先週16日の話になります。この日の8R、B1級ダート1600m戦を勝ったセイト号の馬主欄を見て「おや?」と思った方も多かったでしょう。
馬主欄にあった名は「千葉 博」。そう、昨年まで調教師として活躍されていた千葉博元調教師その人なのです。
昨年いっぱいで定年・引退された千葉博元調教師ですが、その後も一ファンとして競馬場に通われていたようで、私も水沢競馬場でばったりお会いして「馬券、当たりますか?」「いやいや。難しいな!」なんて話した事があります。
その後、千葉博元調教師は馬主資格を取られたようで、我々の所に来る「馬主変更届」というもので何頭かの馬を所有された事が分かったのです。
セイトが勝った時、管理する瀬戸調教師が“馬主”千葉博氏に口取りやりませんかと連絡したのですが、ご本人は結局おいでになりませんでした。
競馬場に来て見てはいたそうなのですが、セイトが勝ったと聞いて他の調教師さんたちの方が先に集まってきてしまったので(当然みんな知っている)、そんな状況が気恥ずかしかった模様との事。
調教師引退→馬主のパターンはもう一人いらっしゃって、それが月曜5Rの2歳認定戦に出るサクラマサヨシ号の馬主・遠藤陸夫元調教師です。
遠陸先生はこれがまた引退しても競馬好きで、馬券も買うし馬も持って齢70にして競馬を謳歌されております。
遠陸先生の馬がいつ勝つか?勝ったら口取りに登場してくれるのかどうか?これが今一番の楽しみです。
悩んだ末の本命は3枠3番ファーストロードとしました。実は前走が岩手転入後足掛け3年目にしての初勝利。逃げ馬ゆえどうしても展開に左右されやすいのですが、さすがは元A級馬でもあって、最近は負けても大きく離されなくなりました。ここは一見同型が多いもののそれほど無茶な競り合いになるメンツでもなく、意外にあっさりペースを握れそう。重・不良も得意。となれば、再度の逃げ切りのチャンスも十分あるでしょう。
対抗はロッキープレミアム。追走時にちょっと置かれ気味になる点、あまりにタイムが速いコースになるとちょっと不安ですが、流れに乗ってしまえば破壊力は上。
3番手はトチノヒリュー。元々このクラスでも勝ち負けできる力を持つ馬だし重・不良を苦にしないのも心強い所。最近は連続で好走した事がなく、あてにしづらい分狙いを下げましたが、夏負けから脱して調子上昇という事ならやはり1点押さえておくべき。
最近の好走ぶりが目立つミステリーチューンもぜひ押さえておきたい馬。最近の連続好走は調子を上げてきてのもの、人気薄だったとはいえフロックではないはず。不良馬場も決してマイナスではないだけに要注意。
ウインドアース、ラトナラジュも近走好調。どちらも速い馬場がやや苦手な印象があって差し届くかどうかにはちょっと注文がつきますが、嵌れば上位突入。
●買い目
馬複(3)−(6)、(1)−(3)、(3)−(11)、(3)−(7)、(3)−(5)
◆お奨めこの一頭
6R:マイネルアフェット
ここ3戦は強い相手と一進一退。今回は頭一つ抜けたところでレースができる。相手は(2)、一騎打ちだ。
24日(日)メインは2歳馬による日高軽種馬農業協同組合(HBA)協賛・キッケンクリス賞「第13回りんどう賞」(水沢1400m)。
(ビギナーズカップ ゴール 1着ワタリシンセイキ 写真・佐藤到)
直結するレースは今年度第一弾の2歳特別・ビギナーズカップ(水沢1400m)。1番人気はデビュー戦・芝1000mを59秒3の今季一番時計で快勝したダンストンジール。2番人気以下はフジフーフー、サイレントピアレス、ダンストングランと続き、ワタリシンセイキは8頭中6番人気だった。
レースはフジフーフーが逃げ、2番手にダンストングラン、続いてサイレントピアレス、ダンストンジールの馬順で進み、ワタリシンセイキは中団後ろ6番手を追走した。勝負どころの3コーナーでそのワタリシンセイキがスパートをかけたが、前が一瞬、壁になる不利。それで一旦下がってしまったが、再び盛り返して4コーナーでは3番手まで進出。
直線を向いてからワタリシンセイキはさらにエンジン全開し、2着フジフーフーに0・5秒差をつけて完勝。初勝利が嬉しい特別制覇となった。
ワタリシンセイキは続くJRA認定・ホープフル競走でも同様に3コーナースパートから直線楽に抜け出して快勝。ダート戦でアッサリ2連勝を飾った。父は現在、韓国済州島のプルン牧場でメイセイオペラの隣で種牡馬生活を送っているビワシンセイキ。
ワタリシンセイキは日本に残した貴重で、なおかつ初年度産駒。元々、生まれてきた二世の評判が上々だったが、ワタリシンセイキが現時点での代表産駒となっている。父の種牡馬評価を高める意味でも是非、勝利をモノにしたい。
当初、カミノフジの登録もあったが、最終追い切り後の上がりが本物でなかったため大事を取って自重。出走すれば対抗、もしくはそれ以上の評価が与えられる馬だけに残念な限り。一日も早い復帰を待ちたいところだ。
カミノフジの回避によって2着争いが混戦となった。ビギナーズC出走組を重視するか、別路線から挑戦してきた馬を重視するかで迷ったが、マヨノエンゼルを相手筆頭にした。
今季の2歳新馬・認定競走の勝ち馬第一号となったが、脚部不安が発生して2ヶ月あまり休養。復帰初戦は久々の実戦を不安視され、6頭立て5番人気の低評価。しかし、それをアッサリ覆し2着に1・4秒差の圧勝劇を演じ、能力の高さを証明した。メンバーは一気に強化されたが、叩かれた上昇度を加味すれば好勝負に持ち込めるはず。
ダンストンジールはデビュー芝1000m戦を今季一番時計で完勝。続くビギナーズCでは、父がウイングアローならダートでさらに本領発揮と見られ、圧倒的な1番人気。ところが、中団追走のままに終始しワタリシンセイキから2・2秒差5着。評価が非常に難しくなった。
レース後、村上忍騎手も「ダートが合わないのか、もう一度使ってみないことには正直分からない」とコメント。ダート2戦目の今回が真価問われることになる。いずれにせよデビュー戦の強さは出色で、今後の路線も決定する重要な一戦となった。
フジフーフーはビギナーズCまで3戦連続で2着。デビュー2戦はカミノフジに、3戦目はワタリシンセイキに敗れ、これは巡り合わせに恵まれなかった。
そして前回、ワタリシンセイキに次ぐ2番人気に支持されたが、よもやの出遅れ。ほとんど自分の競馬ができず4着に止まった。実力はビギナーズC2着で証明済み。スタートさえ互角なら連対確保の可能性は十分にある。
マーチボーイもカギを握る1頭だ。デビュー水沢850m戦で2着に1・8秒差の大差をつけて逃げ切り。非凡なスピードを披露した。850mからいきなり1400mへ距離延長された場合、過去のデータは苦戦と出ているが、仮に克服できるようなら将来の活躍も約束された。
あとは未勝利ながら毎回上位に食い込んできるサイレントピアレスも押さえが必要だろう。
◎ ?ワタリシンセイキ
○ ?マヨノエンゼル
▲ ?ダンストンジール
△ ?フジフーフー
△ ?マーチボーイ
△ ?サイレントピアレス
3連単は1を1着固定に9、4、2流しが本線。あとは8、6を3着押さえ
馬複は1−9、1−4、1−2、1−8
<お奨めの1頭>
8レース マイディザート
前回タイム差なし2着に粘ってようやく復調の兆し。メンバーも手頃となり、今度は首位狙う
23日(土)メインはB2級「第24回葉月賞」(水沢1600m)、10頭立て。
岩手での実績、好調度、距離適性など、すべての面でリードするケイジーウォリアで中心不動。唯一、他の有力馬に劣っているのは格だが、それは不安材料にはまったくならない。信頼の軸と言って差し支えない。
中央1勝(芝2200m)から今年3月に転入。格付け賞金“0円”(前20走すべて着外)からC2でも最下級へ編入され、アッサリ2連勝をマーク。3戦目の猊鼻渓賞は相手が一気に強化されたため、2着(1着プリムラジュリアン)に敗れたが、その後は破竹の4連勝を飾り、B2へ昇級。
さすがに毎回勝てるほど甘くはなかったが、それでも連対を外したのは3走前、芝に挑戦した5着一度のみ。ダート戦では10戦7勝2着3回と連対パーフェクトを継続中だ。
前走も好位4番手キープから直線アッサリ抜け出して快勝し、今回も同じ水沢1600m戦が舞台。単純な時計比較ではトミケンルビーに0・5秒遅いが、これはコース状態の差。やはり信頼度は非常に高い。
しかし相手捜しが難しい。展開一つでガラリと変わる可能性があるし、全馬がマイル経験も豊富。前回1着を重視するか、格を重視するか―で迷ったが、ここはオンワードリリカの巻き返しに期待したい。今シーズン3勝3着3回で臨んだオーガストCだったが、中団のまま7着。初めて着外に沈んだが、敗因は明らかに1900mの距離。それを意識してジックリ脚を貯めて中団に待機したが、勝負どころでも動けず末脚が不発に終わった。
今回は前々走・文月賞で強豪相手(2着ジェド)を牛耳った同じ水沢1600m戦。適距離に戻れば反撃に転じてまったく不思議はない。
バルクは2、3歳時、重特路線を歩みながら白星にまったく縁がなく、4歳夏まで未勝利。何と初勝利が通算40戦目という生みの苦しみをずっと味わっていた(その時に単勝馬券を取った井上オークスさんは偉い!)。それできっかけを掴んだと思ったが、再び敗戦街道を歩み続けて9戦0勝のまま07年を終えた。
ところが今年3月に1勝マークするや、今年だけで4勝。勝ち味の遅さが完全に解消した。本質的には忙しいマイルより前回のような1800m戦が合うタイプだが、目下の充実度を重視する。
プリムラジュリアンが見事に蘇った。昨シーズンはスランプを脱出できず凡走の連続だったが、今季は降格にも恵まれて特別開催からいきなり3連勝。その後は勝ったり負けたりを繰り返していたが、すべて距離の壁。1400mまでなら圧倒的な強さを誇っていたのに対し、マイルへ延長されるとコロッと負ける。
それで頭打ちかと思わせていたが、3回盛岡でダート1600mを勝ち、ついにマイル初勝利。前回(水沢1600m)も2番手追走から4角先頭に立ち、そのまま押し切って快勝。マイルを克服できたのが最大の収穫でここも好勝負に持ち込む。
以下、格上馬が復活確かテンポウキング、マイル短縮なら怖いマイネルスペランザも一発を秘めているし、他にも伏兵が散在。2着争いが激戦必至だ。
◎ ?ケイジーウォリア
○ ?オンワードリリカ
▲ ?バルク
△ ?プリムラジュリアン
△ ?テンポウキング
△ ?マイネルスペランザ
3連単は1を1着固定に9、7、8流しが本線。あとは4、5も押さえが必要
馬複は1−9、1−7、1−8、1−4、1−5
<お奨めの1頭>
11レース ウィンエヴリー
芝2戦で足踏み状態だったが、そのうっ憤を晴らすかのように前回圧勝。もう一丁いける
岩手で行われる3つのグレードレースのうち、2つ目が終わりました。JRAの強豪を真正面からねじ伏せたのは、船橋のプライドキム。クラスターカップ史上2頭目の地方競馬所属勝馬となりました。
レース評などは各所で語られるでしょうからここでは書きませんが、じつは私、プライドキムを目にしたのは今回が2度目。前回は川崎で行われた2004年の全日本2歳優駿のときで、当時中央所属だったプライドキムは、4馬身差の圧勝劇で2歳チャンピオンの座についたのでした。といっても、本当のところ私の遠征目的は翌日の報知オールスターカップのほう。こちらはウツミジョーダン&小林俊彦騎手が、南関馬を蹴散らし見事勝利したレースだったのですが、せっかくだからと予定を1日早めて川崎入りしGIレースを撮影していたのです。
そのときの勝馬が長いスランプを経て地方馬として復活したわけですが、まさか南関所属となって初めての遠征で岩手にやってきて、私の目の前で再びグレードウイナーに輝くとは! そういえばレース前の装鞍所で、プライドキムが私の方をじっと見つめていたっけなぁ……「お、久しぶりだね。今日は頑張ってきっと勝つから単勝馬券でも買っておいてよ。」……おっとっと、妄想モードに入ってしまいました。
ティーンエイジャー川島正太郎騎手の笑顔と、プライドキムの瞳が印象に残る今年のクラスターカップでありました。
8月18日 第13回クラスターカップ(Jpn? 水沢1400m)
1着 プライドキム
「ゲートをでたら気合いをつけて前へ行け」(川島調教師)の指示どおり、逃げたタイセイアトム、2番手ディープサマーの直後3番手外を追走。12秒前後のハイラップを楽に追走し勝負どころの3コーナーからスパート。4コーナー手前でディープサマーを交わし、タイセイアトムに並ぶやラスト200m過ぎに先頭。外を回ってフェラーリピサがジワジワ接近してきたが、直線半ばで再び突き放して1馬身半差で完勝。
06年、オリエントボスがマークした水沢1400mを1秒も短縮、1分24秒3のレコードを樹立した。
「初騎乗だったので、追い切りでまたがらせてもらったがスピード、パワーとも物凄かった。実際のレースでも道中折り合いがついて非常に乗りやすくて3コーナーあたりから仕掛けたら反応が抜群。4コーナーで内田さん(タイセイアトム)に並んだ時、これならいけると思ってがむしゃらに追った。このようなチャンスをいただいたオーナー、調教師に感謝したい」と川島正太郎騎手。
プライドキムはJRAデビュー2戦目から2連勝を飾り、一戦置いて兵庫ジュニアグランプリ(G?・当時)、全日本2歳優駿(G?)を連勝。しかし、その後は頭打ちのレースを繰り返し07年1月、船橋・川島正行厩舎へトレード。前走比プラス24キロと大幅増だったにもかかわらず、いきなり初戦・船橋記念(1000m)を快勝し続く報知グランプリカップも優勝。
復活を遂げたと思った矢先、11ヵ月の長期休養。08年1月、ひとまず復帰を果たしたが、なかなか勝ち切れず京成盃グランドマイラーズ大差12着後、2ヶ月の休養を挟んでこのクラスターCへ駒を進めた。
「脚元が弱く使い込めなかったが、今回は最終追い切りで抜群の反応だったので秘かに期待していた。レース間隔を開けたのも良かったかもしれない」と川島調教師。
前走比マイナス16キロの503キロと大幅減で臨んだが、中央時代は最高でも494キロで使われてきた馬。レース前はこれも不安材料だったが、まったく関係なかった。次走以降は未定だそうだが、「このような競馬ができるのなら、JBCスプリントに挑戦してもおもしろいかも」と川島調教師。
2着 フェラーリピサ
前半は中団に位置し、向正面から早めにスパートをかけて徐々に先陣グループに肉薄。「4コーナーで射程圏に入れたと思ったが、切れがなかった」(岩田騎手)ため、直線入り口でプライドキムに最接近したが、その後はジワジワ離されてしまった。「58キロの負担重量が影響したのか前に行ける脚がなくなったかも」と岩田騎手。
3着 トーセンブライト
先行4騎を見る形でレースを進め、各馬がスパートをかけた3コーナーで追走に手こずる。その遅れが致命傷となり、直線で一杯となったタイセイアトムを交わして3着確保がやっとだった。「小回りすぎた」と藤田騎手。
4着 タイセイアトム
12頭立て11番枠に入ったのは痛かったが、馬なりで先手を奪う。ハロン12秒前後の絶妙のペースで逃げたが、プライドキムのマークがきつく直線入り口で交わされてしまっては如何ともし難かった。「このペースで逃げて負けたら仕方ない」(内田博幸騎手)
7着 メイショウバトラー
スタートは決して悪くはなかったが、外から被せられて1コーナーで折り合いを欠き鞍上が1コーナーで立ち上がる。その後は4番手インを追走したが、各馬にスパートをかけられても反応ひと息。ほとんど見せ場を作れず7着に沈んだ。「枠順(1枠)がつらかった。最内だと1コーナーでブレーキをかけるしかなかった」と武幸四郎騎手。