10日(土)メインは3歳牝馬による重賞・ひまわり賞(岩手版オークス)トライアル「第34回あやめ賞」、10頭立て。今回の舞台は水沢1800m。全馬が初の距離に挑むことになり、適性も重要なファクターだ。
(ピンクゴールド 写真・佐藤到)
主軸にピンクゴールドを指名する。菜の花賞はマサノパンダの2着、重賞・留守杯日高賞はカネショウプルートの2着に敗れたが、菜の花賞はデビュー以来、最低の馬体重412キロで出走。日高賞では430キロまで回復したものの、カネショウプルートが圧勝。むしろ2着確保したことを評価すべきだった。
そのカネショウプルートはひまわり賞へ直行するため、今回は自重。しかも距離が1800mへ延長されたことも脚質的に有利に運ぶはずで、ようやくピンクゴールドにチャンスが巡ってきた。
相手筆頭はマサノパンダ。菜の花賞は初の特別初挑戦だったにもかかわらず、4角先頭の強いレースで快勝。その内容から日高賞は1番人気に支持され、果敢に先行したが、カネショウプルートの手応えが抜群で直線で早めに交わされてしまった。それでも内で渋太く粘っていたが、ゴール寸前でピンクゴールド、マツノマオに先着を許し、4着に敗れた。それでも前記2頭とはアタマ、アタマ差の僅差で巻き返しの余地は十分にある。
ただ、一つ気になるのが1800mの距離。父がマジックマイルズ、母はしもつけオークス(宇都宮1900m)を優勝したジョージバンダ(母父ミルジョージ)なら血統的には不安なさそうだが、マサノパンダ自身のレースぶりからはマイルがベストの印象。しかも1800mの大外10番に入ったのもちょっと痛い。
とは言っても器用さも兼ね備えたタイプで距離も何とか克服してくれるのではないか。
単穴はマツノマオ。菜の花賞は後方のままに終わったが、日高賞では好位インをキープし直線では外からピンクゴールドといっしょに伸びて3着確保。レース運びのうまさを見せてくれた。ここも同様のパターンに持ち込んで上位入線を狙っている。
サチノマオはカネショウプルートと同じ村上実厩舎の所属。それで日高賞を回避したもので、菜の花賞からあやめ賞出走は当初の予定どおり。今年、3歳牝馬路線は、ひまわり賞まで重賞・特別が毎開催組まれており、各陣営とも調整に苦労している。
ただでさえ繊細な牝馬だけに、サチノマオのローテーションには好感が持てる。過去、1勝のみながら2着4回の安定感も魅力の一つだ。
モエレアンドロメダは日高賞で後方のまま9着。流れが合わなかったにせよ、それにしても見せ場すら作れなかった。しかし好、凡走の落差が激しいのは追い込み馬にままあるケース。距離延長を最も歓迎するのがこのモエレアンドロメダで、あとは走る気になることを期待するのみ。
セントゴールは北海道1勝から昨年12月に転入。移籍2戦目に白星をマークして今季も2、4着。体重が減って1ヶ月ほどレース間隔が開いたが、使い詰めのメンバーが多いため、逆に一息入れたのが功を奏するかもしれない。
◎ ?ピンクゴールド
○ ?マサノパンダ
▲ ?マツノマオ
△ ?サチノマオ
△ ?モエレアンドロメダ
△ ?セントゴール
3連単は8を1着固定に10、9、6のフォーメーション。あとは3、5を3着押さえ
馬複は8−10、8−9、6−8、3−8、5−8
<お奨めの1頭>
11レース テンショウタイヨウ
新緑賞は浦和遠征(1着)帰り初戦なら5着も納得。その一戦を叩かれて上昇は疑いのないところだし、メンバーも楽になった
5月6日 第8回阿久利黒賞(3歳オープン 地方競馬全国交流 水沢1600m)
1着 リュウノツバサ
本来はスタートセンスのいい馬だが、よもやの出遅れ。村上忍騎手は「一瞬、ヒヤッとした」そうだが、無理に前に進出せず中団インでジックリ構える。
2コーナー過ぎ、内から外に持ち出して徐々に先陣に詰め寄り、3コーナーではエイプリルボーイ、ゴールデンクリークの直後につける。直線では最内エイプリルボーイ、中ゴールデンクリーク、外リュウノツバサが横一線で並び、3頭の叩き合い。エイプリルボーイが100m手前で一杯となり、ラスト50mでリュウノツバサが半馬身差ほど抜け出したが、ゴールデンクリークも渋太く粘る。結局、その差のままでゴールに入り、リュウノツバサはトライアル・スプリングカップに続いて連勝。岩手版皐月賞、一冠目を手に入れた。
「出遅れたが、気のいい馬なので中団につけることができた。後ろの馬(コンバットキック)も気になったが、2コーナーで相手をゴールデンクリークに絞ってスパート。半馬身抜けてからもう一伸びできず、どうかなと思ったが何とか我慢してくれた。この戦法ができれば距離が延びても心配ないかも」(村上騎手)
リュウノツバサは先行力がある半面、道中折り合いを欠くケースがままあり、それで末をなくしてスプリングカップまで未勝利だった。しかし今回は掛かるシーンはまったくなく出遅れが逆に功を奏し、収穫の大きい一戦となった。
正直、スプリングカップは展開に恵まれた印象は否定できなかったが、今回は強い―の一語で想像した以上に力をつけているかもしれない。
次走は状態を見てからだが、岩手ダービー・ダイヤモンドカップ(6月2日 盛岡ダート2000m)へ直行する可能性が高いと新田調教師。
2着 ゴールデンクリーク
前走・スプリングカップでは中団に控え、ずっと周囲が壁になる不利。それで2着惜敗した反省を生かして3番手外の絶好ポジションにつける。3コーナーでエイプリルボーイに並び、直後リュウノツバサの動きを見ながらエンジン全開。エイプリルボーイはひとまず交わしたものの、リュウノツバサとの叩き合いで先着を許してしまった。
「4コーナーでは勝てると思ったが、最後はフワフワしていた」と板垣騎手。今シーズンは走る方に集中し、精神面の成長が大きいと評価したが、まだ幼さが残っていたか。こちらも岩手ダービー・ダイヤモンドカップで真価が問われることになる。
3着 エイプリルボーイ
絶好の1枠にも入り、当然のように逃げの手に出る。道中も行きたがる素振りをあまり見せず、マイペースに持ち込み直線でも最内で粘ったが、ラスト100mで一杯となった。ただ、当日は逃げ馬がほぼ全滅に近く、決してエイプリルボーイには向く馬場ではなかったが、それでも3着なら上々。「折り合いがつくようになったので、前のようにバッタリ止まらなくなった」と阿部騎手。そのコメントどおり、以前は暴走気味の逃げだったが、こちらにも成長のあとがはっきり。
4着 リュウノアシェイブ
輸送の影響もなかったそうで、マイナス2キロで出走。レースは6番手を追走し、各馬が動いたのに合わせてスパート。直線でもマズマズの伸びを見せたが「初の右回りに戸惑ったかも」(村松騎手)だったようで4着にとどまった。村松騎手はこうもコメントした。「走る感じの馬」と。
5着 コンバットキック
前半はいつもどおり待機策を取り、後方2番手を追走。向正面からロングスパートをかけたが、ペースがさほど速くならなかったのも痛かった。これは追い込み馬の宿命で距離延長と舞台替わりのダイヤモンドカップで期待したい。
ゴールデンウィークも終了。お休みだったみなさまは野に山に、そして競馬場へと行楽に出掛けたのでしょうか?わたくしはと申しますと、情報誌や観光ガイド誌の撮影の仕事をいただきまして、競馬のほうと調整をとりながら岩手県内を駆け回っておりました。
撮影対象は麺類を中心とした食べ物と温泉宿でどちらも大変おもしろい撮影となったのですが、特に各地の温泉は興味深かったです。
ひとくちに温泉と言うなら、火山で成り立っている日本列島ですから深く掘りさえすれば東京のど真ん中でも温泉は出るのですが、やはり温泉に浸かるなら味のある温泉街や景色の良い山奥なんかがいいですよね。その点、我が岩手県は全面積の87%が山というだけあって、いい感じの温泉がものすごーく沢山あります。
盛岡競馬場から近いところでいうと、市街の反対側になりますが『盛岡の奥座敷』といわれる繋温泉、そしてさらに奥まった鶯宿温泉があります。繋温泉は御所湖のほとりに位置し、湖の向こうに岩手山を望むこともできて春夏秋冬それぞれの景色が美しいところ。また鶯宿温泉は、その昔、怪我をしたウグイスが源泉に浸かって傷を癒したという伝説が語られています。どちらも中〜大型の温泉ホテルが中心で、清潔なお風呂に入ってのんびりホテルライフを楽しみたい方も満足出来そう。
一方、私のように鄙びた温泉宿で静かにくつろぎたいという向きには、八幡平ふもとの松川温泉や、水沢競馬場から比較的近い花巻の花巻南温泉郷や台温泉がおすすめ。昭和あるいはもっとずっと昔の香りが立ちこめる、趣あるたたずまいの中に身を置くと、なんだか心がじーんとしてきてとても落ち着いた気持ちになります。施設は古いところもありますが、アットホームなおもてなしの心は高級ホテルに見劣りすることはないと思います。
さらにもうひとつ挙げたいのは、ワイルド派にご紹介したい網張温泉仙女の湯というところ。江戸時代の山岳信仰により入浴が禁止され、周囲に網を張った、というのが名の由来となっている網張温泉は、現在は「休暇村岩手網張温泉」という立派な公共の宿が建っていますが(ここは内湯も眺めが良く食事も美味しいオススメの宿です)、仙女の湯は建物から3分ほど山道を歩いたところにある秘湯。昨年まで雪崩の被害で崩壊し入れなかったのですが、現在は谷川のそばに立派な脱衣所と湯船がつくられ、流れ落ちる滝を望みながら野趣あふれる温泉気分を満喫することも出来ます。もちろん源泉掛け流し。混浴ですが、女性には休暇村で湯着を貸し出しているそうです。原生林に囲まれて、谷川の流れと野鳥の声を聞きながらぼーっと湯に浸かるのは最高の気分ですよ。
ほかにも岩手には大小の温泉が数え切れないほどあるのですが、残念なのは競馬場に密着した温泉宿が無いこと。水沢郊外にある温泉のいくつかは競馬場から近いですが、せっかく岩手なのだから、かつての上山競馬場のように温泉郷に泊まって競馬三昧、競馬で儲かったお金を持って温泉でドンチャン騒ぎ、という雰囲気があれば良かったのにと思います。
(文/写真・佐藤到)
GW最後の日を締めくくるのは岩手の3歳ダート三冠・第一戦、阿久利黒賞です。ここからダイヤモンドカップ−不来方賞へとつながっていく三冠ロード、まず最初にリードするのはどの馬でしょうか?
しかし、先週の牝馬重賞・留守杯日高賞に負けず劣らず、このレースも混戦の気配で一杯。トライアル・スプリングカップを勝ったリュウノツバサが一歩リードでしょうが、それにしても僅差の勝利で、まだ“抜けた存在”には成り得ていません。
昨シーズンの2歳最優秀馬・コンバットキックにしても、その脚質故、安定性に不安があるのは確か。
結局、優勝争いはともかくとしても、2着争い・3着争いとなるとほとんどの馬にチャンスがありそうで、留守杯日高賞のように意外な結末があっても全く不思議ではないでしょう。
とはいうものの、私個人としては狙う馬を決めていました。それは1枠1番エイプリルボーイです。
スプリングカップを勝ったリュウノツバサは、初の特別戦挑戦にして初勝利を成し遂げた能力は素直に評価するにしても、大レースでの経験値の点はまだまだ、という不安が。お隣の同型の影響を大きく受けてしまいそうなのも心配。
コンバットキックは、スプリングカップでは休み明けの+19kg、大外を回ってそれで0秒3差なのだから決して悪い内容ではないのですが、しかし今の水沢コースでは基本的に追い込み馬は割引。若駒賞や金杯のような勝ち方をするには展開の助けが必要でしょう。
いっそ穴で面白いのはテンショウベストでは。自分から動く流れになると詰めが甘く、他が作るペースに乗れたほうが楽な馬ですから。
買い目は1枠1番エイプリルボーイから3、9、11へ。2,4を加えて安全策を取っても可。何度も言いますが抜けた馬のいないレース、絞りすぎないのが無難。
◆お奨めこの一頭 9R/バルク
チークピーシズ効果で大変身。別に逃げにこだわる馬ではないので同型多数も気にならない。ここは追いかける一手だ。
5日(月)メインはB1級馬による短距離1400mが舞台「第40回駒形賞」、10頭立て。今年の岩手競馬は各クラスとも距離のヴァリエーションが豊富になった。
例えば今回のB1級では4月12日・岩手日報杯(2000m 1着ニシノグレイシャ)、4月28日・新緑賞(1600m 1着ダンストンリゲル)。そして今回の駒形賞は1400mが舞台。厩舎サイドは調整が大変だろうが、適性が結果につながり予想ファクター的にはおもしろくなっている。
主軸に距離適性を重視してオリエントボスを指名する。実は前走・新緑賞でもマイルは守備範囲と踏んで本命に推したが、直線伸び切れず0・2秒差3着。ダンストンリアルに完敗を喫した。
(オリエントボス 写真佐藤到)
しかし今回は一昨年、重賞・栗駒賞でレコード勝ちを収めた水沢1400m戦。当時に比べてズブさが出てきたので絶対の自信は持てないが、それでも重賞を勝ったほどの実力馬。このクラスでは負けられないところだ。
逆転筆頭はカネショウエリート。昨年までは芝か、ダートでは冬の不良馬場が活躍の舞台だったが、休み明けから4、2、2着。どうやら水沢の重い馬場もあまり苦にしなくなったようだ。元々、メイセイオペラ産駒はダートが主戦場とするスピードタイプが多いし、4歳に成長する傾向がある。その意味からも期待を込めて注目してみたい。
10歳の古豪デュアルライフも元気一杯だ。前走は同じ1400m戦のB2特別・卯月賞ではマイネルイディオスの2着を死守。5番人気と評価は低かったが、直線でも粘り強さを発揮した。昇級戦となったが、今度も好位追走から再現を狙っている。
ダンストーンアレスもオリエントボスと同様、水沢1400mを最も得意とする。過去<2.2.0.1>と抜群の成績を誇り、しかも願ってもない内枠。ここも積極的な逃げ手のから、そのまま押し切るシーンまで考えたい。
以下、レース巧者ツジジオット、今季不振でも1400mでナイキアヘッドの格も怖い。
◎ ?オリエントボス
○ ?カネショウエリート
▲ ?デュアルライフ
△ ?ダンストーンアレス
△ ?ツジジオット
△ ?ナイキアヘッド
3連単は5、8の2頭軸から9、2、3のフォーメーション
馬複は5−8、5−9、2−5、8−9
<お奨めの1頭>
11レース マンジュデンツルギ
卯月賞は忙しい競馬が合わず3着に終わったが、今回はベストの条件1800m戦。前回のうっ憤を一気に晴らす