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2008年8月21日 アーカイブ

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ばんえいジョッキーファイル(9) 阿部武臣

2008年8月21日(木)

第9回 努力と自信が呼び込んだ結果 阿部武臣

 今回は、今年に入って活躍が目立っている阿部武臣騎手です。

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--- 騎手になられたきっかけを教えてください。生まれは宮城県古川市ですね。きっかけは、近くで行われている馬力大会でしょうか?

 そう。古川でもあったし。近いから山形、岩手とか多かったかな。青森は遠かったからあまり行かなかった。
 じいさんが馬使って山で材木屋やってて。それでも俺が物心ついた時は同じ町には5頭位しかいなかったから……。
 初めて(馬力大会に)参加したのは小学校6年くらいかな。内地ってそりに乗らないで、口もってやるじゃない。中学生くらいから口持ちをやってた。
 中学生になってからかな、ばん馬で周っている家畜商を見て、周りの人にはじめてばんえい競馬があるって教えてもらった。

--- 宮城県出身の騎手は多いですよね?

 3人。(阿部騎手の他に安部憲二騎手、村上章騎手)でも3人もいたら多い方だよね。
 高校出てから、馬やるんだったら本場の北海道で勉強してからって思って。
 最初、騎手試験受けて受かれば騎手になれるって知らなかったから。2年目から試験受けて5年かかった。勉強しないで遊んでばっかいたから(笑)。

--- この頃は騎手試験を受ける人がたくさんいてレベルも高かったですからね。それにしても、家に戻って馬をするつもりで北海道に来られたのですか!
 では、思い出に残る馬を教えてください。

 まず、初勝利の馬(カツエコマ)と重賞の馬かな。

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2006年ばんえい記念(980キロ!)キタノコクホーのラストラン 

--- 重賞はキタノコクホー(02年銀河賞)と、記憶に新しいホッカイヒカル(08年柏林賞)ですね。

 キタノコクホーはね……厩務員の時から馬主さんと知り合いだったんだよね。
 町の飲み屋で会ってさ。良く行く飲み屋さんで、マスターが「こいつ内地から来て、遊んでばっかりいて騎手も受かんねーんだ」なんてしゃべってね(笑)。
 それから騎手になって、10キロ減(減量特典)なくなって乗れなくているときに、その馬主さんがさ、「俺は騎手がころころ変わるの好きでないからお前どうだ」って話が出てきて。(その馬主さんの馬が)2頭いたんだよね。ダイサンホウリュウっていう馬に最初乗してもらって。
 その頃、キタノコクホーってたまたまひっぱってなかった(結果が出ていなかった)んだよね。その頃ポンと乗せてもらったら、ぐあっと行って、それからずっと乗せてもらった。
 ホッカイヒカルは、ちょうど馬場が最適だったんだ。

--- それを読んだレースをしたのは騎手の腕ですよね。それを含めてここ最近ご活躍ですが、今までと違うと感じる点はありますか?

 余裕持って乗れてる。慣れてきて、辺りがよく見える。最初の頃は慣れた慣れたって言っても、周りの馬を端から端まで見れるようにはならない。
 それがこの人はどう乗ってるかとか、外からレース見ているのと同じ目線で見れるようになったかな。
 馬の癖を前より考えるようになったし。(自分が乗っている馬を)他の人が乗ってたらこの騎手はこうやってるとか、乗らない馬でもあの騎手はどうやって勝つのかな、って。
 1頭1頭の能力と、騎手の癖とか考えていくわけでしょ。この馬場だったらこうだとか、この馬はこのくらいの動きするから、とか。
 そうでもしないと勝ち鞍挙げていけないんじゃないかな。
 ビデオも見るし、あとは坂本さん(東一調教師・元騎手)にいろいろ聞いて。

--- 坂本調教師には、騎手時代からアドバイスをもらっていたのですか?

 やっぱりヨメさん(坂本騎手の娘さん)もらってから。
 アドバイスは……ちょっとしたことかな。他の騎手がやらないようなこととかを少しずつ。
 頭(1着)取っても怒られるし。あれじゃだめだっていうのはしょっちゅうあるからね。そうなってくれば、自分も考えて乗るようになるからさ。頭取っても面白くないっていうのあるからね。もうちょっときれいに勝ちたいとか考えて乗るようになる。

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--- 坂本厩舎所属で阿部騎手の乗る馬の中に、ファンの多いイケダガッツがいます。個性的なレースをする馬ですが(第1障害を1頭だけ遅れて通過するも、道中挽回して第2障害下では他の馬に並ぶ)、なぜでしょうか?

 レースでも走らない馬っているしょ?
 ああいう馬でも練習すれば走るんだよね。なんかの拍子に走ることが嫌になったとか……。
 イケダガッツももともとは走ったんだろうけど。それでも頑張ってるほうだよね。でももう年かな?
 ファン多いよね。独特だからね。あの体型で(笑)。

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イケダガッツ

--- 趣味を教えてください。

 魚釣り結構好きだね。海に行く。
 家族とか、騎手仲間とか。家は旭川だけど子どもはちっちゃいから競馬場にいるよ。4歳と2歳。家族サービスしつつ。
 最近日中暇な時間ができてきたから。今では厩舎の仕事はあまりやらない。

--- 騎手でも厩舎作業される方としない方とがいますが、ある程度乗れてくると厩舎作業はしないものなのでしょうか?

 うん、間に合わなくなるし。無理してやればやれるけど、乗る方に専念したいよね。それはみんな思ってる。
 乗れないとき、忙しい思いして厩舎作業やってたから……。

--- そうなのですね。坂本家族と一緒に出掛けたりするのでしょうか?

 坂本さんとはご飯食べるくらいかな。逆に、俺行かないで孫だけ連れてってもらって。
 もう孫にべったりなんだわ。初孫だしね、すごいよ(笑)。

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坂本東一調教師と

--- ところで、武臣騎手はいつもさやわかですよね(笑)。短い髪の騎手が多い中髪をなびかせて…

 茶髪だしね。年甲斐もなく(笑)。

--- いえいえ、素敵です。羽賀研二さんに似ていると言われませんか?

 羽賀研二ね! 言われる。最近また言われだした(笑)。昔から言われたんだよね。

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--- ところで、武臣さんって珍しい名前ですよね。由来は?

 死んだばあさんがつけた。どういう意味か聞いたことないんだけどね。

--- 武臣騎手は騎手の方からはタケと呼ばれていますが、テレビで「ばんえいの武」と言われていましたよね。どう思います?(笑)広めてみていいですか?

 (笑)いいですよ。


 とても楽しそうに競馬の話をするのが印象的でした。充実しているのでしょうね。写真を選んでいても以前と今年では表情が違うなぁと感じます。
 長い間の陰の努力が実を結び、自信と余裕という新しい武器を身につけたイケメンジョッキーに、あらためて惚れ惚れしてしまうのです。


取材・文・写真/斎藤友香

今週の見どころ(8/22〜8/24)

 今週日曜(24日)には、金沢競馬場でばんえい競馬の場外発売(金沢競馬終了後、第6〜12レースをリレー発売)が行われます。その金沢競馬場では、『ばんえい十勝 in KANAZAWA Horse Park』と題し、安部憲二、山本正彦両騎手(予定)が騎乗してばん馬のソリ曳き実演を行うほか、当情報局の重賞予想でもおなじみの斎藤修、山崎エリカ両氏によるトークショー&場立ち予想会、ばん馬と綱引き大会など数多くのイベントが行われます。近くの方はぜひお立ち寄りください。

 8月22日(金)のメイン第10レースは夕焼特別(300万円未満)
 中心視したいのはコブラダイオー。今季2戦目(5月16日)の勝入混合300万円未満を制して以降、第2障害で崩れるレースが続きましたが、徐々に障害巧者ぶりが復活。近3走の300万円未満では2勝、4着に敗れたレースも勝ち馬(キタノイチオク)からわずか1秒6差に健闘と、目下絶好調といえる近況です。今回も先行しての押し切りに期待できるでしょう。
 今季このクラスで9戦してすべて5着以内と堅実なニシキタカラ、登坂力には定評のあるキタノイチオク、相手なりに走れるアアモンドヤワラらが相手として有力。前走ばんえい大賞典を制したライデンロックは3歳馬の20キロ減があっても690キロですが、能力的に昇級初戦から上位進出が狙えそうです。

 8月23日(土)のメイン第10レースは風鈴特別(オープン混合)
 オープンクラスの7頭中5頭が、7月21日のJRAジョッキーDay特別(オープン)の出走馬。そのレースはほぼ同時に先頭で障害を越えたツジノコウフク、ニシキダイジン、差なく続いたホシマツリによるゴール前追い比べとなり、ホシマツリ、ニシキダイジン(ともにこのレースには不出走)が1、2着。ツジノコウフクが3着に粘り、4着以下はやや離されました。
 注目はそのツジノコウフク。前走シーサイド特別(オープン)こそ、オープン一線級相手で、しかも馬場水分5.8%と不向きな馬場だったこともあり8着でしたが、そのレースを除く近5走のオープンではすべて3着以内に好走しています。今回は乾いた馬場となりそうで、しかもこの相手関係なら負けられないところでしょう。
 ミスターハヤサキも前走(8月9日)オープン混合(1着)のように早めに障害をクリアできればチャンスがありそうです。
 前走ゴールデンホース賞(栗毛馬選抜)を快勝し今回がオープン昇級初戦のバンゼンも争覇圏。500万円条件のライジングサンも能力的に差はありません。

 8月24日(日)のメイン第11レースは第20回はまなす賞(3・4歳オープン)。4歳馬が9頭、3歳馬はオレワスゴイ1頭、オープンから300万円条件までの10頭が出走を予定しています。
 柏林賞3着など、4歳オープン6戦中5戦で3着以内のミサキスペシャル、5月中旬から前々走まで4歳オープン2戦を含め9戦連続連対だったマルニゼウスが近走成績、負担重量からいって人気を集めそうですが、ここはペガサスプリティーに注目します。昨季は3歳牝馬三冠の第2戦・ばんえいプリンセス賞を優勝、白雲賞(2月3日・4歳オープン)では、同重量のミサキスペシャル(2着)からコンマ2秒差3着など世代限定戦で上位を賑わしていました。今季開幕以降、4歳オープン戦には不出走で、最近の力関係が分かりづらいところはありますが、最軽量(タイ)660キロは有利で、確実に使える脚で上位進出が濃厚です。馬場水分4.0%以上では連対率70.8%とメンバー1の軽馬場巧者だけに、当日雨でも降れば、さらに好走の確率が高まります。
 相手はやはりミサキスペシャルマルニゼウスが有力ですが、世代限定戦はもちろん、オープンクラスでも堅実なレースを続けるアローファイターの底力も侮れません。またスピードが生きる馬場なら最軽量(タイ)を生かした牝馬プリンセスモモの先行逃げ切りも一考でしょう。

 この日の第10レースに第21回いちい賞(2歳牝馬オープン)が組まれています。先週の青雲賞は牡馬限定でしたが、今週は牝馬限定戦です。
 牡馬同様こちらも混戦模様。実績上位のサクラエビスワタシハスゴイタワノアヤカが人気を集めそうですが、今回注目したいのはデビューから4戦4連対と勢いに乗るウィナーミミ。前々走の2歳A-2は勝ったワタシハスゴイから1秒2差の2着、前走2歳A-2では先週の青雲賞で3着になったアオノレクサス(1着)と1秒9差2着と、強豪相手に互角の勝負をしています。人気になりそうな3頭より5キロ軽い510キロは有利に映り、初のオープン挑戦を勝利で飾る可能性も十分でしょう。

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