17日メインはオープン「スプリント特別」(水沢1400m)。次開催30日(土)に準重賞・奥州弥生スプリント、翌31日(日)に重賞・白嶺賞が控え、その2戦に直結する一戦と見ていいだろう。
主軸にアメージングランを選ぶか、フジラプンツェルを選ぶか迷ったが、アメージングランを本命に推す。デビュー7戦目、名古屋の条件交流で未勝利を脱出して中京ダート1400m戦を快勝。2勝クラスへ在籍し、2022年、高知へ移籍。B級格付けにも恵まれてアッサリ5連勝を飾り、同年に重賞・建依別(たけよりわけ)賞を制し、ほかの重賞でも2着2回3着2回と好走した。
ただ一昨年10月の勝利を最後に白星から遠ざかり、2着4回が最高。今季も3戦3着2回にとどまり、岩手へ新天地を求めてきた。中央時代を含めて過去11勝のうち9勝が今回と同じ1400m戦。加えてほかのメンバーが今季初出走に対し、2月まで実戦を使われているのが大きなアドバンテージ。次開催に同じ水沢1400m重賞・白嶺賞も控えており、勝って弾みをつけたいところだろう。
フジラプンツェルは2歳最優秀馬に選ばれた強豪牝馬。東京2歳優駿牝馬出走後、JRAへ移籍したが、3戦とも 二けた着順に終わり、岩手へ里帰り。帰厩当初は大きく体重が減っていたため放牧に出されて完全休養。馬体回復に専念し、4ヵ月後に復帰。しかし距離が合わなかった上、迫力を取り戻せず2着最高だったが、1200m・絆カップでキラットダイヤの3着に健闘。
これで復調のメドが立ち、盛岡マイル5着から昨最終戦の水沢1400mを0秒7差で完勝。いい形でシーズンを終えた。おそらく今後はマイル以下、もしくは1400m以下をメインに使う予定。父がメイショウボーラーなら納得の選択で以降は白嶺賞から4月28日、重賞・栗駒賞が最大目標になる可能性大。ここは今後への試金石作り。
トキノパイレーツは中央ダート2勝から南関東へ移籍。2019年、重賞・スパーキングサマーカップを制したが、その後は勝利なく2022年10月に転入。初戦を快勝し、好発進。以降も5勝2着1回3着7回。着外は前々走6着一度のみ。それ以外はすべて入着を果たし、相手なりに駆ける堅実さを身上とする。課題は最後の詰めだが、ここでも上位扱いが妥当だろう。
ゼットセントラルはいい脚を長く使え、昨年も3勝2着4回3着2回。最低着順も4着と抜群の安定感を誇った。前走はスローに泣いた一戦だったが、それでも4着確保。今年8歳、仕上がり状態に若干不安が残るが、実戦になれば変わってくるタイプ。やはりマークが欠かせない。
ケイアイサクソニーは一昨年、北海道代表でOROターフスプリントを優勝。連覇を狙って昨年転入したが、3着2回が最高。不本意な結果だったが、ダートもそこそここなせるのが身上。すんなりなら。
トンデコパは2021年、水沢850mコースレコードを樹立し、いまだに破られていない。南関東移籍後は800m、1000mをメインに使われて勝ち負けを演じているが、1400m以上は白星なし。距離対応がネックとなる。
◎⑦アメージングラン
〇⑪フジラプンツェル
▲①トキノパイレーツ
△⑥ゼットセントラル
△④ケイアイサクソニー
△⑨トンデコパ
<お奨めの1頭>
3R リンシャンカイホウ
ダート戦では3着1回が最高だが、今回からC1へ降級。メンバーが大幅に緩和され、チャンス到来
文/松尾康司
3月10日から始まった春の水沢競馬。2月まではもう春なのかと思うほどに暖かい日が続きましたが3月に入って毎日のように雪が降る寒い春に。昨年は年末年明けが寒かった分3月が例年以上の暖かさで、桜も史上最速という早さで咲いてしまいましたが、今年はさすがにそこまでのことにはならなさそうな気配。
競馬の方では湿った重馬場が続いていて外まくりがハマる展開もしばしば起こり、例年のような"3月開催は力を要する馬場で先行馬優勢"の構図ともちょっと違いが出ているようです。
そして昨年は開幕日に3連単160万円の高配当が飛び出していますが今年はここまで2日間で15万円が最高。個人的には配当が荒れ始めるのはもう少し経ってから、春先好調だった馬がちょっと疲れてきて下降気味・春先ちょっと結果が出なかった馬が調子が上がってきて上昇気味・・・という流れが交差する4月頃だと思っています。高配当狙いの方はもう少し辛抱かなと思うのですが、果たしてどうなるか。
3月12日のメインレースは12R。B1級一組の『アイリス賞』です。このレースは『令和6年能登半島地震被災者支援競走』として、売得金額の1%相当を被災された方々への義援金とし、後日、日本赤十字社を通じて被災地へお届けすることになっております。
本命は(5)サンエイブレーヴを採りました。
昨年はA級では勝つまでには至らず降級しても一進一退という同馬でしたがA級でもしばしば勝ち負けに加わる勢いでしたしB級でも白星先行でこそないものの大敗はほとんどありませんでした。水沢コースにもそれほど苦手感はないですし、昨冬までA級だった馬もいるここであっても力に不足はないと見ます。
対抗は(9)ヤマニンパジャッソ。昨秋の転入後は盛岡・水沢ともにコース慣れをしている最中に終わったという印象。しかしいずれもラストレースでは差を詰めてきており、そろそろコース慣れ成ったということであれば注目が必要になってくるのでは。
3番手は(10)エスペルト。こちらも転入後はコース慣れしつつ成績も上げて・・・の走りでした。南関東時代は左回りコースのみの戦績でしたがJRA時代なども含めると右回りは良さそう。あとは9月以来の実戦がどうか?だけ。
ヒモは穴っぽく、まず内枠から先行できればの(1)シャノワール。JRA時代は芝が主戦場。姫路で1勝を挙げたもののその後苦戦・・・というのがオーストラリアの砂が合わなかったのなら水沢で変化がある可能性。もう一頭は(8)モレッキを。昨冬は調子自体は良かったのですが残念ながら結果にはつながらず。今回から降級ですし、調子の良さが活きれば大きく変身あっても不思議ではないと考えます。(横川典視)
●12Rの買い目
馬単(5)=(9)、(5)=(10)、(5)=(1)、(5)=(8)
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3月11日は『東日本大震災津波を語り継ぐ日』。2011年3月11日、東日本大震災により甚大な被害を受け、多数の方がお亡くなりになられた。岩手競馬も開催を見送り、5月14日から再開したが、水沢競馬場のダメージが大きく、当面は盛岡競馬場1場の開催を余儀なくされた。しかし12月10日から水沢競馬も再開。震災の傷跡を大きく残しながらもレース再開にこぎつけた。
あれから早13年。11日第6R(発走14時35分)、「東日本大震災津波を語り継ぐ日」を冠したレースを実施。地震発生の時刻だった14時46分より1分間の黙祷(もくとう)を行う。
また売得金額の1%相当を被災された方々への義援金とする『令和6年能登半島地震被災者支援競走』を3月10日から実施。11日メイン「ガーベラ賞」(B1級 水沢1400m)もその対象レースになっている。皆さんもご協力をよろしくお願いします。
フューチャーアゲンは札幌ダート1000m3着1回から転入。5戦4勝2着1回、パーフェクト連対でシーズンを終えた。一度2着はB2特別・ノベンバーカップだったが、勝ったギャレットは元オープン馬では仕方なし。以降は完璧の内容で2連勝を飾り、B1級馬も難なく一蹴した。
今回はオープン入りを目前に控えた大事な一戦。2月までレースを使われてきた2頭に対し、久々の実戦はハンデ材料となるが、成長一途の4歳馬。ここで足踏みはしていられないはず。きっちり勝利を手にし、今シーズンの飛躍を期待したい。
逆転筆頭はサトノマッスル。南関東C1からあっさり3連勝をマーク後、夏休みに入って放牧。10月に復帰し、連勝をどこまで伸ばすかが焦点だったが、よもやの5着。以降も足踏みを続けたが、復帰5戦目でようやく快勝。
これで軌道修正できたかと思ったが、終盤2、4着。スタートでもたつくようになり、昨最終戦は最内枠で痛恨の出遅れ。消化不良の印象があったが、冬休みでリフレッシュ。再び最内1番枠を引きあてたが、これを跳ね返せるようだと今季の活躍も約束される。
トチノヒーローの成績が興味深い。大井1200mで7勝マーク。B3級も突破したが、砂が変わったあとは凡走の連続。時計のかかる馬場に苦戦を強いられ、岩手へ新天地を求めてきた。岩手在籍馬が今季初出走に対し、2月13日を使っているのが何よりも強調材料。1400m戦では3着確保の実績がないが、小回り水沢なら守備範囲。現役の強みを生かしてアッサリまで。
グローサーベアは中央ダート2勝、南関東B3から転入して5勝2着2回。終盤2戦の凡走が気になるが、疲れも溜まっていたか。その意味で冬休みに入ったのが好材料。距離も中央時代も含めて4勝と適性一目。
アルティマボスは先行力と粘りが身上。マークが厳しいと末が甘くなるが、前々走のようにマイペースならあっさりのタイプ。ペースがカギを握る。
アサンテギアはアルティマボスと好対象に強烈な末脚が武器。前々走で出遅れながらも鮮やかな直線一気を決めた。こちらもペース次第。
◎⑧フューチャーアゲン
〇①サトノマッスル
▲⑥トチノヒーロー
△③グローサーベア
△⑦アルティマボス
△②アサンテギア
<お奨めの1頭>
1R ティーライトニング
B2・850m2戦2着で適性を証明済み。今回からC2へ降格して大幅にメンバーが緩和され、順当に勝機を迎えた
冬休み明け初日10日メインは3歳準重賞「第3回奥州弥生賞」(水沢1400m)。奥州弥生賞の名称は耳馴染みがないかも知れないが、2017年に重賞で実施され、第1回優勝はベンテンコゾウ。第2回は2020年、準重賞で行われ、フレッチャビアンカが優勝した。
今年は4年ぶりに復活したが、過去の優勝馬ベンテンコゾウは北海道二冠を制し、フレッチャビアンカは東北優駿(岩手ダービー)、不来方賞、ダービーグランプリを優勝。年度代表馬に選出され、南関東移籍後も東京記念、金盃を制した強豪。もしかすると復活・奥州弥生賞は出世レースの一つに加わる可能性を秘めている。
レッドオパールは門別4戦1勝2着1回から岩手入り。転入戦の2歳B2戦を快勝し、重賞・寒菊賞へエントリー。中団キープからあっさり直線抜け出しを決め、初重賞を獲得した。この勝利で金杯の優先出走権を獲得したが、菅原勲調教師「初戦を勝った後は、寒菊賞か金杯の一択。2レースとも使う予定はない」とコメント。その言葉どおり、金杯をスキップして冬休みに入った。
母アイアムオパールは中央未勝利から岩手移籍後、7勝マーク。レッドオパールが最初の産駒だったが、アッサリ重賞を制するのが底力の証明。"ただ獲り"だった金杯を見送ったのが今年につながるのは確実。順当に制すれば牡馬重賞・スプリングカップ、または牝馬路線にも行くことができ、陣営も好発進を決めたいところだろう。
セイバイラックはデビュー4戦まで芝1本のローテーションから2着2回。芝交流・ジュニアグランプリでも4着を確保した。5戦目も当初予定は芝だったが、走路悪化のためダート変更。それが好結果につながり、初勝利を8馬身差圧勝で飾った。
以降はダート路線へシフトして牝馬交流・プリンセスカップ4着、寒菊賞2着、金杯2着と重賞でも好走を続けた。ただ勝ち味に遅く1勝のみ。最後の詰めが課題だが、この奥州弥生賞を勝ち切れれることができれば大収穫。その意味でも目が離せない一戦となった。
ビッグサララルーフはメンバー最多の3勝マーク。スタートで後手を踏むために凡走するケースも多いが、決め手は随一。10頭立て4番枠は微妙だが、ハイペースになれば一気突き抜けるシーンまで。
オフビートはデビュー戦の盛岡ダート1000m・2歳新馬を完勝。重賞・シンデレラカップ(金沢)を制し、岩手3歳重賞でも勝ち負けを演じたボサノヴァの妹らしい初戦勝利だった。その後はレースに集中できず入着一杯だったが、秋以降は2着2回。成長確かなことを証明した。何よりも強みは久々を苦にしないこと。
ロイエはトレーニングセール出身のモーニン産駒で1勝2着2回。オープン入り後は頭打ちの印象だが、冬期間に遠野馬の里で鍛え直して帰厩。パワーアップは疑いないはず。
リノグロワールはデビュー2戦目の盛岡ダート1200m戦を1秒6差で圧勝。周囲を驚かせたが、続く重賞・若駒賞2番人気5着。自分の型に持ち込めないとモロいが、すんなりなら軽視できない。
◎⑩レッドオパール
〇⑤セイバイラック
▲④ビッグサララルーフ
△③オフビート
△⑥ロイエ
△⑪リノグロワール
<お奨めの1頭>
9R レディブラウン
門別A4級から転入後、余裕の2連勝。今回はB2昇級戦だが、むしろ格上の存在。年をまたいで4連勝を飾る
大みそか31日メインは岩手競馬の恒例行事・岩手版グランプリ「第47回桐花賞」(水沢2000m)。今年度は正月競馬を実施しないため、桐花賞がレギュラーシーズンの1年を締めくくる(11Rはあるが)一戦。
岩手競馬の根幹レースはシアンモア記念、一條記念みちのく大賞典、桐花賞。以上3レースすべて出走はヴァケーション、ゴールデンヒーラー、ノーブルサターン、そしてフレイムウィングスの4頭のみ。今年1年、紆余曲折があったが、オープン重賞戦線は3強で推移したことを裏付けるメンバー構成となった。
本命はノーブルサターン。昨年12月、南関東A1から転入。いきなりトウケイニセイ記念、桐花賞と重賞2連勝を飾ってシーズンを終了した。今年は赤松杯から始動して4着からシアンモア記念へ臨み、好位キープから直線抜け出しを決めて完勝。今年も健在をアピールした。
続く一條記念みちのく大賞典では1番人気に支持されたが、後方のまま。ヴァケーションに2秒3差7着に終わった。それが尾を引いたのかマーキュリーカップも二けた10着。その後は秋田の牧場で完全放牧に出た。復帰まで思った以上にかかったのは夏負けがひどかったため。ご存じのように今年は岩手も猛暑続きだった。
10月22日にようやく戦列復帰したが、2番手キープから直線一杯5着。年齢的な衰えかと思わせ、北上川大賞典は屈辱の5番人気だったが、鮮やかな逃げ切りを決めた。前走・トウケイニセイ記念は出遅れながらも貫禄の2連覇。2600mから一気に1600m短縮もまったく問題にしなかった。
今回のテーマは桐花賞2連覇だが、もう一つ重要な仕事がある。連覇はイコール年度代表馬の座を盤石にすること。昨年の年度代表馬はヴァケーションだったが、今年は絶好のチャンスとなった。
ヴァケーションは重複するが、昨年度の年度代表馬。白星はシアンモア記念優勝のみだったが、マーキュリーカップ3着、盛岡開催のJBCクラシック挑戦など年間を通して活躍したことが評価された。
今季始動はノーブルサターンと同じく赤松杯でグローリーグローリの2着。上々の滑り出しだったが、連覇を狙ったシアンモア記念でまさかの7着。逃げたゴールデンヒーラーの2番手につけたが、共倒れになって2頭で撃沈した。
一條記念みちのく大賞典4番人気もやむなしだったが、逃げの手に出て8馬身差で圧勝。シアンモア記念7着から一転、見事な復活劇を演じた。マーキュリーカップは7着、川崎遠征・スパーキングサマーカップ12着。"らしさ"をまったく見せることができず、3ヵ月半休養。トウケイニセイ記念は何とか間に合った格好だったが、見せ場を作って2着。
この一戦を使えたのが陣営にとっては心強い材料。ぶっつけで桐花賞は不安が大きかったが、2着連対は大収穫。昨年はノーブルサターンに完敗2着だったが、今年こそ雪辱。2年連続で年度代表馬へまい進する。
ゴールデンヒーラーも苦難の1年だった。昨年、JBCレディスクラシック出走取り消し後、北海道へ帰郷。"一回り大きくなった"と渡辺正彦きゅう務員が語り、復帰戦の栗駒賞を完勝。今年の主役を予感させたが、シアンモア記念6着、一條記念みちのく大賞典8着に凡走した。
佐藤祐司調教師「フェアリーカップは引退も覚悟した一戦」だったが、ゴールデンヒーラーは1秒4差で圧勝。続く青藍賞も完勝で堂々の2連覇を達成し、マイルチャンピオンシップ南部杯へ2年連続で挑戦。昨年は5着、今年は7着だったが、ようやく本来の動きを取り戻した。
2度目の挑戦となった船橋・クイーン賞8着の評価に迷うところだし、今回の水沢2000mは本質的には向かないが、2着1回。こなせない条件ではない。仮に優勝すれば悲願の古馬ビッグタイトルを獲得することになる。
フレイムウィングスは中央ダート2勝、南関東1勝・B1級から転入。ピリッとした脚がないため未勝利だが、一條記念みちのく大賞典3着、北上川大賞典2着など重賞で馬券対象を果たしている。よく言われることだが、三強は成り立たず―の定説を考えれば一角を崩す可能性は十分にある。
ホッコーライデンは中央ダート4勝、北海道1勝・A1級から転入。初戦のトウケイニセイ記念でメンバー最速の上がりを披露して4着。スロースターターで展開に注文がつくが、3着候補には押さえたい。
マイネルアストリアは前回快勝。自分の競馬ができれば強じんな粘りを発揮する。三強がけん制し合い、マイペースに持ち込めれば残り目一考。
◎④ノーブルサターン
〇⑧ヴァケーション
▲⑤ゴールデンヒーラー
△⑦フレイムウィングス
△⑩ホッコーライデン
△①マイネルアストリア
<お奨めの1頭>
7R ササキンローズ
前走2着は勝った馬が強く仕方なしの結果。このメンバーなら首位を譲れない