
6月21日に行われた古馬伝統の一戦・重賞『一條記念みちのく大賞典』。6頭立てではありましたが有力馬が真っ向からぶつかり合って覇を競った戦いは1番人気ランガディアが優勝しました。
レースは戦前の予想通りにパンプキンズが逃げましたが、ランガディアそしてエンパイアペガサスも馬体を並べるかという位置で追走します。
極端なスローペースになった事もあって序盤は6頭が一団。しかし向こう正面中程あたりから前3頭・後3頭に分かれ始め、後方3頭からヤマショウブラック・センティグレードが追い上げ始めたところが4コーナー。
ここから再度一団の戦いになるかと思われましたが、逃げ粘るパンプキンズ、追いすがるエンパイアペガサスを振り切ったランガディアが2馬身半の差を付けてゴール。転入後3戦を3連勝、それも全て重賞でという強い走りを見せ続けたランガディアが岩手の古馬の頂点に立ちました。
6月23日・火曜日のメインレースは第12Rです。C1級1400mの特別『焼石岳賞』。激戦区C1級の特別戦にほぼフルゲートの11頭。近走好調馬も多く激戦必至というメンバー構成になりました。
本命は(7)イチネンセイです。5月の転入初戦からここまで3連勝中。前走こそ最後追い詰められる形になったとはいえここまではいずれも強い内容での3連勝でした。そんな前走は意外に経験が少ない左回りの影響もあったのではないでしょうか。走り慣れた右回り水沢では転入初戦に圧勝。C2からC1級へ、そのうえ特別戦で相手の歯ごたえは一気に増しましたが、それでも突破できる力はあると見ます。
対抗は(1)ブライアントピース。今季ここまで大きく崩れずに安定しているのは昨年B級の底力でしょう。距離コース共に好相性なだけに前走4着の結果は一旦度外視していいはず。
三番手は(8)コウギョウヘイローでどうでしょうか。昨季A級の力量はこの春の水沢戦の内容で示しました。近二走は盛岡の短距離を選びましたがもとより1400mに問題はありません。スピード競馬を経て一頓挫あった分を取り返していればそろそろ。
(4)ヴィランドリーも短距離戦を経てのここ出走ですが、1000mはやや短かった印象あり。春先の戦績からもこの距離に問題なし。また(2)マイネルレイールもマイルよりは1400mくらいの方が戦いやすそうです。持ち味の堅実さを見直してみてもいいのではないでしょうか。
●12Rの買い目
馬単(7)=(1)、(7)=(8)、(7)→(4)、(7)→(2)
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先日の東北優駿を岩手ダービー・タイレコード2分7秒3で完勝したフレッチャビアンカの父キンシャサノキセキが気になって調べてみた。
2003年9月24日生まれのオーストラリア生まれ。父フジキセキは日本生まれでは初のシャトル種牡馬。キンシャサノキセキは逆輸入馬、いわゆる外車だった。
当然だが、南半球生まれだから日本より半年遅れ。デビューが12月3日だったのは仕方なしだったが、デビュー2連勝を飾り、NHKマイルカップ3着。翌年3月、高松宮記念で2着に敗れたが、2年連続で同レースを制覇。JRA最優秀短距離馬にも選出された。
種牡馬入り後は現役時代と同様、スプリンターを多く送り出したが、佐賀記念(2000m)を制したヒラボクラターシュ、また今年のスプリングステークスを優勝し、皐月賞3着、日本ダービー6着を確保したガロアクリークなど距離への融通性を備えた子供も少なくない。
父フジキセキ。母ケルトシャーンはプレザントコロニー産駒で兄はリュパン賞(仏GI 2100m)を制し種牡馬入りしたグルームダンサー。
プレザントコロニー自身もケンタッキーダービー、プリークネスステークスの二冠馬でBCクラシック、ドバイワールドカップを優勝したプレザントリーパーフェクトを輩出。また孫にはタップダンスシチー(父プレザントタップ)もいるし、さらに曾祖母レディペリーはGI・ロワイアルオーク賞(3100m)を制するなど重厚な血統。フレッチャビアンカも初の2000mを難なく克服できたことも納得した。
22日メインはオープン「スプリント特別」(水沢1300m)。本命スティンライクビーはキンシャサノキセキ産駒。こちらは父同様、スピードタイプに成長した。
キンシャサノキセキはモハメド・アリが王者ジョージ・フォワマンをKOしたキンシャサの奇跡から命名。モハメド・アリは自身のボクシングスタイルを"蝶のように舞い蜂のように刺す"と表現した。
『スティン(刺す)・ライク(ように)・ビー(蜂)』。スティンライクビーは近年でも特筆できるグッドネーミングだと思う。
今年3月、笠松から再転入。初戦のスプリント特別(水沢1400m)で2着に粘り、2戦目・赤松杯でも2着を死守。ランガディアが9馬身差で圧勝したが、ヤマショウブラックの追撃を封じた。
続くシアンモア記念はランガディア、エンパイアペガサスにひとまくりされ、10着に大敗。北海道スプリントカップへ矛先を向けた。
全国で移動自粛が続く中、岩手競馬では今季初の遠征。メンバーが大幅に強化されたが、4番手キープから7着に健闘した。
今回は中2週、遠征疲れなどの不安点はあるが、好調キープ。自分の競馬ができないとモロい面があるが、6頭立ての少頭数に加え、外枠も好材料。ダートグレードを戦ってきた経験を生かす。
タイセイブラストは中央1勝、南関東6勝から転入。初戦は距離1300m対応が懸念されたが、0秒5差で完勝。幸先のいいスタートを切った。
早池峰スーパースプリントでは前走の強さから2番人気に支持されたが、初の1000m競馬にとまどって直線差を詰めただけの6着。明らかに距離不足だった。
今度は実際に勝利を収めている水沢1300m戦。小回りコースなら道中で息を入れることができ、反撃のお膳立ては整った。
プレシャスエースは中央ダート1200m3勝、1000m1勝。3勝クラスまで上り詰めた。1年2ヵ月の休養明け後の成績で▲評価としたが、スピードを生かせる1300mは望むところ。加えて絶好の1番枠を引き当て、アッサリ逃げ切りまで。
シャドウパーティーは今回も直線勝負に賭けるのみ。展開のファクターがつきまとうが、3頭が競り合う形なら一気台頭。
キングジャガーはあすなろ賞9着の結果から1300mへ方向転換。これが吉と出れば短距離路線を歩む可能性も十分ある。
◎⑥スティンライクビー
〇⑤タイセイブラスト
▲①プレシャスエース
△③シャドウパーティー
△④キングジャガー
<お奨めの1頭>
1R ミズサンフェイム
菅原勲調教師いわく「デビュー当時のラブバレットに似ている」とコメント。あとは成長次第だろうが、父譲りの適性で2連勝を飾る
21日(日)メインは岩手伝統の一戦「第48回一條記念みちのく大賞典」。この日をずっと待ちわびていた。もちろんランガディア、エンパイアペガサス、ヤマショウブラックの対決だ。
まずは古馬重賞路線を振り返ってみたい。ストーリーは昨年、白嶺賞、桐花賞から始まった。ダービーグランプリ4着後、ヤマショウブラックは白嶺賞へ駒を進めた。
勝ったのはエンパイアペガサス。ヤマショウブラックはわずかハナ差だったが、2着。岩手古馬へ挑戦するのは初めてだったが、エンパイアペガサスが立ちはだかった。
続く激突は岩手版グランプリ・桐花賞。先行策に出たエンパイアペガサスを射程圏に入れ、ヤマショウブラックが直線抜け出しで完勝。
この結果からヤマショウブラックは年度代表馬へ選出され、一方のエンパイアペガサスは白嶺賞の強さも評価されて4歳以上最優秀馬に選ばれた。
その後、2頭とも自きゅう舎で冬場を過ごして赤松杯から始動。テーマは世代交代だったが、中央から転入ランガディアが驚異的な強さで圧勝。衝撃の岩手デビューを飾った。
ヤマショウブラックは直線台頭したが、逃げたスティンライクビーを捕え切れず3着。エンパイアペガサスはスタート直後につまづき最後方を追走。これが致命傷となって5着に終わった。
続く対決は春のマイル王決定戦・シアンモア記念。ランガディアが1番人気に支持され、2番人気エンパイアペガサス。
その指示どおり5番手外をキープしたランガディアが3角から先陣へ接近。その後ろにつけたエンパイアペガサスも遅れずスパートをかけ、3~4コーナー中間で2頭が馬体を併せて先頭。
あとは内で粘るランガディア、外エンパイアペガサスの激しいデッドヒートに持ち込まれたが、ランガディアは最後まで抜かせずゴール。赤松杯は9馬身差で圧勝し、能力の違いを見せつけたが、今度は勝負根性を発揮した。
エンパイアペガサスは残念ながらハナ差2着だったが、ひと叩きされて動きが一変。数多くの大舞台を踏んできた実力馬が、ここ一番で健在を誇示した。ヤマショウブラックは9馬身差3着。2頭とは完全に水をあけられてしまった格好だった。
しかし、ストーリーはこれで終わらないのがおもしろいところ。今度は2000mが舞台だからだ。ヤマショウブラックは血統からも完全なステイヤー。赤松杯、シアンモア記念は距離が短すぎた。マイルの忙しい競馬は本質的に合わない。
今回、ランガディアが優勝すれば2014年、ナムラタイタン以来のシアンモア記念、みちのく大賞典連勝の偉業を達成。さらにはマーキュリーカップの岩手切り札となって挑戦することになる。
エンパイアペガサスが優勝すればメイセイオペラ以来のみちのく大賞典3度目制覇。昨年は3着に敗れ、3連覇はならなかったが、今年が仕切り直し。
ヤマショウブラックが優勝すれば若き王者の誕生。地元同士の戦いとなって以降、今年で10年目を迎えるが、過去9年で4歳馬優勝は3頭。これも心強いデータ。成長力で高い壁を突破できるか、期待が高まる。
パンプキンズはヤマショウブラックと同期。昨年は岩手クラシック二冠を獲得したが、不来方賞で主客が逆転。ダイヤモンドカップ以降、ずっと沈黙を強いられていたが、トライアル・あすなろ賞を8馬身差で逃げ切り、久々の美酒を味わった。
パンプキンズがチャンスがあるとすれば、3頭がけん制し合ったとき。4コーナーまでマイペースで逃げることができれば、前走のように直線で再加速できるタイプ。3頭がどこで動くのか、それによっては上位確保できるかもしれない。
今回、出走予定馬が相次いで見送って6頭立て。少頭数は寂しい限りだが、逆に展開のファクターが入らず真っ向勝負になる可能性大。勝手にだが、1977年、TTG(テンポイント、トウショウボーイ、グリーングラス)対決に沸いた有馬記念も8頭立てだった。今年のみちのく大賞典、歴史に残る名勝負を期待している。
<お奨めの1頭>
8R スノーガーデン
中央1勝クラスから転入後、圧巻の3連勝。能力の違いを見せつけている。昇級戦も難なくクリアー
春の盛岡開催最終日となった6月9日、盛岡競馬場で行われた古馬の準重賞『あすなろ賞』は5番人気パンプキンズが逃げ切り勝ち。今季の初勝利そして昨年8月以来の白星を獲得しました。
好スタートから好ダッシュを決めて飛び出していったパンプキンズに外から並びかけるキングジャガー。この2頭の先行争いになるだろう・・・というのは戦前の予想通りだったでしょう。しかしこの形になってからのパンプキンズの粘り腰はライバルたちにとっても想像以上だったかもしれません。
自身は競り合いながら、直後にはグランユニヴェールら人気上位勢を従えながら進むパンプキンズ。そのスピードは衰えず、直線に向いたところではキングジャガーが馬群に飲まれていくのを尻目に自身は後続を突き放します。
自ら逃げておきながら上がり3ハロン38秒1、メンバー中3位の終いの脚でまとめられては後続が差を詰められなかったのも致し方なし。パンプキンズは結局直線で8馬身まで差を拡げてゴール。古馬になって初めての勝利を準重賞で挙げる見事な復活劇ともなりました。
6月16日・火曜日のメインレースは第12RのB1級1800m戦『滝観洞賞』。ところで皆さん、このレース名をなんと読むかお分かりでしょうか?岩手在住の方ならすぐ分かるかなあ。
答えは「ろうかんどう賞」。滝観洞は上有住、遠野から釜石に向かう途中の街にある鍾乳洞です。一見「たきかんどう」と読みそうですが「ろうかんどう」。
あ、読めなくても大丈夫です。恐らく岩手県の観光地名の中でもかなり難易度が高い方だと思います。これ以上の難易度とすれば、思いつくのは「達谷窟」??。「早池峰」なんかも初見ではすらっと読めないかもしれませんが想像は付きやすいですよね(ちなみに達谷窟の答えは「たっこくのいわや」)。
さて予想に行きましょう。滝観洞賞の本命は(5)チェスターコートとしました。
昨秋の転入後、前走まで10戦を経て6勝2着2回3着1回に4着が1回。つまり掲示板以下がない非常に安定した走りを見せてきました。前走の石桜杯は同着の3着でしたがB1級の特別戦でも力量通用をはっきりさせた内容だったと評価できるものだったと思います。
そして、二走前・三走前のマイル戦で強い走りをしていた点、JRA時代の戦績などを見てもやはり血統印象どおりにある程度の距離があった方が良さそう。岩手では1800mは初めてですがむしろこれくらいの距離でこそ、の可能性も十分にあると考えます。心配があるとすれば前残りすぎる馬場傾向になってしまった場合。とはいえそこも勢いでカバーできる範囲では。
対抗は(8)トゥザキングダム。前走は大敗しましたが元々盛岡はあまり相性が良くなく"盛岡の不良馬場"は苦手と言っていいくらい安定度が下がる条件。水沢の中距離なら話は全く変わってくるタイプですから前走は思い切って度外視でいいのでは。
三番手は(2)モズリュウオウを。1800mは少し長いかもしれない戦績ながらも前走や前々走の走りからすれば十分こなせる範囲と考えていいでしょう。前走は展開のアヤもあって動ききれませんでした。それで評価を下げるのは早計。
ヒモは古豪復活を期待してまず(1)ヴェリイブライト。今季ここまでの走りを見る限り、スローながらも着実に良化してきています。長めの距離での安定感もあまり衰えてはおらず、すんなり流れに乗れれば上位争いできる地力があるはず。
(6)アリッサムも前走が大敗の結果でしたが元々水沢の方が安定しているタイプ。それ以前の水沢戦での着実な良化に改めて注目しておきたいところです。
●12Rの買い目
馬単(5)=(8)、(5)=(2)、(8)=(2)、(5)=(1)、(5)=(6)
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先週は春の盛岡競馬を締めくくる"ダービーシリーズ2020"「第28回東北優駿(岩手ダービー)」はフレッチャビアンカが優勝。一冠目・ダイヤモンドカップの雪辱を果たした。
レースラップをご覧になってほしい。12秒0-11秒6-12秒1-13秒5-12秒9-12秒5-13秒0-13秒1-13秒1-13秒6。
全馬が初の2000mでスローの流れが想定されたが、前半3ハロンが35秒7。対して上がり3ハロンが39秒8だから超ハイペース。これでは先行したマイランコントル、グランコージーがひとたまりもなかった。
一方、フレッチャビアンカは中団インを追走。道中は経済コースを進み、直線半ばで先頭に立ったピアノマンをキッチリ差し切った。
フレッチャビアンカは父キンシャサノキセキ、母スイートスズラン、母父シンボリクリスエス。キンシャサノキセキは現役時代、高松宮記念2連覇を果たしたように典型的なスプリンター。
しかし産駒は佐賀記念(2000m)を制したヒラボクラターシュ、今年の皐月賞3着、日本ダービー6着に健闘したガロアクリークなど距離の融通性があるタイプが少なくない。
この優勝で千葉幸喜調教師は岩手ダービー(東北優駿、ダイヤモンドカップ)5度目の優勝。まさに"ダービーハンター"といっても過言ではない。さて、三冠目・不来方賞を制するのはどの馬か。
15日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「復興祈念 夢あふれる未来へ」(B2級一組 水沢1800m)。
ゴッドミラクルは今季初戦の水沢1600m戦を1秒7差で圧勝。昨年8月以来の美酒を味わった。なかなか勝てなかったのは安定した成績を残していたが、A級昇級でメンバーが強すぎたため。
2戦目はB2からB1へクラスが上がり、流れに乗れず7着だったが、3戦目は3着に巻き返した。そして前走11着は出遅れもこたえたし、盛岡戦は過去3着が最高。コースも合わなかった。
今回は再びB2降格した上、得意の水沢戦。1800mもタイプ的に問題なく、首位奪回のチャンスを迎えた。
アドマイヤツルギは追い込みタイプで流れに左右されるが、必ずひと脚は使う。3月の水沢で2着を確保したが、以降は5、4、7着。先行決着に持ち込まれ、残念ながら届かなかった。
それでも前走はエクスポーネントの競馬に持ち込まれながらも直線鋭く突っ込んで2着。思い切った待機策で連対を死守した。
ここでも展開のファクターがつきまとうが、水沢1800mは内枠有利が定説。前半はインでじっくり脚を貯め、直線勝負に賭ける。
マイディアライフは中央10戦未勝利だったが、2着1回3着4回。ほかもすべてひと桁着順にまとめて堅実ぶりを発揮した。
昨年は未勝利に終わり、じっくり休養。4ヵ月ぶりにレースに臨み、いきなり快勝。素質の高さを垣間見せた。前走は前半で置かれたのが痛く、直線追い込んだが4着。不完全燃焼に終わった。コース替わって気分一新。1800m延長も望むところだし、まとめてのシーンまで。
レッドダニエルはシーズン当初は伸びを欠いていたが、1800mへ延長されて連続3着。調子も上げてきたのは確実。コースを問わずベストの距離と見ていい。
リンネルクロスは好枠を引き当てたのが心強い。自分の競馬に持ち込めないとモロいが、好発進を決めてマイペースなら反撃必至。
シーセクションはまだ本調子ではない印象だが、時に大駆けを秘めるタイプ。大外でも警戒が必要。
◎④ゴッドミラクル
〇①アドマイヤツルギ
▲⑦マイディアライフ
△⑥レッドダニエル
△②リンネルクロス
△⑨シーセクション
<お奨めの1頭>
8R フェアリーキス
転入後、圧巻の2連勝。C2ではモノが違いのは誰の目にも明らかで、コース替わっても追いかける一手