3月30日に行われた古馬850mの準重賞『奥州弥生スプリント』は2番人気のダイセンメイトが優勝。自身の850m9勝目を準重賞制覇で飾りました。
ロケットスタートを決めたカクテルライトを巡る展開になったこのレース、ダイセンメイトは先行勢を前に置いての2列目内ラチ沿いの4番手の位置。「前が開くのを待っていた」岩本怜騎手、直線に向いて狙い通りに進路が開くとそこから末脚を伸ばして一気に先頭へ。大外からカタナが強襲しましたが差は1馬身まで。ダイセンメイトが"850mのスペシャリスト"ぶりを見せつける勝利を挙げました。
今日は3月31日、2023年度の最終日です。3月10日から実質新シーズンがスタートしている岩手競馬ですが区切りとしては今日までが2023年度。3月のラストに開催日が目一杯入っているのもこの区切りの、というか4月1日が月曜日になっている影響なのでした。
2023年度の発売金額は3月30日時点で600億を超え、ここでいう「前年度」の2022年、JBCがあった年度に比べると減となりましたがそのさらに前年度・2021年度からは増となりました。いわゆる"巣ごもり需要"が落ち着いて、一方で物価高の影響なども心配された2023年度でしたが、全国的に思った以上に健闘しているのかなという印象をうけます。2024年度も明るいシーズンになりますように。
さて3月31日のメインレースは12Rの重賞『白嶺賞』。古馬オープン級1400m戦のこのレースが新シーズンの短距離路線の勢力図を占う一戦。
ちなみに次週4月7日のスプリングCが3歳クラシック路線の、そのさらに次週4月14日の赤松杯が古馬マイル~中距離の、それぞれ新シーズンを占う一戦ということになります。この後のレースにもご注目を。
さて。本命ですが当初フジラプンツェルを採っていましたが残念ながら31日朝に出走取消が発表されました。ここでは予想を変えていきたいと思います。
本命は(4)ゴールデンヒーラーとしました。
古馬になった2022シーズンからは中長距離路線で牡馬とも渡り合ってきた同馬ですが今年は短距離方向に主眼を置くとのこと。昨年も春の始動戦に1400mの栗駒賞を選んでいますがこれはあくまでもレース間隔からの兼ね合いという面が強かったので、短めの距離を狙っていくという意味で短距離線から始動するのは初めてと言えるかもしれません。
とはいうもののその昨年の栗駒賞では3歳時以来の1400m戦にも戸惑うことなく快勝していますし、なんとなれば2~3歳時には1400mの重賞を3連勝してもいます。今回の距離に苦手感があるどころかむしろ得意と見ていいのではないでしょうか。
すでに春の始動戦を済ませているライバルたちに対して初戦のハンデはあるでしょうが、6歳のベテラン牝馬、力を出す仕上げは馬も陣営も手の内に入っているはず。まずは初戦から地力を見せてくれると期待。
対抗は(1)シガーヲスウオトコを。9歳馬の転入初戦、近年はレース間隔が広めというところは一応気になるところですが、中間は強めの追い切りをしっかりこなして態勢は整っているようです。大井の1200mだと流れが忙しく、1400mくらいの方が楽に流れに乗れそうな印象もあるレースぶり。あとは2月以来になる分の馬体重の変動に注意。
三番手は(5)アメージングラン。前走はその後850mに回った馬も多く結果を過信できないのかもしれませんが、高知に比べて軽い水沢なら戦いやすい事は示しました。ここでも流れひとつ・立ち回りひとつでしょう。
連下ヒモの一番手は(2)ドルズプライスレス。重賞は初挑戦、A級で勝ち星があるとはいえメンバー大幅に強化ですが、マイルより1400mの方が気持ちよく戦えそう。もう一頭は(11)ケイアイサクソニーを。前走はちょっと振るわなかったですが馬の気配は悪くなかった。昨年の戦績からも今一番力を出せるのはこの距離に思えます。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(4)=(1)、(4)=(5)、(4)→(2)、(4)→(11)、(1)=(5)
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30日メインは今年新設されたオープン準重賞「第1回奥州弥生スプリント」(水沢850m)。まだまだ先だが、6月9日、同じ水沢850mで行われる「第9回早池峰スーパースプリント」への道が始まる。
昨年までこのカテゴリーでキラットダイヤ(父サウスヴィグラス)が圧倒的な強さを誇示し、早池峰SS3連覇の偉業を達成したが、昨年で引退。繁殖生活に入った。今回のテーマは必然的に"ポスト・キラットダイヤ"。その最有力馬は今回出走するトンデコパ、ダイセンメイトの2頭に絞られる。
本命はトンデコパ。門別・2歳新馬戦を快勝し、フルールカップ2着、牝馬交流・プリンセスカップ(水沢4着)など早い時期から活躍。その後、門別3勝から3歳12月に転入。いきなり水沢850mのコースレコードを0秒3更新。走破タイム49秒1はいまだに塗り替えられていない。
直後に南関東へ移籍して2戦使った後に再転入。3着最高に終わり、再び南関東へ移籍。2勝2着3回の成績を残し、岩手へ再々転入。初戦の1400m戦は3ヵ月半ぶりの実戦、距離も長かったが、3着に粘った。久々を叩いて水沢850m・奥州弥生スプリントは予定どおりのステップ。父サウスヴィグラス、板垣吉則調教師、オーナー・小林祐介氏はキラットダイヤとまったく同じ組み合わせ。ポスト・キラットダイヤの一番手はこの馬。
ダイセンメイトは3歳まで金沢で走って31戦2勝。平凡な成績で終わり、名古屋1戦を経て転入。当初2戦とも着外に終わり、調教師は試しに850mを使ってみたら反応が一変。隠れた才能が一気に開花して水沢850m8勝、盛岡ダート1000m3勝。1000m以下で持てる能力をフルに発揮した。
しかし1200m以上になると失速の連続。これほどのスペシャリストも珍しいが、最下級からオープンまで駆け上り、勝ち負けを演じるまで出世した。トンデコパと同様、一度実戦を使って奥州弥生スプリントが陣営の構想。仮に制すれば早池峰SSでも主役扱いになるに違いない。
アップテンペストは昨年、笠松から里帰り。初戦の早池峰スーパースプリントでキラットダイヤの2着を確保した。その後、同じ水沢850m戦で1勝マーク。1200m戦だと折り合いを考えなければならないが、ひと息で行ける850mが合う。4ヵ月半ぶりの実戦はハンデだが、適性を前面に上位進出を狙う。
アヴェントゥリストは昨年2勝を盛岡ダート1200m、1000mでマークしたが、ベストは850m戦。過去15戦6勝2着6回と抜群の連対率を誇っている。こちらもサウスヴィグラス産駒。スピードは折り紙付き。
カルーナブルガリスは850m、1000mで頭角を現し、特に850m戦は2勝2着5回3着2回。すべて馬券対象を果たしている。前走1400mを叩いて変わり身必至。
カタナも同様、850m5戦3勝。ノド鳴りのため距離が限定。岩手では850mが好走の舞台となっている。
◎③トンデコパ
〇④ダイセンメイト
▲⑦アップテンペスト
△⑧アヴェントゥリスト
△⑨カルーナブルガリス
△⑥カタナ
<お奨めの1頭>
2R サハラントアジア
前走2着は相手が強かった。南関東C2から転入初戦を好タイムで完勝。このメンバーなら首位を譲れない
29日メインはA級一組「桃花特別」(水沢1600m)。一線級は翌々日31日に行われる重賞・白嶺賞へエントリーし、実質二組のメンバー構成。また前開催を使ったグランコージー、グローリーグローリなどが相次いでスキップ。8頭立ての少頭数になったが、今季注目の1頭が出走する。
ミニアチュールは一昨年12月、北海道2勝2着3回から岩手入り。圧巻の7連勝を飾り、ダイヤモンドカップ、東北優駿(岩手ダービー・当時)の牡馬二冠、ひまわり賞(オークス)、不来方賞4着後、OROオータムティアラの牝馬二冠を獲得。合計7つの重賞を手にし、最優秀牝馬、3歳最優秀馬に選出された。
続いて川崎3歳牝馬重賞・ロジータ記念へ挑戦したが、輸送と環境の変化がこたえてマイナス8キロ。さらに相手強化、2100mの距離も長く10着に終わった。帰郷後はトウケイニセイ記念に駒を進めたが、馬体回復を優先。今度はプラス21キロの大幅増も影響して12着。消化不良の終盤2戦だった。
その後は4ヵ月の休養に入り、満を持して復帰。先輩、ゴールデンヒーラーは白嶺賞へ向かい、ミニアチュールは平場からスタートする。最大焦点は古馬オープンに通用するか否か。ここは試金石の一戦。今回の内容次第で重賞路線に殴り込みをかける可能性もあり、陣営にとっても重要なレースとなった。
ハクシンパーソナルは昨年3月、南関東C1から転入。まくり脚が冴え渡り、6勝2着2回3着3回。追い込みタイプのため展開に左右されながら、強烈な末脚でファンを魅了させた。昨終盤2戦は3着に終わったが、最初はスローの流れと見て一転して2番手の積極策が仇。2戦目は本来のポジションからレースを進めたが、ボウトロイが超スローに落として捕らえ切れなかった。
今季初戦もグランコージーが逃げ切り、ハクシンパーソナルは後方のまま。久々のせいか実戦モードではなかった感じだった。ひと叩きされて変わり身を期待したい。
ボウトロイは昨年、オープン入り後も好走。夏以降は調子を崩して凡走を繰り返したが、昨最終戦を逃げ切って快勝。年間5勝をマークした。今年も好、凡走のケースが続きそうだが、初戦を4着にまとめてマズマズの滑り出し。今回は絶好の1番枠を引き当て、マイペースの逃げに持ち込めるのは確実。逃げボウトロイ、2番手ミニアチュールの行った切りも十分考えられる。
ブローヴェイスは中央2戦を使って再転入。終始、中団インの経済コースでレースを進めて2着確保。1月末まで実戦を使われた強みを生かした。大幅な良化はないだろうが、前走のパフォーマンスができれば再現可能。
スパイスマジックはいい脚を長く使える持ち味を生かして姫路一戦から再転入後1勝2着1回3着1回。前走も3着に入り、健在をアピールした。単候補ではないが、馬券対象には絶対に外せない。
レールガンは今季初出走。典型的な追い込み脚質でテッポーもきくが、今回に限れば割り引き。前崩れが好走の条件。
◎②ミニアチュール
〇⑥ハクシンパーソナル
▲①ボウトロイ
△⑧ブローヴェイス
△③スパイスマジック
△④レールガン
<お奨めの1頭>
2R ファイブセンス
デビューが3歳4月までずれ込み、順調に使うことができず岩手へ新天地を求めてきた。フランケル産駒の良血馬。岩手で素質を開花させる
3月24日(日) 「第49回あやめ賞」(水沢1400m)
【レース回顧】
好枠2番枠を引き当てたカリフィアが逃げ、2番手マルーントリック、3番手外ドリームキャッチ。ミヤギシリウスは4番手インに控え、5番手オフビート、6番手インにセイバイラック。1番人気レッドオパールは前走と同様、折り合いをつけることを優先させ、7番手からの競馬。
快調に飛ばしたカリフィアに対し、ミヤギシリウスが徐々に接近。レッドオパールは前走・奥州弥生賞と同様、3コーナーから満を持してスパート。4コーナーで2頭を射程圏に入れた。
直線を向いて物見をして外にふくれたカリフィアを避けるため、ミヤギシリウスが一旦下がる。逃げこみを図るカリフィア、外レッドオパールの戦いに持ち込まるかと思ったが、間を割ってミヤギシリウスがゴール前で突き抜け、デビュー7戦目で待望の初重賞を手にした。
坂口裕一騎手「逃げた馬の後ろにつけてほしい―が指示だったが、そのとおりのポジションを取ることができた。今回が初騎乗。少し頭が高くズブいところがあると聞いたが、実際に3コーナーで外に出したらフワッとするところがあった。直線でも逃げたカリフィアが物見をして外にふくれて一旦下がったが、また盛り返してくれた。瞬発力というより、いい脚を長く使えるタイプ。今回は先入観なく乗れたのが良かったし、タイプ的に距離が延びても問題ない感じです」
畠山信一調教師「冬期間は福島県のテンコートレセンで乗ってきたので、仕上げに手間取らなかった。きゅう舎に戻ってきたのは2月28日。坂路効果もあったと思うが、走りっぷりが良くなった印象。この後は優先権を取ったので、留守杯日高賞へ直行する予定です」
1着・ミヤギシリウス
デビュー2戦目の水沢1300mを1秒4差で圧勝。以降もネクストスター盛岡でフジユージーンの4着、若駒賞ではミヤギヴァリアントの2着に善戦した。昨最終戦・金杯は5着だったが、坂口裕一騎手「外に出すとフワッとする」ところがあったから。結果的に直線入り口で下がりながらも馬群を割ったのも勝因か。どうやら展開に注文がつきそうだが、はまれば今後も重賞制覇の実力はある。
2着・カリフィア
昨年は阿久利黒特別を逃げ切ってシーズンを終了。今季はあやめ賞から始動したが、牧場で乗り込まれてきて前走(阿久利黒賞)比マイナス1キロ。体もできており、持ち味の軽快な先行力と粘りを披露。フジユージーンには離されたが、ネクストスター盛岡3着はダテではなかった。次走は留守杯日高賞へ向かう可能性が高いが、交流レースは総じてハイペース。自分の競馬ができるか否かがカギを握る。
3着・レッドオパール
再開初日の準重賞・奥州弥生賞を優勝し、転入後3連勝。今回も圧倒的1番人気に支持されたが、最後の伸びを欠いて3着。前走よりマイナス7キロ。ひと叩きされて体は絞れ、レース運びも問題なかった。
ただ、今回の1、2着馬とは初対決。ミヤギシリウス、カリフィアはフジユージーン、ミヤギヴァリアントと戦い、完敗を喫したが、レースレベルが高かったのは事実。その経験値の差も出たか。答えは留守杯日高賞で出るに違いない。
今週の岩手競馬
29日(金) メイン11R 「桃花特別}(A級一組 水沢1600m)
30日(土) メイン10R 「第1回奥州弥生スプリント」(オープン 水沢850m)
31日(日) メイン12R 「第30回白嶺賞」(オープン 水沢1400m)
文/松尾康司
3月24日に行われた3歳牝馬の重賞『あやめ賞』。実質的には2024シーズン最初の重賞、そして3歳牝馬戦線の幕開けとなるこのレースには12頭が出走。人気を集めたのは前哨戦を制していたレッドオパールでしたが優勝したのはミヤギシリウス。7番人気からの快勝でした。
好スタートから4番手あたりを進んでいたミヤギシリウス。「レッドオパールが動くのが見えて、先に行かれたらこちらが不利になると思ったので(坂口裕一騎手)」と自ら動いたのが3~4コーナー。そこからは逃げ粘る内カリフィア、末脚を伸ばす外レッドオパール、その間を割ろうとするミヤギシリウスの3頭の競り合い。いったんは外レッドオパールが優勢に見えましたがミヤギシリウスが盛り返したところがゴール。終わってみれば2着カリフィアにも半馬身の差をつけての同馬の快勝となりました。
3月25日のメインレースは12Rです。B1級一組の『アイスストロベリー賞』。出走馬の多くは同条件だった3月12日の11R・12Rから転戦してきた馬たち。現状の力関係の構図はその前走で見えたとして、当時とは少し変わった馬場傾向、ひと叩きされての各馬の上昇分、それをどう見積もるかがこのレースのカギになるでしょう。
本命は(8)ビヨンドザドリームです。昨秋に岩手に転入、その初戦で勝ったもののその後はなかなか勝ち切れずという同馬でしたがひと冬越した前走で岩手2勝目を獲得。以前よりもスタートが安定してきたのが前走、前々走あたりからの走りの違いにつながっているように見えます。
昨年の二戦目からB1にいるわけですが相手関係的には今回ともほぼ同様でした。当初は勝ち切れなかったけれど、自身も進境を見せているということなら優位に立てると計算できるでしょう。もう1勝すればJRA復帰の希望も叶うというところにも注目
相手は(4)ロワマージュ。前走で言えばこちらが一組、◎が二組の方の1着馬でした。こちらの方が組が上、力が上と見るべきですが今回は◎の方の上昇分を大きめに見て、のこの印。時計の違いは展開の差と思えるので気にしすぎなくていいでしょう。
(11)サンエイブレーヴが三番手。前走で負かされた相手がいるので控えめの評価にとどめましたが、その前走にしても4着とはいえ大きな差ではなかった。気配や状態は決して悪く見えなかっただけにあとは馬の地力発揮に期待。
以下、(5)グレートキャンベラは一進一退しつつも地力強化、昨冬の時計比較でもメンバー上位であとは間隔が開いた分の影響だけ。(9)コリコは積極的に動いた前走は結果実らなかったけれど機動力は今回につながるもの。前走時より先行有利な傾向が強い今週なら前走以上にも。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(8)=(4)、(8)=(11)、(4)=(11)、(8)=(5)、(8)=(9)
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