<次走へのメモ>
10月28日 第22回プリンセスカップ(2歳牝馬 盛岡ダート1400m)
(写真・佐藤到)
1着 パチョリ
相変わらずスタートセンスが素晴らしく、楽に馬なりで先手を奪う。あとは12秒台の正確なラップを刻み、直線を向くと後続を突き放す一方で、2着に6馬身差をつける圧勝劇を演じた。
前走・若松賞でも逃げたが、ネバーオブライトに交わされて2着。しかしネバーオブライトは2歳馬としては出色の1分26秒6(盛岡ダート1400m)をマーク。パチョリはそれから0・3秒離されたが、1分26秒9は例年ならば勝ち馬に相当、もしくははるかに上回る好時計。今回も自身がラップを作って1分27秒5を出しており、ここでは能力が違ったという他はない。
パチョリはイギリスで生まれ、父ジェイドロバリー、母マルビウム、母父ディキシーランドバンド。所有はご存知、ダーレージャパン。
「1枠(ローランメモリー)が逃げると思っていたが、躓いたみたいなので馬なりで逃げることになった。パドックでいつになくイレ込んでいたが、レースではそんな素振りを見せなかったし、力をつけていますね。実際、デビュー当時に比べて全体も大きくなっています」と小林騎手。
次走に中央挑戦を予定していたが、それは自重。東京2歳優駿牝馬(大井)に出したいため、移籍する可能性。その前に地元重賞・南部駒賞か白菊賞(牝馬)を使う予定もある。
2着 シーキャンフライ
終始中団をキープして直線は大外へ持ち出す。先行2頭パチョリ、クールビズの行ったきりかに見えたが、最後の伸びがすばらしく2着に食い込む。盛岡ダートは今回は初めてだったが、ためる競馬が功を奏した。
3着 クールビズ
前回、札幌遠征(芝1200m 500万下)の疲れを考慮し、緩めの馬体作り。それでプラス10キロでの出走となり、最後でその影響が出たが、あくまでも再度、JRA挑戦をにらんだもの。決して力負けではなかった。
10月29日 第6回黄菊賞(2歳 盛岡芝1700m)
(写真・佐藤到)
1着 セイントセーリング
大外からワイエスロードが逃げを譲らない構えを見せたので、無理をせず2番手外につける。2ハロンまではピッチが速かったが、以降はペースが落ち着いて3コーナー過ぎにワイエスロードが失速。自然、そのまま先頭に立って底力の差を見せつけてゴールまで押し切る。
デビュー戦を派手なパフォーマンスで快勝したが、以降はひと息のレースが続く。しかし今回はメンバーにも恵まれたのに加え、本来の先行力と反応の良さを発揮して待望の2勝目をマーク。これまでのうっ憤を一気に晴らした。
「テン乗りで外にもたれ気味と聞いていたが、そんなクセも出さずに楽に追走できた。ポジションはあまり考えず出たなりだったら2番手に。今回はメンバーにも恵まれたが、道中の手ごたえもいいし、追ってからの反応も良く楽な競馬ができました」と板垣騎手。
今後は水沢ダート戦となるが、前回、初ダートの若駒賞は発汗が激しかったもので基準外。慣れればダートも問題ないでしょう、と鈴木七郎調教師。
2着 カネショウエリート
好スタートを切り、セイントセーリング(1枠)と枠差もあって3番手外につける。3コーナーまでそこをキープしてセイントセーリングとの差を詰めにかかったが、現時点のキャリアを考えれば2着でも上々。
水沢デビュー戦(850m)で2着に入り、未勝利脱出は時間の問題かと見られていたが、案外時間がかかって前走6戦目、芝1000mで初勝利をマークした。
父がメイセイオペラで母父がパークリージェントでダート向きかと陣営も思っていたが、芝を快勝し、そして今回も芝1700mで2着に健闘と器用さを兼ね備えている。今後も楽しみな1頭に加わった。
3着 ゴッデスフラワー
5番手につけたが、2コーナーでやや折り合いを欠く。4コーナー手前からインをついて抜け出しを図ったが、クビ差届かず3着。芝2戦で切れる脚を披露していたが、今回はいきなり1700mでその脚を使えず。しかし牝馬ながら500キロ前後の好馬体を誇り、父がウェイオブライトならダートで巻き返しできるはず。
この24日、園田競馬場で行われたWSJS地方競馬代表騎手選定競走の後半戦に行ってきました。
岩手代表の菅原勲騎手逆転優勝なるか?という期待も込めて見ていたのですが、皆さんご存じの通り、前半戦上位3名が第3戦で1〜3着となってこの時点で優勝チャンスは濱口楠彦・内田博幸・山口竜一の3名にしぼられ、そして第4戦、濱口騎手が山口騎手の半馬身前に出ていて、わずか1ポイント差というドラマチックな決着で濱口騎手の優勝が決まりました。
笠松競馬のファンの方には申し訳ないですが、濱口騎手の全国的な知名度はまだまだ低かったと思うんですよね。それがすでにこの予選4レースでかなりのアップ。わが岩手でも濱ちゃんファンが相当増えたようですが、これでWSJSで活躍しようものなら、これはもう凄い事になるんじゃないかと。
ご本人は「ワシ、そんな人の多いところに急に行っても、何やってええか分からんわ〜」といたっていつも通りのようですが、もう周りが放っておかないでしょう。濱ちゃんフィーバー、起こらないかなあ。
月曜日のメインレースはC3級の芝の特別、中津川特別です。C3級の特別戦はそもそも1年に2つしかない貴重な条件で、さらに芝となるとこのレースだけ。JRAからの転入組も少なくないC3級ですのでこの条件を待ちかねた馬も多いのかな、と思っていたら、意外にも初芝かほとんどそれに近い馬が多くなりました。
考えてみれば、岩手の芝戦は特別戦・平場とも格上挑戦可能ですから、C3でも芝で目があると思っている馬は早い段階でC2級の芝に出ているんですよね。
なので、この中津川特別のメンバーにも“バリバリの芝馬”っぽいのはちょっと見あたりません。今回はあまり芝適性云々にはこだわらず、ダートでの力関係を基準にして考えてよさそうに思います。
本命は、その初芝の馬・マイネルヘルシャーです。岩手に移籍してきて6戦5勝、転入初戦こそ敗れましたが、以降の5戦はいずれもワンサイドといっていい内容で5連勝中の馬。力はC3級で留まる馬ではありません。
ダートでの持ち時計比較なら間違いなく頭ひとつ抜けているのですが、こと芝となるとJRA時代を通じて初めてなので確かに未知数ではあります。ただ、素軽い走りをするタイプですし血統的にも芝はこなせるはず。また、万一芝がダメなタイプとしても、“からっきしダメ”という事でない限りは能力差で勝ち負けを演じてしまうと思います。ここは5連勝の勢いを素直に信用。
対抗はちょっとひねってラファーガでいかがでしょう。芝は2歳時の一戦のみ、2着とはいえ盛岡1000mで1分2秒台のタイムですからあまり強気にはなれません。しかし古馬編入されたばかりの3歳馬で勢いがありますし、前走や前々走を見るとこの辺りなら力が上と判断できそうなレースぶり。展開がはまるかどうかの点もあるのでしょうが、ここで狙ってみたいですね。
マルケイゴールドは岩手で芝を3戦してそこそこの成績。父ステイゴールドの血統だけに芝は大丈夫そうです。あまりペースが速いとついて回れなくなる時がありますが、今回はそれほどにはならなさそうで、差し切りチャンスまで。
以下、スローで前残りの際のファニーチック、逆にマイネルヘルシャーが早めに動いて先行馬が潰された場合のヤクモコンドル。特に後者は芝が合いそうで、一度芝の走りが見てみたかった馬。
買い目は4枠4番マイネルヘルシャーを頭で2、5、8、10。4の頭で単を狙っていきましょう。
29日メインは2歳馬による芝1700m戦「第6回黄菊賞」、12頭立て。盛岡芝を舞台に行われる2歳特別はこれがラストだが、それに合わせるかのように芝に実績があるメンバーがそろった。
中心はセイントセーリングで不動だろう。重賞・若駒賞では1番人気に支持されたが、勝負どころで反応がひと息でグローリーソング、オペラダンディのマッチレースから0・9秒差3着に止まった。これは初のダートに戸惑った印象が強く、この結果も仕方なし。
今回は自分の庭とも言える芝が舞台。デビュー戦芝1000mでは、後のG?・エーデルワイス賞をレコード勝ちしたパラダイスフラワーをアッサリ切って捨てている。
ただJRA新潟マリーゴールド賞8着、若鮎賞(芝1600m)タイム差なし2着(1着はパラダイスフラワー)はともかく、前々走・ジュニアグランプリ(芝1600m)4着に若干不満が残るが、その時に比べて今回はいかにも恵まれた組み合わせ。ここはキッチリ勝っておきたいところだ。
相手にゴッデスフラワーを指名する。デビュー戦(水沢850m)はネバーオブライトが驚異のレコードをマークしたが、2着を確保。2戦目、盛岡ダート1400mは後方のまま11着に沈んだが、芝に替わって動きが一変した。まず10月1日、牝馬限定のホープフル競走(芝1000m)で後方から直線一気に伸びて2着だったが、この上がりが34秒6。いかに高速決着だったにせよ、35秒を切るのは並大抵のことではない。案の定、前走は同じ芝1000m戦で余裕の直線抜け出しを決め、待望の初勝利を飾った。
ゴッデスフラワーは父が2歳戦に強いウェイオブライトで母父がグルームダンサー。半姉サークルシービー(父ヘクタープロテクター)は小柄な牝馬だったが、芝特別(若鮎賞)で2着に入ったように芝への適応力が高い馬だった。ゴッデスフラワーは父の影響が大きいのか500キロ前後の大型牝馬ながら、芝での反応の良さはまさに姉譲りと言っても過言ではない。
オウシュウトップは父ブラックタキシード、母父サーペンフロの配合どおり距離が延びて本領を発揮。前回、盛岡ダート1400m戦で7番人気の低評価をはねのけ、好位から抜け出して2勝目をマークした。今回は大幅にメンバー強化だが、1700mの距離延長を味方に大駆けを狙っている。
ジェニュインワンはその名のとおりジェニュイン産駒。デビュー戦は当初、芝を予定していたが、折からの激しい雨で急きょ、ダート1000mへ変更。しかしそれをモノともせず、余裕の逃げ切りを決めた。仮に芝で実施されていても同様の結果を出す公算大だったはずで、キャリア一戦で強気の挑戦に注目してみたい。
他ではメイセイオペラ産駒ながら前走、芝1000mを快勝したカネショウエリート、400キロを割る小柄な牝馬で脚抜きのいい芝が合うリードチーフ(父チーフベアハート)も軽視できない。
3連単は1を1着固定。2、3着は4、5、6、10と手広く
馬複は1−7、1−4、1−5、1−6
<お奨めの1頭>
11レース ロックエモーション
目下5戦連続で連対中と一連の安定度が目を引く。また走破タイムもすばらしく、ここも信頼の軸
28日(土)メインは2歳牝馬による特別「第23回プリンセスカップ」(盛岡ダート1400m)、12頭立て。翌日に2歳芝1700m戦・黄菊賞もあり、有力馬が分散するかに見えたが、両レースともなかなかの好メンバーがそろった。
G?・エーデルワイス賞を勝ったパラダイスフラワーといい、平和賞は初コースに戸惑い物見が激しく4着に敗れたネバーオブライトなど今年の岩手2歳は非常に層が厚いと断言して差し支えない。
さてプリンセスカップ。主軸はパチョリで大丈夫だろう。前走、同条件で行われた若松賞では、自らハイペースを形成しながら果敢に先行。最後はネバーオブライトに交わされて2着に敗れたが、ダート1400m1分26秒9のタイムをマーク。非常にレベルの高い戦いとなった。
このパチョリ、父がジェイドロバリー、母父がディキシーランドバンドだが、本質的には芝向きだと個人的に思っている。その根拠は前々走、認定レース・ホープフル競走で見せた末脚。道中5番手をキープし、直線で小林騎手がゴーサインを出すと一瞬のうちに抜け出して完勝したが、追えばどこまでも伸びてきそうなほど余力十分だった。
もちろん前記・若松賞2着、りんどう賞も2着に入り、ダートも難なくこなすのは間違いなく、牝馬限定でメンバーが甘くなった今回、キッチリ勝利をモノにするだろう。
逆転一番手はクールビズ。デビュー戦で水沢850m51秒1のレコードタイ(当時、その後、ネバーオブライトが大幅に更新)をマークし、2着に1・3秒の大差勝ちを収めた。続いてJRA札幌500万下(芝1200m)に挑戦し、結果は8着ながら2、3番手の好位につけ、スピードは中央でも通用することを証明した。
若干不安なのは大外の12番枠に入ったこと。理想は逃げだが、同型が内枠にいるため、どのような競馬をするか。仮に前半でガンガン競り合えば共倒れになる可能性もあり、その点だけが気がかりだ。
単穴はマツリダワルツになった。デビュー、2戦目と芝1000mを使い2、1着。いずれも59秒4、59秒5という好タイムで駆け抜け、3戦目に重賞・若駒賞へ挑戦。いきなりトップ相手、初ダート、初の1600mと初モノ尽くしだったが、3番手追走から5着。優勝馬グローリーソング(北海道)からタイム差1・5秒と離されたが、ひとまず入着を果たして評価をあげた。小柄な牝馬だが、いい勝負根性を持っている。
アッサリ逃げ切りか、それとも大敗かのどちらも考えられるのがローランメモリーだろう。デビュー戦芝1000mは逃げ切りかと思ったが、伏兵サンサンテーストに交わされて2着。しかし走破タイム59秒3は、普通ならば勝って不思議なしの時計。そのうっ憤を晴らすかのように2戦目、水沢ダート1300mを力任せに逃げ切り圧勝。2着に1・7秒の大差勝ちを収めた。
前走・ジュニアグランプリ(芝1600m)はパラダイスフラワー、ソウレイ、そしてローランメモリーが前半、超ハイペースを形成し、その3頭が総崩れの展開。そのためしんがり12着に敗れたが、ペースを考えれば仕方なしの結果。
その後、態勢立て直しを図り、このプリンセスカップに満を持して登場。しかも逃げ馬には絶好の1枠を引き当て、持ち前のスピードを存分に発揮するかもしれない。
プリムラジュリアンも侮れない。父はパラダイスフラワーと同じティンバーカントリー。そして母は2、3歳時、岩手で活躍したサクラスギと岩手に馴染みの血統。
重賞・若駒賞では勝負どころで動けず7着に敗れたが、前々走は盛岡ダート1400m戦で2番手から直線抜け出して2勝目をマークした。ここで好勝負に持ち込めるようなら、将来の活躍も約束された。
他ではダート戦初経験だが、切れる末脚がセールスポイントのオウシュウビジンもマークが必要だろう。
◎ ?パチョリ
○ ?クールビズ
▲ ?マツリダワルツ
△ ?ローランメモリー
△ ?プリムラジュリアン
△ ?オウシュウビジン
3連単は9を軸に12、2、1を厚め。5、7は3着押さえ
馬複は9−12、2−9、1−9、5−9
<お奨めの1頭>
11レース モエレスコーピオン
同じ3歳牝馬トミケンソリッドは強豪だが、こちらは勝負根性がすばらしく連勝を4に伸ばす。トミケンソリッドと一点!
いや〜惜しかったですねネバーオブライト。25日の船橋で行われた南関東G3・平和賞に参戦したネバーオブライトと村松学騎手でしたが、直線追い上げきれずに4着。しかし初の遠征ですし、レースも完全に力負けしていたとは思えませんので、まだまだ今後に期待しますよ!
一方、先週の盛岡2歳戦では嬉しいニュースがありました。土曜日のフューチャー競走でデビュー戦を迎えたチョコクッキーが、芝1000mを逃げ切って優勝。チョコクッキーは今年、初年度産駒がデビューした岩手の英雄トーホウエンペラーの仔で、岩手ではエンペラー産駒の初勝利となりました。トーホウエンペラー産駒は各地で続々と勝ち星を挙げているようですが、なぜかこの岩手でなかなか勝てずにいたので、これをきっかけにどんどん強い馬が出て欲しいと思います。
話は変わりますが、23日月曜日の5レース発送直前、オーロパークは突然の停電に見舞われました。不思議なことにスタンドや馬場管理施設内の照明は消えているのにテレビはついている。しかし場内映像は切れて砂嵐状態。それではオーロヴィジョンの大画面はと思って見てみると電力も映像も通常通り映っているという、一体どういう電源系統になってるの?という状態でした。競馬場には非常用の自家発電施設もありますが、幸いすぐに電力が復旧し、念のための点検で発走が数分遅れただけで通常通り競馬が行われました。めでたしめでたし。
が、私個人の突発事故はこれで終わりませんでした。直後に撮影しようとした5レース、1着ゴールするマーメイズアイ号を捉えてシャッターを切ったところ、なんと連写の途中でカメラがフリーズ!パネルにはエラーの表示が…。最近のコンピューター化したカメラではどうしても避けられないトラブルですが、これが例えば南部杯のゴール撮影時に起こったら…と思うとゾッとします。それにしても連続して起こった電気的事故、まるで強力な電磁波にさらされたようで、思わず核実験の影響か地震の前兆では?と携帯電話やパソコンを点検してしまいました。幸い他には何ともありませんでしたが、なんだか不安なご時世ですね。
(写真・文/佐藤 到)