10月1日は"THE FINAL"「第36回ダービーグランプリ」(盛岡ダート2000m)。すでに発表どおり、ダービーグランプリは今年で終止符を打つが、無敗の南関東三冠馬ミックファイアが参戦。フィナーレにハナを添えてくれた。
ダービーグランプリ参戦を表明した渡邉和雄調教師に電話インタビューをした。競馬ブックに掲載したのは一部抜粋。ここで詳細を報告したい。電話した時、ミックファイアのオーナーといっしょに牧場巡りの最中だった。
―南関東三冠制覇、おめでとうございます。ジャパンダートダービー(以下JDD)も非常に強いレースだったと思います
渡邉(以下、略)「正直、自分も驚きました。展開は決して楽ではなかったが、それで完勝でしたからね。走るたびに強くなっているのを実感します」
―JDD後は?
「茨城の牧場で休養させました。今年は猛暑でしたが、順調そのもの。無事に夏を越すことができましたし、さらに実が入った感じです。きゅう舎に戻ってきたのは9月21日です」
―早々とダービーグランプリの出走表明をしました
「今後のことをにらんで長距離輸送と左回りを経験させたかった。JRAのレースを使うことを考えると、速いタイムが出る盛岡競馬場がちょうど良かった。現時点ではJBCクラシック(大井)、中京のチャンピオンズカップも視界に入っている。それに最後のダービーグランプリですからね。歴史に名前を残したいと思いました」
ミックファイアのことは皆さんの方が良く知っていると思うので、多くは説明しない。ただ、一つ付け加えたいことがある。デビュー6戦すべてメンバー最速の上がりをマークしている。先行力がある上、なおかつ終いの脚も最速ならば非の打ちどころのないパフォーマンス。間違いなくダート史に残る強豪だ。
マンダリンヒーローはハイセイコー記念まで無敗4連勝を飾り、雲取賞2着後にサンタアニタダービーへ遠征。多くのファンが注目を集める中、直線猛追。惜しくもハナ差2着。勝利を手にすることはできなかったが、本場アメリカでも通用することを証明した。続くケンタッキーダービーは世界ダートの最高峰。12着も仕方なしだった。
帰国初戦に黒潮盃を選び、1番人気に支持されたが、ヒーローコールの0秒3差2着。戸塚記念も1秒3差2着に敗れた。この敗因をどう評価するかだが、大きな光明がある。盛岡競馬場=OROパークはサンタアニタ競馬場を範に設計された競馬場。コース形態がほぼ同じと見てよく、マンダリンヒーローには"経験済み"のコース。ミックファイアが初の左回りが課題に対し、マンダリンヒーローにアドバンテージ。逆転の目はそこにある。
ベルピットは10戦8勝2着2回。敗戦を喫したのはサンライズカップ、JpnIII・JBC2歳優駿のみ。史上7頭目の北海道三冠馬に輝いた。不安はミックファイアと同じく、左回り未経験だが、コーナー4つの盛岡ならさほど苦にはならないはず。今年の三冠馬対決、実はAPインディ系の対決でもある。ミックファイアは父シニスターミニスター、ベルピットは父パイロ。これも今年のダービーグランプリを盛り上げる。
サベージは石崎駿騎手とコンビを組んで徹底した追い込みタイプに変身。京浜盃を鮮やかなまくりで快勝し、羽田盃3着、東京ダービー4着。展開に左右される面はやむなし。ツボにはまるケースも十分ある。今回は4ヵ月の休養からぶっつけで臨むが、森下淳平きゅう舎なら手抜かりなし。少頭数で馬群をさばくのにも苦労しない。
タイガーチャージは北海道2勝、南関東1勝。重賞では入着一杯だが、黒潮盃5着、戸塚記念3着と徐々に成績をあげている。
ニシケンボブは通算8勝。北海道三冠ではベルピットの後塵を拝したが、すべて2着を確保。古馬2戦でも白星をあげ、地力は証明済み。
◎⑦ミックファイア
〇⑥マンダリンヒーロー
▲①ベルピット
△⑤サベージ
△③タイガーチャージ
△④ニシケンボブ
<お奨めの1頭>
9R ナリサ
転入初戦でロングスパートを決めて快勝。今度から古馬B2級馬が相手だが、中央ダート戦2着1回なら十分通用する
先週9月26日(火)、盛岡芝の最高峰「第25回OROカップ」(盛岡芝1700m)が行われ、単勝1番人気に支持されたアトミックフォースが鮮やかな逃げ切りを決めて圧勝。2着ブレステイキングに5馬身差をつけ、ナターレ、ロゾヴァドリナ(3連覇)に続いて史上3頭目の2連覇を飾った。
笹川翼騎手「今回が初めての騎乗だったが、良く教育しているなと思ったし、返し馬も非常に良かったので自信を持って乗れた。位置取りは考えず、まずは出していこうと思っていたが、スタートが素晴らしかったので、シンプルにレースを運ばせてもらった。道中はリズムを優先させ、手応えも上々だったが、連覇はなかなかできるものではないですからね。矢野(貴之騎手)さんが大事にしてきた馬なので、答えを出せてホッとしました」
山下貴之調教師「前回(スパーキングサマーカップ)も状態は悪くなかったが、流れが合わなかった。今回は体も絞れてきたし、芝では能力が違うと思って臨んだ。次走については未定。オーナーと相談して決めたいと思います」
昨年、アトミックフォースはせきれい賞(芝2400m)、OROカップと盛岡芝ビッグ2レースを優勝。コスモヴァシュラン、ロードクエストに続く快挙を果たしたが、今年は2連覇。これで盛岡芝3戦3勝とした。ダート対応も問題なく、今後の動向に注目が集まる。
前後するが24日(日)、牝馬による短距離重賞「第10回ヴィーナススプリント」(盛岡ダート1200m)が行われ、キラットダイヤが7馬身差で圧勝。岩鷲賞3着の雪辱を果たし、同レース2度目の制覇を果たした。
鈴木祐騎手「今日は体の軽さが出てきて、いい状態で走れた。ゲートから自分で行こうという意思があったから、それならば逃げてしまおうと思った。前回は逃げないで不甲斐ない競馬でしたからね。ほかの馬に左右されないで自分で競馬を作った方が力を出せると思う。レース前は2回連続で負けてしまうかドキドキだったが、勝つことができてホッとした。競走馬は年を重ねるごとに衰えていくが、キラットダイヤは衰えなしです」
板垣吉則調教師「前回(岩鷲賞)は3着に負けてしまったが、原因が分からないまま休養に入った、きゅう舎に戻ってもどこも悪くなかったので、普通に走れば勝てると思っていた。次走は予定どおり絆カップへ向かいます」
キラットダイヤは早池峰スーパースプリントに続いて絆カップ3連覇の偉業を目指す。
今週の岩手競馬
10月1日(日) メイン11R「第36回ダービーグランプリ」(3歳・地方競馬全国交流 盛岡ダート2000m)
10月2日(月) メイン9R「オクトーバーカップ」(B2級 盛岡芝1600m)
10月3日(火) メイン12R「第1回ネクストスター盛岡」(2歳 盛岡ダート1400m)
9月24日に行われた牝馬によるスプリント重賞『ヴィーナススプリント』はキラットダイヤが1番人気に応えて優勝。前走の岩鷲賞で敗れた雪辱を果たす復活の勝利を挙げました。
今回はスタートからいつも以上の速さを見せたキラットダイヤは先行争いを制すとそのままペースもコントロール。道中、後続が迫ってくるシーンもありましたが、影を踏ませぬ形でまったく寄せ付けずにリードを拡げてゴール。2着には岩鷲賞でキラットダイヤを破ったトーセンキャロルが食い込んできましたがその差は7馬身。結果・内容共に"強いキラットダイヤ"を見せつけた勝利でした。
ようやく秋が来ました!今週は、日中の日差しはまだ少し強さを感じますがそれもお昼頃の短い間だけ。夕方は上着が欲しいほどの肌寒さです。「暑い」という言葉からもだいぶ離れる事ができました・・・。
とはいうものの、つい先日までは夜も冷房を入れていたくらいだったのが、その次の日には暖房を入れたくなるくらい寒いというのも、ちょっと困りものですよねえ。暑い暑いとうだっていた事を思えば贅沢な悩みかもしれませんが、こう変動が大きいと身体がついていかない・・・。皆さまも体調には十分に注意を。
さて9月26日のメインレースは10Rに行われる芝の地方競馬全国交流重賞『岩手県知事杯OROカップ』。昨年は11月のJBC当日に行われましたが今年は例年の時期に戻っての実施となりました。
このレースの本命は(10)ゴールドギアを採りました。
この春の転入後、初戦はダートの重賞を使いましたが2戦目3戦目は芝路線に戻り、準重賞かきつばた賞優勝、重賞せきれい賞2着。JRAの芝オープンで戦ってきた力量をしっかり発揮しています。
せきれい賞は大井ヴィゴーレに敗れましたが一瞬先頭に立ったところを勝ち馬の末脚で逆転された形の2着。しぶとい末脚を武器にしている一方、一瞬のキレではやや分が悪い。そんなこの馬の持ち味であり弱点が現れた敗戦だったように思います。
芝で戦う以上そういう末脚切れる馬との戦いは避けられませんが、夏場と違って今の時期の芝は切れ味よりもパワー優先。舞台はこの馬のようなタイプの味方でしょう。遠征馬は強力ですが実績でひけは取っていないし、条件も合うのなら戴冠のチャンスは十分にあると判断しました。
対抗は(5)アトミックフォース。昨年のせきれい賞・OROカップを制して盛岡芝の適性・実績は十分。昨年の、7月31日のせきれい賞から11月3日のOROカップへと3ヶ月開いたローテーションに比べて、8月23日のスパーキングサマーCを叩いて1ヶ月で挑んでくるあたりも好印象の臨戦過程と言えるでしょう。連覇あって不思議のない存在。
三番手は(8)ラビュリントスです。こちらも遠征馬ながら盛岡芝で重賞2勝と適性や実績に問題は無し。対古馬では時計面でもう少し欲しいところはありますが、53kgの斤量でカバーはできるでしょうし、何より若さが魅力的。
以下、まずは(13)アーバンキッド。直近の勝ち星はもう2年近く前の話になりますが今季は調子を取り戻して芝で健闘。一昨年2着の実績があるように今の時期の力のいる芝は合うタイプ。もう一頭は(2)ロードクエストに△。せきれい賞は馬の気配ももうひとつに感じたのですが、昨年もせきれい賞大敗からOROカップ3着へと立ち直っておりやはり盛岡芝巧者の一頭。当日の気配次第では厚めの狙いも。
●10Rの買い目
馬単(10)=(5)、(10)=(8)、(5)=(8)、(10)→(13)、(10)→(2)
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24日メインは3歳牝馬重賞「第10回ヴィーナススプリント」(盛岡ダート1200m)。牝馬限定だが、好メンバーがずらり。キラットダイヤ、トーセンキャロルとの3度目対決が最大見ものとなった。
キラットダイヤは2年連続で最優秀短距離馬に選出された名うてのスプリンター。昨年11月、盛岡で行われたJBCスプリントに地元大将格で出走。結果は10着だったが、JBCデー盛岡を盛り上げた。その後は休養に入り、一旦、南関東へ移籍。5ヵ月半ぶりの休養後、船橋1200m戦を使って岩手へ里帰り。早池峰スーパースプリントを完勝し、同レース3連覇の偉業を成し遂げた。
続いて岩鷲賞も3連覇を狙って勇躍登場したが、よもやの3着。トーセンキャロルに完敗を喫した。敗因は逃げ有利の馬場。大本命を背負って3番手外は当然のポジションだったが、ハナレイにも後塵を拝してしまった。その後は恒例の夏休みに入って帰郷。ヴィーナススプリントから始動する。昨年はスキップして同きゅう舎のディアリッキーが優勝。今年、キラットダイヤはヴィーナススプリント2度目の制覇、前走3着の雪辱を果たす。
トーセンキャロルは中央芝1200m1勝、南関東1勝から岩手入り。いきなりひまわり賞(オークス)、OROオータムティアラと牝馬二冠を制した。以降は精彩を欠いて今季初戦の水沢1600m戦8着。陣営は短距離路線へシフトしたのがズバリ。早池峰SS4着から岩鷲賞へ臨み、驚異的な末脚を駆使し、岩鷲賞を完勝した。
クラスターカップ14着はペースも相手も違いすぎて仕方なしの結果。今回、ヴィーナススプリトでキラットダイヤを破ることができれば最優秀短距離馬の可能性も大きく浮上。今回は力が入る一戦となった。
アップテンペストは笠松から再転入。初戦の早池峰SSで2着を死守した。岩鷲賞は逃げたハナレイ、3番手外キラットダイヤの間に入り、息の抜けない厳しい競馬。9着失速したが、続く2戦で連続2着。クラスターカップは13着だったが、逃げたドンフランキーに食らいつき、前回は水沢850m戦をハイタイムで快勝。好、凡走の落差が激しいが、うまく流れに乗れれば2頭に割って入るシーンまで。
セイシークエンスは南関東C1から転入後、5勝2着6回。今季も3勝2着2回3着2回の成績でA級に定着した。近2走は4、5着止まりだが、水沢が舞台。岩手の勝ち星5勝すべて盛岡戦でマークし、コースが替わって反撃。
ノースリュシオルは相手なりに駆ける堅実さが身上。堅実な差し脚を武器とし、1200mも守備範囲。先行激化なら台頭十分。
ボーンブレジーヌは前走、水沢1300mをレコード勝ち。絶好調をアピールした。今回はマークがきついが、絶好枠を生かす。
◎⑨キラットダイヤ
〇②トーセンキャロル
▲⑦アップテンペスト
△⑤セイシークエンス
△⑥ノースリュシオル
△①ボーンブレジーヌ
<お奨めの1頭>
5R コイビトサンタ
一貫してA級をメインに走り続け、前走からC2へ降格。2着に終わったが、相手が強かった。このメンバーなら首位を譲れない
先週は2日間連続で岩手競馬の最高格M1レースが行われた。17日は2歳芝全国交流「第25回ジュニアグランプリ」(盛岡芝1600m)。今年は遠征馬6頭、地元岩手7頭の計13頭で覇を競った。
優勝は北海道代表トワイライトウェイ(父ジャスタウェイ)。道中は5番手インを追走し、直線で外に持ち出すと鋭く反応。メンバー最速の上がりを駆使してルーラーオブダート、エイシンコソンテを並ぶ間もなく抜き去った。
落合玄太騎手「最終追い切りでこれまでの中で一番の動きを見せてくれたし、パドックも落ち着いていたので、いい状態で臨めると思った。内目の枠に入ったが、1枠の馬が速かったので4番手インは想定どおりのポジション。馬の行く気を優先させた。ダートでも1,2着を確保していましたが、手応えがいいのに最後の伸びがもう一つ。ですけど今回は追ってからの反応もすばらしく、芝が合っているなと思いました」
田中淳司調教師「1歳の時からフットワークの良さが目立っていたし、坂路を上がっていく姿もきれいだった。ただ、今の門別みたいなパワーの要る馬場向きではないんでしょうね。認定を取れなったので、取れるのはこのジュニアグランプリしかないと思い、ここを目標に調整してきた。今後については未定。オーナーと相談して決めたいと思っています」
落合玄太騎手は盛岡芝の初勝利をジュニアグランプリで飾ったが、管理する田中淳司調教師は昨年、ラビュリントスに続いて2連覇。通算でも4度目(セラミックガール、パーティメーカー)のジュニアグランプリ制覇。まさに重賞ハンターの面目躍如といった一戦となった。現時点では白紙状態だが、次走決定を待ちたい。
18日は牝馬クラシック三冠目「第4回OROオータムティアラ」(盛岡ダート2000m)。当初、ミニアチュールはダービーグランプリに向かう予定だったが、不来方賞で4着に敗れたため、急きょ路線変更した。
優勝はそのミニアチュール。先手を主張する馬がいなかったため逃げの手。ハイラップを刻み、最後は脚いろが一杯になったが、後続を突き放して2着に2秒2差をつけて圧勝。牡馬二冠に続いて牝馬二冠を獲得した。
山本政聡騎手「逃げにはこだわらず、自分のレースをやり切ろうと思っていたが、競りかける馬がいなかったので逃げることになった。ゲートでおとなしくスタートも素晴らしかった。休み明け(不来方賞)を叩いたので、その気になっていたし、後ろからもついてこない。最後は一杯となったが、牝馬同士なら力が違う。改めてポテンシャルの高さを感じた」
佐藤祐司調教師「不来方賞で敗れたからここに向かうと決めたので、間隔が短いローテーションが心配だった。今回のような牝馬限定のレースは馬の力の差が如実に表れるものだと考えていたので、相手はフジラプンツェル一頭かなと。直線は2頭の叩き合いになるのかなと思って見ていたが、4コーナーを回ったところでは勝ちパターンだなと思った。このレースを使ったのでダービーグランプリへは間隔が無くなくなった。この後は11月のロジータ記念に向かおうと考えています」
不来方賞はよもやの4着だったが、今回はうっ憤を一気に晴らした。ロジータ記念は南関東の強豪がそろうが、ミニアチュールの健闘を期待したい。