昨年まではアラブ3歳のレースとして行われていた福山ダービーが、今年からはサラブレッドのレースとして新たにスタートする。変わって、アラブ3歳馬によるダービーは、5月27日に福山アラブダービーとして行われる。今後はサラブレッドが中心になっていくということだろう。
また、この福山ダービー上位3頭と、福山アラブダービー上位3頭、それにサラ、アラの賞金上位各2頭の、計10頭によって3歳王者を決める福山チャンピオンシップが6月24日に行われることも発表された。
近年のアラブの生産頭数から、こういうレースが組めるのも今年だけか、せいぜい来年までだろうが、興味深い企画ではある。
福山のこの世代は、2歳時とはだいぶ力関係が変わってきた。
最初に注目を集めたのが、デビューから破竹の7連勝と勝ちまくったサニーエクスプレス。遠征した姫路プリンセスカップは逃げて2着で、それほど悪いレースぶりではなかったものの、その後福山に戻ってからはまったく勝てなくなってしまった。
続いて期待されたのがニューヒーロー特別を制したサンアルカローラや、重賞・ヤングヒーローを制したスターゴールドだったが、これらも3歳になって今ひとつのレースが続いている。
そして3歳になって急激に力をつけてきたのが、年明け6戦5勝、2着1回でサラ系クイーンカップも制しているモモカプリンセスや、サラ系キングカップを制したシルクニューヒットだ。
地方競馬では、中央や他地区から転厩してきた馬たちが一気に勢力図を塗り替えるというのがよくあるパターンだが、モモカプリンセスもシルクニューヒットも福山生え抜き。いずれも2歳時のニューヒーロー特別や、ヤングヒーローでは、サンアルカローラやスターゴールドに歯が立たなかったものが、3歳になって完全に力関係を逆転した。
もしかして出走全馬が福山生え抜きなので、福山ダービーは福山デビュー馬のみに出走権があるのかもしれないが(ちゃんと調べてなくてスイマセン)、おもしろい傾向ではある。
中心は、サラ系クイーンカップに続いて、前走古馬C1クラスも勝っているモモカプリンセス。
相手はシルクニューヒットで、連下には近走の成績からシバマリン、モエロアルカング、カシマチャップリンなど。
これまでの傾向から、もしかして▲以下が力関係を逆転なんてこともあるかもしれない。3連単4頭か5頭のボックスで高配当を狙うというのはどうだろう。
◎モモカプリンセス
○シルクニューヒット
▲シバマリン
△モエロアルカング
△カシマチャップリン
水沢1600メートルの3歳馬による重賞・阿久利黒賞。
いきなり予想とは関係ない話なのだが、最近、昔いた馬と同じような名前の馬がやけに気になる。この阿久利黒賞でいえば、1枠1番に入ったハルサンヒコだ。
その昔、といっても10年ちょっと前だが、同じ岩手にハルサンヒコーという馬がいた。重賞勝ちはないのだが、桐花賞3着とか、シアンモア記念3着とか、そこそこはオープンクラスで活躍した。そういえば、当時岩手のクラス分けは、G1、G2、G3、G4、G5となっていたのも懐かしい。
で、そのハルサンヒコーなのだが、その程度の成績だけであれば、おそらく記憶の彼方に消えていたかもしれない。なぜ覚えているかというと、あのトウケイニセイにはじめて土をつけた馬だからだ。
トウケイニセイにとってはデビューから19連勝がかかった一戦。直線で一旦は先頭に立ったものの、ハルサンヒコーが差し切って、1馬身半、先着したのだった。
血統的に何かつながりはあるのだろうかと思って調べたら、なんとびっくり。ハルサンヒコはハルサンヒコーの甥にあたるのだった。
馬主さんは、ハルサンヒコーが(有)加賀商事で、ハルサンヒコが加賀邦彦さんとなっているから、法人名義と個人名義で同じ方なのか、もしくは血縁関係なのだろう。生産牧場はどちらも門別・下川茂広さんとなっている。
さて、ハルサンヒコは、おじであるハルサンヒコーの活躍を越えることができるだろうか。
そしてもう1頭似た名前で気になっているのが、佐賀にいる3歳牝馬、トコナツ。今年4月のル・プランタン賞では2着に入った。
この馬名でどんな馬を思い出したかというと、岩手でハルサンヒコーと同じような時期に走っていたトコハルという牝馬だ。こちらは93年のひまわり賞を制し、5歳(旧6歳)時には中央入りしたが、900万クラスで3着が最高という成績で岩手に戻ってきた。
さすがにトコナツとトコハルとは、血統的なつながりはないようだ。
さて、ようやく本題の阿久利黒賞だが、ここは正月の金杯を制し、前走スプリングカップ(特別)も制したセイントセーリングの中心は動かしがたい。
相手にはネバーオブライト。重賞勝ちこそないものの、船橋に遠征した平和賞は4着、続く南部駒賞ではセイントセーリング(5着)に先着する4着だった。シーズン緒戦の3歳A2戦は、ハルサンヒコに半馬身差をつけ快勝している。
そのハルサンヒコも、一角崩しなら可能性はありそうだ。あとは、ソード、ワクワクヨークンあたりだが、セイントセーリングからでは配当的にはそれほど期待できないかもしれない。
◎セイントセーリング
○ネバーオブライト
▲ハルサンヒコ
△ソード
△ワクワクヨークン
5月6日、後ればせながら、新生なったばんえい競馬をこの目で確かめることができた。
当初、ゴールデンウィーク中の訪問はほとんど諦めていたのだが、なんとか都合をつけることができた。
1レース前に競馬場に着くと、昨シーズンまで見ていた帯広競馬場とは、かなり違った風景。続々と入場門に向かっているのが、なんとみんな家族連れなのだ。
このゴールデンウィーク期間のみではあるが、スタンド裏に「ふわふわランド」なるものを誘致して遊園地のようにしたからではあるのだが、とりあえずは地元の方々に、ここでばんえい競馬をやっているということを認知してもらうことはできたと思う。
存廃問題のときに話題になったのだが、帯広市民でもばんえい競馬を見たことがないという人はかなり多い。その上、帯広競馬場の前をしょっちゅう通っていても、そこが競馬場であることを知らなかったという方もいるのだという。競馬ファンからしてみれば信じられないが、ホントの話なのですよ。
スタンド内も、緑を基調にした明るい色にペインとしたことや、照明を増やしたことなどで、だいぶ明るくなり、そして広く感じるようになった。
最大の懸案事項だったスタンド内の分煙も実現。1階、2階ともに数カ所ずつ、わりと広めな喫煙ルームが造られていた。その中には、レース映像やオッズを映すモニターはないのだが、ガラス越しにちゃんとモニターが見られるようになっているのには感心した。
さて、ここからが本題。
「ふわふわランド」の横のテントには、地元のレストランや肉屋さんがいくつもお店を出していたのだが、それぞれがヤキソバを売っているのを発見して、ぼくは色めき立った。これは食わねばならんでしょ。
たしか4店舗くらいがヤキソバを売っていたのだが、さすがに1日だけの競馬場訪問で全部を食べてみるわけにはいかないのが残念なところ。20代前半のころだったら、とりあえず全部食べてみるとかしたかもしれない。しかし。食って食えないことはないだろうが、メタボリックや成人病など、ヤキソバごときでそういうリスクは負いたくない。
で、ヤキソバ以外にもたくさん売られている肉やジャガイモたちに目もくれず、食べたのが2つ。
まずはレストラン牧舎(ぼくしゃ)さんのヤキソバ300円也。
具は、たっぷりのモヤシに、キャベツ、玉ねぎ、豚肉。ソースは中濃タイプか。見てわかるとおり、何といっても野菜がたっぷりなのがイイ! これ、ヤキソバの基本ですよ。ダシ系が感じられないのがちょっと残念だったものの、競馬場で食べる300円ヤキソバとしてはかなり満足なレベルでした。
さて次は、(有)五日市という肉屋さんの海鮮塩ヤキソバ300円也。文字どおり、ソースではなく塩味。
具は、アサリ、イカ、エビに、キャベツと玉ねぎ。作りたてをくれるのかと思ったら、机の下から紙製の容器に入った作り置きが出てきて、麺がちょっとフニャフニャになっているのが残念ではあった。しかしこれもたっぷり具だくさん。さすがホッカイドウでっかいどう。
しかし何より残念なのが、これらの食べ物やさんたちがゴールデンウィーク限定だということ。全部とは言わないまでも、ナイター開催にはぜひとも復活していただきたい!
岩手では水沢競馬場で春の古馬マイル王決定戦、シアンモア記念が行われる。
4月8日に行われたトライアルの栗駒賞を勝ったのは4歳のダンディキング。1周目のゴール過ぎで一気にハナを奪うと、そのままゴールまで粘った。3歳の昨年は、常に善戦するものの、オウシュウクラウンなどがいて、結局は重賞未勝利のまま。栗駒賞を制した勢いで、ここで重賞制覇といきたいところ。
その栗駒賞では、見せ場なく7着に敗れたオウシュウクラウン。ひと叩きしたここは巻き返すと見て、こちらを本命にする。4歳を迎えた今年、このあたりで負けているわけにはいかないだろう。
ヤマニンエグザルトも栗駒賞では惨敗だったが、昨年後半の実績からここで一発があってもおかしくない。
ニューベリーは、どうも中央時の実績から人気先行の感じで、押さえまで。
◎オウシュウクラウン
○ダンディキング
▲ゲイリーエクシード
△ニューベリー
△タイキリオン
昨年から時期が早まった金沢の3歳重賞・北日本新聞杯。
4月16日の3歳A2戦に出走した馬が12頭中7頭に、同日の3歳条件交流戦に出走した馬が5頭というメンバー構成。
中心はフアンノネガイ。前走3歳A2戦では、一旦は先頭に立ちながらもブルーアロハに差し返されての2着。しかしここまで常にこの世代のトップクラスと対戦しながら9戦5勝2着4回のオール連対という安定感は抜群。
ブルーアロハも前走が2歳8月以来、8カ月以来の出走だったことを考えれば、ここもあっさりの可能性はある。
連下候補は条件交流組で、ダブルアーチャー、マルハチヘラクレス。
◎フアンノネガイ
○ブルーアロハ
△ダブルアーチャー
△マルハチヘラクレス
高知では3歳三冠第1弾の黒潮皐月賞。
近年、高知では2歳新馬の入厩がほとんどなく、出走全馬が中央や他地区からの移籍馬。
ここは中央から移籍し、それぞれ2戦して1、2着を1度ずつ分け合っているスパイナルコードとマルタカスティーヴを巡る争いになりそう。前走後続を6馬身ちぎったスパイナルコードを上位にとる。今回は両馬仲良く8枠に入った。
連下には、3歳1組と古馬E4戦を連勝しているミルスペックと、D級で勝ち鞍のあるパラダイスゲスト。
◎スパイナルコード
○マルタカスティーヴ
▲ミルスペック
△パラダイスゲスト
東海ダービー・トライアルとして行われる駿蹄賞は、ここにきて調子を上げてきた新興勢力が何頭かいて、興味深い一戦。
本命は4連勝中の牝馬シンメイジョアー。正月の新春ペガサスは2着に敗れたものの、3月の若草賞では後続を8馬身ちぎって逃げ切った。古馬に格付けされている中でも、前走でメンバー中最上位のA4組を1番人気で逃げ切っている実力は、やはり素直に評価すべきだろう。
2歳時のゴールドウィング賞に続いて、4月の笠松・新緑賞で重賞2勝目を上げたワイティタッチも力をつけてきた。前々走のB3戦では、その後4月30日の尾張名古屋杯を制したゴールドマジンガーに3馬身差の2着は胸の張れるレース内容。
評価を迷うのがマルヨフェニックス。遠征した園田ユースカップまで重賞2勝で、5戦4勝、2着1回。しかし1番人気で臨んだ3月のスプリングカップでは5着に敗れた。2歳暮れのライデンリーダー記念を制したときには497キロあった馬体が、年明け後は減り続け、スプリングカップは461キロでの出走だった。馬体を戻していれば、ここであっさりがあってもおかしくない。
ここまで3頭は、一応印に順番はつけたが、当日の状態次第で順番を変えるかもしれない。
連下候補は、正月の新春ペガサスカップでシンメイジョアーを退けたニシキコンコルドに、中央から転入後6戦5勝、2着1回と底を見せていないネオプラネット。
◎シンメイジョアー
○ワイティタッチ
▲マルヨフェニックス
△ニシキコンコルド
△ネオプラネット
ところで、この日の第6レース終了後には、03年の名古屋大賞典GIII、04年のかきつばた記念GIIIを制したマルカセンリョウの引退式が行われるらしい。結局はかきつばた記念が最後の勝ち星となり、昨年は東海桜花賞で4着に入るなどそこそこ走っていたが、12月6日のA2特別(4着)を最後に引退することとなった。名古屋所属馬でダートグレードを2勝したのは、今のところこの馬だけではないだろうか。東海地区だけにとどまらず、全国のダートグレード戦線を盛り上げた功労馬の1頭であることは間違いない。