2週前の3歳重賞・はまなす賞から今季芝レースがスタート。以前にも報告したと思うが、今年は例年以上に寒さが厳しかった上、雪が少なくて芝の生育が非常に遅かった。
その影響が大きく芝の至るところが荒れていて明らかに途上。レース後の騎手に話を聞くとノメっていた馬がかなりいた。これが芝管理の難しさだろうが、今週は30℃前後まで気温が一気に上がり、芝が生き生きとなっている。
いきなり夏日を迎えて人も馬もとまどっているが、芝に関しては大歓迎。今週は芝競走が多く組まれているので、どんなレースになるか注目してほしい。
1日メインはその盛岡芝2400mが舞台「第8回サファイア賞」(3歳オープン)。翌日に岩手ダービー・ダイヤモンドカップは控え、こちらには3歳の芝巧者が顔をそろえた。
主軸はターントゥタイドに落ち着く。トライアル・はまなす賞を快勝。これで盛岡芝5戦4勝3着1回。唯一の敗戦がプレイアンドリアル相手のテシオ杯ジュニアグランプリでほかはオール白星。芝適性は同世代でも群を抜く存在だ。
ただ前走・はまなす賞はマイナス14キロ、410キロで出走。久々の輸送もこたえたかも知れないが、さらに減っていたら2400mが我慢できるか若干不安。
芝2400mは例外なく超スローの流れとなり、ラスト800mからが勝負。決めて勝負に持ち込めば勝算十分だが、なし崩し的に脚を使うと苦戦を強いられる可能性もある。
ユナイテッドボスはデビュー戦の芝1000mを勝ち上がり、2戦目の芝1600mはリュウノテイオーのクビ差2着。これはキャリア差も敗因だと思うが、リュウノテイオーははまなす賞でターントゥタイドのアタマ差2着。
単純な3段論法でいけばターントゥタイドとの実力差はわずか。芝はその2戦以来、久々。それにとまどわなければ初重賞も決して夢ではないはず。中間に追い切りを2本消化して態勢も万全だ。
ムーンドロップは中央2戦0勝から転入後、圧巻の3連勝をマーク。ゲート難を抱えて岩手でも2度出遅れたが、豪快なまくりを披露した。父がアドマイヤムーン、母父がダンシングブレーヴなら2400mは望むところ。仮に出遅れを喫してもこの距離ならほとんど影響なし。まだ3歳C1を勝ったばかりだが、最も怖い存在となる。
ドラゴンチャンプは北海道、岩手と転籍して3着4回が最高。相手なりに駆けるタイプで大崩れしないのは魅力だが、その半面で詰め不足。それならば2400mのスタミナ勝負が向くかもしれず、マーク欠かせない。芝も3戦して3着2回と苦手感はまったくない。
コスモリリパットは岩手転入後、3戦3勝。いずれもワンサイドで決め、はまなす賞1番人気で出走。陣営も期待大だったが、冒頭に記した芝状態にのめって5着止まり。これは適性よりも馬場に泣いた印象で一戦のみで見限るのは早計だろう。
◎(1)ターントゥタイド
○(4)ユナイテッドボス
▲(7)ムーンドロップ
△(6)ドラゴンチャンプ
△(5)コスモリリパット
<お奨めの1頭>
7R ファーストプレスト
大井デビューで半年の休養を経て転入。当初は太め残りだったが、一戦ごとに体が絞れて前回待望の初勝利をマーク。これで軌道に乗ったのは確か
一昨年の安田記念3着、そしてアーリントンカップ(GⅢ)を優勝したコスモアンカーが岩手へやってきた。
所属厩舎は盛岡・桜田浩樹厩舎。すでに馬場入れを開始したが、サークル内で話題持ち切り。筋肉隆々でほかを圧倒。担当厩務員も胸前、後肢の張りがすばらしく「まるでボブ・サップのようだ」とべた褒め。
今後は芝、ダート短距離の両にらみでローテーションを組んでいくという。現在、古馬の王道をナムラタイタンが突っ走っているが、それに勝るとも劣らない大物の転入。今後の動向も逐一、報告をしていきたい。
5月31日メインは盛岡芝1700m「グリーンチャンネルカップ」(B2)。5月19日、B2・芝1600mを使った馬が12頭中9頭。まさに重要な参考レースとなったので、まずは振り返ってみたい。
大外12番枠に入ったホアピリが1コーナーでは3番手だったが、そこからハナを主張。マイペースの逃げに持ち込んだ。2番手キャメロンフラワー、好位外にリビングストン、中団にラブソング。マイネリッカは中団より後ろに待機し、コスモアンカーは最後方からの競馬。
快調に飛ばしたホアピリが直線で一杯となり、替わってリビングストンが先頭。しかしその外からマイネリッカがメンバー最速の上がりを使い、鋭く伸びて1着。2着にリビングストンが粘り、コスモアンカーは最速タイの上がりを駆使したが、道中の位置取り差で0秒5差4着にとどまった。ホアピリは0秒7差6着だった。
以上のレース内容から主軸はマイネリッカで大丈夫。距離1700mも過去2戦2勝と望むところ。ステイゴールド産駒は盛岡芝1700m戦の相性も抜群だ。
リビングストンは改めて芝適性の高さを誇示した。ただ1700m延長が微妙。あとはレース運びのうまさで距離を克服したい。
コスモアンカーが先着する可能性も十分ある。先にも記したように前走でいい脚を使ったが、最後方からの競馬で3、4コーナーで外を回って進出。盛岡芝でその時点からスパートをかけると終いの伸びを欠くケースが多く、積極策を条件に好勝負に持ち込める。
未対決組ではエンジェルブレイヴが不気味。前回快勝し、一戦ごとに調子を上げているのは確か。また芝も3歳・地方競馬交流オパールカップで2着を確保し、芝適性も高い。理想は馬場が渋ることだが、流れ次第で単まで。
ラブソングはマイネリッカの0秒5差5着。詰めの甘さがつきまとうが、それでも直線で確実に台頭。前崩れの展開なら浮上のシーンまで。
あとは転入3戦目で連対を確保したサクラルモンド、前走大外から果敢に逃げて見せ場作ったホアピリは絶好の1枠。こちらも軽視できない。
結論は(2)マイネリッカを1着固定に相手(11)、(6)、(12)。3着押さえに(10)、(3)、(1)。
◎(2)マイネリッカ
○(11)リビングストン
▲(6)コスモアンカー
△(12)エンジェルブレイヴ
△(10)ラブソング
△(3)サクラルモンド
△(1)ホアピリ
<お奨めの1頭>
1R メイクイットホーム
5ヶ月ぶりの前走、出遅れながらも馬なりで圧勝。スケールは間違いなくオープン級と見ている
25日メイン「第15回あすなろ賞」へロッソコルサが登場する。昨年9月、青藍賞優勝以来、8ヶ月ぶりに戦列復帰する。
ロッソコルサは父がデュランダル、母父ティンバーカントリー。年度代表馬ベラミロードの近親でJRA・新潟2歳新馬戦(芝1400m)を快勝。
その後、4戦を使って2012年4月、岩手へ転入。スプリングカップ、七時雨賞と特別2連勝を飾り、岩手ダービー・ダイヤモンドカップへ出走。1番人気に支持されたが、2歳チャンピオン・アスペクトが驚異的な粘りを発揮して2着。
以降も惜敗が続いたが、不来方賞を皮切りにダービーグランプリ、桐花賞と重賞3連勝を飾り、ロックハンドスター、カミノヌヴォーに続いて3年連続で3歳馬が年度代表馬の栄誉を獲得した。
昨年は全国制覇の構想も描いていたが、前年の疲労が取れなかったのか、勝ちきれないレースの連続。ようやく青藍賞を勝ち上がり、秋の重賞路線を歩もうとしたが、体調が芳しくなく思い切って休養。北海道に移動してリフレッシュに専念した。
現在、岩手オープン戦線はナムラタイタンが席巻。他の馬は太刀打ちできないのが現状だが、ロッソコルサが復帰すれば俄然、興味倍増。どこまで回復できたか、予想を抜きにしても楽しみだ。
今回、あすなろ賞には赤松杯、シアンモア記念を圧勝したナムラタイタンはみちのく大賞典へ直行。またもう1頭の注目馬、岩手12戦12勝のコミュニティも前日の平場戦に回り、手薄なメンバーは明らか。ロッソコルサが弾みをつけるのには格好の一戦となった。
ダノンボルケーノは今季4戦3勝2着1回。特別開催のA級戦でコミュニティの2着を確保し、格付け再編成で新年度(4月)からB1へ降格。メンバーにも恵まれて2連勝を飾り、A級復帰戦も快勝。完全に勢いづいた。
ただ、これまでとはメンバーが一変。大幅に強化された上、1800mは気持ち長い印象もあるが、今の充実度をもってすれば突破は十分可能だろう。
ミキノウインクは休み明け初戦こそ7着に終わったが、叩かれて気配アップ。前走・シアンモア記念は得意の盛岡にも替わり、4着に善戦した。しかも今回の舞台・盛岡ダート1800mは3戦3勝ともっとも得意とする条件。牡馬を一蹴するシーンまで。
コスモイフリートは中央ダート3勝・1000万下から南関東4戦を経て転入。岩手初戦はインを突いて3着に突っ込み、前走は中団キープから抜け出しを決めて快勝。上昇一途をたどっている。盛岡は初めてだが、中央3勝のうち2勝は左回り。むしろ歓迎と見るべきだろう。
コウギョウデジタルはシアンモア記念6着だったが、ナムラタイタンの速い流れに追走して見せ場は作った。盛岡は反応が鋭く、4歳馬が着実に成長している。
カミノマーチはマイルがベストだが、転入3戦とも入着を果たした堅実さが身上。3連ものには欠かせない存在となる。
◎(4)ロッソコルサ
○(7)ダノンボルケーノ
▲(6)ミキノウインク
△(9)コスモイフリート
△(10)コウギョウデジタル
△(3)カミノマーチ
<お奨めの1頭>
2R ショウナンガーラ
転入初戦を5馬身差で圧勝。馬格にも恵まれて将来性も確か。追いかけて損はないだろう
今週24日からオーストラリア・タスマニアレーシング所属の西谷泰宏騎手が岩手で騎乗する。騎乗期間は5月24日から7月28日の約2ヶ月間(6開催)。これまでオーストラリアで通算1193戦54勝の成績を残している。
今回、水沢・関本浩司厩舎へ所属。小さい頃、父親に阪神、京都競馬場などへ連れられて競馬観戦するうち、競馬が好きになったという。
その延長線上で帯広畜産大学に入学したが、牛がメインだった志と違ったので一念発起。1年間、バイトでお金を貯めてオーストラリアの競馬学校へ入学。卒業して1年後、調教助手の免許を取得したが、騎乗するうちに騎手を目指したいと思い、ついには夢を実現するに至った。
騎手免許に合格後、ずっとタスマニアレーシングで騎乗していたが、同じオーストラリアの競馬学校出身の藤井勘一郎騎手(現在は釜山で騎乗中)が海外で活躍しているのに触発され、今回の岩手で騎乗する運びとなった。
さっそく初日24日からメイン・新緑賞でシルキーマーチを含め、計6レースで騎乗。まずはどんなレースを披露するか注目してみたい。
C1特別「新緑賞」は盛岡芝1000mが舞台。このレースを皮切りに姫神賞(B2 7月26日)、FM岩手杯(B1 9月22日)、重賞格上げハーベストカップ(オープン 10月12日)と王道を歩み、交流重賞・OROターフスプリント(10月25日)まで芝1000m戦線を一つ一つ登り詰める可能性があり、目が離せない一戦と言える。
その最有力候補はエスカーダ。中央芝1200mで3勝マーク。2歳時に朝日杯FSにも駒を進めた(10着)実績がある。
2012年3月以降、白星から遠ざかっていたためC1へ編入。準オープンに在籍した馬がこの格付けは恵まれすぎた。しかも芝1000mなら全能力を発揮できる舞台。幸先のいいスタートを切ること必至だ。
単不動。相手筆頭にソヴリンを指名する。一昨年、芝1000mのB2特別・姫神賞を豪快にまくって快勝。適性の高さを誇示した。
今季休み明け初戦のC1特別・大屋梅賞で2着に善戦し、前走も3着確保。例年以上に順調なシーズン入りを果たしたのが心強い。
エーシンホーマーは前走、ダート1000mで9着に終わったが、出遅れを喫して自分の競馬ができなかったのが敗因。中央1勝をダート1200mでマークし、短距離適性は間違いなくある。
ネックは芝レースの経験がないこと。未知数の部分が多いが、絶好の1枠を引き当てたのは見逃せない。好スタートを決めれば好勝負に持ち込める。
シルキーマーチは岩手3戦とも大敗だったが、中央時代は芝1600m以下で2着3回3着3回。芝に替わって反応が一変の可能性がある。コンビを組むのは冒頭にも記したオーストラリアン・ジョッキー西谷泰宏騎手。
テンプトミーノットも岩手2戦とも9着だが、小倉芝1200mで3着。走破タイム1分7秒8が不気味。あとは1000mベスト、パッシートジビッボも押さえが必要。
◎(5)エスカーダ
○(10)ソヴリン
▲(1)エーシンホーマー
△(2)シルキーマーチ
△(6)テンプトミーノット
△(8)パッシートジビッボ
<お奨めの1頭>
11R コミュニティ
翌日25日メインの重賞・あすなろ賞へ出走していても首位疑いなし。岩手入り後、12戦12勝ととどまるところを知らない。連勝をどこまで伸ばすか楽しみ
今回の前振りは、次週・24日から期間限定騎乗を行う西谷泰宏騎手のことを紹介します。
西谷騎手はオーストラリア・タスマニア地区で騎乗している日本人ジョッキーです。福岡県出身の32歳。2007年に見習い騎手のライセンスを取得、その後2011年にフルライセンスを取って、ここまでの通算成績は1193戦54勝(2014年3月まで)となっています。
オーストラリアで騎乗する騎手が岩手で期間限定騎乗するのは昨年の太田陽子騎手に続いて2人目。「オーストラリアでデビューした日本人騎手」で括ると菅原俊吏騎手もそうですから、通算3人目という事になりますね。
先の5月13日に日本の免許を取得、その足で水沢入りしていて、既に調教にも騎乗しているとの事。
西谷騎手は「昨年の太田騎手が大活躍していたので、その後に来るのはちょっと気が引けますね(笑)。乗せていただけるレースを一つ一つ大事に乗っていきたいと思っています」と語っておりました。
確かに昨年の太田騎手は時期的な部分でも恵まれ、"出来過ぎ"の面がありました。それと比べてどうこう・・・というわけにはいかないでしょう。ここは西谷騎手の戦い方で、西谷騎手らしい結果につなげてほしいですね。
●10Rの買い目
馬単(8)=(4)、(8)=(2)、(8)=(3)、(8)=(12)、
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