5月4日、盛岡ダート1800mを舞台に行われた3歳重賞「第27回やまびこ賞」はライズラインが7馬身差で圧勝。南関東から帰郷初戦を白星で飾った。
南関東2戦とも着外に沈んだが、馬体重が岩手在籍時に比べてマイナス10キロ以上減。京浜盃後、一度放牧に出て立て直しを図ったが、赤血球が増えて疲労のあとがはっきり。どこまで疲れが取れたかが懸念材料だった。それに伴い、2歳時は元気が良すぎてスタッフが余し気味だったが、大人しくなってなかなか気が入らなかった。
それゆえ陣営も半信半疑でやまびこ賞に出走させたのだが、パドックに入って気合いが一変。コンビを組む小林騎手もそれを見て一安心したという。
レースではいつもどおり逃げの手に出て、3コーナーから仕掛けると後続をジワジワと突き放し、直線は独壇場。2着シグラップロードに7馬身差をつけ、貫禄の違いを見せつけた。
再び小林騎手「内枠だったので包まれるよりは逃げた方がいいと思った。道中の手ごたえがよかったし、追い出してからも反応があったので大丈夫だなと。それでも着差をみてびっくり。盛岡コースが合うし、今回の内容なら2000mも問題ない。ダイヤモンドカップも楽しみにしている」
一方、ラブバレットは4着。若干出負けを喫し、2番手につけるまで結構、手が動いていた。またライズラインについていけたのは4コーナーまで。あとは直線一杯となってしまった。立ち直るにはもう少し時間がかかるかもしれない。
6日メインは「スプリント特別」(オープン 盛岡ダート1400m)。主軸はコスモフィナンシェで動かない。
中央2戦0勝から転入後、叩かれるたびに力をつけ、ついには岩手伝統のみちのく大賞典を優勝。さらにはマイル重賞・すずらん賞も制し、一気に頂点に君臨した。
その後は精彩を欠いて栗駒賞10着後、名古屋へトレード。1400m戦1勝から岩手へ里帰りした。初戦に水沢1400m戦を選び、2着に3馬身差で圧勝。元々、1400m8勝と適性の高さには定評があったが、地力の違いがマザマザだった。
今回は盛岡ダート1200mが舞台。みちのく大賞典=2000mも勝っているが、本質的には快速が身上。すでに勝負付けが済んでいるメンバーだし、さらに甘くなっているのは確か。シアンモア記念をスキップし、万難を排してこのレースに臨む。
焦点は相手探しに絞られ、筆頭はスズヨシーズン。3ヵ月半ぶりの前走はいつもどおり後方待機策から直線一気に伸びて2着。コスモフィナンシェには離されたが、短距離で自身の能力を最大発揮した。
スズヨシーズンは追い込み馬だが、典型的なスプリンター。先行有利の馬場であるのは不利だが、それでも対抗は譲れない。
ヒシジェントリーは大きく狙ってみたい。南関東B3から転入。半年ほど実戦から離れ、レース勘を取り戻せず6、8着だったが、タイム差を詰めているのは見逃せない。しかも1200mは<3.1.0.3>とベストに近い条件。先行力もあり、ソロソロ一発がありそう。
レオパルドゥスは中央500万下から転入。2戦とも6着止まりだが、1600mでも折り合いを欠いていたのを見ると短距離向きの可能性十分。それを見越してスプリント戦に駒を進めてきた。
ヒカルジョディーは今季2戦とも自慢の末脚が不発に終わっているが、前走はナムラタイタンを始め、岩手の一線級が相手。相手が楽になって反撃に転じて不思議はない。あとは3歳からの挑戦ジャリーヴは現時点で古馬オープンは荷が重い気がしないでもないが、全馬57キロに対し、52キロの軽ハンデが魅力。
◎(2)コスモフィナンシェ
○(9)スズヨシーズン
▲(7)ヒシジェントリー
△(1)レオパルドゥス
△(8)ヒカルジョディー
△(6)ジャリーヴ
<お奨めの1頭>
8R ケイアイブリザード
今季はC2へ降格し、相手が甘く2戦目から圧巻の3連勝中。クラスが一つあがったが、元A級馬。ここも楽々と突破
4日メインは3歳重賞第二弾「第27回やまびこ賞」。スプリングカップは水沢1600mが舞台だったが、今度は盛岡ダート1800m戦。
昨シーズンまでなら条件が変わってもライズライン、ラブバレットの本線は動かず、焦点はどちらに軍配が上がるかだけだった。
ところがラブバレットはスプリングカップ4着。休み明けだったにもかかわらずマイナス16キロと大幅な体重減。菅原勲調教師「歯替わりで飼い葉が上がった」とのことだった。
正直、装鞍所でラブバレットを見て驚いた。細くなっているとは聞いていたが、想像以上。毛ヅヤも張りもなく、まったく迫力が感じられなかった。
肝心のレースでもスタートから斎藤雄一騎手が追いっ放し。いつもは軽快に先行するタイプなのだが、ようやく3番手をキープできただけ。4コーナーまでは何とかがんばったが、直線で伸びを欠いて馬券対象から外れてしまった。
「前回(スプリングC)より調子は上がったが、まだまだ本調子になっていない」と菅原勲調教師。これをどう評価するか迷った。
一方、ライズラインは2歳三冠がかかった金杯でラブバレットの2着に敗れた後、南関東へ移籍。雲取賞11着、京浜盃13着と大敗を喫し、岩手へ里帰りした。
こちらも気になるのが金杯で468キロあった馬体重が454、5キロまで減っていたこと。それで一旦放牧に出て水沢の千葉幸喜厩舎へ戻ってきた。
追い切りでは半マイル49秒台をマークして一応態勢を整えてきたが、「まだ気がない」と小林俊彦騎手が語ったのが不安材料。盛岡輸送でスイッチが入る可能性があるが、現状では強い印をつけることができない。悩ましい限りだ。
そうなると順調度が何よりも強み、シグラップロードを主軸視したい。昨年はライズライン、ラブバレットの二強に歯が立たなかったが、前走・スプリングカップで豪快なマクリを決めて快勝。待望の重賞タイトルを手にした。
盛岡へコース替わりは決してプラス材料ではないが、一冬を越して成長したと解釈。やまびこ賞も制すれば本物。今回が真価を問われる一戦となる。
ユナイテッドボスもひと皮むけた。3月の特別開催でシグラップロードを交わして1着。着差はクビだったが、内容的には完勝だった。
スプリングカップはシグラップロードに完敗3着だったが、1枠が災いしてなし崩し的に脚を使い、末伸び切れなかったもの。これで判断を下すのは早計だ。
左回りだとササるクセがあり、それでもたつく可能性あるが、びっしり追い切りを消化して万全の態勢。今回が初重賞を手にする絶好のチャンスとなった。
フラッシュモブは3歳牝馬交流・留守杯日高賞から連闘で臨むが、笠松時代にも経験豊富。その日高賞はスローの流れに落とされたのが致命傷。結果、先行競馬で決着したのは運がなかった。決め手勝負なら牡馬にも引けを取らない。
◎(10)シグラップロード
○(8)ユナイテッドボス
▲(4)ラブバレット
△(2)ライズライン
△(1)フラッシュモブ
<お奨めの1頭>
8R コスモリリパット
岩手転入後、アッサリ2連勝。内容も文句なしだった。仮にやまびこ賞に出ても勝ち負けに持ち込めるほどの強さだった
今週から盛岡競馬場が舞台。3日(土)から6日(火)までの4日間連続開催で行われる。
まずは現在の馬場状況をお伝えしたい。馬場を管理する岩手県競馬組合・中村真也氏。「休催明けですので把握しづらい面はありますが、先週時点では深めでした。ただ、中間に雨が降りましたから、それがどう影響するか。水を含んでいると速い時計決着になると思いますが、基本的には平均値の馬場で開幕日を迎えたいですね」
また盛岡自慢の芝コースについて。「昨年もそうでしたが、今年の冬は寒さが厳しかった上、雪が少なかったせいか例年以上に芝の生育が遅れています。ですが、次開催から芝競走がスタートしますから、スタッフが一丸となって間に合わせたいと思っています」
今年も芝競走のこけら落としは3歳重賞「はまなす賞」(5月18日 芝1600m)。我々も芝のスタートを心待ちにしている。
3日メインはB2級馬による盛岡ダート1800m戦「メイカップ」。馬場傾向をしっかりと掴んでメインレースへ臨みたい。
主軸はイマジンジョン。南関東から再転入し2戦2勝。全く危なげのない内容で完勝した。水沢から盛岡に替わり、負担重量も1キロ増えたが、おそらく問題ないはず。軸としての信頼度は高い。
逆転筆頭はヴェルシュナイダー。こちらは名古屋から再転入して2、4着。前走・エイプリルカップは気難しい面をのぞかせて道中で鞍上に反発していた印象。それでも直線ではしっかりと伸びてイマジンジョンに0秒2差。
また2着アラマサコマンダーとの0秒1差は内と外を回ったロスも大きかったと解釈。集中力さえ持続できれば反撃十分。
アラマサコマンダーは昨年までA級に在籍して2着2回。降級の今季は未勝利ながら2着2回3着1回と安定した成績を残している。
意外にも盛岡芝は経験豊富だが、盛岡ダートは今回が初めて。差し脚を武器とするタイプで大丈夫だと思うが、未知数であるのは間違いない。
サダチカガーベラは置かれる脚質が災いして入着止まりだが、前走・エイプリルカップでメンバー最速の上がりを披露。大外から鋭く猛追してヴェルシュナイダーとはタイム差なし5着。展開の手助けが必要だが、ハイペースなら突き抜けるシーンまで。
インピースは前回快勝。盛岡未勝利がネックだが、弾みついた今なら克服十分。あとはうまく流れに乗った際のカーリーネイトも軽視できない。
◎(10)イマジンジョン
○(5)ヴェルシュナイダー
▲(6)アラマサコマンダー
△(1)サダチカガーベラ
△(4)インピース
△(7)カーリーネイト
<お奨めの1頭>
6R アスペクト
今季、最下級C2降級で1勝のみは不満だが、元々が盛岡で全能力を発揮するタイプ。転入馬クリノグランデと一点勝負