。凡走は初芝に戸惑った若鮎賞7着のみ。ダート戦での完成度は相当と見て間違いない。前走・若駒賞も3着ながらレースレコードで駆け、相手が強すぎただけ。走り慣れたコースを味方に逆転を狙う。
リメンバーキングはデビュー戦から3、2、1着。実戦を使われながら成長を成績でも表している。特に今週は中間の動きが絶好。さらに良化を見せて自信の登場。相手は強化されたが、地力アップ目覚しくどこまで通用するか楽しみ。
アベニンレジーナは目下2連勝中。姉が牝馬特別・あやめ賞を逃げ切ったサブリナラッシュで岩手にもおなじみ。先行力と強じんな粘りを武器とする。
ワタリキングオーは若駒賞3秒6差5着。キャリアの差が出てしまったが、ワイルドソウルと同様、貴重な経験になったはず。ハイペースになれば台頭のシーンまで。
◎(4)ワイルドソウル
○(6)カーネルキッス
▲(7)シグラップロード
△(8)リメンバーキング
△(1)アベニンレジーナ
△(9)ワタリキングオー
<お奨めの1頭>
7R メジロオマリー
中央1000万下の地力を前面に、岩手5戦5勝の快進撃。昇級戦も難なくクリアーし、連勝をどこまで伸ばすか注目
JBCの日が刻一刻と近づいている。金沢開催は今回が初めて。しかもJBCレディスクラシックがJpnⅠへ格付けされ、日本で初めてG(Jpn)Ⅰが3レース実施。本家ブリーダーズカップのスケールにはかなわないが、各カテゴリーのチャンピオンホースが増えることは将来的にも価値が大きい。
日本版ブリーダーズカップのニュースを目にしたのは第1回JBCからさかのぼること5年前。確かサンケイスポーツだったと思うが、生産界も積極的に運営にかかわり、GⅠを複数レース実施する―の記事を読み、いても立ってもいられず毎年、ブリーダーズカップ詣でにはせ参じた。
最初に生で観たのはハリウッドパーク開催(1997年)のブリーダーズカップだったが、カルチャーショックの連続。最も印象に残ったのがプレスパーティで、会場がハリウッドにふさわしくユニヴァーサルスタジオ。
おそらくだが、1000人規模のパーティとなり、チャップリン、マリリン・モンローなどのそっくりさんに到るところで出くわす。さすがエンターテイメント王国アメリカは違うな、と感服した。
しかしレース当日になると下手なアトラクションなど一切なし。7つ(当時)のレースを見せることに集中した。
そして終わったあとは最高のカタルシスを味わった。すごいものを見せてもらったと、思わずつぶやいてしまった。来年は12年ぶりに盛岡での開催となる。JBC金沢がどのような盛り上がりとなるのか、非常に興味深い。
2日メインはB1二組「やるぞ!復興の力を岩手競馬から」(盛岡ダート1600m)。岩手県調騎会が協賛し、騎乗手当ての一部がいわて学びの希望基金へ寄付される。
本命はシャーク。今季はじっくり始動の方針を決め、6月から本格稼動。2連勝から3戦連続で2着にまとめ、A級入りも目前だったが、折からの猛暑で夏負け。2ヶ月近くの休養を余儀なくされたが、9月下旬に復帰して3、6、2着。
前走はファインユニバースとの激しいマッチレースを演じ、惜しくも0秒2差に敗れたが、盛岡1600m1分37秒9の好タイムをマークした。今回はその時計で勝てるメンバー構成となった。
ファンタジーデイは担当厩務員いわく「気難しいところがある」が、6戦2勝3着3回と抜群の安定感。白神賞は9着に終わったが、コパノツイテルのマークが厳しかったため。ハイレベルの相手がそろった前走も3着確保し、好気配をキープした。
コスモポーラベアは白神賞5着。1番人気コパノツイテルが4着に沈み、差し2頭マイネルレーサー、ブラックタイガーがワンツー。コスモポーラベアは好位から積極的に仕掛け、見せ場を十分作った。この内容を評価したい。
サクラブリリアントは初戦4着。内枠から強引にハナを主張し、最後の伸びが甘くなった。これをどう判断するかだが、少なくともコース2度目のプラスポイントはあるはず。
ヒシウィンザーも夏場に体調を崩したが、ここにきて本来の堅実さを披露。ベストは1800mでマイルの忙しい競馬は合わないが、前崩れになれば台頭十分。
◎(6)シャーク
○(3)ファンタジーデイ
▲(2)コスモポーラベア
△(5)サクラブリリアント
△(4)ヒシウィンザー
<お奨めの1頭>
3R アイズオブラヴァー
岩手2戦2、3着は相手が強すぎた。今回はメンバーが大幅に楽になり、待望の初勝利を飾る
太田陽子旋風が岩手競馬を席捲中!!と書こうと思った所が、太田騎手は日曜日の9Rで落馬した際に軽い骨折をしてしまい、月曜日は乗り替わりとなってしまいました・・・。来週も現時点では不透明という事で、勢いに乗っている所なのにもったいないですね。騎乗期間も残りわずか、復帰後も再度の活躍を見たいもの。
とはいえ、ここまで4週間で10勝はお見事という他はありません。岩手の他の騎手たちも「脅威」と認識して、太田騎手をペースメーカーに使ったり潰しに行ったりする事もでてきています。
ファンの反応も、太田騎手が先行していたり、あるいは後方から追い上げてきている時の声援はなかなかのものです。あと何勝増やせるか?も気になりますし、これはやはり怪我からの復帰を待つしかないようですね。
●10Rの買い目
馬単(6)=(11)、(1)=(11)、(11)→(9)、(11)→(2)
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