11月15日で今シーズンの全日程が終了したホッカイドウ競馬から大挙転入してきた。特に下級条件、2歳馬の転入が顕著で在厩馬とのレベル比較がなかなか難しい。
この12月2日にも数多くエントリーしてきたが、いずれも人気を集めている。1R・サウザンドサニー、2R・プロヴォカーレ、4R・シャコウプリンセス、5R(2歳)・ゴールドボンバーと有力馬が目白押し。このトレード組の取捨が大きなカギを握るが、果たして結果は如何。
2日(日)メインはB1級「ひいらぎ賞」(水沢1900m)。このレースのポイントは1900mの距離適性。その点でトーホクスピリット、マイネルレーサーが他をリードしている。
トーホクスピリットは昨年まで2勝のみにとどまっていたが、今季6勝マーク。ようやく本格化を迎えた。夏負けでひと頃、精彩を欠いた時期もあったが、ここにきて復調は明らか。
前走は白星を重ねる絶好のチャンスかと思ったが、内に包まれて脚を余した印象。それを尻目にシャイニーベストがまんまと逃げ切りを決め、トーホクスピリットも直線猛追したが、わずか0秒1差届かずの2着に惜敗した。
今回の舞台は枠順を気にしなくていい1900m戦。展開的にも馬群がばらけそうでトーホクスピリットには願ってもない流れ。前走の汚名を返上する絶好の舞台となった。
マイネルレーサーは中央未勝利ながらダート1600m~1800mで3着4回。着外もわずか2度のみ(芝は2回とも着外)と堅実ぶりを発揮してきた。
この成績があればB1通用は過去の転入馬からも証明済み。当然のように1番人気に支持されたが、伸びを欠いて5着。案外の結果に終わったが、2戦目では早めに動いて快勝。これで弾みもついた。
1900mの距離も守備範囲。小回り対応だけが未知数だが、いつも調教をつけている地元水沢。おそらく杞憂に終わるだろう。
ウエディングサクラは3歳牝馬重賞・ひまわり賞2着など重特でも勝ち負けの実力馬だが、シーズン途中まで白星から見放されていた。しかしここ3戦で2勝マークと勝ち見の遅さも解消。距離は気持ち長い感じもあるが、折り合いが難しいタイプではないのでこなせるはず。
エプソムジャンボは典型的な逃げ馬。それゆえ好、凡走の落差が激しいが、気分良く逃げれば3走前のように直線で二の脚を駆使。同型をさばければ好勝負に持ち込める。
あとは水沢に替わって前回、トーホクスピリットの追撃を封じたシャイニーベスト、ハイペースならインピースの浮上も考えられる。
◎(1)トーホクスピリット
○(5)マイネルレーサー
▲(4)ウエディングサクラ
△(3)エプソムジャンボ
△(11)シャイニーベスト
△(2)インピース
<お奨めの1頭>
1R サウザンドサニー
中央6戦0勝、北海道4戦2着2回から転入。1300mで要求されるスピードもあり、初戦から狙い立つ
12月1日メインは、今年から地方競馬全国交流へ格上げされた2歳牝馬「第29回プリンセスカップ」(水沢1400m)。
重賞へ再格上げと同時に『グランダム・ジャパン2012』2歳シーズンにも組み込まれ、北海道から4頭、笠松から2頭と大挙6頭が遠征する。現時点でトップはカツゲキドラマ(笠松)の25ポイント、2位・ハニーパイ(北海道)20ポイントだが、ハニーパイは兵庫ジュニアグランプリへ挑戦。
今回の遠征馬で8ポイント持っているのがトチノスカーレット。仮に今回のプリンセスカップを優勝すると他地区馬なので15ポイントが加算され、23ポイント獲得。一気にカツゲキドラマに肉薄できるだけに、陣営は是が非でも勝ちたいところだろう。
トチノスカーレットが勝てる裏付けは十分ある。門別デビュー2連勝を飾り、重賞・イノセントカップ2着。ミータローにも先着した。またJpnⅢ・エーデルワイス賞はニーパイに0秒5差5着。
前走・笠松プリンセス特別は3番人気5着に終わったが、スタートして前が壁になって口を割って追走。さらには4コーナーで前がふさがる不利も重なったら仕方なしの結果だった。
今回は揉まれる心配がない外枠も好材料。先週の馬場は前へ行った馬が圧倒的に有利だった点が不安といえば不安だが、額面どおりに実力を発揮すれば勝って当然だと思う。
逆転首位まで可能なのがワタリルーブル。同じ水沢1400mで行われた牡馬相手のビギナーズカップを見事逃げ切り。続く若駒賞でも果敢に大逃げを打ったが、ロックハンドパワーに早めに交わされて6着。
しかし知床賞ではマンセイグレネードとハイペースを形成し、若駒賞より厳しい展開となったが、2着を死守。負けてなお強しの印象を与えた。
ラッキーなことに今回は同型が不在に加え、直線短い水沢もプラス材料。強豪を従えて逃げ切りのシーンも十分にある。
ミネサランサジャは逃げ込みを図ったワタリルーブルを交わして知床賞快勝。盛岡ダート1400m1分26秒6の破格タイムもマークした。
北海道で1勝のみにとどまっていたのは1200m以下の忙しい競馬が合わなかったのでは、と阿部英俊騎手。当初、南部駒賞へ出走予定だったが、グランダムジャパンをにらんでスキップ。ここに照準に絞って調整を進めてきた。
ルードはメンバー最多の5勝をマークし、兼六園ジュニアカップ(金沢)2着、笠松・ゴールドウィング賞3着。トチノスカーレットに次ぐ実績を誇り、前走・プリンセスカップで先着4着。優勝圏内にある。ただ、気になるのは使い詰めのローテーション。東海地区とは言え、11月に3度も使われ、長距離輸送も加われば全能力を発揮できるかどうか。それが不安点になる。
サクラタイシは知床賞2番人気5着。内枠に入ったのが災いした。揉まれない外枠なら反撃の余地はあるはず。ブリリアントロビンは北海道2勝から転入初戦をハイタイムで完勝。エーデルワイス賞でトチノスカーレットとは0秒9差。水沢1400mを使ったのも心強い。
◎(11)トチノスカーレット
○(7)ワタリルーブル
▲(6)ミネサランサジャ
△(3)ルード
△(12)サクラタイシ
△(4)ブリリアントロビン
<お奨めの1頭>
7R コスモブジー
岩手で敗戦を喫したのは距離2000mがきつかった不来方賞のみ。他はオール1着とスピード抜群。昇級戦もまったく問題ない
日曜日に行われたダービーグランプリ。地元ロッソコルサが勝ったから言うわけではないですが、いいレースでしたね。
勝ったロッソコルサは地元3歳路線でトップクラスを張ってきた馬。それがコースレコードタイの好タイムで快勝して、2着には北海道の、3着には金沢の、4着には名古屋のエース級がタイム差無しで競り合う。ここまでの激闘はそうそう成り立つものではありません。
かつてグレードレース化される前のダービーグランプリも今のように地方馬同士の3歳(旧4歳)の頂点を争うレースとして行われ、地方競馬ファンの支持を集めていました。地方競馬は各地の「おらが大将」を応援するのが楽しみのひとつですからね。各地のエース同士がぶつかり合って、そこからどこの地区の馬が抜け出してくるか?どんなレースを演じてくれるか?を楽しむのは地方競馬の楽しさの根源と言っても言い過ぎではないでしょう。
グレードの頂点、ピラミッドの先端こそが「強い」という評価基準で観る競馬、それは確かに正しい競馬のあり方なのでしょうが、このダービーGPのような「おらが大将戦」も十分に魅力的だよな・・・と感じます。
とりあえず今回のダービーGP、自分の「2012年ベストレース第1位」候補筆頭にピックアップしました。そして来年のこのレースがどんな戦いになるのか、鬼に笑われないように楽しみに待つことにします。
●10Rの買い目
馬単(2)=(3)、(2)=(8)、(3)=(8)、(2)→(9)、(2)→(10)
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岩手の二大看板レース「ダービーグランプリ」が復活したのは3年前。1986年に創設したダービーGPは出世魚にも例えられ、年々グレードが上がる一方だった。
地方交流時代にもスイフトセイダイ、トミシノポルンガ、ミスタールドルフなどの強豪が名前を連ね、JRAにも門戸を開放して以降もゴールドアリュール、ユートピア、カネヒキリ、そしてイシノサンデーとダート界を代表する馬たちがズラリ。
しかし2007年、全国にまん延した馬インフルエンザによる地元重賞での実施を余儀なくされ、翌年には休止。存廃問題に揺れ、首の皮一枚で存続した岩手競馬の状況を考えれば、この選択もやむなしだった。
その一方でダービーグランプリの復活を望む声は高く、2010年、原点回帰して地方競馬交流で復活。ロックハンドスターが地元の期待に応えて優勝。新三冠を制し、ファンも大歓声で祝福した。
翌年は岩手へ里戻りして素質開花したカミノヌヴォーが圧勝。南関東在籍時には到底勝てない相手たちをねじ伏せた。両馬とも桐花賞まで制圧。年度代表馬の座も射止めた。果たして今年、岩手勢3連覇を果たすか、これが最大焦点となった。
その筆頭格はロッソコルサ。中央1勝から今年春に転入。いきなり3歳特別を連勝して一躍注目の的。勇躍、岩手ダービー・ダイヤモンドカップへ駒を進めたが、南関東から帰郷したアスペクトに屈して2着。
以降、善戦を続けながら、あとひと伸びが足りず僅差で負けていた。その負の連鎖を吹っ切ったのが不来方賞。アスペクトが調子を落としていたのは確かだが、好位追走から4角先頭。そのまま押し切って待望の重賞タイトルを手にした。
ロッソコルサは芝ダートを問わないタイプだが、反応が鋭いのは右回り。コース替わりは大歓迎だし、小回りだけに先行できるのは強み。古馬一線級とも互角の勝負を演じてきたことを考えれば勝ち負けは必至だろう。
ただ不安がない訳ではない。不来方賞はメンバーも甘く、得意パターンに持ち込んだが、今回は3歳馬とは言え全国の強豪が相手。最後の爆発力が勝敗を決するだけに単勝負はリスクが高い。
それならばニシノファイターが優位と判断した。2歳時に川崎・鎌倉記念を制し、今季は北海優駿、王冠賞の二冠を制覇。今季2戦の着外は古馬重賞で折り合いに若干難しい面をのぞかせていた。
それでもスンナリの流れになれば地力を発揮。絶好の内枠を引き当てたことも勝利を後押しする。地元の道営記念には見向きもせず、ここ1本に絞って調整。相当の勝算を持って臨んでくるに違いない。
アルドラは21戦9勝2着5回。北日本新聞杯、サラブレッド大賞典と3歳重賞を2勝。レースぶりも豪快で一昨年ロックハンドスターの2着ナムラアンカーを上回る実績。父は両馬ともマイネルラヴ。こちらは牝馬だが、交流レースにも積極的に出かけ、強い相手にも揉まれてきた。ミスタールドルフ以来、2度目の金沢優勝なるか。
東海3頭の中ではブライトシンプーが最も怖い存在。東海ダービーはマイネルセグメントの頭差2着だったが、その後の成長ぶりが目覚しい。岐阜金賞の勲章も手にして登場。小回り名古屋、笠松でも追い込みを決めているのが不気味。
ショコラヴェリーヌは逃げ馬だけに大外12番が痛い。前半で脚を使ってしまうのは厳しいが、小回りなら相殺できるか。第1回、トミアルコが北関東三冠馬サラノオーの追撃を封じて逃げ切ったが、そのシーンを思い出す。
◎(3)ニシノファイター
○(8)ロッソコルサ
▲(4)アルドラ
△(12)ショコラヴェリーヌ
△(6)ブライトシンプー
△(1)ユウキタカラオー
<お奨めの1頭>
11R トートアフィシオン
水沢、盛岡、盛岡芝で1勝ずつをマーク。前走は芝1000m・五葉山賞を競り合いから勝負強く押し切った。1300mはもちろん守備範囲
24日メインは重賞へ再度格上げされた「第24回栗駒賞」。舞台が水沢1400mへ替わり、これまでの成績を一旦クリアーにしなければならない。適性重視か、総合力重視かで評価がガラリと変わる。その意味で波乱の要素をたっぷり含んでいる。
最終的に重視したのは総合力。トーホクキング、カミノヌヴォーが本線。距離不足は絶対能力でカバーできると見た。
トーホクキングは昨年秋から本格化を迎え、みちのく大賞典制覇でついに重賞ウィナーの仲間入りを果たした。続くマーキュリーカップでも見せ場を作って5着に健闘したが、その後は取りこぼしの連続。
南部杯9着はともかく、青藍賞3着、けやき賞4着などシャープなマクリ脚が影を潜めてしまった。しかし前走・絆カップでは久々にマクリがさく裂。前半の超ハイペースにも助けられたが、直線半ばで一旦先頭。
誰もが勝利と復活を疑わなかったが、ポツンと最後方を追走したトウホクビジンの大外強襲に遭って2着。悔しい負けだったが、復調の兆しをうかがわせた。
今回の不安は距離1400mに尽きるが、トーホクキングは追い込み馬ながら水沢コースが得意。同条件で行われた春の新緑賞(B1)でも高橋悠里騎手が豪快なマクリを決め、1馬身半差で完勝。タイムは平凡だったが、最も強い内容だった。久々の美酒を味わうか。
カミノヌヴォーは絆カップ9着。2番人気にこたえることができなかったが、前半3ハロン35秒3の超ハイペースに巻き込まれたのが敗因。あとはプラス6キロと体重が増えていたことも反応を鈍くさせたとも解釈でき、体が絞れてくれば巻き返して当然だろう。
ダイワマックワンは桂樹杯4着、OROカップ8着、OROターフスプリント2着。いずれのレースも末が甘くなっての敗戦。前後してダートで2勝マークし、現状はダートがベストの印象。1400mも適性高く、上位争い必至。
スーパーワシントンはOROターフスプリント3着だったが、前走・盛岡マイル戦をハイタイムで快勝。同じ1400m・岩鷲賞でダイワマックワンにハナ差先着3着など、いつでも全力投球のタイプ。ここでも軽視できない。
怖いのは格上馬ゴールドマイン。今回が走り頃の3戦目を迎え、前走・絆カップでも結果6着だったが、0秒7差。叩かれた良化度は明らかだった。一昨年の岩鷲賞を優勝し、昨年の栗駒賞でも2着。一発の可能性は十分にある。あとは近走の充実ぶりからライトマッスルも押さえが必要だろう。
◎(2)トーホクキング
○(8)カミノヌヴォー
▲(10)ダイワマックワン
△(12)スーパーワシントン
△(3)ゴールドマイン
△(1)ライトマッスル
<お奨めの1頭>
9R ブラウシュタイン
転入後、圧巻の4連勝をマーク。一連の走破タイムもすばらしく、初の水沢でも追いかける手