佐賀競馬の夏の古馬戦線といえば、これまでは吉野ヶ里記念からサマーチャンピオンJpnIIIへという短距離路線がクローズアップされれていた。そして今年度の重賞路線の見直しにともない、この佐賀王冠賞が新設されたことで秋の九州大賞典へとつながる中長距離路線も整備された。
スーパーマックスはJRA阪神のチャレンジカップが勝ち馬からコンマ8秒差の5着で、阪神大賞典も着順は9着ながら1秒1差と、明らかに芝に適性がある。今回と同じく第1回として行われた佐賀スプリングカップでは、スタートで競り合ってぴたりと直後につかれたキングプライドに直線で振り切られてしまったが、続く前走遠賀川賞では2着のイッシンドウタイに大差をつける圧勝だった。佐賀スプリングカップで上位を争ったキングプライド、キョウワカイザー、ウルトラカイザーらが揃って不在となっただけに、相手はかなり楽になった。ここは通過点として、また芝にも挑戦してほしいところ。
サンマルドライヴ、イッシンドウタイ、デリッツァリモーネらは、上記で挙げた馬たちからは能力的にやや離れて続くグループの馬たち。イッシンドウタイは遠賀川賞でスーパーマックスの2着だったが、2秒2もの大差では、その着順は評価しずらい。北山湖特別でイッシンドウタイ、デリッツァリモーネをまとめて負かしたサンマルドライヴを相手筆頭にとった。ただその3頭は錦江湾特別では着順を変えているだに、この3頭の力関係は紙一重。
B級から連勝してきて錦江湾特別で1番人気に支持されたオイカケマショウは4着。ここで勝ち負けには経験を積む必要がありそう。
◎4スーパーマックス
○6サンマルドライヴ
▲9イッシンドウタイ
△1デリッツァリモーネ
△5オイカケマショウ
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中央準オープンからの転入初戦だったメイショウアイアンの前走には驚かされた。上がりが極端にかかる今年の門別で、レースの上がりが38秒2のところ、36秒5という直線大外一気は、まさに他馬が止まって見えた。1000メートルに距離短縮となってどうかだが、そのときと同じような雨の不良馬場になりそうで、またまた相当な素質馬が田中淳司厩舎に移籍してきたものだ。
そしてこのレース連覇を狙うのが、同じ田中淳司厩舎のタイセイバンデット。門別では昨年の道営スプリントでポアゾンブラックに負けただけでまだ底を見せていない。昨年末の兵庫ゴールドトロフィーJpnIIIが故障による出走取消しで、それ以来約8カ月ぶりの実戦でどうか。
カツゲキライデンは、北海道スプリントカップJpnIIIでは地元馬最先着の5着。4コーナーでは先行勢のうしろにつけ、勝ち馬から1秒差に踏ん張った。再転入初戦だった2走前ではサトノプリンシパルの2着で、その相手が今回不在となれば、チャンスはあるかもしれない。
コールサインゼロは、前走でメイショウアイアンには交わされたものの、逃げて3着以下は寄せ付けずというレースぶりには見どころがあった。
昨年のこのレースで4着だったトドイワガーデン、大井から転入4戦目となるモリデンシーザーらの変わり身にも期待したい。
◎11メイショウアイアン
○6タイセイバンデット
▲10カツゲキライデン
△8コールサインゼロ
△5トドイワガーデン
△13モリデンシーザー
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バズーカは3歳時には東海ダービーを制するなど重賞4勝をマーク、4歳時にも園田金盃を制した。ところが5歳になった昨年は1400メートル以下の短距離で好走を見せ、新設の1230メートルの重賞、兵庫ゴールドカップまで制した。高知移籍後も1600メートル戦は3着だったが、2戦目となった前走1400メートル戦で勝利。さらに距離短縮しての今回も期待できそう。砂の深い内を通らなくてすむ外枠に入ったこともラッキーだ。
2戦続けて取り消しとなってしまったティアップリバティだが、高知ではここまで大高坂賞制覇を含めて8戦6勝、2着1回。3着に負けたのは2400メートルの高知県知事賞で、これは例外と考えてよい。高知ではまだ底を見せていない。
コスタアレグレは中央準オープンから移籍して3連勝。中央500万との交流・桂浜盃は当然のように楽勝だった。北海道スプリントカップJpnIIIは9着だが、勝ち馬からは1秒8差。その後ヒダカソウカップを制したディナスティーア(7着)らと差のないレースをしており、ここでも勝負になりそう。
A級特別で常に上位争いのウォーターサルーン、ワイルドコットンらは押し出される形で△だが、それほど能力差はない。
◎9バズーカ
○5ティアップリバティ
▲4コスタアレグレ
△8ウォーターサルーン
△6ワイルドコットン
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ここまで重賞勝ちのないジェイワンだが、ばんえいダービーでは3着と好走。ここ2戦、B1級の上位を接戦とはいえ連勝と、調子を上げてきた。実績馬たちより20kg軽い690kgは有利と見てこの馬から。いよいよ良血の素質開花となるか。
目下3連勝中のウンカイタイショウは、ほとんど4歳馬同士の対戦となった前走ゴールドトロフィーでは、ミノルシャープ、メジロゴーリキら有力馬を10kg差の重量でしりぞけた。今回も同じ10kg差だけに引き続いての好勝負を期待。
ミノルシャープは、A2特別を勝ったあとのライラック賞4着、ゴールドトロフィー2着は、ともにトップハンデの中では最先着。今、一番充実しているのはこの馬かもしれない。
ばんえいダービーを制したメジロゴーリキだが、その後に勝ち星がないのは、同世代同士では重量を背負わされることになり、格付けではオープンやA1級の馬たちとの対戦となるだけに仕方ない。
ばんえいダービー2着のマツカゼウンカイ、ここ4戦で3勝と好調のゴールデンフウジン、ライラック賞2着だったカネサスペシャルらも争覇圏内。
◎8ジェイワン
○1ウンカイタイショウ
▲9ミノルシャープ
△2メジロゴーリキ
△10マツカゼウンカイ
△6ゴールデンフウジン
△4カネサスペシャル
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あと一歩のところでダートグレードに手が届かないラブバレットにとって、ここは叩き台。それにしても前走北海道スプリントカップJpnIIIはほとんど勝ったかと思うようなレースで、まことに惜しいクビ差2着だった。地元同士でも1600メートル戦だと危ういところがあるが、冬休み明け初戦となった3走前のスプリント特別では2着に大差をつけての楽勝だっただけに、このメンバーなら負けることはなさそう。ここまで3、3、2着というクラスターカップJpnIIIは今年こその思いだろう。
昨年、1600メートルの絆カップでラブバレットを負かしたのがタイセイファントム。明けて10歳となったが、後述する前走早池峰スーパースプリントは例外扱いとして、それ以外は崩れることがなくまだまだ元気だ。
オースミチャドは、中央準オープンから転入してここまで3戦、1000メートル以下を使われてきた。水沢は、転入初戦の850メートル戦を勝っているが、1400メートル戦となってどうだろう。
イーグルカザンは昨年重賞3勝のうち2戦が水沢戦。とはいえ水沢1400メートルは昨年の栗駒賞(4着)を含め2戦したのみ。今シーズン4戦して勝ち星がなく、昨年ほどの勢いがないのがどうか。
メイショウオセアンは、中央時代に挙げた5勝のうち4勝がダート1400メートル。とはいえ中央の1400メートルと水沢1400メートルはかなりコース形態が異なり、力を発揮できるかどうか。
今回のメンバー中、8頭が出走していた早池峰スーパースプリントを制したのがナムラバイオレット。道中は最後方に置かれたものの、直線ではラチ沿いから1頭次元の違う伸びを見せて差し切った。波乱の決着で、今回とはコース形態もまったく違うので、早池峰スーパースプリントの結果はここにはつながらなさそう。
◎8ラブバレット
○2タイセイファントム
▲9オースミチャド
△3イーグルカザン
△5メイショウオセアン
△6ナムラバイオレット
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