24日(日)メインは3歳牝馬重賞「第49回あやめ賞」(水沢1400m)。1着馬から3着馬に"GRANDAME-JAPAN2024"3歳シーズン「第24回留守杯日高賞」(4月21日 水沢1600m)への優先出走権が与えられる。
中心はレッドオパール。戦前は重賞・金杯を優勝リトルカリッジが最大ライバルと思われていたが、出走を見送り。一本かぶりの人気を集めることになる。母アイアムオパールは中央未勝利から岩手入りして7勝。A級まで出世して繁殖入り。レッドオパールが初産駒だった。
デビュー地・門別4戦1勝から転入後、年をまたいで3連勝中。2戦目に重賞・寒菊賞を完勝し、前走の準重賞・奥州弥生賞も1着。プラス30キロの太め残りだったため直線で外にモタれる仕草を見せたが、クビ差で制した。この一戦を叩いて、あやめ賞は当初の予定どおり。リトルカリッジが不在、一度叩かれた変わり身、勝負づけがほぼ済んだ相手関係と好走条件がそろった。
セイバイラックはデビュー5戦目、芝からダート変更された盛岡1600m戦の1勝のみだが、すべて4着以上。重賞でも2着3回と抜群の安定感を誇っている。その半面、詰めの甘さがつきまといデビュー5戦目、芝からダート変更された盛岡1600mのみ。前走・奥州弥生賞も絶好位をキープしながら3着に終わった。今回もレッドオパールは別格に、3着以下に沈む可能性があるが、総合力でリード。2着はしっかり確保したいところだろう。
オフビートは重賞・シンデレラカップ(金沢)を制し、岩手牝馬路線でも活躍したボサノヴァの妹。デビュー戦は仕上がり途上だったにもかかわらず、アッサリ逃げ切り勝ち。素質の片りんをのぞかせたが、以降は入着一杯。レースに集中できなかったが、終盤に2着2回。今季初戦の奥州弥生賞でも果敢に逃げ粘ってレッドオパールのクビ差2着に惜敗。成長の跡がはっきりうかがえた。すんなりなら再現まで十分。
マラカイトは南関東0勝2着2回3着1回から転入。初戦の3歳B1戦を0秒3差で完勝。激戦区で揉まれてきた実力を前面に初勝利を飾った。今回は一線級の牝馬が相手。メンバーは骨っぽくなったが、時計はほぼ互角。ここでも好勝負に持ち込めれば将来も約束される。
カリフィアはトレーニングセール1760万円で落札されたカリフォルニアクローム産駒の期待馬。デビュー戦の芝1000mを逃げ切り、1000万レース・ネクストスター盛岡3着。足踏みが続いた時期もあったが、最終戦を快勝。好ムードでシーズンを終えた。今回はぶっつけで臨むが、あやめ賞へ照準ピタリ。
ミヤギシリウスはネクストスター盛岡4着、若駒賞2着。冬場は福島のテンコートレセンへ移動。坂路で鍛え直し、変わり身に注目したい。
◎⑪レッドオパール
〇①セイバイラック
▲⑧オフビート
△③マラカイト
△②カリフィア
△⑤ミヤギシリウス
<お奨めの1頭>
5R キングオブサミット
前走はローグネイションに完敗2着だったが、ここでは走破タイムが出色。今度こそ首位を奪取する
23日メインは岩手県調騎会騎手部会協賛「夢・希望 未来へ前進」。今回はB2級一組、水沢1600mの条件で行われる。ポイントは休み明けを叩かれた組と今季初出走組との実力比較。基本は実戦を使われている方が優位と見ていい。
本命はキタノキャスター。中山ダート1800m戦で3着2回後、南関東へトレード。勝ち切れなかったが、C1級をメインに2着3回3着3回。安定した取り口を披露して転入。1番人気はピラヴロスに譲ったが、4番手外キープから早めにスパート。直線でピラヴロスとの叩き合いに持ち込み、0秒1差で快勝。待望の初勝利を飾った。
勝因は岩手B2へ編入し、メンバーに恵まれたこと。鞍上・山本政聡騎手が積極的なレース運びを心がけたこと。ピラヴロスをなかなか突き放すことができなかったが、ゴール前でもう一伸びした。気になったのは前走比マイナス18キロだったが、見た印象では細目感はなし。改めて調べてみたら中央時代に470キロ台で好走しており、転入前の冬期間は逆に太かったかも。水沢2度目の輸送でさらに威力を増してくるに違いない。
エルフィンドールは中央3戦とも二けた着順に終わり、岩手へ新天地を求めて初戦を快勝。2戦目は2着だったが、以降は圧巻の4連勝をマークした。コース替わって水沢・B1昇級戦も一番人気に支持されたが、早めに失速12着。初めて大敗を喫したが、爪の状態がもう一つだったため、その後は休養に入った。
前走が復帰戦となったが、まだ持ち味の粘りが見られず6着。久々の実戦がこたえた印象だった。今度は休み明け2戦目で上昇確実に加え、マイペースの逃げに持ち込める公算大。父ダイワメジャー譲りの強気な先行策で巻き返しに転じる。
サンエントジアスタはデビューが2歳12月までずれ込み、初勝利は翌年7月。8戦を要したが、相手なりに駆ける堅実さが身上。その後は夏負けも影響して420キロの馬体が400キロを割ってしまった。しかし徐々に馬体が回復して終盤2戦2、1着。好ムードでシーズンを終えた。
再開戦はB2へ昇級。相手関係が微妙だったが、タイム差なし2着。減っていた体重も413キロまで回復したのも好材料。このメンバーでも上位争いができれば今後も楽しめる1頭となる。
サンエイマジックは3歳時、当時の岩手クラシック・ダイヤモンドカップ3着、東北優駿(岩手ダービー)3着。古馬A級は荷が重かったが、降格後は4勝マーク。シーズン初出走になったのは挫石のため。無理をせず今回から始動する。久々の実戦はハンデだが、前々走B1戦2着。いきなり勝ち負けのシーンまで。
デルマアシュラは昨年、中央1勝クラスから転入。A級では苦戦の連続だったが、途中にクラス再編成されてC2へ降格。4勝をマークした。ピリッとした脚がないため展開の手助けが必要だが、直線で確実に台頭。マークは欠かせない。
オートヴィルは昨年8月、南関東B2から転入。C1編入にも恵まれて3連勝を飾った。その後は伸びを欠いているが、今回はB2へ降格。一発あるかも。
◎⑨キタノキャスター
〇②エルフィンドール
▲⑥サンエントジアスタ
△⑧サンエイマジック
△⑦デルマアシュラ
△⑪オートヴィル
<お奨めの1頭>
6R メリヴェイユ
札幌ダート1000m1勝から転入。850mは未経験だが、中央1勝クラスでも快速を披露したスピードに注目
18日メインはA級一組による水沢1600m戦「弥生特別」。このレースから白嶺賞、新シーズンの赤松杯へ駒を進めるメンバーがずらり。JRAからピースワンパラディ、レベランスが2頭が転入。十分通用の実力馬だが、ダート戦は未経験。今回は様子見が妥当だと思う。あと1頭ブローヴェイスは中央2戦から再転入。後述するが、こちらはカギを握る1頭になると思う。
主軸はグランコージー。2歳時、6戦5勝の好成績を収めて2歳最優秀馬の栄誉を獲得。以降は岩手、南関東を行き来して岩手一冠目(当時)・ダイヤモンドカップを圧勝。後に年度代表馬に選出されたフレッチャビアンカを相手に鮮やかな逃げ切りを決めた。
逃げタイプゆえに好、凡走の落差が激しいタイプだが、それでも通算11勝。南関東A2戦でも逃げ切った実績があり、昨年11月に3度目の里帰り。初戦を5馬身差で圧勝し、マイル重賞・トウケイニセイ記念へ臨んだが、3コーナーで失速9着。相手が強かった上、マークも厳しかった。続くスプリント特別で反撃が期待されたが、コーナーでもたついて2着。レースに集中していなかった印象だった。
今回は冬休みをはさんで盛岡から水沢へ転厩。リフレッシュできたかが最大ネックだが、水沢1600mは過去7勝と最も得意とする条件。復活の手ごたえをつかむことができるか、格好の舞台と言えるだろう。
グローリーグローリは中央ダート4勝・オープン、障害1勝から昨年3月に転入。あっさり2連勝を飾り、重賞・赤松杯を優勝。続くシアンモア記念5着からあすなろ賞を快勝。重賞2勝目を手にした。一條記念みちのく大賞典4着後、一旦休養。9月に復帰2着にまとめ、健在を誇示したかに見えたが、以降は4、6着。夏負けが尾を引いた。春の目標は赤松杯2連覇。今回は復調度合いを探る一戦になりそうだが、今回のメンバーなら実績上位は明らか。底力で逆転首位まで十分考えられる。
ブローヴェイスは3歳10月、中央芝2、3着1回から転入。いきなり3歳重賞・サファイア賞を快勝し、ダートに替わっても2勝2着1回3着1回。岩手の水が合った。昨年は決して本調子とは言えなかったが、それでも1勝2着3回。8月にJRAへ再度移籍し、2戦15、11着。1勝クラスの壁が厚かった感じだが、二人引きが示すとおり気性難も影響したか。今回の強みは1月末までレースを使われてきたこと。さらに休み明け3戦目と好走条件がそろった。
スパイスマジックは一昨年、中央ダート2勝、園田1勝・A級から転入後、2勝2着2回。重賞・北上川大賞典でも4着を確保し、再び園田へ移籍。実戦は一度のみで10着に終わり、再転入。当初は6月から始動予定だったが、脚部不安のため出走取り消し。9ヵ月半ほど実戦から離れたが、復帰後は1、3、2着。実力確かなことを証明した。
ゴールドギアは中央オープンから転入して芝準重賞・かきつばた賞を優勝。芝交流・せきれい賞2着、OROカップで3着を確保し、最優秀ターフホースに選出された。ダート戦でもあすなろ賞2着、前走2着とこなせる範囲。マークが欠かせない。
マツリダワールドは2歳時、デビュー戦の芝1勝のみだったが、昨年はダートで2勝2着6回。成長著しいところを見せてくれた。古馬A級編入後は未勝利だが、大崩れなし。充実の4歳を迎えて突破を目指す。
◎(5)グランコージー
〇(10)グローリーグローリ
▲(1)ブローヴェイス
△(7)スパイスマジック
△(4)ゴールドギア
△(9)マツリダワールド
<お奨めの1頭>
2R・チェリーブリーズ
大井時代、1000m戦で3勝マーク。JRA3勝クラスでも入着実績があり、C1では能力の違いが明白
17日メインはオープン「スプリント特別」(水沢1400m)。次開催30日(土)に準重賞・奥州弥生スプリント、翌31日(日)に重賞・白嶺賞が控え、その2戦に直結する一戦と見ていいだろう。
主軸にアメージングランを選ぶか、フジラプンツェルを選ぶか迷ったが、アメージングランを本命に推す。デビュー7戦目、名古屋の条件交流で未勝利を脱出して中京ダート1400m戦を快勝。2勝クラスへ在籍し、2022年、高知へ移籍。B級格付けにも恵まれてアッサリ5連勝を飾り、同年に重賞・建依別(たけよりわけ)賞を制し、ほかの重賞でも2着2回3着2回と好走した。
ただ一昨年10月の勝利を最後に白星から遠ざかり、2着4回が最高。今季も3戦3着2回にとどまり、岩手へ新天地を求めてきた。中央時代を含めて過去11勝のうち9勝が今回と同じ1400m戦。加えてほかのメンバーが今季初出走に対し、2月まで実戦を使われているのが大きなアドバンテージ。次開催に同じ水沢1400m重賞・白嶺賞も控えており、勝って弾みをつけたいところだろう。
フジラプンツェルは2歳最優秀馬に選ばれた強豪牝馬。東京2歳優駿牝馬出走後、JRAへ移籍したが、3戦とも 二けた着順に終わり、岩手へ里帰り。帰厩当初は大きく体重が減っていたため放牧に出されて完全休養。馬体回復に専念し、4ヵ月後に復帰。しかし距離が合わなかった上、迫力を取り戻せず2着最高だったが、1200m・絆カップでキラットダイヤの3着に健闘。
これで復調のメドが立ち、盛岡マイル5着から昨最終戦の水沢1400mを0秒7差で完勝。いい形でシーズンを終えた。おそらく今後はマイル以下、もしくは1400m以下をメインに使う予定。父がメイショウボーラーなら納得の選択で以降は白嶺賞から4月28日、重賞・栗駒賞が最大目標になる可能性大。ここは今後への試金石作り。
トキノパイレーツは中央ダート2勝から南関東へ移籍。2019年、重賞・スパーキングサマーカップを制したが、その後は勝利なく2022年10月に転入。初戦を快勝し、好発進。以降も5勝2着1回3着7回。着外は前々走6着一度のみ。それ以外はすべて入着を果たし、相手なりに駆ける堅実さを身上とする。課題は最後の詰めだが、ここでも上位扱いが妥当だろう。
ゼットセントラルはいい脚を長く使え、昨年も3勝2着4回3着2回。最低着順も4着と抜群の安定感を誇った。前走はスローに泣いた一戦だったが、それでも4着確保。今年8歳、仕上がり状態に若干不安が残るが、実戦になれば変わってくるタイプ。やはりマークが欠かせない。
ケイアイサクソニーは一昨年、北海道代表でOROターフスプリントを優勝。連覇を狙って昨年転入したが、3着2回が最高。不本意な結果だったが、ダートもそこそここなせるのが身上。すんなりなら。
トンデコパは2021年、水沢850mコースレコードを樹立し、いまだに破られていない。南関東移籍後は800m、1000mをメインに使われて勝ち負けを演じているが、1400m以上は白星なし。距離対応がネックとなる。
◎⑦アメージングラン
〇⑪フジラプンツェル
▲①トキノパイレーツ
△⑥ゼットセントラル
△④ケイアイサクソニー
△⑨トンデコパ
<お奨めの1頭>
3R リンシャンカイホウ
ダート戦では3着1回が最高だが、今回からC1へ降級。メンバーが大幅に緩和され、チャンス到来
文/松尾康司
先週10日(日)から岩手競馬が再開。初日メインに組まれたのは3歳準重賞「第3回奥州弥生賞」(水沢1400m)。当初、金杯を制したリトルカリッジの登録があったが、牝馬重賞・あやめ賞へぶっつけで臨むためにスキップ。それでも出走12頭のうち10頭の牝馬はエントリー。あやめ賞へ直結しそうなメンバー構成となった。
レースは好枠を利してオフビートが逃げ、2番手にセイバイラック、3番手インにインサリュブル。1番人気レッドオパールは5番手外を追走した。向こう正面でレッドオパールが掛かっていたが、鞍上・山本聡騎手が必死になだめて3コーナーからスパート。そのまま余裕で抜け出すかに見えたが、外に張る仕草を見せたため、方向修正しながらゴール。最後はクビ差でオフビートを退け、転入後、無傷の3連勝を飾った。
山本聡哉騎手「位置取りは出たなり。入れ込んでいたのでその方が落ち着くと思ったし、次走のことも考えた。今回は休み明けで太目。テンションが上がるだろうと想定して抑え気味にレースを進め、直線ではじかせるイメージだったが、外にもたれていた。でも今回はあくまでも叩き台。もたれていたと言っても制御できる範囲内だったし、ハミを変えれば矯正可能なはず。次につながるレースはできたと思います」
菅原勲調教師「パドックで入れ込んでいたのはいつものこと。今日はまだいい方だと思う。今回はプラス30キロだったが、想定どおり。成長分もあると思うし、一度使うとガクッと体重が減るタイプ。いい感じでシーズン入りできた。若干気になったのはもたれていたことだが、勝つことが何より。この後はあやめ賞を使って留守杯日高賞へ向かう予定です」
冒頭に記したとおり最大のライバルはリトルカリッジ。あやめ賞の体重は要チェックだが、着差以上に強いレースぶりだったのは確か。
昨年2歳はフジユージーン、ミヤギヴァリアントが出現したように豊作年。さらにリトルカリッジ、2着に粘ったオフビート、そして今回優勝したレッドオパールなど楽しみな3歳馬がずらり。現時点ではあやめ賞を使う予定だが、状態次第で留守杯日高賞へ直行の可能性大。いずれにせよ転入3連勝レッドオパールの動向にも注目してほしい。
今週の岩手競馬
3月17日(日) メイン11R 「スプリント特別」(オープン 水沢1400m)
3月18日(月) メイン11R 「弥生特別」(A級一組 水沢1600m)
文/松尾康司