さあ、岩手競馬の通常開催もこの14日でいったん締めという事になりました。
今シーズン、昨年の4月から日曜日までのべ1340レースが行われてきました。今日の11レースをあわせると1351レース。たくさんのドラマがあったわけですねえ。
馬の方ではいろいろ浮かんできますけども、自分のベストレースとすればやはりダービーグランプリでしょうか。一騎討ちの死闘・ダイヤモンドカップも捨てがたいですが、やっぱりDGかな。どっちもロッソコルサですが、春から冬にかけての同馬の成長度というのはなかなかたいしたものだったと思います。
人の方では、不動のトップ・菅原 勲騎手が引退して調教師となって、その跡を誰が埋めるか?が注目でしたが、トップはある意味順当に村上忍騎手が取って代わりました。しかし2番手以下は若手がずらっと占めてきて、新しい時代を実感させる形になりました。
岩手競馬の次の開催は3月23日からの特別開催。データ上は2012年シーズンの中に含まれるのですが実質的に来季のスタートになります。人も馬も今の勢力図が来季も続くのか?それぞれが来シーズンをどんな形でスタートさせるのか?約2ヶ月先をご期待の上お待ちください!
13日メインは岩手競馬最強馬に敬意を表して創設された「第13回トウケイニセイ記念」。岩手で現役生活を送ってレース名となったのは1つのみ。フェブラリーステークスを含めてGⅠを3勝したメイセイオペラでさえ、いまだ重賞名になっていない。これがトウケイニセイの偉大さをすべて物語っている。
トウケイニセイは盛岡近郊の馬っこパークで余生を送っていたが、昨年3月(2012年)に急逝した。前年9月にはOROパークへ初めて脚を踏み入れ、ファンの前に元気な姿を披露。今にも走り出しそうな仕草を見せ、当分は大丈夫だろうなと思っていただけにショックが大きかった。
現在、水沢競馬場のスタンド1階でメモリアル展が開催されている。オリジナルの特製ぬいぐるみ、優勝トロフィー、口取り写真など貴重な数々が展示されている。また全レース映像も放映されているので、ご覧になってほしい。展示は14日まで。もしかすると最後になるかもしれない。
本題に戻る。昨年のトウケイニセイ記念は10番人気ヒカルジョディーが優勝。2着にリリーレインボー、3着シャイニーハリアーと入り、馬単51320円、3連単252560円の超万馬券が飛び出した。波乱の目もたっぷり含んでいることを前提にしてほしい。
主軸にシャイニーハリアーを抜擢。白嶺賞は果敢に逃げたが3着。優勝したクレムリンエッグとの差は0秒6と決定的とも言えるが、前半3ハロン36秒4のハイペースを形成。末が甘くなっても仕方なしだった。
決して逃げにこだわらないタイプだし、今回はそれほど流れが速くなるとは思えない。自分の競馬に徹して悲願の重賞を手にする。
コパノマユチャンの足跡はすばらしい。直線一気を決めて芝特別・桂樹杯を優勝。交流芝重賞・OROカップで岩手最先着3着、水沢1400m重賞・栗駒賞優勝。そして前走は内が極端に深い馬場でインでの競馬を強いられたが、直線でも気力が衰えず0秒1差2着。勝ったクレムリンエッグ以上に強いレース内容だった。
クレムリンエッグは中央ダート1200m1勝、ダート1000m1勝。短距離適性を生かして白嶺賞を快勝した。持ち味はいい脚を長く使えること。展開がはまれば再現も十分にある。
サーストンサブリナは中央2歳新馬(新潟ダート1200m)を1秒8差で圧勝した逸材。その後は頭打ちのレースを続けていたが、ほんとんどタイム差は1秒以内。岩手初戦の1800m戦をアッサリ逃げ切ったのも納得。マイル短縮は望むところ。
ジョーモルデューは桐花賞3着だったが、ズブさも一方では目についた。忙しい競馬必至のマイル対応がカギ。前崩れが好走条件か。
◎(4)シャイニーハリアー
○(6)コパノマユチャン
▲(8)クレムリンエッグ
△(9)サーストンサブリナ
△(12)ジョーモルデュー
<お奨めの1頭>
4R ソングライダー
意外に乗りこなすのに難しいタイプ。前走はテン乗りだったため中団のままに終わったが、主戦の山本聡哉騎手に戻れば首位奪回は濃厚
泣いても笑っても残り3日間。今週12日(土)~14日(月)を持って岩手競馬は約2ヶ月間の冬休みに入る。今年は例年以上に寒さが厳しく、各厩舎とも調整に苦労し、またジョッキーたちは満身創痍で騎乗。この3日間も熱いレースを―と願わずにはいられない。
12日メインはA級二組・B1一組による「Zプラザアテルイ賞」(水沢1600m)。58キロを背負うA級在籍馬、56キロのアドバンテージがあるB1級馬が3頭の計6頭。しかも有力馬はほぼ絞られ、トーホクアロー、ゴールデンコンパスが人気を集める。
馬券購入のポイントは馬複(馬連)勝負ならトーホクアローが軸。馬単勝負に出るならゴールデンコンパスだろう。
トーホクアローは3歳重賞でも上位を賑わし、ファン投票・桐花賞でも強豪メンバーがそろった中で4着。3着ジョーモルデューとは0秒2差。改めて底力のあることを証明した。相手なりに駆ける堅実さが最大のセールスポイント。
ただ勝ち味に遅く、今季2勝のみ。メンバー弱化されても勝ち切れないレースが続いている。それゆえ馬単勝負ではリスクが怖いところがあり、馬複の軸と見るのが妥当。
対してゴールデンコンパスは高知から転入初戦、グラスシューター、フェルマグリオ、シャインリーオウなど好調メンバー相手に快勝。B2だったが、オープンまでノンストップを誰もが疑わなかった。
ところが以降、6、9、6着と凡走。気難しい面をのぞかせて前途多難を思わせた。当の菅原勲調教師も頭を悩ませていたが、前回は2番手追走から4角先頭で圧勝。3戦着外のうっ憤を一気に晴らした。
トーホクアローが戦ってきた相手を考えると、ゴールデンコンパスはやや分が悪く、信頼性もひと息。しかし気分屋ゆえ、相手強化うんぬんより自分の競馬ができるか否か。すれに尽きる。
今回は56キロとトーホクアローとは2キロのハンデ差があり、少頭数だけではなく単騎逃げが明白。トーホクアローに人気が集中したら、馬単勝負は妙味たっぷりだ。
キタイセユニバースは各地を転籍し通算12勝2着13回。名古屋A級からの転入で勝てるチャンスは何度かあったが、2着1回が最高でいまだ未勝利。最後の詰めに課題を抱えたまま今回を迎えた。格は前記2頭より明らかに上位。割って入るシーンまで。
あとは次第に尻すぼみの成績が気になるコアレスガバナーだが、ここまでメンバーが甘くなれば上位入線の可能性がある。
◎(4)トーホクアロー
○(2)ゴールデンコンパス
▲(3)キタイセユニバース
△(6)コアレスガバナー
<お奨めの1頭>
2R ゴールデンドロップ
前走・桐花賞はいきなりオープン馬が相手。10着も当然だった。自己の条件に戻って今度こそ待望の初勝利を飾る
6日メインは明け3歳馬の重賞「第39回金杯」(水沢1600m)、10頭立て。偶然だが、有力馬がほとんど外枠に入った。当日の馬場状態はまだ分からないが、仮に内コースが有利でも序列はほとんど変わらない。
断然の主役を演じるのはロックハンドパワー。南部駒賞は伸びを欠いて5着に終わったが、前後の若駒賞、寒菊賞と重賞2勝。特に南部杯敗戦後の寒菊賞では2番手追走から5馬身差で圧勝。強いロックハンドパワーが戻ってきた。
先日、菅原勲厩舎へお邪魔してロックハンドパワーに会ってきたが、馬房内ではゆったりとくつろいで、我々が顔を見せても非常に人懐こかった。他の馬も同様だが、スイッチの切り替えがどの馬もうまくいっている印象。
ロックハンドパワーは装鞍所へ行くとテンションが上がりすぎる嫌いがあるが、レースになると走ることに集中。鞍上の指示にすばやく反応するのが何よりもすばらしい。
もう一つ付け加えればデビュー当時に比べて体重が10キロも増えていること。最初は牡馬にしてはきゃしゃなイメージもあったが、寒菊賞では全体が大きくなった。それを裏付けるように村上忍騎手が「久々に鞍をつけたが、ずいぶん背が伸びたなと思った」という。
マンセイグレネードはデビュー2戦目の芝・若鮎賞を優勝。その後を無理のないローテーションを組み、今回が8戦目の実戦。唯一、連闘で臨んだのが知床賞で8着に凡走。その後はジックリ立て直しを図り、寒菊賞へ挑戦。
初の水沢、初めて内に入れて砂をかぶる厳しい競馬だったが、直線も最内を突いて2着確保。「初モノ尽くしでこの結果を出せたので2着でも納得。今後に向けても収穫の多い一戦」と櫻田浩樹調教師。
今回も万全の態勢で臨み、ロックハンドパワーとの差をどこまで詰めるか。メンバーを考えると逃げの手も十分考えられ、カギを握る1頭にもなった。
ブラックタイガーは北海道2勝から転入。まだ重賞経験はなかったが、スケール大きく2連勝を飾った。「連闘で使うけど反動がないタイプ。どこまで通用するか楽しみ」と担当厩務員。
ブリリアントロビンも北海道2勝からの転入馬。初戦を好タイムで勝ち上がり、牝馬交流・プリンセスカップへ挑戦。かつて同じ舞台で戦ってきた北海道2歳牝馬相手に、馬群を割って快勝。すばらしい根性を披露した。牡馬に混じってもまったく遜色はない。
テンショウリバイヴは寒菊賞で2番人気に支持されたが、中団のまま8着。「泥をかぶるのを嫌がったのか、首を上げて走っていた」(山本聡哉騎手)。今も同じ馬場で1枠が微妙だが、常識にかからない面があり、前走のみで見限るのは早計だろう。
◎(10)ロックハンドパワー
○(8)マンセイグレネード
▲(7)ブラックタイガー
△(9)ブリリアントロビン
△(1)テンショウリバイヴ
<お奨めの1頭>
4R シルクベルジュール
前走はC2からC1特別へ挑戦。強豪メンバーをモノともせず、逃げ切り完勝。再びC2相手なら役者が違いすぎる
今年は1月2日、3日の開催からスタートし、一日置いて5、6日の開催。ここ数日、強力な寒波が岩手を襲い、盛岡競馬場は30センチ以上の積雪。日中でも氷点下を観測して厳しい寒さが続いているが、厩舎関係者は一日も休まず調教をこなしている。
レース当日でも雪、強風などが吹き荒れ、馬場も極端な不良。そのような中で熱い戦いを繰り広げている競走馬、ジョッキーたちには頭が下がる思い。残すところ次週を含めて5日間。今週も白熱したレースを期待したい。
5日(土)メイン10レースはB1二組・B2一組による「オッズパーク賞」(水沢1600m)。主軸はサダチカガーベラ。今季も元気に走り続け、すべて電光掲示板に載る堅実さは健在。特に不良馬場を得意としている。
前走・ゴールデンジョッキーズシリーズ第2戦は5着止まりだったが、ちょうどスパートかけるときに前がふさがる不利。これが痛かったが、それでも直線で鋭く伸びて0秒4差まで肉薄した。
加えて仕掛けどころが難しく、テン乗りでは苦労するタイプ。主戦の山本政聡騎手に戻り、メンバーも緩和。さらにはB1馬とは2キロのアドバンテージもあり、巻き返す条件がほぼそろった感じだ。
相手はケイエムサウザー。北海道7勝・B3から転入。初戦は逃げて3着を確保し、前走は2番人気に支持。絶好の2番手を進んだと思ったが、伸びを欠いて4着。これは後ろのマークがきつく、ある意味で仕方なしの結果。今回のメンバーなら逃げの手も十分ありえ、逆転首位まで。
ヤマニンレジェールは中央ダート1800mで1勝3着1回。500万下で頭打ちとなり、岩手へ新天地を求めてきた。初戦は好位追走から3着とマズマズの滑り出し。多少、小回り1200mに戸惑った印象もあり、コース2度目は間違いなくプラス材料となる。
ハギノハートフルは中央未勝利2着1回から北海道を経て転入。当初はクラスの壁に当たったが、一戦ごとに慣れ始めて2戦連続で3着。通用のメドが立った。前走は早めスパートをかけて見せ場を作っての3着。ソロソロ連対果たしそう。
ドリームスナイパーは今季1勝のみに止まり、精彩を欠いているが、ここ2戦4着。芝巧者ゆえ今の不良馬場は合い、一発の可能性も。ノーマークにできない。
◎(4)サダチカガーベラ
○(7)ケイエムサウザー
▲(6)ヤマニンレジェール
△(2)ハギノハートフル
△(5)ドリームスナイパー
<お奨めの1頭>
3R トウカイマジカル
中央未勝利から転入初戦をアッサリ逃げ切って完勝。レース間隔は開いたが、ずっと乗り込んで態勢万全。メンバーも甘く2連勝はもらった