土曜日の午後。それまで晴れ間が拡がっていた空が徐々に黒い雲に覆われていったかと思うと、ザッという音と共に土砂降りの雨が叩きつけてきました。コース上にはあっという間に水たまりができ、側溝も溢れんばかりに雨水が流れていきます。その間、ほんの15分ほどの出来事です。
この日は朝から重馬場でやや速いタイムで決まるレースが続いていましたが、この雨のおかげでそれに輪をかけた超高速馬場に変貌。9RのA1級戦が1600m1分41秒3(6日に行われた重賞・シアンモア記念の勝ちタイムが1分42秒7ですよ?)で決まったかと思うとメインのA2・石桜杯は1800m1分55秒4。最終11Rなど、B3級にもかかわらず1600m1分41秒0の今季最高タイの高速決着となりました。
8Rから9Rまでのわずかな時間に、正確には9Rの出走馬がパドックからコースに出て、レースまでの15分ほどの間にガラリと状況が変わるのですから、まあ1年の間にもめったにないような天気のせいとはいえ、競馬の神様というのは気まぐれなんだなあと思わされますね。
岩手競馬、日曜のメインレースはオープン級によるあすなろ賞です。
このレースが設立されたのは2000(平成12)年。メイセイオペラのような中距離を叩いて調子を上げたい馬にとって手頃なものを、ということで作られたレースで、当時は“メイセイオペラ賞だ”などと冗談をいったものですが、それからはや7年。その年がメイセイオペラのラストイヤーでしたから、彼が引退してもうそれだけ経ったという事なんですねえ。
当時の馬たちはさすがにもうほとんど残っていませんが、このあすなろ賞に、2000年にすでに現役だった馬が1頭だけ出走しています。
それはゲイリーエクシード。1999年の9月にデビューしたゲイリーエクシードは、2000年からダートに転向して早速初勝利を挙げ、メイセイオペラがあすなろ賞を勝った5月頃は初の特別戦挑戦を目の前にしていました。
その後はダートで着実な闘いぶりを見せ、オープン勝ちこそないものの1600万下の特別を2勝。そして2度の長期休養、障害入りを経て、2005年秋から岩手競馬に移籍。その後の活躍は皆さんご存じの通りです。
99年デビューのゲイリーエクシードが10歳、とすれば9歳馬のトウカイトニーやブラーボウッズはどうかな?と思って調べてみたのですが、2頭ともデビューがやや遅く、01年になってからでした。
ついでという事で岩手競馬の現役馬でメイセイオペラと現役時代が被っている馬(岩手に限らず)を調べたところ、ブラーボウッズを含めて20頭ちょっとでした。馬の世界の7年は、短いようで長いのですね。
さて、あすなろ賞の本命は、そのゲイリーエクシードにしようと思います。昨シーズンは基本的にA2で活躍していた馬ですが、シアンモア記念や桐花賞での2着をみれば、オープン通用の力があるのはもはや間違いない事実。
加えて距離が伸びるのはどんとこいというタイプなのも今回のメンバー中では大きなアドバンテージです。中距離戦での安定度は最右翼、それだけでも本命にする理由になりますが、本来距離不足のマイル戦であれだけの決め手を発揮できたのは、つまり今はそれだけ調子が良いのだという事。もはや鬼に金棒といっていいでしょう。一番年上の馬がまわりを蹴散らすシーンが演じられそうです。
対抗はテンショウボス。シアンモア記念に出走できなかったうっぷんをきっちり晴らした前走、馬体重もプラスで挑めて状態面の不安をクリアした一戦となりました。距離そのものは問題ないはず、戦法も自在で、早め先行の積極策が取れればそのまま押し切るシーンも。
そしてサイレントエクセル。昨年の良い頃に比べればまだまだとはいえ、前走ではだいぶこの馬らしさが出てきました。あと少しでこの馬本来の走りが戻ってきそう。その上積みに期待して3番手です。
以下ではまずヤマニンエグザルト。1800mはこの馬にはやや長い印象も、3走前のように逃げる事も、前走のように内でじっと我慢する事も、どちらも可能。コース状態が悪化しすぎなければ好勝負。
オウシュウクラウンは今回もまずまずの追い切りをこなして、体調面は特に問題ないようです。ただ、精神面・気持ちの面で結果が出ていないだけに今回も危なさの方が気になります。今回もまだ押さえまで。
買い目は6枠6番ゲイリーエクシードから1・4・5・8へ。1・5・6の3頭を主軸として、あとは2・3着の相手に留めたいと思います。
◇お奨めこの一頭
9R:エイシンウルフオー
このレースの中心はマイネルヘルシャーとメタモルキング。その争いの一角に加わってくるならこの馬だろう。ようやく調子が戻ってきた。
19日(土)メインはA2級馬による水沢1800m戦「第33回石桜杯」、10頭立て。この「石桜(せきおう)杯」命名の由来は盛岡地方裁判所の前で、花崗岩を割って逞しく幹を伸ばしていく『石割桜(いしわりざくら)』から。
さらに詳しく説明してみたい。この盛岡地方裁判所はかつて南部藩の家老であった北家の屋敷跡。約350年余り前、落雷によって割れ、その割れ目に桜の種が落ち込んで生育したといい、一説には石のひびに桜の種が落ちこんで生育につれ石を割ったという。
石は花崗岩で周囲が21m、桜はシロヒガン桜(エドヒガン)で、大正12年、国の天然記念物に指定され現在に至っている。今年はもちろん桜が散ってしまったが、石割桜は毎年、盛岡に春を告げる象徴にもなっている。
この石桜杯をどうして水沢で開催するの…?と疑問を持つ方もいるであろうが、そこは開催日程の都合。個人的にだが、「石桜杯」は岩手ならではの名称なので、ずっと残してほしいレース名だ。
さて本題。中心はニホンピロゼンで不動だろう。一昨年4月、3歳戦2着後、1年もの長期休養を余儀なくされて出世は遅れてしまったが、06年4月に復帰後は快進撃を続け、7月まで5戦4勝2着。その2着は大器ハセノコンドルに屈したもので、これは仕方なしだったが、レースの激しさを物語るように再び4ヶ月の休養を強いられた。
(はまゆり賞1着・ニホンピロゼン 写真・佐藤到)
しかし11月に戦列に戻るや、常に勝ち負けを演じて現在は冬をはさんで目下3連勝中。はまゆり賞(A2)、この「石桜杯」と特別2連勝でオープン入りの手みやげとしたい。
相手はマルカンジョオー、インターサウンドの2頭が有力。マルカンジョオーは昨シーズン、6月・ジューンカップ快勝まで好ダッシュを決めて5戦3勝2着1回3着1回。そのままオープン入りを果たすかと期待を集めたが、その後、9ヵ月半リタイア。
ひとまず今年3月に戦列に戻ってきたが、休養が尾を引いて凡走を繰り返していたものの、前回は中団から鮮やかな直線抜け出しから1着。ようやく復活の雄叫びをあげた。
総じてマーベラスサンデー産駒は軌道にさえ乗れば好調サイクルが長く、きっかけ掴めばこちらのもの。前記ニホンピロゼンを負かすシーンもあるかも知れない。
インターサウンドは詰めに不安があるため、苦手の寒い時期を脱して徐々に上昇気配。元々、オープンの破壊力を持っており、小回り水沢は若干割り引きだが、潜在能力でアッサリまであり得る。
昨年1年間を棒に振ったマクロプランナーだが、今季は一戦ごとに立ち直って前回2着。ソロソロ豪快なマクリを期待したいところだし、前走1着で格上の存在をアピールしたミナミノサニーオー、そして4月7日・岩手日報杯2着以来だが、グラスホープの末脚も軽視はできないだろう。
◎ ?ニホンピロゼン
○ ?マルカンジョオー
▲ ?インターサウンド
△ ?マクロプランナー
△ ?ミナミノサニーオー
△ ?グラスホープ
3連単は9を1着固定で1、2の折り返し。3着は3を厚めに10、8押さえ少々
馬複は1−9、2−9、3−9、1−2、9−10
<お奨めの1頭>
11レース サイレントイン
笠松から転入後、3戦連続で2着。特に前走・大屋梅賞では直線で再度盛り返し、上々の中味。ここはきっちり白星を飾りたい
5月15日火曜日の夜に起こったNTT東日本フレッツの回線障害では、ひかりIP電話と合わせて239万件の障害件数があったそうです。
そういう我が家もインターネットはフレッツADSLを利用していまして(Yahoo!BBじゃなくてご免なさいSoftBankさん。盛岡市郊外の僻地となるこの地には、長い間NTTしかブロードバンド回線が来ていなかったんです…汗)、見事に通信が断絶してしまいました。
回線不通になったのは今回が初めてというわけではありませんが、今日は雷のノイズが飛んでいるわけでもないようだし原因が思いつきません。NTT側のトラブルという考えもちらっとは頭に浮かんだのですが、タイミング的にちょうど家の者が夕方、ブロードバンドルーターのあたりをガシガシと掃除機をかけた後に不通になったものですから、もうてっきり「あーぁ、これはきっとルーターが壊れたな。4年間ぐらい使っただろうか。5年かな?いきなり壊れるもんだよなぁ。こういうのが壊れる時っていつも突然だよなぁ。そりゃ当たり前だけど、なぜか他の物の買い換え時期と重なるんだよなぁ。今回は車のタイヤだよ。うーむ、出費がかさむなぁ…」などと脳内で考えばかりが先に行ってしまいました。
そのころNTT東日本では、自社ホームページで“「フレッツサービス」および「ひかり電話」のご利用できない状況について”というリリースを出していたのですが、考えてみればネットが使えない利用者にネットで告知するというのもおかしな話です。結局、私は市内の無線LANフリースポットが設置されているコンビニに仕事関係の画像ファイルを送信しに行き、このときついでにフレッツホームページを確認して、ようやく事態を把握したというわけです。
今回のトラブルで、NTT東日本には2万件を超える苦情が寄せられたとか。昨今は私も含め仕事にネットを使っている人も多いですから、「どうにかしてくれよ」という気持ちは良くわかります。でもまぁインターネット回線も人の手で作った施設ですから、電気や水道と同じように途切れてしまうこともあるのでしょう。逆に言えばこの一件で、それだけインターネットが電気や電話と同じ“ライフライン”として社会に浸透しているということが示されたのではないでしょうか。
しかしその一方でISDN回線しか使えない地域もかなり残っていますし、私の実家のようにインターネットどころか未だに黒電話が現役の家庭さえ存在します。
社会が便利なものへ便利なものへと進歩していく中で、新しい技術を手に入れる人と手に入れられない、あるいは手を出さない人の差はこれからますます広がっていくでしょう。インターネットやテレビ放送などの通信関係はその最たる分野です。しかし最先端の技術ほど脆く、結局は紙に字を書いた手紙が一番確実だった、というのでは困りますね。
5月12日 第33回あやめ賞(3歳牝馬オープン 水沢1600m)
(写真・佐藤到)
1着 マツリダワルツ
1周目4コーナー過ぎ、14秒前後のスローに落ちたこともあっていつもより前、中団直後につける。各馬が仕掛けたのは3コーナー手前からだったが、こちらはワンテンポ遅らせてスパート。「直線でインを突っ込むか、外を回るか一瞬迷ったが、大外は伸びるのでそこを選んだ」と南郷騎手がレース後に語ったが、今の馬場は最内と大外が伸びるので正解。
パラダイスフラワーが直線半ばで先頭に立ち、そのまま押し切ろうとするところマツリダワルツがゴール寸前で捕らえ、初の特別タイトルを手に入れた。
「この馬のペースで行かせたら中団からの競馬になった。必ずいい脚を使ってくれるのでそれを信じて3コーナーから追った。今回はプラス9キロで馬体もフックラしていたし、馬も落ち着いていた。距離が伸びてペースがゆったりしたのもこの馬には良かったのでは」と南郷騎手。
マツリダワルツは追ってバテないタイプなので距離延長は歓迎。次走・ひまわり賞は今回よりさらに100m伸びて1900mが舞台で、マツリダワルツには願ってもない条件となる。
2着 パラダイスフラワー
マツノメガミが何が何でも逃げる構えを見せたのでスッと2番手に控える。道中は折り合いもつき、いつでも交わせるポジションをキープしたが、3コーナーから満を持して追い出しても反応がひと息。最内で粘るマツノメガミをラスト50mで捕らえたが、大外強襲マツリダワルツに頭差交わされて連勝は2でストップしてしまった。
菜の花賞、日高賞といずれも逃げ切り勝ち。今回もその2戦と同じ1枠に入り、逃げ必至と思ったが、前回・日高賞後のコメントで「ズブくなっているので、できれば控える競馬をしたい」と小林騎手が語っていたので、この2番手はむしろ望むところだったに違いない。
ところが、いざ追い出したらもたついてマツノメガミを捕らえるのがやっと。「全然、行く気がない」と小林騎手。
3着 サクラアリエル
マツノメガミ、パラダイスフラワー、オーナーズスキャン、内にナイトタイム、その後ろにサクラアリエルがつける。先にサイレントステージが動いて、それを見てスパートをかけ、一旦パラダイスフラワーに並びかけたが、あと一押しが足りず今回も3着惜敗した。
「3、4コーナーでもっと前につけた方が良かったかも」と菅原勲騎手。
4着 マツノメガミ
絶対にハナを譲らない構えで逃げ、1周目スタンド前でスローに落とす。笠松時代も先に行ったケースがあったが、マイペースに持ち込んで直線でも渋太く粘る。これで今後のメドが立った。
5着 サイレントステージ
道中は4番手外につけ、3コーナー手前からスパート。その時の反応は良かったが、直線では伸び切れず5着に終わった。「ピークからだとマイナス20キロ。体重が減っているのでどうしても最後が甘くなる」(板垣騎手)
5月13日 第7回阿久利黒賞(3歳重賞 水沢1600m)
1着 セイントセーリング
ネバーオブライト、セイントセーリング両馬とも好スタートを切り、どちらが逃げるか注目だったが、1周目スタンド前でセイントセーリングがハナに立つ。「大外に入ったし、ネバーオブライトがいたので2番手の競馬も考えていたが、自分の方が若干リードしていたから、それならば逃げようと思った」(菅原勲騎手)。
ラップが速かったのは2ハロン目だけ。セイントセーリングが先手を取って以降はペースが落ち着き、気分良く逃げる。4コーナーでソードが差を詰めにかかったが、セイントセーリングは余力十分。直線で再び伸びて6馬身差の圧勝劇となった。
「この馬の力を信じて逃げることにした。その方がダートでは持ち味を生かせますからね。昨年に比べ馬体、精神両面で成長を感じます」と菅原勲騎手。
次開催をスキップし、岩手ダービー・ダイヤモンドカップ(6月10日)に直行すると鈴木七郎調教師。
2着 ハルサンヒコ
自分の競馬をすることに徹し、道中は中団インでジックリ待機策を取る。3コーナーから徐々にスパートをかけ、直線でもジワジワ伸びて2着を確保。鈴木七郎調教師のワン・ツー・フィニッシュで決着した。
「セイントセーリングとは力が一枚落ちるが、自身は確実に成長している」と板垣騎手。
3着 ネバーオブライト
当初は逃げるかと思ったが、スタンド前で2番手に控える。2コーナー過ぎから追いどおしだが、反応がひと息。「これは毎回のこと」と村松騎手は語っていたが、それにしても動きが鈍く、3コーナー過ぎでソードに交わされたが、直線ではひとまず盛り返す。それでも外から伸びてきたハルサンヒコ、ワクワクヨークンを差し返すまでには到らなかった。
もっと上昇度を期待したが、まだ体もゆるい印象。今後のことも考えれば無理に絞ることもないだろうが、もう少し反応の良さが見たかった。
4着 ソード
いつもは中団より後ろがマイポジションだったが、「前に行かせてみたかった」と村上忍騎手は考え、3番手外を追走。3コーナー、馬なりでネバーオブライトを交わして2着確保の勢いかと思ったが、直線では前半で脚を使った分、末が甘くなってしまった。