18日(日)メインは3歳馬による岩手ダービー・ダイヤモンドCトライアル戦「第13回七時雨賞」(水沢1800m)、7頭立て。
(ゴールデンクリーク 写真・佐藤到)
主軸はゴールデンクリーク。スプリングカップ、阿久利黒賞ともリュウノツバサに屈して連続2着。スプリングCは周囲が壁になる不利があったため2着も仕方なしだったが、阿久利黒賞は絶好の3番手をキープして、追い出すタイミングも文句なし。ところが、出遅れて中団待機策を取ったリュウノツバサが外から交わして半馬身差のままでゴール。またもやゴールデンクリークは0・1秒差2着に敗れた。
これはリュウノツバサが想像以上に力をつけていると解釈するべきだろうが、ゴールデンクリークの課題は追い出してから首が高くなること。そのため終いの爆発力に欠け、惜敗続きはそれも原因だろう。
しかし、今回は当面の敵リュウノツバサが不在で絶好のチャンス。ここはキッチリ勝ってダイヤモンドカップへ弾みをつけたいところ。
逆転筆頭はコンバットキック。1月2日、金杯優勝後は遠野馬の里で放牧され、ジックリ休養。リフレッシュしたあとは遠野馬の里自慢の坂路で乗り込まれ、馬体重も大幅に増加。パワーアップは誰の目にも明白だった。
スプリングCへぶっつけで臨んだのも当初の予定どおりだったし、プラス19キロでも太め感はさほど感じられなかったが、久々の実戦で気負ったのかパドックで激しく発汗。イレ込みの影響が大きく6着に敗れてしまった。
続く阿久利黒賞では叩かれた変わり身がはっきり。パドックでも落ち着きを取り戻してスプリングCと同様、1番人気に支持されたが、後方から差を詰めただけの5着。この敗戦は痛かったが、着順がムラなのは追い込み馬の宿命。それゆえ6、5着も悲観することでは決してなく、流れさえ合えば一気突き抜けるシーンまで十分あるだろう。
単穴はモエレハナオー。スプリングCはともかく、前走・阿久利黒賞6着は正直物足りなかったのは否定できない。おそらくだが、仕上がり6分で臨んだ3月、特別開催でリュウノツバサと激しいデットヒートを演じ、抜群の勝負根性を出して先着。改めて底力を感じさせたが、その時の反動が出ているように思う。
元々、パドックでは馬体重以上に大きく見せるタイプだが、少々しぼんでしまった印象。できれば470キロ台に回復してほしいと願っている。
テンショウベストは阿久利黒賞で中団のまま7着。生涯初めて着外に沈んでしまった。2歳時には毎回、重賞特別で2着を確保していたが、次第に後発組に交わされているのが現状。とはいっても前回7着で見限るのは早計。テンショウベストには他の馬にはないレースセンスがあり、巻き返す余地は十分。
以上4頭の争いと見るが、有力馬がもたつけばカネショウボスが上位入線の可能性があるかもしれない。
◎ ?ゴールデンクリーク
○ ?コンバットキック
▲ ?モエレハナオー
△ ?テンショウベスト
△ ?カネショウボス
3連単は2、4の1、2着折り返しから3、5へ3着流し
馬複は2−4、2−3、2−5、3−4
<お奨めの1頭>
11レース マイネルスペランザ
今季は2戦とも4着止まりだが、相手が強すぎた。今回はメンバーがグッと楽になって勝機到来
17日(土)メインはC2級「猊鼻渓賞」(水沢1600m)。当初、14頭の登録があったが、相次いで回避したため6頭立ての少頭数戦となってしまった。そうなると俄然、ケイジーウィザード、ヒシリーガルには有利な組み合わせ。このラインは強力と見て間違いないだろう。
ケイジーウィザードは中央0勝(2着は3回)、南関東0勝C1から今年4月に転入。中央時代の2着3回、南関東の2着1回の賞金がすべて消え、格付け賞金が見事に“0円”。
よってC2最下級でも一番下のクラスに編入し、案の定、アッサリ2連勝。五葉山賞は元A1級スピードパンチ、ゲンパチコジーンに屈して3着だったが、そのうっ憤を晴らすかのように続く一戦では2着に0・7秒差をつけて圧勝した。
そして前走・猊鼻渓賞はリバーサイドとの直線叩き合いの末、惜しくもクビ差2着に敗れたが、3着以下は4馬身差のマッチレース。敗れて尚強しの一戦で、走破タイム1分42秒5(水沢1600m)も馬場を考慮しても非常に優秀。今回はメンバー的にもキッチリ勝ちたいところだろう。
ヒシリーガルは中央1勝、ホッカイドウ、東海を経て転入。父がシアトリカル、母がヒシアマゾンの半妹で現役時代、フェアリーカップを快勝したヒシナイル。つまりヒシアマゾンの3/4という超近親馬でヒシリーガルに対する期待の高さがうかがい知れる。
しかし中央1勝後はずっと白星がなく、岩手に新天地を求めてきた。こちらもケイジーウィザードと同様、C2へ格付けされ、初戦を快勝。2戦目の猊鼻渓賞(1400m)はプリムラジュリアンの3着に敗れたが、自己の条件に戻って2連勝をマーク。とりわけ前走は出遅れを喫しながらも豪快に捲くって快勝し、一戦ごとに充実ぶりを見せている。
ケイジーウィザードとは今回が初対決だが、勢いならヒシリーガルの方が上回っているかもしれない。
以下は離れた評価だが、荒尾遠征後はB1からC2へ降級して5戦2勝2着3回と連対パーフェクトのコスモシュプールをまずピックアップ。あとは前回3着ながら、早めに捲くって4角先頭に立って見せ場作ったケイアイハスラー、スローペースをはねのけて好タイムで快勝ホウイツを押さえたい。
◎ ?ケイジーウィザード
○ ?ヒシリーガル
▲ ?コスモシュプール
△ ?ケイアイハスラー
△ ?ホウイツ
3連単は5、2の1、2着折り返しから6、1、4押さえ
馬複は2−5、5−6、1−5、4−5
<お奨めの1頭>
11レース メキメッサー
ここ2戦は1番人気に支持されながら、スローペースに泣いて惜しくも2着。今回は同様の流れがまず考えられず、連続惜敗のうっ憤を一気に晴らす
突然ですがカーレースのフォーミュラワン(F1:エフワンって読むとなんか軽いので、略さずにフォーミュラワンと呼ぶ方が好きです ^^;)の話です。
2008年5月6日、日本からF1世界選手権に参戦するスーパーアグリF1チームが資金難を理由に選手権から撤退することを発表しました。スーパーアグリは元F1ドライバーで表彰台に上った経験もある鈴木亜久利氏が立ち上げたプライベートチームで、一昨年の06シーズンに初参戦。モータースポーツの最高峰と言われるこの舞台に、チーム結成からわずか4ヶ月でマシンをスターティンググリッドに並べただけでも関係者を驚嘆させるに十分だったのに、昨年はなんと上位入賞して選手権ポイントを獲得するという快挙をやってのけました。
興味の無い方は「ほとんどいつもビリの方を走ってるだけじゃぁ〜ん」と思うでしょうが、現代のフォーミュラワンは巨大自動車会社の威信を賭けた戦場。メルセデスベンツやBMW、あるいはフェラーリの名を掲げるフィアットグループなどがしのぎを削り、日本からはトヨタがドイツに、ホンダがイギリスに本拠を置いて参戦しています。そんな戦場に鈴木亜久利氏個人の情熱のみを原動力に(ホンダの強力なバックアップがあたにしろ)プライベーターとして飛び込んで行くのは、ほとんど時代錯誤か夢物語といって良いぐらいのことでした。そう、地方競馬から中央競馬のGIに毎週出走馬を出していると例えるのが、規模の比較から言ってもちょうどいいのではないでしょうか。そのカク地馬が毎回善戦し、ついに掲示板の右隅ながら入賞を果たしたとすれば盛り上がりは想像出来ますよね。
そんな輝かしいチームも提携先が資金を出してくれなくなってしまえば、天文学的予算が必要と言われるF1世界では一瞬で消し飛んでしまいます。鈴木亜久利氏もホンダをはじめいろいろな企業・グループに協力を要請したようですが、世界的な不況に見舞われている今の世の中、救いの手はついに見つからなかったようです。
元F1レーサーで現在はTV中継の解説を担当している片山右京氏は、番組の中で「今度のことは日本人とF1の関わり方をもう一度考え直す必要がある」と語っていました。中継の中ではあまり多くを語らなかった右京さんですが、私は彼が現役だった頃、F1マシンのほとんどに日本企業のスポンサーロゴが入っていた時代といまの現状を比較して出た言葉のように思います。当時はバブルとF1ブームに湧き大量のジャパンマネーがF1の世界に流れましたが、しばらくすると経済の衰退とブームの終息に伴い、日本の企業名は波が引くように消えてゆきました。やはり一時的な流行ではなく、ものごとが文化として定着するにはひとりひとりの絶えることのない気持ちが必要なんだと、そう言いたかったのではないでしょうか。
と、こんなことを考えていて私はふと競馬も同じなのではないかと思いました。欧州ではカーレースがスポーツ文化として受け入れられています。日本でも血の気の多い若者の遊びという見方ではなく、文化として定着して欲しい。同じように、JRAだけでなく地方競馬が岩手の、あるいは北海道の、岐阜の、高知の、佐賀や他すべての地方競馬を持つ都道県の文化として定着して欲しい。経済的側面の影響は免れませんが、それよりも住民ひとりひとりに、地方競馬が地域の文化として受け入れられてくれれば…
フォーミュラワンと馬。どちらも私の大好きなレーシングスポーツについて、そんなことを考えてみました…
(文・佐藤到)
5月11日 ネオユニヴァース賞・第34回シアンモア記念(水沢1600m)
(シアンモア記念ゴール 写真・佐藤到)
1着 ノムラリューオー
「スタートが一番速かったが、ジュリアが逃げると思ったので」(小林騎手)2番手にスッと控える。3コーナー、そのジュリアを馬なりで交わして先頭に立ち、直線入り口まで持ったまま。最内からマンジュデンコウベが鋭く伸びてきたが、クビ差しのいで快勝。3年前のタイキシェンロン(当時は船橋所属)以来、2度目の優勝を船橋勢にもたらした。
「テン乗りだったが、クセがなくて非常に乗りやすかった。レースを分かっているのか、3コーナーで自分から先頭に立ったが、一瞬、初めての馬場に物見。でも後ろから馬がきたらまた伸びてくれた。9歳馬だが、馬が若い。さすが南関東は層が厚い」と小林騎手。
岩手の古馬二強テンショウボスは軽い骨折のため休養中、サイレントエクセルは体調が本物ではなく今回、自重して手薄な岩手勢は明らかだったが、それでもレベル差がはっきりと出た格好となった。
ノムラリューオーは3歳時に南関東の重賞を2勝。その後は1年10ヶ月の長期休養のほか、何度かの休養をはさんでずっと未勝利だったが、前走・房の国オープンで5年8ヶ月ぶりの勝利を飾ってこのシアンモア記念に参戦した。次走は船橋の重賞・グランドマイラーズかマイルのオープン特別を使ってみたいと石井勝男調教師。
2着 マンジュデンコウベ
道中は不利のない5番手外を追走。ノムラリューオーが先頭に立ったのを見てスパートをかけ、直線は最内にコースを選んで猛追したが、クビ差届かず2着に敗れた。「4コーナーでは勝てる感触だったが、いざ追い出したら頭を上げてしまった。前回も手応えが良かったのに4着に敗れたし、気難しさがある」と菅原勲騎手。
そのコメントどおり、前回1800m戦は3コーナーで2番手に進出して勝つ勢いだったが、直線で伸びを欠いて4着。今回は折り合いもついて仕掛けどころも文句なしだったが、最後もうひと伸びが足りなかった。それでも2着確保なら上々と見るべきか。
3着 タイキリオン
トライアル・栗駒賞では3番手をキープし、楽に直線抜け出したが、今回は大外枠(11番枠)に入って「いいポジションを取れなかった」(板垣騎手)ため後方4番手からの競馬を強いられてしまった。それでも3コーナーから外を回ってノムラリューオーを追いかけたが、決着ついてからの3着に止まった。
4着 マクロプロトン
道中はノムラリューオーをマークする形で3番手外を追走。3コーナーでもノムラリューオーといっしょに進出したが「初馬場を気にしてソラを使った」(森泰斗騎手)のが痛く、直線伸び切れず4着に敗れた。
土・日の2日間の開催となった今週の水沢競馬。日曜のメインレースは古馬マイルの重賞・シアンモア記念です。歴代勝ち馬には岩手競馬の歴史に残る名馬がずらりと名を連ねる、重賞の中でもさらに別格といえるレース。関係者の間でもこのシアンモア記念は“勝ちたい”レースなのです。
本来ならここで本命を背負うべきテンショウボスやサイレントエクセルが不在となり、これまで陰に隠れていた馬にもチャンスが巡ってきそうな今回、各馬とも例年以上に力が入る戦いになりそうです。
買い目は(11)タイキリオンを軸に(8),(7),そして(5),(6)へ流し、できれば全馬を加えたBOXで手を拡げたい。恐らく、上位争いはそれほど差のない混戦になるでしょう。裏目千両で泣かないように。
◆お奨めこの一頭
8R:ハウプトローレ
人気を集めそうなリバーサイドは相手なりに走るタイプ。であればつけいる隙はある