月曜日に行われたWSJS予選レース。全国の名手14人が集まって面白いレースにならないわけがないと思っていましたが、これがもう、想像以上の面白さでした。
第1戦で勝った濱口楠彦騎手・2着の菅原勲騎手、どちらも人気薄をここまで持ってきて凄いなと思ったんですが、もっと凄かったのは3着の的場文男騎手。馬の脚は完全に上がっているのに腕力で走らせるんですからねえ。第2戦も同じように3着だったんですが、こちらの馬もゴール前はしっぽを振りまくるわ腰も落ち気味になるわ、完全にあっぷあっぷなんですけど、それを鞍上が力で持ってきたという感じ。馬の方がびっくりしたようなキョトンとしたような目で走っているんですから。さすが的場騎手だ・・・。
24日には園田競馬場で予選の第2ステージ・2レースが行われます。第1ステージで下位だった騎手も勝てばまだひっくり返せる可能性がありますからね。第1ステージ以上に激しい闘い、期待してよさそうです。
月曜のメインレースは1200mの短距離戦・白神賞です。今年は上級条件の短距離戦が少なく、盛岡1200mの重賞・特別はこのレースとクラスターCだけ。それだけにこの条件に出てくる馬は、この距離で変身をと狙ってきていると思います。
このレース、本命に推すのは6枠8番マコトセイウンです。夏前に岩手に転入してきて6戦4勝。その堅実度はやはり魅力ですが、一番気になるのは距離短縮という点です。
同馬はJRA時代、ダートの短距離戦で5勝を挙げているスプリンター。そう思ってみると岩手でも1600mでは苦しみましたし、1400mでもやや構えていくような、大事に乗って距離をこなしているような印象を受け、強気に行ききってしまう1200m戦とはずいぶん違うなあと思ったものです。この馬の本領はやはり短距離戦にあると見ます。クラスは厳しいですが適性を信じて。
対抗はサンシャインヘイロでいかがでしょうか。この馬も距離が短い頃の方が強気のレース運びをしていた気がします。1800mはやや我慢が必要な印象だけに、一気に押し切れる距離は合うのでは。
マイニングプレスは、こちらはそれほど短距離が合うタイプに思えず、例えば頭で狙えるかというと「?」と感じます。ただ、A2級の安定勢力で戦法も自在。そういう点を買って軸として信頼。
以下は穴で行きましょう。まずゴ−ルデンパンジー。ご存じの通りのスピードある先行馬ですし、距離短縮で思い切ったレースを期待。マイナスとしては3歳牝馬で54kgの斤量は少し不利か。
コアレスブームも距離短縮でどんなレースをするか気になります。長い距離だと途中でレースを止めるような所があり、気の抜けない距離で変わってこないか。血統は相当な短距離血統です。
買い目は6枠8番マコトセイウンから1、2、6、12へ。思い切って8番の単で勝負。
21日メインはオープン馬による2000m戦「第32回赤松(せきしょう)杯」(盛岡ダート2000m)。このレースの1、2着馬には11月5日、岩手最長距離重賞・第29回北上川大賞典(盛岡ダート2500m)への優先出走権が与えられる。
当初、南部杯で岩手最先着6着のウツミジョーダンの登録もあったが、大事を取って自重。そうなると今季実績からベルモントシーザーを主軸視するのが妥当だろう。
前走はG?・南部杯にチャレンジして14頭立て13着。この成績だけを見ると力の差で大敗を喫したかに見えるが、全国の強豪を相手にして果敢に逃げ、玉砕的戦法を取ったため。その時、ベルモントシーザーは前半34秒7という超ハイペースを形成したのだが、これには理由があった。今年、南部杯にしては珍しく強力な逃げ馬が不在で、しかも同馬は逃げて下さいと言わんばかりの2枠。それならば、と菅原勲騎手は一か八かの勝負に出てみたのだ。
しかし、スピード競馬に慣れているJRA勢は楽に追走し、彼らの厳しいチェックにあったベルモントシーザーは3コーナー過ぎで早くも一杯。さすがに直線は余力も何もなく、上がり41秒2とバタバタ状態でゴールに入った。
仮に自己のペースを守って着拾いに徹すれば二ケタ着順にはならなかっただろうが、出走するからには、せめて見せ場を作りたい…と菅原勲騎手は思ったに違いない。ならば13着にも価値が出るというものだ。
今回、当面のライバル・ウツミジョーダン、エアウィードが不在ならメンバー有利は誰が見ても明白だし、7月に行われたG?・マーキュリーカップ(盛岡ダート2000m)で4着の実績があり、距離の不安もまったくなし。また岩手での3勝をすべて盛岡コースでマークしているように左回りがベスト。ここを順当に勝ち上がって重賞・北上川大賞典へ弾みをつけたいところだ。
中心はベルモントシーザーですんなり決まったが、相手捜しが非常に難しい。いわゆる帯に短し、襷(たすき)に流し―っていうヤツだ。おそらく2番人気はブラーボウッズになりそうだが、どうも輸送競馬になるとスタートで後手を踏み、直線追い込んでも届かないケースが多い。
という訳で、対抗にはジェーピーバトルを抜擢する。今シーズンは芝1本に絞ったローテーションがズバリ的中。重賞・せきれい賞、特別・桂樹杯などを制し、ほぼ最優秀ターフホースの座を確定させた。しかし前々走・OROカップ(3着)で今年のオープン芝路線はひとまず終了し、今後はダートを使わなければならなくなったが、前走は平場戦とは言え、盛岡ダート1800mで2着。これでダート戦でも通用のメドが立ったと陣営もホッとしたに違いない。
今年は<3.4.1.1>の成績が示すとおり、ジェーピーバトルは今が最も充実期を迎えたと見ていいだろう。
先にも記したブラーボウッズは毎回だが、評価に迷ってしまう。すずらん賞ではスローの流れをはねのけて3着に入り、改めて能力の高さを証明した。ところが前回、盛岡ダート1800m戦で出遅れて最後方からの競馬。これはまぁ、愛嬌だとしても直線で豪快に伸びると思ったら、もたついて5着。やはり盛岡は合わないか、の印象を抱かせた。
中央5勝はすべてダート戦で、しかも準オープンまで駆け上った実力馬。ここでアッサリあって当然だと思うのだが……。
9歳馬ゲイリーエクシードが元気一杯だ。A2特別・M&Kジョッキーズシリーズ第一戦で荒尾・松島慧騎手とのコンビで豪華にまくって快勝。これで今季9戦4勝2着4回3着1回とした。身上とするのは展開構わずの豪快なまくり。すでにあすなろ賞3着にも入っており、ここに入っても実力はまったく遜色はない。
他では強気の挑戦だが、完全復調をとげたサージェリー、前走は4ヶ月ぶりをモノともせずに直線一気を決めたレストオブセールもマークが欠かせない。
◎ ?ベルモントシーザー
○ ?ジェーピーバトル
▲ ?ブラーボウッズ
△ ?ゲイリーエクシード
△ ?サージェリー
△ ?レストオブセール
3連単は4を1着固定に2、3着8、10を厚めに。あとは2、6、1も穴党は見逃せない
馬複は4−8、4−10、2−4、4−6、1−4
<お奨めの1頭>
7レース サンゴ
中山新馬戦で3着に入った実力牝馬。休み明けはもうひと息だが、能力検査では余力十分で好タイムをマークした。
オーロパークでレースがあるとき、盛岡所属の出走馬は、競馬場に隣接する厩舎地区から担当の厩務員と一緒に歩いて競馬場にやってきます。
写真は10月16日の午後、第8レースに出走する馬たちがやってくるところ。ここは私の好きな風景のひとつで、奥の方にあるそれぞれの厩舎からやってきた馬たちの列は、ここで写真左手の方に曲がって装鞍所の方へ向かいます。写っているのは一番手前が田村光則厩舎のディアブロハンター、次が桜田浩三厩舎のミチノクレット。自転車で厩舎へ戻る晴山厚司調教師の姿も見えます。
右の壁の向こうは採尿所で、3着までの馬は必ずこの中に入って薬物などの検査を受け、そのあとでようやく自分の寝床のある厩舎へと帰ります。出走馬とその担当厩務員がこの道を歩いて来るとき、ある者はのんびりと、ある者は必勝の気合いを胸にめいめいばらばらやってきて、レース後は上位入着馬とそうでない者がはっきり分けられて帰ってゆくわけですね。
ごらんのとおり、オーロではもう紅葉が始まっています。最近の良く晴れた朝には結構な寒さを感じるようになってきており、もう最低気温がマイナスになるのも目の前という感じです。ところで、紅葉の色は最低気温と最高気温の差が大きいほど鮮やかになるというのをご存じでしょうか。今年の紅葉はというと、いま色づいている木々を見る限りあまりきれいにはならないようで、寒くなったとはいえこの時期にしてはまだまだ冷え込みが足りないようですね。
というか、ここ十年かあるいはもっと前から「今年の紅葉はきれいだね、色鮮やかだね」という声をほとんど聞いた覚えが無く、記憶の彼方にあるような山全体が燃えるような紅葉というのを長い間見ていないような気がします。これも大気汚染や温暖化で、地球環境が変わって来ているせいなのかも知れません。
(写真・文/佐藤 到)
<次走へのメモ>
10月15日 第26回若駒賞(2歳ダート1600m・地方競馬全国交流)
1着 グローリーソング
勝った2勝がいずれも後方からの競馬なので、今回もじっくり待機策かと思ったが、絶好のスタートから2番手をキープ。これは「逃げ馬が不在で、もしかすると先に行けるかもと思っていた。元々、どこからでもいい馬なので行く気に任せたら、内の馬(オペラダンディ)がムチを入れて先手を取ろうとしたので2番手になった」(服部騎手)そうで、このポジションは想定に入れていたようだ。
そのコメントどおり、前半スローペースで流れ、3コーナーからオペラダンディが後続を離して逃げたが、それにもあわてずガッチリ2番手をキープし、直線を向いてエンジン全開。
ラスト100mから内オペラダンディ、外グローリーソングのマッチレースとなり、一旦グローリーソングが交わしたが、再度オペラダンディが差し返してそのままゴールまでもつれ込んだ。しかし、グローリーソングが並んでから勝負根性を見せ、頭差先着。初重賞を手に入れた。
「前回(6着)は体重増ではなかったが、重め残り。それで反応がひと息だったが、今回は輸送もあっていい感じで絞れていた。マイナス13キロは全然気にならなかったし、むしろこれぐらいがベスト。これまで後方からまくって2勝マークしていたが、今日は並んでからいい根性を見せてくれたので収穫が大きい一戦となった」(服部騎手)
「馬(グローリーソング)がここ数戦で成長していたから今回もひそかに期待を持って連れてきた。跳びが大きいので盛岡のコースも合うんではないかとも思っていましたしね。この一戦を使って船橋へ転籍しますが、そこでも活躍を祈っています」(林和弘調教師)
2着 オペラダンディ
スタートでグローリーソングに後れを取ったが、板垣騎手が逃げにこだわる構えを見せて先手を取る。道中はスローに落とし、3コーナー過ぎから徐々に後続を引き離してセーフティリードから逃げ込みを図ったが、直線では先に記したようにグローリーソングとの叩き合いの末、惜しくも頭差2着に敗れる。
今回の好走要因はスローに落としたことが大きかったが、それに加えてこの馬もメイセイオペラ産駒の例にもれず、ダートに替わって本来の先行力が生きたと見ていいだろう。
3着 セイントセーリング
終始4番手インにつけ、満を持して4コーナー手前から追い出し始めたが、伸びが案外。デビュー戦でパラダイスフラワーをアッサリ振り切ったレース内容が印象強く、今回は初のダート戦でも1番人気に支持されていた。
初ダートで仕方ない面もあっただろうが、2着から6馬身差は離され過ぎ。今後の評価が微妙になった。
4着 アンダーボナンザ
スタートで出遅れを喫したが、手をしごいてセイントセーリングの直後を追走。動き出したのもセイントセーリングとほぼ同じだったが、反応がひと息。いかに行った切りの先行競馬で決まったにせよ、4着は不満。本格化するにはもう少し時間がかかりそうだ。
先日12日、旭川競馬場で行われたエーデルワイス賞G3で岩手のパラダイスフラワーが優勝しました。
メイセイオペラやトーホウエンペラーを送り出し、“地方競馬の中ではハイレベル”と言われてきた岩手競馬ですが、最近はグレードレースをなかなか勝てないでいました。先のダービーグランプリもそうですし、この2、3年で言ってもアテスト、ウツミジョーダン、デンゲキヒーローなど、惜しいところまで行くんだけれど勝てずにいた。思い返せば02年の南部杯でトーホウエンペラーが勝って以来、ちょうど4年ぶりのグレードレース制覇。長かったですねえ・・・。
このレース、私も現地まで行っておりまして、優勝の瞬間を見てきたのですが、その場では意外なほど冷静でして、騎乗した小林俊彦騎手とも握手をしたくらいで帰ってきちゃいました。小林騎手にしても「あんまり気負いこまないで乗った方が、いい結果になるんだねえ」なんて平然としてました。こういうのはその場ですぐ爆発!というより、しばらく経って、じわじわと嬉しさがこみ上げてくるものなんでしょう。
今年の岩手の2歳馬は、こうしてG3を勝ったから言うわけではないですが、もしかしたら昨年以上かも、というくらいレベルが高いと噂されています。有力馬を抱える陣営もいずれも積極的に遠征を狙っていますし、この後もまだまだいい便りが聞けるんではないか。そんな気がしています。
さて、この16日の月曜日はWSJS予選レースが2レースありまして、実質トリプルメインのような形になっております。予想としては岩木山特別を採り上げますが、皆様ぜひ3レースともお楽しみ下さい。
その岩木山特別。私の本命はゲイリーザスカイです。芝で好走しつつも勝てないゲイリーザスカイ。今のところは人気先行というか裏目を行くというか、どうにもつかみ所がない成績が続くのですけれど、まず芝が合うタイプなのは間違いないのがひとつ。そして、1600mから1700mへ、100mの距離延長が意外と好材料なのではないかという点。もうひとつは芝ならA2級でもそこそこ走る力を持っている点。なかでも強く推したいのが2番目の点。距離が短いと追いかけきれなかったり、逆に早めに動いて自滅気味だったりのレースに感じますので、少しでもゆったり行ける条件がよさそうなのです。馬券的にも前走人気で負けての今回が面白いのでは。この馬が出走できる芝のレースは今年これが最後という事も考えつつ思い切って。
対抗はブラインドタッチを。前走の敗戦は、やはり盛岡芝コース初騎乗の騎手ではなかなか難しかったという事なんでしょう。道中の走りは悪くなかったですし、力は通用するはず。改めて狙い直し。
もう一頭はマイネピルエットを。前走、負けはしたけれど直線の伸びはなかなか見事でした。やはりこの馬は芝馬。勢いに乗っていると見て狙ってみます。
連勝中のファニーガールは、岩手では芝は初の出走ですが、JRA時代に3戦した経験があって芝もこなせる気配。前走で破ったオースミエンドレスが土曜日のB2戦を完勝しており、力はB2突破レベル間違いなし。後は芝だけ。
タイキミスティは最近リズムを取り戻してきたのが好印象。前走や前々走のように、どうしても伸び脚勝負で負けてしまいがちなので単は狙いづらいですが、連軸としては安定度を買えます。
買い目は4枠4番ゲイリーザスカイから1、5、6、8へ。馬単でもそこそこの好配当が狙えるはず。
◇お奨めこの一頭
8レース・ミツアキトゥーリオ 前走、マイル戦が長かったという印象はないのですが、より走り慣れている1400戦で雪辱チャンス。相手は、いっそモエレタキシード・ディアブロハンターの3歳牝馬へ。どちらも距離短縮は大きなプラス。