サムライドライブはデビューから10連勝で重賞も7連勝で、ひとつの目標としていた東海ダービーを迎えた。ほかにこれといった強力な新興勢力もなく、もはや文句のつけようがない。あえて不安を挙げるとすれば、脚元の状態が万全ではなく、目いっぱいに仕上げられたことがないということ。デビューから10戦で2着馬との着差の合計が51馬身1/2。平均して2着に5馬身ほどの差をつけて、しかも常に楽勝しているという能力の差は圧倒的だ。
1頭抜けた能力の馬がいるときの相手は難しい。実力2番手、3番手でも、本気で負かしに行こうとすれば惨敗となり、着狙いの伏兵馬が浮上することもめずらしくないからだ。
で、相手筆頭は、サムライドライブと同じ父シニスターミニスターのビップレイジング。中央に挑戦した2戦はともに惨敗だったが、その経験が生きたかどうか、その後は3歳特別、新緑賞と2連勝。続く前走ぎふ清流カップは5着に負けてしまったが、新緑賞のパフォーマンスは高かった。良馬場での勝ちタイム1分41秒8は、過去5年で、あのカツゲキキトキトに次ぐ2番めのタイム。北海道時代には1700メートル戦も勝っており、距離延長にも対応できそう。
牝馬のウォーターループは、ここにきて東海クイーンカップ、ぎふ清流カップと2連勝と力をつけた。こちらも距離延長に対応できそう。
キンショーウィークは駿蹄賞でサムライドライブの4着だったものの、中央未勝利から転入しての名古屋では7戦5勝とまだ底を見せていない。ただ勝ち星がすべて1400メートルだけに、距離がどうか。
ドリームスイーブルは5戦連続2着を続けていて、その3戦の勝ち馬がサムライドライブで、あとはビップレイジングとキンショーウィーク。相手なりに走るタイプなのかもしれない。
◎2サムライドライブ
○1ビップレイジング
▲3ウォーターループ
△11キンショーウィーク
△4ドリームスイーブル
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タイセイファントムは中央オープンから昨年秋に転入。絆カップ、トウケイニセイ記念の勝利を含め、ここまで重賞を中心に6戦してすべて3着以内。1000メートル戦は中央時代も含めて今回が初めてだが、1200メートルの経験もあり、前走で岩手では初めての1200メートル戦(盛岡・スプリント特別)を制した。10歳でもまだまだタイトルが期待できそうな勢いだ。
対するコウセンは昨年夏に中央1000万条件から転入し、盛岡の芝で重賞を2勝。水沢850メートルのスプリント特別も制している。中央時代にはダートでの勝利がなかったように、ダートはいまひとつ未知数なのと、昨年12月以来5カ月半ぶりの復帰戦ということもあり対抗評価まで。
オースミチャドは中央準オープンから今春転入。2戦目となった前走盛岡ダート1000メートルのスプリント特別は、スタートでは行き脚がつかなかったものの4コーナーで先行勢の直後にとりつき、ゴール前で突き抜けた。勝ちタイムの58秒9は、昨年の早池峰スーパースプリントの勝ちタイムとまったく同じ(ともに重馬場)。◎○も転入馬ゆえ力の比較は難しいが、ここでも十分に通用しそう。
昨年ダート1600メートルの重賞を3勝し、前走でタイセイファントムの2着だったイーグルカザン、大井からの再転入初戦が約半年ぶりの実践となるメジャーリーガー、昨年の岩手3歳二冠馬で、前走オースミチャドの3着だったキングジャガーらは、馬券圏内に食い込めるかどうか。
◎9タイセイファントム
○12コウセン
▲1オースミチャド
△3イーグルカザン
△6メジャーリーガー
△7キングジャガー
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昨年からダービーウイークがダービーシリーズとなって、その期間の縛りがゆるくなり、門別では北海優駿が3週繰り下げられた。それにともない一冠目の北斗盃もシーズンが開幕していきなりではなく第4回開催となった。これによって、移籍・転入馬も含め全馬が4月ないし5月にレースに使われている状態での対戦となる。
サザンヴィグラスの2走前、川崎のつばき賞は、楽にハナをとると、ぴたりと追走してきたヴオロスと、3番手以下を離しての一騎打ちとなり、一度もハナを譲ることなく振り切った。そのレースぶりならとクラウンカップでは1番人気に支持されたものの、外枠から押してもハナがとれず、道中の行きっぷりもいまいち、4コーナー手前からの負い比べではもうお釣りがなかった。たしかに相手も強くなって57キロを背負っていたこともあるが、つばき賞のときのような状態にはなかったように思われる。今回はそのクラウンカップから約2カ月間隔を明け、北海道に戻っての一戦。能力が発揮できる状態ならここでは力が違う。
相手筆頭は牝馬のクロスウィンド。2歳時にはシーズン最後のブロッサムカップを制して浦和に移籍。2月1日の若竹特別(川崎)では、前出ヴオロスに1馬身半差2着と好走した。北海道に戻って2戦目となった前走、古馬に編入されての勝利も、3歳のこの時期ということを考えると価値があるもの。
ハーリーバーリーの前走、チューリップ特別はクロスウィンドの4着だったが、開幕初日の3歳特別ではピタリと追走していきたクロスウィンドを直線で振り切った。マイペースで先行できれば粘り込む場面はあるかもしれない。
ビジネスライクは、ブロッサムカップがクロスウィンドの2着で、今季初戦の3歳特別を快勝。○▲となら能力的に差はない。
競走除外となったあとのシーズン初戦を勝ったツルノシン、岩手から戻っての初戦となるニッポンダエモンらも上位争いにからんできそう。
◎11サザンヴィグラス
○7クロスウィンド
▲8ハーリーバーリー
△2ビジネスライク
△9ツルノシン
△3ニッポンダエモン
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ノブイチは金沢移籍後、名古屋のスプリングカップでサムライドライブの5着があった以外はオール連対。前走北日本新聞杯は、単騎大逃げの馬が3コーナー手前で失速すると自然と先頭に立ち、直線ではムチを1発入れられただけ。2着のエムザックヒーローに大差をつけての圧勝となった。ここにきてますますの充実ぶりがうかがえる。
強敵となりそうなのは、中央未勝利から転入して目下3連勝中のサノノツルギ。前走は3歳のA2戦とはいえ、こちらも2着に大差をつける圧勝。2頭ともに鈴木長次厩舎で主戦は藤田弘治騎手。藤田騎手はどちらに乗ってくるのかと思ったらノブイチのほうで、サノノツルギには名古屋の岡部誠騎手を起用。その岡部騎手はノブイチが笠松、名古屋遠征時に手綱をとっており、敵の強さを知っているだけにどんなレースを挑んでくるか。
リュウノムーンは、岩手からの転入初戦の前走がロンプフェイスと1着同着。そのロンプフェイスは3月の若駒賞でノブイチに大きな差をつけられて負けており、とはいえリュウノムーンは岩手の重賞で常に上位を争っていて、転入2戦目での上積みがあれば、△以下の馬たちよりも期待はできそう。
マナレアは前出若駒賞でノブイチにコンマ8秒差で3着という結果があったが、北日本新聞杯3着の着差からは、やはり実力的に差をつけられていると考えざるを得ない。
北日本新聞杯5着だったアルファーティハは、今回吉原寛人騎手が鞍上となってどこまでやれるか。
◎2ノブイチ
○8サノノツルギ
▲6リュウノムーン
△3ロンプフェイス
△9マナレア
△11アルファーティハ
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飛燕賞と佐賀皐月賞で1、2着を分け合ったのがリンノゲレイロとベルセルクで、今回も人気を集めそうだが、北海道→名古屋→兵庫から転入して3戦目となるスーパージェットも強そうだ。転入初戦がいきなり古馬B-1組特別で2着。勝ったオイカケマショウには4馬身離されたが、オイカケマショウはB級で3連勝中と、そのクラスでは抜けた存在。B級上位で勝ち負けを争える実力なら、3歳同士では能力は確実に上位。続く前走スイートピー特別は4着だったが、4コーナーで大外を回らされかなり距離損があった。佐賀での初勝利が重賞制覇のチャンスと見る。
リンノゲレイロは2歳最終戦となったアルデバラン特別以降は5戦4勝。負けたのは飛燕賞でベルセルクの2着だけ。ペースが落ち着いたときに折り合いを欠く面があり、それをどうなだめるか。今回は北海道から桑村真明騎手が呼ばれての騎乗となる。
ベルセルクも2歳11月の2組戦以降は8戦してオール連対。展開や流れひとつで飛燕賞の再現はあるかもしれない。
キッチンウイッチは、肥前特選では勝ったリンノゲレイロから差のある3着だったが、続く前走が古馬B-4組戦で、そこで勝ち馬から1秒差なら上位食い込みがあってもおかしくない。
佐賀皐月賞は5着も鯱の門特選で強い勝ち方を見せたハーキマーダイヤ、佐賀皐月賞3着のスターオブソレイユらは巻き返しのかかる一戦。
◎9スーパージェット
○4リンノゲレイロ
▲7ベルセルク
△6キッチンウイッチ
△1ハーキマーダイヤ
△11スターオブソレイユ
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