松尾康司 1958年青森県出身。「テシオ」編集長 。思い出の馬は伝説の名馬トウケイニセイ。横川典視 1969年高知県出身。『いわて競馬マガジン テシオ』編集記者として活動中。東北の馬産地との繋がりも深い。
松尾康司 1958年青森県出身。「テシオ」編集長 。思い出の馬は伝説の名馬トウケイニセイ。横川典視 1969年高知県出身。『いわて競馬マガジン テシオ』編集記者として活動中。東北の馬産地との繋がりも深い。10月19日(日) 「第25回トパーズカップ」(3歳 盛岡ダート1800m)
外枠からユウユウコラソンが先手を主張して2番手にタナハシがつける。3番手インにマツリダマスラオ、その外にマルケイロジャー、後ろにリュウノナポレオン、圧倒的1番人気に支持されたリケアカプチーノは不利を受けないよう、その外を追走した。
前半3ハロン38秒5、上がり3ハロン36秒5。超スローの流れとなり、リケアカプチーノは3コーナーから徐々に前へ進出。4コーナーでタナハシが先頭に立ち、その外でリケアカプチーノが馬体を併せる。直線を向いてリケアカプチーノがあっさり突き抜けるかと思ったが、内でタナハシが渋太く粘る。しかし残り50mでリケアカプチーノがタナハシを交わして0秒2差でゴール。貫禄の違いを見せつけた。
1着・リケアカプチーノ=山本聡哉騎手
「普通に走れば勝つメンバーだったが、ゲートをしっかり出して前にいた馬を射程圏に入れながらレースを進めた。いつでも交わせるだろうと思っていたが、ナイター照明の影響なのかコーナーでは反応がひと息だった。それでも直線を向いてからはしっかりと伸びてくれた。乗った印象はスタミナ豊富。スタッフが語っていたが、使いながら良くなっていくタイプ。次はもっと走ると思います」
菅原勲調教師
「今回は地元の3歳馬が相手だったので、今後のことを考えて余裕を残した作りだった。それに元々が叩き良化型だからね。今後については様子を見ながら決めたいと思っている。考えてるのは北國王冠(金沢)と北上川大賞典。どちらも長距離ですから合っていると思う。いずれ状態次第です」
その後、東海菊花賞へ登録していたシンメデージーがJBCクラシックへ選出されたため、東海菊花賞の選も出てきた模様。ほかの馬たちの動向も見ながら北國王冠か東海菊花賞の二者択一になる模様。
2着タナハシは中央芝2400m3着1回から転入。初戦の3歳C2、古馬C1編入戦と2連勝を飾ってトパーズカップへ挑戦。メンバーは一気に強化されたが、渋太く粘って2着確保。この結果から岩手競馬の最長距離重賞・北上川大賞典を目指すという。
今週の岩手競馬
10月26日(日) メイン11R「第41回プリンセスカップ」(2歳牝馬・地方競馬全国交流 盛岡ダート1400m)
10月27日(月) メイン12R「ひいらぎ賞」(B1級 盛岡ダート1600m)
10月28日(火) メイン12R「夢・希望 未来へ前進」(B1級一組 盛岡ダート1600m)
10月19日に行われた3歳世代原型としては今季最後の重賞『トパーズカップ』。12頭が挑んだ戦いは1番人気リケアカプチーノが快勝。自身3つめのタイトルを獲得するとともに改めて世代最強をアピールしました。
レースは外枠から飛び出したユウユウコラソンとタナハシがそのまま先頭・2番手となって流れを作る展開。リケアカプチーノは先行集団の外に付けてこちらも流れをうかがいます。3コーナーを過ぎてじわりと先頭に出るタナハシ、それを見てリケアカプチーノも外から馬体を併せに行ってここからは二頭の一騎打ち。一足先にトップスピードに乗ったタナハシがいったんはリードを拡げますがリケアカプチーノも即反応、坂を越えたところで今度はリケアカプチーノがリードを拡げて勝負あり。最後まで余力十分のままゴールを駆け抜けて3歳トップの貫禄を見せつけました。
2着はタナハシが確保。その7馬身後ろで繰り広げられた3着争いは外から伸びた8番人気バイアメが制して馬番3連単は万馬券の波乱に。以下4番人気リュウノナポレオン、11番人気マルケイロジャーまでが掲示板圏内を確保。
前回のトパーズカップは2003年、3歳ダート1200mの重賞として行われました。リケアカプチーノはレースの歴史に22年ぶりに新たに刻まれた勝ち馬となりました。
10月21日のメインレースは12Rに行われるOP級ダート1200mの『スプリント特別』です。この路線の締めくくりは11月16日、今年の盛岡競馬最終週に行われる重賞「絆カップ」。そのほぼ一ヶ月前になるこのレースには絆カップを目指す馬も多数登場して前哨戦の趣となりました。
さてこのレースの本命は(2)ウラヤです。
今シーズンは3月の白嶺賞から概ね1ヶ月間隔を守って出走。勝ち星こそA級特別・OP特別の2勝ですがマイルの重賞でも好走するくらいに順調かつ好調をキープしてきました。そしてそのようにマイルにも出走しているものの陣営が考えているベストは盛岡の短距離、この1200m。近走も3戦続けてこの距離を選択し、今回も含めれば4戦連続、そして恐らく次戦になる絆カップまで行けば5戦連続で盛岡1200mで戦うことになります。それもこれも昨年に続いて絆カップを制するため。ここはしっかり勝っておきたいところです。
対抗は(4)エイシントルペードを。前走はハナを獲れない形の展開でしたがそれでも流れに乗って2着を確保。敗れはしましたが逃げ一手ではない点を示したのは収穫だったのでは。
岩鷲賞でウラヤを退けた時は前が止まらない傾向が強かった日。今回はもしかしたら逃げ先行馬に不利な傾向かもしれませんが、前走のような競馬もできるとのことであれば選択肢も増えるだろう・・・と見ての対抗評価に。
三番手は(7)ロードオブザチェコ。こちらも間隔を取り、真夏も避けて余計な消耗を防いできたのは◎と同様。白星先行でこそないもののしっかり力を出してきているのも同様です。距離はもうひとハロンあった方が戦いやすいかもですが勝ち負けできる力はあると見るべきでしょう。
連下ヒモとなるともうどこでも選べそうなので、敢えて狙うならということで8枠の2頭、(10)オスカーブレインと(11)エスクマを。距離はもうひとハロン短いか長いかした方がよりベター。ですがどちらも盛岡とは好相性ですし、自分の形で戦えれば上位に姿を見せていていいはず。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(2)=(4)、(2)=(7)、(2)→(10)、(2)→(11)
岩手競馬の全レース予想を公開中!「岩手競馬・勝ちそーチャンネル」へ

10月12日(日)「第3回ネクストスター盛岡」(2歳 盛岡ダート1400m)
ラウダーティオがゲート内で立ち上がったが、鞍上・山本聡紀騎手は折り込み済み。うまくなだめて互角のスタートを切って逃げたフォーティチュードの2番手を追走。3番手にイタズラベガ、4番手外にセローム、5番手インにディオニス、続いてフォーエバートライ。ラブコラージェンは先団から少し離れた位置を取った。前半3ハロンが34秒4。2歳戦では超ハイペースとなった。
直線を向いてラウダーティオがフォーティチュードを交わして先頭。内からラブコラージェン、外に出したディオニスが接近したが、ラウダーティオが1馬身差をつけてゴール。初重賞を手にした。
1着・ラウダーティオ=山本聡紀騎手
「ゲートを出てしまえば速い馬。2、3番手がいいなと考えていたから理想の位置がとれた。今日は反応が良かったし、外から兄の馬(ディオニス)が来たが、最後まで頑張ってくれた。あとは砂を被ったりして競馬の幅を拡げていければ、もっと強くなる。まだ課題が多い馬ですが、潜在能力は高いと思います」
板垣吉則調教師
「2戦目からゲート内で立ち上がるのが癖になってしまった。4コーナーでディオニスが手応えよく上がってきたが、今日は前回(ビギナーズC)と違って息が入ったのか追い出してから反応して引き離してくれた。これ以降の2歳戦はマイル戦しかないですからね。今後は距離との戦いにもなっていくと思います」
20日メインはA級一組「金華特別」(盛岡ダート1600m)。先週にJpnI・マイルCS南部杯があったため、実質第2グループの争い。カギを握るのは転入馬バトルバーリライの動向だろう。
本命はそのバトルバーリライにした。一貫して南関東で走り続けて13勝2着12回3着6回。着外に沈んだのはわずか3度のみ。今年9歳を迎えたが、転入前2戦を3、4着にまとめて健在を誇示した。メインは大井だったが、左回りも大井左回り1650m、浦和で経験して1勝2着3回3着3回。ほかの2回も4着とまったく崩れなし。このメンバーなら地力で突破できる。
ボウトロイは重賞では家賃が高いが、平場で抜群の安定感。今季4戦目からすべて3着以上にまとめ、目下2連勝中と好調サイクルをキープ。盛岡替わりも問題なく、こちらが軸にする手も十分考えられる。
スズカゴウケツは南関東から里帰り。4戦目を快勝後、芝を使って5、7着に終わったが、ダートに戻って2戦連続で2着を確保した。昨あすなろ賞優勝を含めて盛岡5勝。メンバーも手ごろでシーズン初勝利のシーンまで。
トーセンマッシモは今季2勝2着1回。前走は出走取り消ししたが、それ以前は2連勝。ボウトロイを3着に退けた。取り消しの影響もさほどなく主力争いの一角を形成する。
ノーブルサターンは今季初戦の赤松杯3着。上々の滑り出しだったが、以降はあすなろ賞4着が最高。3ヵ月の休養から前走復帰して6着止まり。年齢的な衰えは隠せないが、叩かれて変わり身どこまで。
ダブルラッキーは初戦こそ4着だったが、以降は4勝2着3回3着4回と持ち味の堅実さを発揮。有力馬がもつれれば台頭十分。
◎⑩バトルバーリライ
〇⑦ボウトロイ
▲④スズカゴウケツ
△③トーセンマッシモ
△①ノーブルサターン
△⑧ダブルラッキー
<お奨めの1頭>
8R キープオントップ
中山ダート1800mで2着を確保し、転入前の札幌ダート1700mでも4着。C1編入に恵まれて初戦からいける

19日メインは3歳重賞「第25回トパーズカップ」(盛岡ダート1800m)。同レースの創設は1980年。当初は3歳(旧4歳)特別で1600mを中心に行われ、2000年から短距離重賞へ格上げ。盛岡ダート1200m条件で実施されたが、2003年を最後に休止。今回は22年ぶりに復活し、距離も1800mへ変更となった。
中心はリケアカプチーノで不動。8戦5勝2着3回の成績から転入。初戦の東日本交流・ダイヤモンドカップはシーソーゲームの2着に終わったが、岩手3歳同士の東北優駿を圧勝。続いて古馬伝統の一條記念みちのく大賞典へ挑戦。ヒロシクンとの壮絶なマッチレースに持ち込み、ハナ差で制して快勝。3歳馬初のみちのく大賞典馬に君臨した。
JpnII・不来方賞は追走一杯で6着だったが、マークした2分2秒9は2014年、JBCクラシック(盛岡)でコパノリッキーの6着ナムラタイタンの2分2秒6に次ぐ岩手所属馬では史上2頭目の最速タイム。ナルカミは続いてジャパンダートクラシックも優勝し、ハイレベルの戦いだった。今回は地元同士、しかも同世代3着なら敵う相手は1頭もなし。順当にトパーズカップを制し、今後に弾みをつける。
焦点は相手候補。筆頭にユウユウコラソンを抜てきする。2歳時は2勝2着。冬場に南関東へ移籍して3戦3着1回から里帰り。2戦目から3連勝を飾り、重賞・イーハトーブマイルを優勝。東北優駿でも3着を確保した。前走5着だったが、初の古馬A級に加えて水沢が舞台。今度は得意とする盛岡に替わり反撃必至。
キングミニスターは門別1勝からダート変更となった交流・ジュニアグランプリを快勝。JpnI・全日本2歳優駿8着後、南関東へ移籍。2戦とも二けた着順に沈み、岩手転入。当初は本調子を欠きながらも3着4回。重賞・やまびこ賞でも3着に入った。不来方賞10着後はトパーズカップへ照準を合わせて態勢万全。
タカマキファイブは2歳時1勝のみにとどまったが、今季2勝2着3回3着1回。重賞・やまびこ賞では前記キングミニスターに先着2着を確保した。典型的な追い込み脚質でコース広い盛岡が主戦場。持ち味の決め手をフルに生かす。
リュウノナポレオンは南関東2着2回3着3回から転入。2勝2着2回から1400m重賞・ウイナーカップを快勝した。その後も2勝を積み重ねて古馬へ編入。前走A級戦でユウユウコラソンに先着4着。1800mが気持ち長いが、地力アップは明白。
タナハシは中央芝2400m3着1回から転入。格付けにも恵まれたが、あっさり2連勝をマークした。相手は一気に強化だが、距離を味方に上位進出を狙う。
◎⑥リケアカプチーノ
〇⑩ユウユウコラソン
▲①キングミニスター
△③タカマキファイブ
△⑤リュウノナポレオン
△⑪タナハシ
<お奨めの1頭>
5R ジェイエルライナー
前々走・東京ダート1400m戦で2番手キープから4着入線。格付けに恵まれて初戦からいける

10月13日(月)「第38回マイルチャンピオンシップ南部杯」(JpnI 盛岡ダート1600m)
イグナイター、シャマルの機先を制してペプチドナイルが先手を奪う。外に切り返してシャマルが2番手。3番手にクラウンプライド、その外にシックスペンス、内にイグナイター。ウィルソンテソーロは以上の先団グループの後ろにつける。
スタートからのラップは12秒4-11秒1-11秒4。前半34秒9は南部杯では平均ペース。隊列がほぼ変わらず3~4コーナーでクラウンプライドが失速。内ペプチドナイル、中シャマル、外シックスペンスが横並びで4コーナーを通過。今度はシャマルが一杯となったが、外からウィルソンテソーロが一気に進出。ペプチドナイル、シックスペンスを余裕で交わし、4馬身差で完勝した。
1着・ウィルソンテソーロ=川田将雅騎手
「1800m、2000mで世界でも戦って来たが、1600mがちょうどいい。気分よく競馬をすれば結果も伴うと常々、思っていた。初めて騎乗したのが名古屋(かきつばた記念)だったが、1500mでも力んで走っていた。それを時間かけて1800m、2000mで我慢させるようにしてきたが、いつもレースで疲れ果てた感じ。ですが、今日は最後まで気持ちよくゴール板を通過できました。一昨年のマーキュリーカップを勝った後、南部杯へ来るかもしれないと言いましたが、スケジュールが決まっていましたからね。今回、南部杯に来れてウィルソンテソーロが頑張ってくれたので、また皆さんの前に立つことができました」
高木登調教師
「2000mがメインだったが、距離をごまかしながらの思いがあった。元々、気持ちが勝っていて前進気勢が強い馬ですからね。川田騎手は何度もコンビを組んでいますから我々はコンディションを整えることに専念した。終始、手応えがあったので、落ち着いてレースを見ていられました。6歳だが、まだまだ伸びしろがあると思う。次走は状態を見ながらJBCクラシック、その先のチャンピオンズカップも視界に入れています」
ウィルソンテソーロは一昨年、マーキュリーカップ快勝後、1800m~2000m路線へ。JBCクラシック(佐賀)を制し、ほかにG/JpnI2着5回。あとひと伸びが足りなかったが、川田騎手の見立てどおりマイルで持てる能力をフルに発揮。JpnI2勝目をマークした。
5着エコロクラージュは地方最先着。小牧太騎手「4コーナーまですごく手ごたえが良くて3着はあるかなと思った。これまで太目だったが、今回は仕上がっていた。今後も強いメンバーと戦っていったら、もしかしたらと思う。地元の兵庫ゴールドトロフィーを勝てればいいね」
イグナイターは10着に終わった。5月、兵庫大賞典後、さきたま杯もスキップしてマイルCS南部杯に絞り、態勢を整えてきた。スタートダッシュはすばらしかったが、外からペプチドナイルが先手を主張したのを見て5番手インに控える。道中の手応えも上々だったが、直線失速10着。オーナーによると今回で現役にピリオドを打つという。2年連続でNAR年度代表馬に選出された地方競馬の雄。お疲れさまでした。
今週の岩手競馬
10月19日(日) メイン12R「第25回トパーズカップ」(3歳 盛岡ダート1800m)
10月20日(月) メイン12R「金華特別」(A級一組 盛岡ダート1600m)
10月21日(火) メイン12R「スプリント特別」(オープン 盛岡ダート1200m)