
4月27日に行われた古馬スプリント重賞『栗駒賞』は6番人気のスプラウティングが接戦を制して優勝。自身初の重賞タイトル獲得と共に手綱を取った塚本涼人騎手は嬉しい重賞初制覇になりました。
この日は乾いたタフな良馬場で差し馬がなかなか末脚を活かせない馬場傾向。それを見てとってか、ゲートが開いてすぐ内マツリダワールド、外スプラウティングが飛び出していきます。この2頭が速いペースで後続を引き離した先行争いを繰り広げる一方、1番人気のヘリオスは中団の外を追走、その位置関係が変わらないままに馬群は勝負所にかかります。
直線に向いても2頭並んで競り合いを続けるマツリダワールド・スプラウティング。内ラチ沿いを抜けてきたエメラルドビーチ、外からジリジリと追い上げてきたヘリオスが迫り、そして前の二頭もさすがに脚が止まり気味になりますが、残り100mを過ぎても先行2頭と追い上げた2頭との差は4馬身ほど。マツリダワールドとの競り合いを制したスプラウティングが後続の追撃も凌ぎきってゴール。同馬は岩手転入初戦、重賞初挑戦でタイトル獲得、鞍上の塚本涼人騎手は2019年のデビュー以来初の重賞制覇を果たしました。
4月28日のメインレースは12Rです。A級一組の『桜花特別』はダート1900mのA級特別です。ここ2年は1年で2戦しか行われていないちょっとレアな条件。それだけにこのレースの出走馬も全馬がこの距離が初、距離経験・距離適性を探るところから始まる・・・ということになりそう。
ところで、3月からスタートした今年の岩手競馬、ここまで続いてきた水沢競馬は28日でいったん終了、次週からは半年ぶりの盛岡競馬場での開催が始まります。右回りから左回り、小回りから大回り、平坦から坂があるコースと条件が正反対と言えるほどに変わり、予想の基準も大きく変わるのは大変ですが、久しぶりの盛岡競馬も楽しんでいただければと思います。
さて桜花特別です。本命は(7)グランコージーを採りました。
近年はマイルで活躍する馬という印象が強い同馬ですが、昨年6月のみちのく大賞典で4着、2022年の桐花賞では3着と2000mのレースでも必ずしも大きく崩れてはいません。ハナを獲り切れればこれくらいの距離でもしぶとさを発揮できるし、加えて近年は休み明けから間もないほど走る傾向も強まっています。A級特別とは言え歯ごたえのあるメンバーですが条件的に決して悪くはないと見ての本命視。
対抗は(1)ミヤギシリウスを。前走は3着でしたが10ヶ月ぶりに復帰した実戦で・・・と思えば上々の走りでした。2歳~3歳春には世代でもトップクラスの素質を評価と期待されていた馬。二走ボケが心配ですが、順調に実戦を戦えるのであれば前走以上の結果も期待できるでしょう。
(4)グローリーグローリが三番手。2000mとなるとちょっと長いのかもしれませんが昨年のみちのく大賞典で勝ったヒロシクンに迫る2着なら問題無いでしょうし、昨年の桜花特別、昨年は1800mでしたがそこで3馬身差の完勝をしており、プラス100mの距離を苦にする印象はありません。昨年のこの時期より良い状態でシーズンインしているように見えるのも魅力的。
ここまでの3頭が近走・実績から見て上位評価で妥当でしょう。以下はもつれた時の穴として、(2)ドテライヤツ、(6)サトノミスチーフ。長めの距離になって変化がありそうなところを。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(7)=(1)、(7)=(4)、(1)=(4)、(7)→(2)、(7)→(6)
岩手競馬の全レース予想を公開中!「岩手競馬・勝ちそーチャンネル」へ
27日メインはオープン短距離重賞「第37回栗駒賞」(水沢1400m)。昨年はゴールデンヒーラーが快勝。前後して4連勝を飾り、重賞も3勝をマークした最優秀短距離馬に選ばれた。今年はビッグネーム・ヘリオスが岩手初出走。例年以上に注目を集める一戦となった。
ヘリオスは中央ダート8勝。2022年、JpnI・マイルチャンピオンシップ南部杯でマイペースに持ち込んで直線でもスピードは衰えなかったが、ゴール寸前でカフェファラオに交わされてハナ差2着に惜敗。千載一遇のチャンスを逃がした。そのほかJBCスプリント(盛岡1200m)3着を含めてダート重賞で2着5回3着2回。ダートグレード競走の常連で名を馳せた。
今年2月のフェブラリーステークス11着後、高知へトレード。1番人気に応え、2着に0秒9差をつけて圧勝。直後に岩手入りした。「当初は体重が減っていたが、徐々に回復。いい状態で臨める。まずは栗駒賞を使ってシアンモア記念が青写真。その後は馬と相談して使うレースを決めたい」と千葉幸喜調教師。まずはお手並み拝見といきたい。
ミニアチュールは3歳時に牡牝馬クラシック四冠を獲得して3歳最優秀馬、昨年は牝馬交流・ビューチフルドリーマーカップを含めて重賞3勝をマークし、最優秀牝馬に選出された岩手の顔。今季初戦は逃げて3着に終わったが、元々が叩き良化型。昨年もシーズン初勝利は3戦目だった。その意味で次走がエンジン全開と受け止めることができるが、水沢1400m3戦3勝。変わり身に期待する。
スターシューターは大井専門に使われて13勝。オープンに在籍し、昨年12月に転入。初戦の850m戦を快勝して好発進を決めた。以降は伸びを欠いていたが、今季初戦のマイル戦5着から栗駒賞へ臨み、メンバー最速の上がりを駆使して快勝。待望の初重賞を手にした。大井実績からも活躍の舞台は1400m以下。ペースが速くなれば重賞2連勝のシーンまで。
スプラウティングはデビュー4戦目まで芝を使われ、5戦目からダートへシフト。2戦目で初勝利を飾り、ダート1400mで3勝。3勝クラスでも2着2回の成績を残して岩手入り。魅力は先行力。小回り水沢では最大の武器になる可能性が高く、初戦から狙い立つ。
エメラルドビーチはイギリス・アイルランドの2000ギニーを制したグレンイーグルス(その父ガリレオ)産駒。デビュー2戦目から7戦連続で1番人気に支持されて2勝2着1回3着1回。期待の高さがうかがい知れる。3勝クラスでは頭打ちだったが、530キロの大型馬でパワータイプ。こちらも地方ダートが向きそうだ。
レディブラウンは水沢1400m8戦6勝2着1回3着1回とすべて馬券対象。前走・栗駒賞はスターシューターの強襲に屈したが、積極的なレース運びで2着。適性を前面に上位進出をもくろむ。
◎⑩ヘリオス
〇⑪ミニアチュール
▲⑦スターシューター
△⑨スプラウティング
△②エメラルドビーチ
△⑤レディブラウン
<お奨めの1頭>
1R マケン
中央未勝利から転入後、850mを専門に使われて3勝2着2回。目下2連勝中と波に乗り、もう一丁いける
今週は26日(土)~28日(月)の変則開催。次週から舞台は今シーズン初の盛岡競馬場へ替わり、5月3日(土)~7日(水)までの5日間連続開催。4日(日)には岩手クラシック一冠目であり、JpnI・東京ダービー指定競走「第45回ダイヤモンドカップ」(東日本交流 盛岡ダート1800m)が控えている。
3月9日(日)から再開した水沢競馬も今週28日でひと区切り。コースが替わる前に水沢競馬のデータを集積し、がっちり勝利したいところ。今季成績はもちろんのこと、水沢巧者などをチェックして臨みたい。
26日メインはC1級特別「夏油賞」(水沢1400m)。激戦区らしく好調メンバーがそろった上、今季1勝以上は負担重量がプラス2キロ。最高58キロから再軽量52キロ(減量の含む)と6キロのハンデ差。これが勝敗にも影響しそうな一戦となった。
主軸にローザを指名する。デビュー2戦目の阪神ダート1200mで3着を確保し、5戦0勝から南関東へトレード。初勝利までは時間がかかったが、1勝2着2回3着4回から転入。初戦の水沢1400m戦を快勝した。2戦目はメイショウコウテツに屈したが、0秒1差2着。積極的なレース運びを披露した。今回は2キロ増の56キロを背負うが、520キロ前後の大型牝馬。当日は良馬場での競馬予報も好材料。時計のかかる勝負になれば首位を奪回できる。
オーヴァーザトップはデビュー2戦の芝1600mで3着確保。昨年10月に岩手入りして2戦目で初勝利を飾った。その1勝のみだが、ほかに2着5回3着1回4着1回5着1回。一度も着外しらずの堅実さが身上。前走2着だったが、勝ったヤークトボマーは門別A級の格上馬。負担重量56キロを味方に逆転を狙う。
メイショウコウテツは昨年、B2級へ在籍。今季はC1へ降格して2戦2勝。初戦は2番手キープから抜け出しを決め、前走は後方待機策から早め先頭に立ったローザをきっちり差し切った。今度は58キロの酷量を背負うのが不安だが、勢い一番。3連勝を飾るシーンまで。
フォーサイティドは南関東C1から岩手C1へ編入。格付けにも恵まれて初戦2着。ハイペースをしのいで逃げ粘った。このパフォーマンスから前走2番人気に支持されたが、スタートダッシュがつかず最後方からの競馬。自分の競馬ができなかった。スタートを決めて反撃に転じる。
モンゴリアンキングは昨年未勝利ながら2着5回。置かれる脚質のため届かないケースが多いが、前走は久々にまくり脚を披露して2着。これで上昇ムードに乗り、ハイペースなら一気台頭まで。
アローゴールドは今季2着1回5着2回。2022年12月以降は白星から遠ざかっているが、堅実な差し脚を披露する。どんな流れにも対応できるのが強味。
◎①ローザ
〇⑪オーヴァーザトップ
▲⑫メイショウコウテツ
△⑩フォーサイティド
△⑧モンゴリアンキング
△⑤アローゴールド
<お奨めの1頭>
7R アカイツメ
前走は果敢に逃げ粘って2着。相手が強かった印象も強く、今度こそ首位を奪取する
4月20日(日) 「第25回留守杯日高賞」(3歳牝馬・地方競馬全国交流 水沢1600m)
ノヴェルウェイが先手を主張して2番手に1番人気フリーダム。3番手外をステイクラッシーが追走し、4番手インにスノーミックス、5番手にモンゲーキララ。1周目スタンド前でフリーダムが折り合いを欠いたが、後述するコメントにもあるが、強いハミを着用しているのも要因。鞍上・笹川騎手は織り込み済みでうまくなだめる。
勝負どころの3コーナーでノヴェルウェイが一杯。替わってフリーダムが先頭に立ち、遅れずステイクラッシーも追走する。スノーミックスは内で我慢をさせて満を持してスパートをかけた。直線を向いてフリーダムは手応え抜群。ステイクラッシーを楽に突き放して余裕のゴール。待望の初重賞を手にした。
1着・フリーダム=笹川翼騎手
「スタートはうまく出せた。1周目スタンド前で折り合いを欠いたが、強いハミを使っているので許容範囲。自分が大井で乗っていた時に比べると落ち着いていた。あとは馬のリズムを大事にするよう心がけた。あまりせかさなければ結果は出ると思っていた。馬が行きたがったのはペースが遅かったから。元々、反応がいいタイプですからね。デビュー前からつき切りで乗っていた馬。成長に合わせてメンタル面が強くなっています。これで水沢は3戦3勝ですから相性がいいコースです」
宗形竹見調教師
「今日は期待が大きかった。このメンバーならなんとか勝ちたいと思って臨んだ。乗り方はジョッキー任せ。先行する馬があまりいなかったし、気がいい馬。前でレースをするだろうと思っていたが、結果いい競馬をしてくれた。元々がスピードがある馬ですからね。浦和を2度使っているので輸送上手。次走についてはオーナーと相談して決めたい。グランダムのポイントも狙う気もあるし、いくつかの選択肢を考えている」
フリーダムは3勝2着1回3着1回から南関東牝馬クラシックへ名乗り。ユングフラウ賞4着から一冠目の浦和・桜花賞へ臨んだが、スタートで出遅れた上、4コーナーでは進路をカットされる不利。それが尾を引いて10着に敗れたが、今回は順当に重賞初制覇。宗形調教師のコメントにもあるが、次走の決断を待ちたい。なお笹川騎手のインタビューで水沢3戦3勝と語ったが、過去に2022年、留守杯日高賞=グラーツィア。2023年、ビューチフルドリーマーカップ=ノーブルシルエットで制していた。
2着・ステイクラッシー
デビュー戦快勝、2戦目に重賞・若鮎賞3着、3戦目で2勝目マークと順風満帆の滑り出しだったが、以降は着外の連続。冬場は南関東へ移籍して2着着外から帰郷。南関東で揉まれてきた経験を生かして帰郷戦・あやめ賞では控える競馬から2着。今回は正攻法で臨んで2着確保と成長の跡がはっきりうかがえた。
3着・スノーミックス
デビュー戦2着後、一息入れて戦列に復帰。ワンサイド決着で2連勝を飾ってシーズンを終了。今季初戦のスプリングカップが重賞初挑戦で牡馬相手に4着善戦。トライアル・あやめ賞で1番人気に支持ざれたが、3コーナー過ぎに失速10着。前途に暗雲が立ち込めたが、1ヵ月間で軌道修正に成功。今後のメドが立った。
今週の岩手競馬
4月26日(土) メイン11R 「夏油賞」(C1 水沢1400m)
4月27日(日) メイン11R 「第37回栗駒賞」(オープン 水沢1400m)
4月28日(月) メイン12R 「桜花特別」(A級一組 水沢1900m)
4月20日に行われた3歳牝馬の地方競馬全国交流重賞『留守杯日高賞』。遠征勢3頭対地元勢8頭の戦いは1番人気の大井・フリーダムが快勝。このレース8年連続の遠征馬の勝利となりました。
逃げたノヴェルウェイの二番手に付けたフリーダムは向こう正面3コーナー手前で先頭に。早々と仕掛けたように見えたものの「馬自身が進みたがっていた。ペースも馬にとっては緩かったので行かせてあげるだけだった」とレース後に振り返っていた笹川翼騎手。実際、そこからも後続の、とりわけ序盤から食らいついてきていたステイクラッシーの追撃も難なく振り切って4馬身差の完勝V。フリーダムにとっては4度目の重賞挑戦で待望のタイトル獲得を、笹川騎手にとっては22年グラーツィア以来のこのレース2度目の優勝を果たしました。
2着はステイクラッシーが守り切り、3着にも岩手のスノーミックスが入線して遠征勢による上位独占を阻止。その遠征勢は、川崎モンゲーキララが4着、大井のもう一頭ファーマビューティは10着でした。
4月22日のメインレースは11Rに行われるB1級一組・ダート1600mの『夢・希望 未来へ前進』。本命には(4)レールガンを指名します。
この春初戦はB2級で勝った同馬は続くB1級戦も同じように快勝。8歳になったとは言え長くオープン級の重賞でも健闘してきた地力はまだまだ健在だということを見せつけました。
その勝ち方は確かに僅差でしたが、決め手勝負型に有利とは言いがたいこの春の水沢の馬場傾向の中で、そこできっちり勝ち切れるのは決してフロックではない、地力の証明と言えるもの。メンバー的には歯ごたえが増しており気は抜けませんが、それにしてもオープン級の強敵と互角に渡りあってきたこの馬なら苦しいという事はないでしょう。
(2)マルケイアローが対抗。昨冬の水沢戦から戦績安定、昨年は苦戦したB1級に戻っても3戦1勝2着1回なのだから好調ムードは本物と見ていいはず。この馬にとってもこの辺になると相手の歯ごたえがだいぶ増している印象になってきますが、前走のように立ち回れるならここでもその安定感に期待していいはず。
三番手は(9)ジャッジを採ってみます。10着からスタートしたこの春ですがその後はしっかり前進、昨年終盤からの復調ムードはまだ途切れていないと感じさせています。実際、馬の気配は決して悪くないように見えるんですよね。勝ち切れない感じは否めない近況ですが、力が足りないということは無いと自分は見ます。
以下、(6)ライトフィールダーは慌ただしい前掛かりの展開の中、結果4着には終わったものの積極的に先行し切ったところに要注目。一方で今週の馬場状態ではマイルは少し長いのかも?と考えて△に。
もう一頭は(1)キタノコンドル。昨年のB2からB1に昇級してやや苦戦気味ですが対応はしてきている印象。もう一歩前進に期待してみます。(横川典視)
●11Rの買い目
馬単(4)=(2)、(4)=(9)、(4)→(6)、(4)→(1)
岩手競馬の全レース予想を公開中!「岩手競馬・勝ちそーチャンネル」へ